156 / 1,560
【156 優しい言葉と悲しくなる言葉】
しおりを挟む
ヤヨイさんは、ジャニスやメアリーよりも背が高い。
二人の服では合わなかったので、初日は深緑色の寝間着で過ごしてもらうしかなかったが、翌日、メアリーに街で服を何着か買ってきてもらい、今は自分の体に合った服を着ている。
今日は、袖口がフリルの白いシャツに、ひざ下まであるブラウンとグリーンのチェック柄の、スカートを合わせている。
「では、ブレンダン、みんな、世話になった」
孤児院の玄関で見送りに立つ師匠やみんなに、ジョルジュはお礼を口にする。
俺とジャニス、ヤヨイさんが、行ってきます、と言って手を振ってジュルジュに続いて行こうとすると、キャロルが、待って、とジョルジュを呼び止めた。
「ん?どうした?」
玄関から数歩先で立ち止まり、ジョルジュはゆっくりと振り返った。
振り向いたジョルジュの顔を見ると、キャロルは少し頬を赤くして、俯きながらジョルジュの前まで、ゆっくりと歩いて行った。
ジョルジュの前に立っても、キャロルはなかなか言葉を出せずにいる。
言いたい事があるのだが、緊張して口に出せないようだ。
トロワや男の子達は、キャロルどうしたんだ?といぶかし気に話している。
まだあの年では分からないのだろう。
ジャニスとメアリーとヤヨイさんの女性三人は、なんだかワクワクとドキドキが混ざったような顔をして、両手で口を押えながら、キャロルとジョルジュから目を離さずにいる。
「・・・ゆっくりでいいぞ。急いでいるわけでもない。考えがまとまるまで待とう」
ジョルジュはキャロルの目線まで腰を下ろすと、ずっと俯き、何も言えずにいるキャロルに優しく声をかけた。
その言葉に勇気をもらったのだろう。
キャロルは顔を上げると、両手を握り締め声を振り絞るようにして言葉を発した。
「あ・・・あの・・・ま、また来てください!」
「分かった。またとはいつだ?」
キャロルの言葉にジョルジュは即反応した。
勇気を振り絞ったキャロルの言葉に、ジャニス、メアリー、ヤヨイさんは、高い声を上げて、飛び上がりそうにしている。
しかし、ジョルジュの返事に、キャロルはまた少し困ってしまっている。
なんて返していいか分からないのだろう。
分かったまた来るよ。くらいの返事でも十分嬉しかったのだろうが、具体的な日を聞かれているのだ。予想外の返事に、どう返していいか分からないのだ。
「・・・え、その、じゃ・・・じゃあ・・・明日!」
「分かった。明日だな。ブレンダン、明日は城へ行くと聞いているが、来てもいいか?」
ジョルジュが師匠に顔を向けると、師匠は笑顔で頷いた。
「ほっほっほ、もちろんじゃ。気にせずいらっしゃいな。ここにはいつ来てもかまわんよ」
「わかった。ではキャロル、また明日」
ジョルジュの言葉に、キャロルはとても嬉しそうに大きく頷いた。
「ヤヨイさん、ごめん。昨日うっかり話し忘れてたんだけど、闘技場でパトリックさんに会ったんだ。ヤヨイさんにぜひ会いたいって言ってたよ」
街で拾った馬車の中で、ジャニスは昨日パトリックさんと話した事を思い出し、隣に座るヤヨイさんに顔を向け、パトリックさんとの縁談の話しを始めた。
「大丈夫よジャニスさん。昨日は大変だったんだから、気にしないでね。でも・・・そっか、私と会ってくれるんだ・・・・・」
ヤヨイさんは少しだけ口元に笑みを作り、言葉を確かめるように呟いた。
「あはは、ヤヨイさん綺麗だから、パトリックさんが会ったら、今までよりガチガチに固まると思うよ。ちょっと自己評価の低い人だけど・・・良い人だから!うまくいくといいね」
「・・・・・私は記憶が無いから、本当はどんな女かわからないでしょ・・・だから、会ってくれるだけでも嬉しいわ。でも、そうね・・・こんな私でも気に入ってもらえたら・・・・・嬉しいわ」
笑顔を作っているけど、寂しそうに呟くヤヨイさんに、ジャニスが少し強い口調で言葉を出した。
「ヤヨイさん、そういう事言わないで!ロビンさんも言ってたでしょ、今のヤヨイさんが私達の知ってるヤヨイさんなの。昔のヤヨイさんは知らないけど、子供達も、私達もみんなヤヨイさんが好きだよ。だから、こんな私とか、本当はどんな女とか・・・そういう悲しくなる事はもう言わないで・・・」
ジャニスの視線を真っすぐに受け、ヤヨイさんは少し驚いたような表情を見せたけど、すぐに笑顔をみせると、ジャニスを抱きしめた。
「え!?ちょっと、ヤヨイさん、なに?なに?」
「・・・ジャニスさん・・・ありがとう。私、もうそういう事は言わないね」
ジャニスはこういう風に抱きしめられる事に慣れてなく、顔を赤くして言葉に詰まり、おろおろしている。
ヤヨイさんは、しばらくジャニスを抱きしめて離さなかった。
二人の服では合わなかったので、初日は深緑色の寝間着で過ごしてもらうしかなかったが、翌日、メアリーに街で服を何着か買ってきてもらい、今は自分の体に合った服を着ている。
今日は、袖口がフリルの白いシャツに、ひざ下まであるブラウンとグリーンのチェック柄の、スカートを合わせている。
「では、ブレンダン、みんな、世話になった」
孤児院の玄関で見送りに立つ師匠やみんなに、ジョルジュはお礼を口にする。
俺とジャニス、ヤヨイさんが、行ってきます、と言って手を振ってジュルジュに続いて行こうとすると、キャロルが、待って、とジョルジュを呼び止めた。
「ん?どうした?」
玄関から数歩先で立ち止まり、ジョルジュはゆっくりと振り返った。
振り向いたジョルジュの顔を見ると、キャロルは少し頬を赤くして、俯きながらジョルジュの前まで、ゆっくりと歩いて行った。
ジョルジュの前に立っても、キャロルはなかなか言葉を出せずにいる。
言いたい事があるのだが、緊張して口に出せないようだ。
トロワや男の子達は、キャロルどうしたんだ?といぶかし気に話している。
まだあの年では分からないのだろう。
ジャニスとメアリーとヤヨイさんの女性三人は、なんだかワクワクとドキドキが混ざったような顔をして、両手で口を押えながら、キャロルとジョルジュから目を離さずにいる。
「・・・ゆっくりでいいぞ。急いでいるわけでもない。考えがまとまるまで待とう」
ジョルジュはキャロルの目線まで腰を下ろすと、ずっと俯き、何も言えずにいるキャロルに優しく声をかけた。
その言葉に勇気をもらったのだろう。
キャロルは顔を上げると、両手を握り締め声を振り絞るようにして言葉を発した。
「あ・・・あの・・・ま、また来てください!」
「分かった。またとはいつだ?」
キャロルの言葉にジョルジュは即反応した。
勇気を振り絞ったキャロルの言葉に、ジャニス、メアリー、ヤヨイさんは、高い声を上げて、飛び上がりそうにしている。
しかし、ジョルジュの返事に、キャロルはまた少し困ってしまっている。
なんて返していいか分からないのだろう。
分かったまた来るよ。くらいの返事でも十分嬉しかったのだろうが、具体的な日を聞かれているのだ。予想外の返事に、どう返していいか分からないのだ。
「・・・え、その、じゃ・・・じゃあ・・・明日!」
「分かった。明日だな。ブレンダン、明日は城へ行くと聞いているが、来てもいいか?」
ジョルジュが師匠に顔を向けると、師匠は笑顔で頷いた。
「ほっほっほ、もちろんじゃ。気にせずいらっしゃいな。ここにはいつ来てもかまわんよ」
「わかった。ではキャロル、また明日」
ジョルジュの言葉に、キャロルはとても嬉しそうに大きく頷いた。
「ヤヨイさん、ごめん。昨日うっかり話し忘れてたんだけど、闘技場でパトリックさんに会ったんだ。ヤヨイさんにぜひ会いたいって言ってたよ」
街で拾った馬車の中で、ジャニスは昨日パトリックさんと話した事を思い出し、隣に座るヤヨイさんに顔を向け、パトリックさんとの縁談の話しを始めた。
「大丈夫よジャニスさん。昨日は大変だったんだから、気にしないでね。でも・・・そっか、私と会ってくれるんだ・・・・・」
ヤヨイさんは少しだけ口元に笑みを作り、言葉を確かめるように呟いた。
「あはは、ヤヨイさん綺麗だから、パトリックさんが会ったら、今までよりガチガチに固まると思うよ。ちょっと自己評価の低い人だけど・・・良い人だから!うまくいくといいね」
「・・・・・私は記憶が無いから、本当はどんな女かわからないでしょ・・・だから、会ってくれるだけでも嬉しいわ。でも、そうね・・・こんな私でも気に入ってもらえたら・・・・・嬉しいわ」
笑顔を作っているけど、寂しそうに呟くヤヨイさんに、ジャニスが少し強い口調で言葉を出した。
「ヤヨイさん、そういう事言わないで!ロビンさんも言ってたでしょ、今のヤヨイさんが私達の知ってるヤヨイさんなの。昔のヤヨイさんは知らないけど、子供達も、私達もみんなヤヨイさんが好きだよ。だから、こんな私とか、本当はどんな女とか・・・そういう悲しくなる事はもう言わないで・・・」
ジャニスの視線を真っすぐに受け、ヤヨイさんは少し驚いたような表情を見せたけど、すぐに笑顔をみせると、ジャニスを抱きしめた。
「え!?ちょっと、ヤヨイさん、なに?なに?」
「・・・ジャニスさん・・・ありがとう。私、もうそういう事は言わないね」
ジャニスはこういう風に抱きしめられる事に慣れてなく、顔を赤くして言葉に詰まり、おろおろしている。
ヤヨイさんは、しばらくジャニスを抱きしめて離さなかった。
0
あなたにおすすめの小説
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界でカイゼン
soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)
この物語は、よくある「異世界転生」ものです。
ただ
・転生時にチート能力はもらえません
・魔物退治用アイテムももらえません
・そもそも魔物退治はしません
・農業もしません
・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます
そこで主人公はなにをするのか。
改善手法を使った問題解決です。
主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。
そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。
「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」
ということになります。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる