異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
385 / 1,560

【384 風と炎が交差する時】

しおりを挟む
「ジャニス・・・カエストゥスで、いえ、この大陸で一番と言われる白魔法使い。本当に驚かされたわ。ほとんど一瞬で次から次と治して、噂以上の魔力ね・・・ハッキリ言って邪魔だわ」

「セシリア、あんたになんて負けない」

睨み合う二人。まだ数メートルの距離があるが、セシリアが一歩詰めて来た。

「うふふ・・・面白い事言うのね?白魔法使いのあなたが、私に勝つつもり?どうやって?」

「私は治す事しかできない。だから武器を持ってあんたと戦う事はできない。私の戦いはあんたの炎と剣から、みんなを護る事よ。あんたはヤヨイさんが絶対に倒してくれる」



「・・・あなた、私の瞳が怖くないの?」

セシリアから視線を外さないジャニスに、セシリアは少しだけ首を傾げた。

「今のヒールを見てたでしょ?やってごらんなさいよ?その瞬間に回復するから私には何の脅威でもないわ」


「・・・あなた、とっても素敵だわ」

セシリアの目が嬉しそうに細められ、その赤い唇の端が持ち上がる。

「セシリアァァァーッツ!」

ジャニスへ向けられたセシリアの殺気を感じ取ったエリンが、剣を振りかぶって後ろから飛び掛かった。

不意打ちにも関わらず大声を上げたのは、注意を自分に向けるため。
そしてこの一撃が当たるとは思ってもいない。


ジャニス様は死なせてはいけない!
これだけの回復魔法、一体どれだけの人を救えるのか・・・この人は希望だ!


当たるとも思っていない一撃であっても繰り出したのは、身を盾にしてでもジャニスを護る!
その強い意思からであった。

「うるさいわね・・・今、いいところなのよ!」

まるで背中に目があるとでも言うかように、全く後ろを確認せずにセシリアは体をわずかに右にずらすと、たった今までセシリアの頭があった場所を、エリンの上段から振り下ろした剣が風を斬って通り過ぎた。

「なっ!」

当たると思ってはいなかったが、まさか振り返る事もなく躱された事に、エリンは驚きの声を上げた。

「もう、あなたには興味ないわ」

頭の後ろから感情のこもらない冷たい声がかけられる。
まるで興味の無くなった玩具を捨てる時のように、とても無機質で、しかしとても残酷な声色に、ゾクリとした寒気がエリンの全身を襲う。


この後自分の身に起こる事は、絶対的強者による命の刈り取り。
エリンの首筋にセシリアの炎の刃が触れた時、熱さと鋭い痛みを脳が認識したその時、刃と刃がぶつかり合う音が背後で鳴り響いた。



「・・・うふふ、やっと来た。待ってたわよ」


振り返ると長い黒髪の女性が、槍のように長い武器を持って、セシリアの深紅の片手剣を受け止めていた。

「ヤヨイさん!」


「エリン、無事でよかったよ。ここからはアタシに任せな」


両端を持った薙刀で、両手で押し出すようにしてセシリアの剣を弾き返す。
一歩後ずさるセシリア。

弥生は薙刀の刃を地面に当てると、セシリア目掛けて勢いよく振り上げた。
風の刃が大地を斬り裂きセシリアへと襲い掛かる。


「はぁぁぁぁッ!」

振り上げたセシリアの深紅の片手剣が、紅蓮の炎を発し赤々と燃え上がる。

「ヤヨイ!楽しませてよ!」

振り下ろした剣の切っ先から放たれた炎が、風の刃とぶつかり合う。
風が炎を斬り裂き、炎が風を呑み込む。


「・・・行くよ、新緑!」
ジョルジュの住む森の樹を使い作り上げた薙刀。これを握ると精霊が近く感じられる。
風の精霊よ・・・アタシに力をかして!


「来な!決着をつけようじゃない!ヤヨイ!」
深紅の片手剣 血狂刃を振り上げる。刃から真っ赤な血が滴り落ちセシリアの体を、雪のように白い肌を赤く染めていく。
激しく燃え上がった炎がセシリアの気を引き上げる。

「ヤヨイーッツ!」
「セシリアーッツ!」

風と炎、二つの刃が交差しぶつかり合った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

処理中です...