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712 種明かし
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「・・・な、なんで?・・・手応えは確かに・・・」
光の力を使ったが、体当たりに近い形で右脇腹に拳を撃ちこみ、持ち上げるようにして殴り飛ばした。
肋骨が2~3本、いやいくらバリオスが強いといっても、光の拳の破壊力を考えれば、右の肋骨は全て粉砕してもおかしくない。それほどのパンチだった。
しかし視線の先のバリオスは、何事もなかったかのように両足で立ち、アラタに対して笑いかけてさえいる。
マルゴンさえ倒した光の拳を受けて、ノーダメージなどあるはずがない。
しかし現にバリオスにはダメージが見られない。
信じられないという思いと、それに反する目の前の現実に、アラタは思考の整理ができずにただ立ち尽くしていた。
「フッ・・・アラタ、そうだな。種明かしはしておこう。レイチェルはどうだ?俺が何をしたか分かったか?」
バリオスは後ろで戦いを見ていたレイチェルに顔を向けると、自分がアラタの光の拳を受けても、無傷な理由が分かるか問いかけた。
何をしたか?その言葉がヒントだった。
「・・・分かりません。アラタのパンチを受け流すように、左に体を捻ったようには見えましたが、それだけで吸収できる破壊力ではありませんでした。魔法ですか?」
だが、レイチェルでさえ、バリオスが何をしたのかを見極める事はできなかった。
左手で右の肘を抱えるように持ち、右手で顎に指を当てて考える仕草を見せる。
「魔法を使ったのは正解だ。だが、火、氷、風、爆の四属性ではない・・・」
バリオスは一度頷き、レイチェルにそこまで話すと、アラタに向き直った。
「俺が使ったのは光魔法だ。お前の光の力と同じな」
そう答えると、ローブから右手を出して見せた。
手の平から発せられる高密度の光は、アラタの光の拳とそっくりであった。
「お前の拳の軌道は見えたからな、これで受けた。俺からしても実験ではあったが、どうやら俺の光魔法なら、お前の光と同調して威力を相殺する事ができるようだ。あとは殴り飛ばそうとするお前の攻撃に逆らわず、力の流れる方向に自ら飛んでダメージを最小限に抑えた。だが、それでも右手はまだ痺れている。大したパンチだよ」
僅かながらだが、小刻みに震える右手を見せるように前に出し、バリオスは笑って見せた。
「・・・店長、拳の軌道は見えてたって言いましたけど、まさか・・・わざと俺のパンチ受けたんですか?」
「力の使い方を教えると言っただろ?そのためには遠慮のない攻撃を受ける必要があった。確かに躱そうと思えば躱せたが、あの距離で撃つパンチの威力にも興味があったからな。悪く思わないでくれ。攻撃の癖や爆発力、弱点なんかも知りたかったからこんなやり方になってしまったが、おかげで知りたい事はだいたい分かったよ」
「・・・マジか・・・・・」
バリオスの裏をかいた一発だと思っていた。
しかし全てがバリオスの手の平の上だったと知り、アラタは言葉も出なくなってしまった。
「・・・アラタ、気持ちは分かるぞ。私も店長には全く歯が立たない。どれだけ策を練ってもその上をいかれるんだ。自信を無くした事だって一度や二度じゃない。けれど、その悔しさをバネに頑張るんだ。私は少しでも店長に追いつくために、日々の訓練を欠かしていない」
ぐうの音も出ない程の完全な敗北に、アラタが茫然と立ち尽くしていると、レイチェルが後ろから肩に手をかけた。
「え?レ、レイチェルが?」
圧倒的なスピードと卓越した格闘センスを持つレイチェルでさえ、バリオスとの間にはそれほどの力量の差があるという事実に、アラタはまたも目を丸くさせられる。
「そうだ。店長は特別というしかない。これからキミは店長に鍛えてもらう立場になるんだ。師匠に負けても恥ではないぞ。だから、気持ちを切り替えろ。ここまで完膚なきまでに負けたんだから、後はひたすら頑張るだけだ」
「・・・そう、かな・・・いや、うん、そうだな・・・・・よし!」
渇いた音が一つ鳴る。
アラタは自分の頬を両手で叩いて、大きく息を吐き出した。
「ふー・・・分かったよ。ありがとうレイチェル」
吹っ切ったように、迷いを無くした顔を向けるアラタに、レイチェルは笑い声を漏らした。
「フッ、アハハハハ、うん、そういう素直のところはキミの良いところだぞ。私もまた店長に鍛え直してもらうからな、一緒に頑張ろう」
スッキリとした表情のアラタ、そして笑顔で話すレイチェルを見て、バリオスも表情を緩めた。
「さて、じゃあ二人とも、今日はもう帰って休んでくれ。訓練は明日から始めるとしよう。俺はまだしばらく城に泊り込みになるから、時間を作って店に行く事にしよう」
「え、店長が店に来るんですか!?」
てっきり城に出向いて、ここで訓練をつけてもらうのかと思っていただけに、アラタは驚きをそのまま言葉にだした。
「そうだな。お客さんの入り具合もあるだろうし、お前達が店を出てここに来るよりは、俺が行って時間をみながら教えた方がいいだろう?あぁ、それと俺は全員を鍛えるつもりだから、ミゼルとリカルドにも逃げるなと伝えておいてくれ」
少し冗談めかした言い方だったが、アラタはあの二人ならすっぱかしそうだと納得してしまった。
光の力を使ったが、体当たりに近い形で右脇腹に拳を撃ちこみ、持ち上げるようにして殴り飛ばした。
肋骨が2~3本、いやいくらバリオスが強いといっても、光の拳の破壊力を考えれば、右の肋骨は全て粉砕してもおかしくない。それほどのパンチだった。
しかし視線の先のバリオスは、何事もなかったかのように両足で立ち、アラタに対して笑いかけてさえいる。
マルゴンさえ倒した光の拳を受けて、ノーダメージなどあるはずがない。
しかし現にバリオスにはダメージが見られない。
信じられないという思いと、それに反する目の前の現実に、アラタは思考の整理ができずにただ立ち尽くしていた。
「フッ・・・アラタ、そうだな。種明かしはしておこう。レイチェルはどうだ?俺が何をしたか分かったか?」
バリオスは後ろで戦いを見ていたレイチェルに顔を向けると、自分がアラタの光の拳を受けても、無傷な理由が分かるか問いかけた。
何をしたか?その言葉がヒントだった。
「・・・分かりません。アラタのパンチを受け流すように、左に体を捻ったようには見えましたが、それだけで吸収できる破壊力ではありませんでした。魔法ですか?」
だが、レイチェルでさえ、バリオスが何をしたのかを見極める事はできなかった。
左手で右の肘を抱えるように持ち、右手で顎に指を当てて考える仕草を見せる。
「魔法を使ったのは正解だ。だが、火、氷、風、爆の四属性ではない・・・」
バリオスは一度頷き、レイチェルにそこまで話すと、アラタに向き直った。
「俺が使ったのは光魔法だ。お前の光の力と同じな」
そう答えると、ローブから右手を出して見せた。
手の平から発せられる高密度の光は、アラタの光の拳とそっくりであった。
「お前の拳の軌道は見えたからな、これで受けた。俺からしても実験ではあったが、どうやら俺の光魔法なら、お前の光と同調して威力を相殺する事ができるようだ。あとは殴り飛ばそうとするお前の攻撃に逆らわず、力の流れる方向に自ら飛んでダメージを最小限に抑えた。だが、それでも右手はまだ痺れている。大したパンチだよ」
僅かながらだが、小刻みに震える右手を見せるように前に出し、バリオスは笑って見せた。
「・・・店長、拳の軌道は見えてたって言いましたけど、まさか・・・わざと俺のパンチ受けたんですか?」
「力の使い方を教えると言っただろ?そのためには遠慮のない攻撃を受ける必要があった。確かに躱そうと思えば躱せたが、あの距離で撃つパンチの威力にも興味があったからな。悪く思わないでくれ。攻撃の癖や爆発力、弱点なんかも知りたかったからこんなやり方になってしまったが、おかげで知りたい事はだいたい分かったよ」
「・・・マジか・・・・・」
バリオスの裏をかいた一発だと思っていた。
しかし全てがバリオスの手の平の上だったと知り、アラタは言葉も出なくなってしまった。
「・・・アラタ、気持ちは分かるぞ。私も店長には全く歯が立たない。どれだけ策を練ってもその上をいかれるんだ。自信を無くした事だって一度や二度じゃない。けれど、その悔しさをバネに頑張るんだ。私は少しでも店長に追いつくために、日々の訓練を欠かしていない」
ぐうの音も出ない程の完全な敗北に、アラタが茫然と立ち尽くしていると、レイチェルが後ろから肩に手をかけた。
「え?レ、レイチェルが?」
圧倒的なスピードと卓越した格闘センスを持つレイチェルでさえ、バリオスとの間にはそれほどの力量の差があるという事実に、アラタはまたも目を丸くさせられる。
「そうだ。店長は特別というしかない。これからキミは店長に鍛えてもらう立場になるんだ。師匠に負けても恥ではないぞ。だから、気持ちを切り替えろ。ここまで完膚なきまでに負けたんだから、後はひたすら頑張るだけだ」
「・・・そう、かな・・・いや、うん、そうだな・・・・・よし!」
渇いた音が一つ鳴る。
アラタは自分の頬を両手で叩いて、大きく息を吐き出した。
「ふー・・・分かったよ。ありがとうレイチェル」
吹っ切ったように、迷いを無くした顔を向けるアラタに、レイチェルは笑い声を漏らした。
「フッ、アハハハハ、うん、そういう素直のところはキミの良いところだぞ。私もまた店長に鍛え直してもらうからな、一緒に頑張ろう」
スッキリとした表情のアラタ、そして笑顔で話すレイチェルを見て、バリオスも表情を緩めた。
「さて、じゃあ二人とも、今日はもう帰って休んでくれ。訓練は明日から始めるとしよう。俺はまだしばらく城に泊り込みになるから、時間を作って店に行く事にしよう」
「え、店長が店に来るんですか!?」
てっきり城に出向いて、ここで訓練をつけてもらうのかと思っていただけに、アラタは驚きをそのまま言葉にだした。
「そうだな。お客さんの入り具合もあるだろうし、お前達が店を出てここに来るよりは、俺が行って時間をみながら教えた方がいいだろう?あぁ、それと俺は全員を鍛えるつもりだから、ミゼルとリカルドにも逃げるなと伝えておいてくれ」
少し冗談めかした言い方だったが、アラタはあの二人ならすっぱかしそうだと納得してしまった。
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