異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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807 残ったメンバーでの話し合い ③

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「帝国には闇の巫女と呼ばれる女性がいるんだけど、数がとても少ないんだ。感覚的なものだけど、5~10年に2~3人産まれるくらいかな。そしてとても短命なんだ。私の知ってる限りでも全員三十歳を前に亡くなってるから。そして今代の闇の巫女が、ルナとイリーナの二人よ」

アゲハは長い髪を頭の後ろで一本にまとめると、テーブルに両手を乗せて、闇の巫女について話し出した。

「短命?」

全ての闇の巫女が、三十歳までに命を落としているという言葉に、ケイトが眉を寄せる。

「そう、短命と言っても寿命じゃなく、殺されるっていうのが正しいかな。闇の巫女はね、トバリに食われても死にはしないの。でもね、代わりに正気を失うの。そしてトバリに食われた闇の巫女は、闇の力を人に与える事ができるようになるんだ」

「なんだって!?闇の力を与える!?」

ジャレットがテーブルに身を乗り出した。
ジャレットだけではない、衝撃的な話しにミゼルもジーンも、この場の全員の顔つきが厳しくなる。

「・・・そう、そして闇の巫女は、力の限りを与え続けるんだ。全て無くなるまで・・・。ルナとイリーナが逃げ出したって事は、先代の巫女が亡くなったんだろう。スカーレットがイリーナは捕まえたと言っていたが、ルナだけでも助かったのは・・・いや、イリーナの事を考えれば、よかったと言うのは不謹慎だな。」

闇の巫女の境遇を想い、アゲハは目を閉じた。
悔しそうに、やりきれなさそうに唇を引き結び、帝国への怒りは拳に込めて握り締めた。

「・・・そう、帝国がどうやって闇の力を使えるようになったのか気になってたけど、そういう事だったのね。闇の巫女・・・生贄のようにトバリに捧げて力を・・・帝国はそんな恐ろしい方法を使っていたのね」

闇の巫女の話しを聞き、シルヴィアの声にも怒りが滲んで聞こえた。


「なぁ、そのスカーレットってのは誰だ?」

初めて聞く名前に、ジャレットが口を挟んで来た。

「ん、ああ・・・そう言えば、説明してなかったな。スカーレット・シャリフは帝国軍黒魔法兵団団長にして、第四師団長だ。21歳で先代の団長を倒して、実力で今の座を掴み取った実力者だ。帝国の歴代黒魔法兵団団長の中でも、最強ではないかと言われている・・・・・私は、実力主義の帝国では誰も信用しなかったが、スカーレットは嫌いじゃなかった」

視線を窓の外に向け、懐かしむように遠くを見る。
心なしか、口調も少し柔らかいものだった。

「・・・確かにな。あのデカブツを脅すように睨んだ時、少しだけ漏れ出た魔力だが相当なものだってのは感じ取れた。あそこでアイツも戦闘に加わってきたら、どうなってただろうな・・・」

ミゼルはデービスとの戦闘が中断した時、風魔法で空中に立つスカーレットの、底の見えない魔力を感じ取っていた。デービス一人であれほど苦戦していたのに、同等かそれ以上の力を持つ者がもう一人入られたら、勝てる見込みはほとんどなかっただろう。

「スカーレットの目的は、逃走した闇の巫女の確保、そしてクインズベリーに暴徒を放ち、国力を削ぐ事だった。黒魔法兵団副団長のコルディナと、第二師団副団長のレジス、この二人が殺られて、カシレロまで戦闘不能に追い込まれたら、撤退は当然の判断だったよ」

弱気になるミゼルに、アゲハは体を向けて、ちょんと指を差した。

「ミゼル、あんたの魔法をスカーレットは警戒してた。最後になんか大技出そうとしてたでしょ?確かに私達は押されてたけど、スカーレットに撤退を決断させた最後の一押しは、あんたの魔法だったよ。意外とやるじゃん?だから、もうちょっと自信もちなよ」

「お、おお・・・そうか?いや、あの時は必死だったからよ」

持ち上げられるとは思っていなかったのか、ミゼルが意外そうに眉を上げた。


「ま、スカーレットと闇の巫女についてはそんなとこだね。だんだん暗くなってきたし、今日はこのくらいにしない?私も今日は疲れたよ。みんなも今日は休んだ方がいいんじゃない?」

座ったまま背伸びをするとアゲハ。
窓の外は陽が落ちて来た事を教えるように、夕焼けの赤に染まっていた。
時計の針も18時30分を指している。夏の陽は長いと言っても、後一時間もしないうちに暗くなるだろう。


「そう言えば、もうこんな時間か。じゃあ俺とアゲハは、明日シルヴィアさんと三人で城ですね。いつも通り店に来て、朝礼やったら行く感じですか?」

アラタが時計に目を向けた後、シルヴィアに明日の予定を確認すると、シルヴィアはニコリと微笑んだ。

「ええ、それでいいわ。アラタ君はカチュアがいるから寝坊しないわよね?アゲハも今日は早めに休んでね。服装は普段着でいいけど、清潔感のあるものにしてね。本当ならスーツを着るべきなんだけど、私達は国のために色々と頑張ったから、特例なの」

「ん、あ~、大丈夫大丈夫。分かってるから。私も元は立場のある地位にいたから、そのくらい分かるさ」

暑いからと言って、アゲハはタンクトップやらホットパンツやら、露出の多い服装で店に立つため、シルヴィアに釘を刺された。
頬を掻いて、ごまかすように笑うと、アゲハは席を立った。

「じゃあ、今日はもうこのへんでお開きでいいかな?」

「そうね。じゃあ、みんな、今日も一日お疲れ様。暗くならないうちに帰るのよ」

座ったままそれぞれの顔を見て、シルヴィアが一日の締めの挨拶をすると、お疲れ様でした、と全員が声を出してお開きになった。



「アラタ君、本当にもう体は大丈夫?痛いところはない?」

「ああ、少しだるい感じはあるけど、このくらいなら平気だよ」

「それなら早く帰ろうぜ。今日のメシはなんだよ?」

「えっと、今日はラザニア・・・うわっ!?び、びっくりしたー!」


アラタとカチュアが荷物を持って外に出ようとすると、当然のように二人の後ろに立っているリカルドに、カチュアが驚いて体をビクリと反応させる。

「あ~、リカルド・・・つまり今日も来るのな?」

「あ?何水くせぇ事言ってんだよ?今日はいっぱい動いて腹減ってんだよ。もたもたすんなよ」

アラタのカチュアの背中を押して、とにかく早く帰るぞという強い意思を見せるリカルドに、二人は顔を見合わせて、しかたないなというふう笑った。

「分かった分かった。分かったから押すなって」

「リカルド君、家はすぐそこなんだから、そんなに焦らなくて大丈夫だよ」

「お、なんだよ。歩けんじゃねぇか?ほら、行こうぜ」

二人が自分で歩き始めると、リカルドは駆け足気味に前に出て、どんどん先に行ってしまう。
そんな緑色の髪の少年の背中を見て、カチュアはおかしそうに笑った。

「あはは、なんだかリカルド君も、すっかりうちにいついちゃったよね」

「う~ん、二日に一回は来るからな。でも、まさか今日も来るとはなぁ~、帰る時まで何も言われなかったから、今日はないと思ったんだけど・・・ま、あいつの事はもうしかたないと思うようにしてるよ」

話しながら二人でゆっくり歩いていると、すでに家についたらしいリカルドの、さっさと来いよー!、と言う大きな声が、樹々を抜けて耳に届いた。
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