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【894 カエストゥス 対 帝国 ㉘ 玉座の間の皇帝】
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「ここから先はへ行かせんぞぉー--ッ!」
城内に突入すると、剣を握った帝国兵達が斬りかかってきた。
頭に振り下ろされる剣を、身を捻り躱す。
そのまま帝国兵の懐に入り込み、胸に手を当て氷魔法の刺氷弾でその体を貫き倒す。
「カエストゥスー----ッッツ!」
後ろから斬りかかってきた兵士の剣を、振り返らずに腰を落として低い体勢で躱す。振り向きざまに左足を回して帝国兵の足を払い飛ばす。それと同時に左手に風の魔力を集める。
前のめりに倒れてきた兵士の首にウインドカッターを飛ばし、兵士の首を刎ね飛ばした。
「魔法兵よ!狙い撃てー----ッ!」
指揮官らしい男が、後方から黒魔法使いに支持を飛ばす。
すると前に出ていた体力型の兵士が左右に分かれ、黒魔法使い達が一斉に魔法を撃ち放った!
「ウインドカッター!」
「刺氷弾!」
「地氷走り!」
俺一人を体力型の兵士と、魔法使い達が取り囲んでいるんだ。巻き添えにしないために、風魔法と氷魔法のみを使うのは正しい判断だ。
そしてよく訓練されている。隙の無いスムーズな連携だ。
けどな・・・
「ハァァァーーーッッ!」
胸の前で交差させた両手を、勢いよく外へ広げて爆発魔法を撃ち放つ!
一斉に放たれた何十発もの爆裂弾は、ウインドカッターも刺氷弾も吹き飛ばし、地面を走りながら迫って来る氷の刃も粉砕した!
「ぐぁぁぁぁぁーーーーっ!」
爆裂弾を受けた兵士達が、壁に飛ばされその背中を叩きつけられる。
「ぐ、ひ、怯むな!体勢を立て直せ!」
指揮官が倒れた兵士達に激を飛ばす。
俺は指揮官を睨み付けると、爆発の魔力を込めて右手を向けた。
「俺はこの国の人間じゃねぇから、遠慮しねぇぜ」
爆発の中級魔法 爆裂空破弾
光輝く高密度の巨大な破壊の弾が、指揮官もろとも残りの帝国兵をまとめて吹き飛ばした。
「こ、皇帝、ウィッカーが攻め込んできました。城内の兵達を向かわせましたが、ほぼ一方的に倒されております・・・」
これまで帝国の勝利を信じて疑わなかったジャフ・アラムだったが、カエストゥスは難攻不落のワイルダー、そして精霊使いのアンソニーまでも倒してみせた。
そして今しがた、爆音とともに立っていられない程の衝撃に、城が揺さぶられた。これはおそらく、下の階で戦っているウィッカーの爆発魔法だ。
帝国の兵士が、城内で爆発魔法を使うなどありえない。しかしウィッカーは違う。
敵地がどうなろうと知った事ではないのだから。
ヤツらはとうとうここまできた。
ジャフの動揺を見抜いた皇帝が、口の端を上げて笑った。
「フッ・・・ジャフよ、臆したか?」
皇帝の金色の目がジャフを捉える。その目には大陸を統べる支配者としての、ゆるぎない絶対の自信が漲っていた。ここで自分が敗れるなど毛ほども考えていない。たとえ自分一人になったとしても、カエストゥスを皆殺しにしてみせる。その金色の目がそう語っていた。
皇帝の体から滲み出て来た魔力を感じ取り、ジャフは慌てて弁明を発した。
「い、いえ、とんでもございません!帝国の大臣たる私が、カエストゥス如きに臆するなど・・・」
この玉座の間のすぐ下では、自分を狙う敵国の男が迫って来ているというのに、皇帝は玉座に腰を掛けたまま、まったく動こうともしない。それは動く必要もないという自分自身への絶対の自信。
「ジャフよ、数をいくら集めようと、ウィッカーは止められんだろう。ヤツはもうすぐここに来る。貴様はそこで見ていればいい。ブロートン帝国の皇帝とは、大陸の支配者。唯一無二の存在である事を見せてやろう」
これからここへやって来る己への挑戦者を歓迎するかのように、皇帝の体から魔力が滲み出てきた。
この時、皇帝ローランド・ライアンは43歳。
知識、経験共に、魔法使いとしては熟練の域、強さのピークに達していた。
皇帝の自信は決してうぬぼれでは無い。
精霊使いの実弟アンソニー・ライアン。その忠臣にして黒き破壊王とまで呼ばれたデズモンデイ・ワイルダー。この二人を力でねじ伏せ、皇帝の座を確たるものにした事は事実。
かつて、カエストゥスの元大臣ベン・フィングは、皇帝と戦えるのはカエストゥスの王子、タジーム・ハメイドだけだと言っていた。
それはベン・フィングが失脚した事への負け惜しみでも、虚勢でもない。
皇帝の魔力を目の当たりにすれば、誰もがそれを認めるだろう。いや、認めるしかない。
それほどの魔力だった。
「お・・・おお、こ、皇帝陛下・・・こ、これほどとは!」
皇帝の魔力を肌で感じたジャフは歓喜した!
今、皇帝が発している魔力は、皇帝の力の一端に過ぎない。
だが帝国の大臣として、セシリア・シールズや、テレンス・アリームを見て来たジャフには、皇帝の底の見えない魔力に震える程の高揚感を覚え、自然と笑いが浮かんでいた。
・・・勝てる!・・・勝てる!勝てる!勝てる!勝てる!勝てる!勝てる!絶対に勝てる!
狂気じみた笑みで自分を見るジャフに、皇帝は指先を向けた。
「・・・クックック・・・ジャフよ、どうやら客人のお越しのようだ」
ニヤリと笑う皇帝の指先が差すのは、ジャフを通り越してその後ろ・・・玉座の間の扉だった。
爆音と共に扉が吹き飛ばされる。
濛々とした煙の中、破壊した扉の破片を踏みつけながら、黒いローブ姿のその男は姿を現した。
「・・・皇帝、やっと会えたな」
大陸一の黒魔法使い、カエストゥスのウィッカーは、射殺す程の鋭い視線を皇帝にぶつけた。
「待ちわびたぞ、ウィッカー」
己に向けられる強烈な殺気を受け止め、皇帝は嗤った。
城内に突入すると、剣を握った帝国兵達が斬りかかってきた。
頭に振り下ろされる剣を、身を捻り躱す。
そのまま帝国兵の懐に入り込み、胸に手を当て氷魔法の刺氷弾でその体を貫き倒す。
「カエストゥスー----ッッツ!」
後ろから斬りかかってきた兵士の剣を、振り返らずに腰を落として低い体勢で躱す。振り向きざまに左足を回して帝国兵の足を払い飛ばす。それと同時に左手に風の魔力を集める。
前のめりに倒れてきた兵士の首にウインドカッターを飛ばし、兵士の首を刎ね飛ばした。
「魔法兵よ!狙い撃てー----ッ!」
指揮官らしい男が、後方から黒魔法使いに支持を飛ばす。
すると前に出ていた体力型の兵士が左右に分かれ、黒魔法使い達が一斉に魔法を撃ち放った!
「ウインドカッター!」
「刺氷弾!」
「地氷走り!」
俺一人を体力型の兵士と、魔法使い達が取り囲んでいるんだ。巻き添えにしないために、風魔法と氷魔法のみを使うのは正しい判断だ。
そしてよく訓練されている。隙の無いスムーズな連携だ。
けどな・・・
「ハァァァーーーッッ!」
胸の前で交差させた両手を、勢いよく外へ広げて爆発魔法を撃ち放つ!
一斉に放たれた何十発もの爆裂弾は、ウインドカッターも刺氷弾も吹き飛ばし、地面を走りながら迫って来る氷の刃も粉砕した!
「ぐぁぁぁぁぁーーーーっ!」
爆裂弾を受けた兵士達が、壁に飛ばされその背中を叩きつけられる。
「ぐ、ひ、怯むな!体勢を立て直せ!」
指揮官が倒れた兵士達に激を飛ばす。
俺は指揮官を睨み付けると、爆発の魔力を込めて右手を向けた。
「俺はこの国の人間じゃねぇから、遠慮しねぇぜ」
爆発の中級魔法 爆裂空破弾
光輝く高密度の巨大な破壊の弾が、指揮官もろとも残りの帝国兵をまとめて吹き飛ばした。
「こ、皇帝、ウィッカーが攻め込んできました。城内の兵達を向かわせましたが、ほぼ一方的に倒されております・・・」
これまで帝国の勝利を信じて疑わなかったジャフ・アラムだったが、カエストゥスは難攻不落のワイルダー、そして精霊使いのアンソニーまでも倒してみせた。
そして今しがた、爆音とともに立っていられない程の衝撃に、城が揺さぶられた。これはおそらく、下の階で戦っているウィッカーの爆発魔法だ。
帝国の兵士が、城内で爆発魔法を使うなどありえない。しかしウィッカーは違う。
敵地がどうなろうと知った事ではないのだから。
ヤツらはとうとうここまできた。
ジャフの動揺を見抜いた皇帝が、口の端を上げて笑った。
「フッ・・・ジャフよ、臆したか?」
皇帝の金色の目がジャフを捉える。その目には大陸を統べる支配者としての、ゆるぎない絶対の自信が漲っていた。ここで自分が敗れるなど毛ほども考えていない。たとえ自分一人になったとしても、カエストゥスを皆殺しにしてみせる。その金色の目がそう語っていた。
皇帝の体から滲み出て来た魔力を感じ取り、ジャフは慌てて弁明を発した。
「い、いえ、とんでもございません!帝国の大臣たる私が、カエストゥス如きに臆するなど・・・」
この玉座の間のすぐ下では、自分を狙う敵国の男が迫って来ているというのに、皇帝は玉座に腰を掛けたまま、まったく動こうともしない。それは動く必要もないという自分自身への絶対の自信。
「ジャフよ、数をいくら集めようと、ウィッカーは止められんだろう。ヤツはもうすぐここに来る。貴様はそこで見ていればいい。ブロートン帝国の皇帝とは、大陸の支配者。唯一無二の存在である事を見せてやろう」
これからここへやって来る己への挑戦者を歓迎するかのように、皇帝の体から魔力が滲み出てきた。
この時、皇帝ローランド・ライアンは43歳。
知識、経験共に、魔法使いとしては熟練の域、強さのピークに達していた。
皇帝の自信は決してうぬぼれでは無い。
精霊使いの実弟アンソニー・ライアン。その忠臣にして黒き破壊王とまで呼ばれたデズモンデイ・ワイルダー。この二人を力でねじ伏せ、皇帝の座を確たるものにした事は事実。
かつて、カエストゥスの元大臣ベン・フィングは、皇帝と戦えるのはカエストゥスの王子、タジーム・ハメイドだけだと言っていた。
それはベン・フィングが失脚した事への負け惜しみでも、虚勢でもない。
皇帝の魔力を目の当たりにすれば、誰もがそれを認めるだろう。いや、認めるしかない。
それほどの魔力だった。
「お・・・おお、こ、皇帝陛下・・・こ、これほどとは!」
皇帝の魔力を肌で感じたジャフは歓喜した!
今、皇帝が発している魔力は、皇帝の力の一端に過ぎない。
だが帝国の大臣として、セシリア・シールズや、テレンス・アリームを見て来たジャフには、皇帝の底の見えない魔力に震える程の高揚感を覚え、自然と笑いが浮かんでいた。
・・・勝てる!・・・勝てる!勝てる!勝てる!勝てる!勝てる!勝てる!絶対に勝てる!
狂気じみた笑みで自分を見るジャフに、皇帝は指先を向けた。
「・・・クックック・・・ジャフよ、どうやら客人のお越しのようだ」
ニヤリと笑う皇帝の指先が差すのは、ジャフを通り越してその後ろ・・・玉座の間の扉だった。
爆音と共に扉が吹き飛ばされる。
濛々とした煙の中、破壊した扉の破片を踏みつけながら、黒いローブ姿のその男は姿を現した。
「・・・皇帝、やっと会えたな」
大陸一の黒魔法使い、カエストゥスのウィッカーは、射殺す程の鋭い視線を皇帝にぶつけた。
「待ちわびたぞ、ウィッカー」
己に向けられる強烈な殺気を受け止め、皇帝は嗤った。
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