異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1028 ユーリの信頼と覚悟

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それから俺達は三日間走り続けた。

その間俺の頭の中にはずっと弥生さんの言葉が残っていたけれど、目の前の事に集中しなければと思い、できるだけ考えこまないようにしていた。

ユーリの疲労はやはり蓄積されていった。
走り続けて六日目の夜、翌日の朝にはパウンド・フォーに着く距離まで来た。
この時には、ユーリは誰の目にも明らかに調子を崩していた。


「ユーリ、大丈夫か?」

小屋の中でシャツを枕にして寝そべるユーリに声をかけると、ユーリは閉じていた目をゆっくりと開けて、視線だけを俺に向けた。

「・・・大丈夫。動けない程じゃない。アラタがおぶってくれたおかげ。ありがとう」

「そっか・・・パウンド・フォーまであと二時間程度の距離らしい。明日も俺がおんぶするから、ユーリは少しでも体を休めてくれよな」

「ん、助かる。ありがとう」

ここに来る途中ユーリの走る速度が落ちて、呼吸の乱れが目立った事に気付いた俺は、ユーリをおんぶして来たのだ。
ユーリは片道くらいは走り抜けられると思っていたようだが、このメンツの体力型が毎日何時間も全力疾走するんだ。いくら魔道具を使っているとはいえ、魔法使いのユーリがそれに付いて行くなんて、本来考えられないくらい無理をしているんだ。

「・・・ユーリ、いくら店長に頼まれたからって、こんなに無理しなくてもいいんじゃないか?」

明らかに無理をしているユーリを見て、つい言葉が口を突いて出た。

ユーリの付けている魔道具、膂力のベルトは店長が作ったという。
ならば作りての店長には、ユーリがこうなることは予想できなかったのだろうか?
疲れ切っているユーリを見て、俺の胸には店長への微かな不満が湧き出た。

「アラタ・・・アタシは嬉しいの。店長はできない事はやらせないし言わない。店長はアタシならやり遂げると信じて送りだした。それに、みんながいるから・・・・・」

「・・・ユーリ」

「途中でアタシがバテても・・・アラタやレイチェルが手を貸してくれる。それが分かってるから、店長はアタシをここに来させた。みんなを信頼してるんだよ」

俺の心の中に生まれた負の感情を察したように、ユーリは寝そべったまま俺の目を真っすぐに見て話しを続けた。

「アラタ、アタシは自分の役目をやり遂げる。そのための苦労を苦痛には思わない。これがアタシの覚悟」

「ユーリ・・・・・分かった、俺はユーリが役目を果たせるように、できる限りの協力をするよ」

そうだな・・・俺の印象だけで決めては駄目だよな。俺と弥生さんみたく、ユーリと店長には二人の絆があるんだ。ユーリが店長を信じているんなら、俺もそれを応援して協力しないとな。
それにあの店長が、何の意味もなく仲間に無理をさせるはずがない。

「・・・ありがと、頼むね」

俺の表情が和らいだのを見てユーリもニコリと笑うと、もう少し寝るね、と言って再び目を閉じた。





「・・・兄ちゃん、ユーリはどうだよ?」

「ん、なんだ?心配なのか?」

ユーリが寝息を立て始めると、リカルドが干し芋を齧(かじ)りながら近づいて来た。

もう夕飯は終わっているが、リカルドは干し芋はつまみだと言って、ずっと食べている。
レイチェルがリカルドの大食いを騎士団に伝えていたため、アルベルトが多めに持って来ていたようだから、リカルドの間食はなんとか間に合わせられている。

アルベルトもこんなにずっと食べ続けるとは思っていなかったようで、初日にリカルドの食いっぷりを見た時は苦笑いをしていた。

「ちげーしー、ただのコミュニケーションで聞いただけだしー、兄ちゃんよぉ、そういう思い込みで人を見るのやめたほうがいいぜ?」

「・・・もう最近のお前めんどくさ過ぎる」

干し芋を噛みながら、リカルドはジロっとアラタを睨み付ける。
アラタが呆れ顔で首を横に振ると、リカルドもムッとしたのか、眉根を寄せてぐいっと顔を近づけた。

「んだよそれ?めんどくさいってのは、やりがいがあるって事なんじゃねぇの?なんでもネガティブに考えんのは兄ちゃんの悪い癖だぞ?そういうの直した方がいいぞ?そんでユーリはどうなんだよ?」

「・・・もう何も言えねぇわ・・・えっとな、ユーリは疲れ溜まってるな。でもまぁ動けない程じゃないし、明日は山に入れると思うぞ。ただ完全に後方支援で、回復に徹してもらうと考えてほうがいいだろうな。戦闘は無理だ」

黙ってアラタの話しを最後まで聞くと、リカルドはユーリに目を向けた。
グッスリ眠っている姿は、それだけ疲労が溜まっていると見る事ができる。

「・・・・・ま、俺には関係ねぇや。んじゃユーリの事は兄ちゃんにまかせんぜぇ~」

少しの間眠るユーリの顔を見つめた後、リカルドはアラタに背中を向けて、右手を顔の横でひらひらと振りながら小屋の壁際に戻って腰を下ろした。


「まったくあいつは・・・素直じゃねぇんだから・・・」

本当は誰より心配してるくせによ・・・

そう心の中で呟いて、アラタは肩をすくめた。



そしてアラタ達がクインズベリーを発って七日目の午前八時。
救出隊九名は、パウンド・フォーにたどり着いた。


「ここが帝国との国境の山、パウンド・フォー西側の入り口です」


シルバー騎士のエクトール・エドワーズは、視線鋭く目の前に立ちふさがる山を見据えた。
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