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1106 言い訳
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「おーい、シーちゃん!」
「はぁ、はぁ・・・ジャレット・・・・・うっ」
限界まで魔力を使用した事により、シルヴィアはもはや立っている事がやっとだった。
両手を膝について、大きく息を乱している姿からは、この戦いがギリギリの勝利だった事がうかがえる。
「おっと!・・・おいおい、大丈夫かよ?」
駆け寄って来るジャレットの姿を見て緊張の糸が切れたのか、シルヴィアの膝から力が抜けて倒れそうになる。慌ててジャレットが抱きかかえるが、この様子ではもう満足に歩けそうにないだろう。
「はぁ、はぁ・・・ごめんなさい、魔力がもう残ってなくて、足が・・・」
「いいって、無理してしゃべんなよ。すっかりずぶ濡れじゃねぇか・・・もう店に戻ろうぜ」
息を切らしながら苦しそうに話すシルヴィア。
ジャレットはシルヴィアの右腕を自分の首に回すと、左腕で腰を支えて、ゆっくりと店に向かって歩き出した。
周りでシルヴィアとルーシーの戦いを見ていた他のメンバー達も、シルヴィアの勝利に安堵しつつも、疲労困憊の様子に心配そうに見つめている。
「フフ・・・あなただってずぶ濡れじゃない?・・・傘、差せばいいのに」
「・・・雨ん中、シーちゃんが戦ってんのに差せっかよ」
「それで風をひいたらどうするのよ?」
「俺は丈夫だからひかねぇよ」
「・・・あなたのそういうところが、私好きよ」
「・・・な、なんだよ急に・・・ほら、ついたぞ、早く中に・・・!?」
一歩一歩ゆっくりと歩き、二人が店の出入口までたどりついた時、背後で何かが割れるような大きな音が鳴り響いた。
「ッ、なにッ!?」
振り向いてジャレットは目を疑った。
なぜならそこには、氷漬けにされたルーシー・アフマダリエフが、自身を硬めていた氷を斬り裂いて脱出していたからだ。
「う、うそ!雪の花に全魔力を込めて直接ぶつけたのよ!それさえも斬るなんて・・・」
「シーちゃん、下がってろ!」
ジャレットの声に反応したのか、こちらを向いたルーシーは、元々色白だった顔がさらに青白くなり、桜色だった唇も色素を失ってしまったかのように、まるで血の気が無い。
目も虚ろで焦点が合っているのかさえ怪しいが、右手に再び水の剣を作り出すと、前傾姿勢になって足に力を込めた。
「まさか、ここまで・・・」
ルーシー・アフマダリエフの執念に、シルヴィアは固唾を飲んだ。
例え死しても敵を討つ。それほどまでに強い意思が感じられたからだ。
一族の名誉のためと言っていたが、それはここまでして取り戻すべきものなのだろうか?
「もう勝負はついた!お前は負けたんだ!それでも向かってくるなら・・・」
腰に巻いた革ベルト、そこに差してある金属製の柄を取る。一見すると剣の柄だが、刃の部分は無い。あくまで柄だけである。だがジャレットが握り念じると、柄から銀色に輝く刃が出現した。
「俺の魔道具オーラブレードだ!まだやるってんなら、シーちゃんに変わって俺が相手だ!」
シルヴィアをその背に隠し、銀色に輝く剣を構えて前に立ったジャレット。
その強烈な気迫は、ルーシーが僅かでも向かって来る動きを見せれば、容赦なく叩き斬ると告げていた。
止まない雨に打たれながら、睨み合うジャレットとルーシー・・・・・
誰も手を出す事はできなかった。声を上げる事さえはばかられる。
ピリッと肌に突き刺さるような緊張感の中、ルーシーの体が僅かに傾き・・・大地を蹴った。
指一本の動きさえ見逃さない。それほどの集中力で構えていたジャレットは、ルーシーが大地を蹴ったと同時にオーラブレードを脇に構えて飛び出した!
「ウラァァァァァーーーーーー・・・・・・・ッ!?」
だが二歩、三歩、前に進んだだけで、ジャレットはすぐに足を止めた。
なぜならルーシーは大地を蹴っただけで、そのまますぐに正面から倒れてしまったからだ。
「・・・え?・・・なに?こ、こいつ・・・まさか?」
大きく水を跳ね上げたきり、地面にうつ伏せに倒れているルーシーに、ジャレットが訝し気な顔で近づいた。
オーラブレードは消さずに、いつ攻撃をしかけられても応戦できるように備えているが、雨粒を背に受け、顔を水溜まりに沈めたままのルーシーは、一向に起き上がる気配が無かった。
警戒は切らずに腰を下ろすと、ジャレットはルーシーの顔を覗き込み、水溜まりに半分沈んだ顔に手の平を近づけた。
「・・・息はしてる、死んではいねぇか・・・・・」
一瞬ルーシーが死んだのかと思ったが、弱弱しいながらも手の平に息が当たった。
そし演技ではなく、完全に意識を失っていると確認すると、ジャレットは立ち上がって、この襲撃者の扱いをどうすべきか思案した。
「氷漬けにされた事で、意識を保てなくなるくらい体が冷えたんだね。ほうっておけば彼女死ぬだろうね」
後ろからの声に振り返ると、ジーンが神妙な顔で倒れているルーシーを見つめていた。
「ジー・・・」
「ジャレット、この子、とりあえず店の中に連れて行かない?色々聞かなきゃいけない事もあるしさ」
チラリと視線を向けてくるジーン。そして向けられた言葉の意味は、ジャレットにも十分理解できた。
「・・・・・フゥ・・・まぁ、そうだな。このまま放置して死なせるのも寝覚めが悪そうだし、とりあえず助けてやるか」
本当は店の中で暴れて、自分の恋人に危害を加える人間なんて、助けようとは思わない。
だがなぜここまでして、一族の名誉のために戦うのか?他に目的があったのではないか?
色々と聞かなくてはならない事が多い。
だからジャレットは適当な言い訳を口にして、ジーンの意見を聞く事にした。
「はぁ、はぁ・・・ジャレット・・・・・うっ」
限界まで魔力を使用した事により、シルヴィアはもはや立っている事がやっとだった。
両手を膝について、大きく息を乱している姿からは、この戦いがギリギリの勝利だった事がうかがえる。
「おっと!・・・おいおい、大丈夫かよ?」
駆け寄って来るジャレットの姿を見て緊張の糸が切れたのか、シルヴィアの膝から力が抜けて倒れそうになる。慌ててジャレットが抱きかかえるが、この様子ではもう満足に歩けそうにないだろう。
「はぁ、はぁ・・・ごめんなさい、魔力がもう残ってなくて、足が・・・」
「いいって、無理してしゃべんなよ。すっかりずぶ濡れじゃねぇか・・・もう店に戻ろうぜ」
息を切らしながら苦しそうに話すシルヴィア。
ジャレットはシルヴィアの右腕を自分の首に回すと、左腕で腰を支えて、ゆっくりと店に向かって歩き出した。
周りでシルヴィアとルーシーの戦いを見ていた他のメンバー達も、シルヴィアの勝利に安堵しつつも、疲労困憊の様子に心配そうに見つめている。
「フフ・・・あなただってずぶ濡れじゃない?・・・傘、差せばいいのに」
「・・・雨ん中、シーちゃんが戦ってんのに差せっかよ」
「それで風をひいたらどうするのよ?」
「俺は丈夫だからひかねぇよ」
「・・・あなたのそういうところが、私好きよ」
「・・・な、なんだよ急に・・・ほら、ついたぞ、早く中に・・・!?」
一歩一歩ゆっくりと歩き、二人が店の出入口までたどりついた時、背後で何かが割れるような大きな音が鳴り響いた。
「ッ、なにッ!?」
振り向いてジャレットは目を疑った。
なぜならそこには、氷漬けにされたルーシー・アフマダリエフが、自身を硬めていた氷を斬り裂いて脱出していたからだ。
「う、うそ!雪の花に全魔力を込めて直接ぶつけたのよ!それさえも斬るなんて・・・」
「シーちゃん、下がってろ!」
ジャレットの声に反応したのか、こちらを向いたルーシーは、元々色白だった顔がさらに青白くなり、桜色だった唇も色素を失ってしまったかのように、まるで血の気が無い。
目も虚ろで焦点が合っているのかさえ怪しいが、右手に再び水の剣を作り出すと、前傾姿勢になって足に力を込めた。
「まさか、ここまで・・・」
ルーシー・アフマダリエフの執念に、シルヴィアは固唾を飲んだ。
例え死しても敵を討つ。それほどまでに強い意思が感じられたからだ。
一族の名誉のためと言っていたが、それはここまでして取り戻すべきものなのだろうか?
「もう勝負はついた!お前は負けたんだ!それでも向かってくるなら・・・」
腰に巻いた革ベルト、そこに差してある金属製の柄を取る。一見すると剣の柄だが、刃の部分は無い。あくまで柄だけである。だがジャレットが握り念じると、柄から銀色に輝く刃が出現した。
「俺の魔道具オーラブレードだ!まだやるってんなら、シーちゃんに変わって俺が相手だ!」
シルヴィアをその背に隠し、銀色に輝く剣を構えて前に立ったジャレット。
その強烈な気迫は、ルーシーが僅かでも向かって来る動きを見せれば、容赦なく叩き斬ると告げていた。
止まない雨に打たれながら、睨み合うジャレットとルーシー・・・・・
誰も手を出す事はできなかった。声を上げる事さえはばかられる。
ピリッと肌に突き刺さるような緊張感の中、ルーシーの体が僅かに傾き・・・大地を蹴った。
指一本の動きさえ見逃さない。それほどの集中力で構えていたジャレットは、ルーシーが大地を蹴ったと同時にオーラブレードを脇に構えて飛び出した!
「ウラァァァァァーーーーーー・・・・・・・ッ!?」
だが二歩、三歩、前に進んだだけで、ジャレットはすぐに足を止めた。
なぜならルーシーは大地を蹴っただけで、そのまますぐに正面から倒れてしまったからだ。
「・・・え?・・・なに?こ、こいつ・・・まさか?」
大きく水を跳ね上げたきり、地面にうつ伏せに倒れているルーシーに、ジャレットが訝し気な顔で近づいた。
オーラブレードは消さずに、いつ攻撃をしかけられても応戦できるように備えているが、雨粒を背に受け、顔を水溜まりに沈めたままのルーシーは、一向に起き上がる気配が無かった。
警戒は切らずに腰を下ろすと、ジャレットはルーシーの顔を覗き込み、水溜まりに半分沈んだ顔に手の平を近づけた。
「・・・息はしてる、死んではいねぇか・・・・・」
一瞬ルーシーが死んだのかと思ったが、弱弱しいながらも手の平に息が当たった。
そし演技ではなく、完全に意識を失っていると確認すると、ジャレットは立ち上がって、この襲撃者の扱いをどうすべきか思案した。
「氷漬けにされた事で、意識を保てなくなるくらい体が冷えたんだね。ほうっておけば彼女死ぬだろうね」
後ろからの声に振り返ると、ジーンが神妙な顔で倒れているルーシーを見つめていた。
「ジー・・・」
「ジャレット、この子、とりあえず店の中に連れて行かない?色々聞かなきゃいけない事もあるしさ」
チラリと視線を向けてくるジーン。そして向けられた言葉の意味は、ジャレットにも十分理解できた。
「・・・・・フゥ・・・まぁ、そうだな。このまま放置して死なせるのも寝覚めが悪そうだし、とりあえず助けてやるか」
本当は店の中で暴れて、自分の恋人に危害を加える人間なんて、助けようとは思わない。
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