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1202 憎たらしい男の声
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先陣を切ったのはレイチェルだった。
足場に積もった雪はレイチェルの足首まで埋めているが、雪国クインズベリーで育ったレイチェルにとって、それは大きな障害にはならない。
グリップ力の強いブーツは雪をしっかりと踏み固め、平地と変わらないくらいの推進力でレイチェルの体を前方に押し出した!
速い!
イサックはレイチェルの姿を捉える事はできた。だがそれは特徴的な赤い髪の残像を、かろうじて見失わなかったというものであり、体が付いて行けるかと問われればその答えはまた別である。
「ッ!」
レイチェルの左のナイフが喉元に迫り、首を振った事でかろうじて致命傷は避けられた。
だが左の頬に感じた鋭い痛み、そして飛び散った鮮血を目にし、イサックは自分の頬が斬り裂かれたと認識する。
ギリギリもいいところであり、イサックが体勢を立て直すよりも早く、レイチェルは追撃の右のナイフをイサックの頭に振り下ろしていた。
「・・・チッ」
レイチェルのナイフはイサックの頭に突き刺さる寸前で、青く輝く結界によって受け止められていた。
速攻をかけて一瞬で終わらせるつもりだったが、敵もチームで来ている。イサックの後ろで結界を飛ばしたラモンを一瞥し、レイチェルは舌を打った。
だが一撃を防いだだけで終わりではない。
頭にナイフを振り下ろせば、イサックもラモンも視線は当然上を向く。
必然的に首から下への注意は薄くなり、姿勢を低くして突っ込んで来るもう一つの影への反応が遅くなる。
そしてイサックの後ろに立っていた分、視界の広かったラモンが、イサックよりも早くソレに気が付き叫んだ。
「ッ!イサック!下だァァァァァーーーーーーッツ!」
ラモンの叫びを耳にしてイサックが視線を下げたその時、白いナイフを右手に握った金髪の女が、滑るようにしてイサックの懐に入り込んだ。
女の金茶色の瞳と目が合った時には遅かった。
「凍ってみる?」
魔導剣士ラクエル・エンリケスの氷結のナイフが、イサックの右脇腹を斬り裂いた!
ラクエルの魔道具氷結のナイフは、触れたもの全てを凍らせてしまうナイフである。
しかし効果範囲には差があり、その白い刃にどの程度触れたかで凍る範囲が拡大する。
指先が触れればその指を、握ってしまえばその手を凍らせてしまう。少し触れた程度では全身を凍らせる事はできない。
全身を凍らせようとするならば、対象の肉体にナイフを突き刺し、体内から凍らせる必要がある。
そして今、ラクエルはイサックの右脇腹に深々とナイフを突き刺して、そのまま真横に斬り裂いた。
刀身は根本近くまで体内に入った事から、人一人を凍り漬けにする条件は満たしていた。
「うぐあぁぁぁーーーッツ!」
右脇腹から血が噴き出した次の瞬間、傷口が凍り始めてイサックは絶叫した。
斬られた瞬間は焼けるような熱さと、鋭く強い痛みが脳天まで駆け上がって、倒れ込んでのたうち回りそうになった。
だが次の瞬間には脇腹の傷口が凍り付き、それは胸にまで広がっていった。
「な、なんだこれはッ!?」
「はい、お終い」
急速に氷で固められていく自分の体を見て、イサックが大きく動揺したその時、ラクエルの右の上段蹴りがイサックの顎を蹴り抜いた。
ラクエルの蹴りによって折れた歯と血が口から吹き出された。
顎に受けた衝撃はイサックの脳を揺らすと、目の前が真っ暗になり、このまま倒れてしまいそうになった。
だが途切れかけた意識の狭間で、イサックの耳に飛び込んで来たのは、憎たらしい男の声だった。
「イサックーーーーーーーーッツ!」
ラモン・・・・・お前は本当に頭にくるヤツだよ。
いつもヘラヘラして節操がない。なんでいつもお前と組まされるのか不満しかない。
けどな・・・本当は分かってるんだ。
俺はお前が大嫌いだけど、俺とお前が組めば最強なんだ。
俺達がこんな連中に負けるはずがない。
見せてやろうぜ・・・・・俺達の強さを!
ほとんど倒れかけていた。
だが背中が地面に着きそうになったその時、イサックは地面を蹴って飛び上がり、空中で体を回して両足で地面に着地した。
「・・・え、マジ!?」
右の上段蹴りはまともに入っていた。確実に意識を飛ばしたと確信していたラクエルは、イサックの動きに目を大きく見開いた。
無理もない。すでに胴回りは氷で固められており、腰と胸にまで広がっているのだ。
そして傷口が凍らされた事で、痛みはマヒしているのかもしれないが、深手には変わりない。
そんな状態でこれほど動ける事が信じられなかった。
歯は折られ、口の中はズタズタに斬れている。
口内から溢れ出てくる血をボタボタと流しながら、イサックはゆっくりと顔を上げた。
そして息も切れ切れながら口を開く。
「・・・はぁ・・・ふぅ・・・はぁ・・・受けて、みろ・・・・・斬空烈破」
左手に握った鎌を水平に構えると、イサックはまるで独楽のように体を回転させた。
足場に積もった雪はレイチェルの足首まで埋めているが、雪国クインズベリーで育ったレイチェルにとって、それは大きな障害にはならない。
グリップ力の強いブーツは雪をしっかりと踏み固め、平地と変わらないくらいの推進力でレイチェルの体を前方に押し出した!
速い!
イサックはレイチェルの姿を捉える事はできた。だがそれは特徴的な赤い髪の残像を、かろうじて見失わなかったというものであり、体が付いて行けるかと問われればその答えはまた別である。
「ッ!」
レイチェルの左のナイフが喉元に迫り、首を振った事でかろうじて致命傷は避けられた。
だが左の頬に感じた鋭い痛み、そして飛び散った鮮血を目にし、イサックは自分の頬が斬り裂かれたと認識する。
ギリギリもいいところであり、イサックが体勢を立て直すよりも早く、レイチェルは追撃の右のナイフをイサックの頭に振り下ろしていた。
「・・・チッ」
レイチェルのナイフはイサックの頭に突き刺さる寸前で、青く輝く結界によって受け止められていた。
速攻をかけて一瞬で終わらせるつもりだったが、敵もチームで来ている。イサックの後ろで結界を飛ばしたラモンを一瞥し、レイチェルは舌を打った。
だが一撃を防いだだけで終わりではない。
頭にナイフを振り下ろせば、イサックもラモンも視線は当然上を向く。
必然的に首から下への注意は薄くなり、姿勢を低くして突っ込んで来るもう一つの影への反応が遅くなる。
そしてイサックの後ろに立っていた分、視界の広かったラモンが、イサックよりも早くソレに気が付き叫んだ。
「ッ!イサック!下だァァァァァーーーーーーッツ!」
ラモンの叫びを耳にしてイサックが視線を下げたその時、白いナイフを右手に握った金髪の女が、滑るようにしてイサックの懐に入り込んだ。
女の金茶色の瞳と目が合った時には遅かった。
「凍ってみる?」
魔導剣士ラクエル・エンリケスの氷結のナイフが、イサックの右脇腹を斬り裂いた!
ラクエルの魔道具氷結のナイフは、触れたもの全てを凍らせてしまうナイフである。
しかし効果範囲には差があり、その白い刃にどの程度触れたかで凍る範囲が拡大する。
指先が触れればその指を、握ってしまえばその手を凍らせてしまう。少し触れた程度では全身を凍らせる事はできない。
全身を凍らせようとするならば、対象の肉体にナイフを突き刺し、体内から凍らせる必要がある。
そして今、ラクエルはイサックの右脇腹に深々とナイフを突き刺して、そのまま真横に斬り裂いた。
刀身は根本近くまで体内に入った事から、人一人を凍り漬けにする条件は満たしていた。
「うぐあぁぁぁーーーッツ!」
右脇腹から血が噴き出した次の瞬間、傷口が凍り始めてイサックは絶叫した。
斬られた瞬間は焼けるような熱さと、鋭く強い痛みが脳天まで駆け上がって、倒れ込んでのたうち回りそうになった。
だが次の瞬間には脇腹の傷口が凍り付き、それは胸にまで広がっていった。
「な、なんだこれはッ!?」
「はい、お終い」
急速に氷で固められていく自分の体を見て、イサックが大きく動揺したその時、ラクエルの右の上段蹴りがイサックの顎を蹴り抜いた。
ラクエルの蹴りによって折れた歯と血が口から吹き出された。
顎に受けた衝撃はイサックの脳を揺らすと、目の前が真っ暗になり、このまま倒れてしまいそうになった。
だが途切れかけた意識の狭間で、イサックの耳に飛び込んで来たのは、憎たらしい男の声だった。
「イサックーーーーーーーーッツ!」
ラモン・・・・・お前は本当に頭にくるヤツだよ。
いつもヘラヘラして節操がない。なんでいつもお前と組まされるのか不満しかない。
けどな・・・本当は分かってるんだ。
俺はお前が大嫌いだけど、俺とお前が組めば最強なんだ。
俺達がこんな連中に負けるはずがない。
見せてやろうぜ・・・・・俺達の強さを!
ほとんど倒れかけていた。
だが背中が地面に着きそうになったその時、イサックは地面を蹴って飛び上がり、空中で体を回して両足で地面に着地した。
「・・・え、マジ!?」
右の上段蹴りはまともに入っていた。確実に意識を飛ばしたと確信していたラクエルは、イサックの動きに目を大きく見開いた。
無理もない。すでに胴回りは氷で固められており、腰と胸にまで広がっているのだ。
そして傷口が凍らされた事で、痛みはマヒしているのかもしれないが、深手には変わりない。
そんな状態でこれほど動ける事が信じられなかった。
歯は折られ、口の中はズタズタに斬れている。
口内から溢れ出てくる血をボタボタと流しながら、イサックはゆっくりと顔を上げた。
そして息も切れ切れながら口を開く。
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