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1217 致命的な隙
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「うがぁっ!?」
突然全身にかかった強烈な重圧に、リカルドは立っている事ができず、その場に顔から圧し潰された。
「ん、んだよっ!?こ、これはぁぁぁッ!?」
顔の半分を雪にめりこませながら、リカルドは声を荒げた。
リカルドは小柄でも体力型である。レイチェルやジャレットには劣るが、腕力もそれなりにはある。
事前にハビエルの能力は聞いていたが、それでもここまで何もできないとは思わなかった。
抗おうにも喉の奥から絞り出すような呻き声しか出せず、背中にかかる重圧によって地面に挟まれ、体が擦り潰されてしまいそうな恐怖さえ覚えた。
そしてそれはミゼルも同じだった。
「ぐ、あぁぁぁぁっ!」
リカルドの隣では、同様に顔から雪に埋まったミゼルが、苦しそうな声を上げている。
「ぐぅぅっ!こ、これが、ヤツの、能力、かっ!?」
レイチェルとアゲハが潰されるところ見てはいた。とんでもない力だと感じてもいた。
だが実際にその身に受けて、初めて分かる事がある。
こんなものどうやって防げばいい?
歯を食いしばり、ミゼルはなんとか立ち上がろうとするが、指の一本さえ動かせない程の重圧に、なすすべが無かった。体力型のレイチェルやアゲハを完全に封じる程なのだ。
魔法使いのミゼルが、筋力でどうにかできるはずがない。
ラクエルもハビエルの空量眼を受けた事で、その身を地面に圧し潰されていた。
「ぐっ・・・こ、こんなっ!」
頭のてっぺんから爪先まで、全身に抗えない程の重さが圧し掛かってくる。
拳を握り締め、体中に力を入れて起き上がろうとするが、僅かに腕や首を動かす事が精いっぱいだった。
「ま、さか・・・こ、ここま、で・・・」
レイチェルとアゲハが仕掛けたタイミングで、ラクエル、ミゼル、リカルドの三人も、後方から一斉攻撃を仕掛ける算段だった。
だがハビエルの能力が、ここまで広域に効果を及ぼすとは思わなかった。
レイチェル達よりさらに十数メートルは後方に位置取りをしていたのだ。この距離では顔も分からないだろう。
ぼんやりした輪郭程度でも視界に入れば潰せると言うのであれば、それは万の軍勢を相手にしても、戦える力なのではないか?
「・・・ぐぅっ!くっ、くっそぉぉぉぉぉーーーーーっ!」
気持ちだけではどうしようもない現実。
力を振り絞っても体を起こす事のできない己の無力さに、ラクエルは叫んだ。
レイチェル!こいつはヤバ過ぎる!絶対にここで叩いておかないとマズい!
アタシはドジっちまったけど、あんたならできる!何が何でも勝てッ!
「なっ!?」
ハビエルは驚愕した。
魔道具空量眼で倒せなかった者は、これまで一人としていなかった。
どんなに屈強な男でも、速さが自慢の戦士でも、自分の視界に入ればその瞬間に潰して終わりだったのだ。
そしてそれは魔法でも変わらない。青魔法使いが結界を張れば、結界ごと圧し潰してきたのだ。
そうやって勝ってきた。勝ち続けてきた。それはこれからも変わらないはずだった。
「き、貴様、俺の空量眼を・・・」
目に映る赤い髪の女戦士は立っていた。
足が地面にめり込み、上半身が折れ曲がって今にも潰されそうになりながらも、レイチェル・エリオットは立っていたのだ。
「ぐっ・・・う・・・ど、どうした?それで、終わりかい?」
圧し掛かる重みを撥ね返すように、レイチェルは顔を上げた。その口元にはかすかな笑みが浮かんでおり、余裕さえ見える。
ハビエルの空量眼に耐える事ができた要因は、まさしく闘気だった。
生身では到底耐えきる事ができなかった。だがレイチェルの体から発せられる光り輝く闘気が、ハビエルの重圧に抵抗し、レイチェルの体にかかる負担を軽減させているのだ。
「・・・・・貴様」
ハビエルの黒い目が鋭さを帯び、口にする言葉にはハッキリとした怒りが滲み出ていた。
・・・レイチェルが口にしたのは安い挑発だった。
平常時であればハビエルが反応する事はない。
だが絶対の自信を持っていた空量眼で倒せなかった事は、ハビエルの精神に小さくないショックを与えていた。
この程度の挑発さえ聞き流せない程に。
再びその目に宿った強大な魔力が大気を震わせる!
「望み通り潰してやッ・・・」
ハビエルがもう少しだけ冷静であれば、結果は変わっていただろう。
空量眼で潰せなかったのだから、潰す事にこだわらずに魔法を撃っていればよかったのだ。
爆裂弾でも撃っていれば、少なくとも自分とレイチェルの間を隔てる障壁の役割にもなっていた。
だがハビエルは空量眼を使い、その結果致命的な隙を作る事になった。
レイチェルはまだ足を残していた。少なくともハビエルの懐に飛び込めるだけの一歩はあった。
「ッ!?」
己の失態に気づいた時にはもう遅い。優位に進めていた戦局で、詰めの一手を誤った。
そしてそれは取返しのきかない程の悪手である。
「私の勝ちだ」
レイチェルは足に集めた闘気を爆発させて地面を強く蹴った!
闘気を込めたナイフは風の鎧で防げるものではない。右手に握り締めたナイフにありったけの力を込めて、その胸に突き刺した!
突然全身にかかった強烈な重圧に、リカルドは立っている事ができず、その場に顔から圧し潰された。
「ん、んだよっ!?こ、これはぁぁぁッ!?」
顔の半分を雪にめりこませながら、リカルドは声を荒げた。
リカルドは小柄でも体力型である。レイチェルやジャレットには劣るが、腕力もそれなりにはある。
事前にハビエルの能力は聞いていたが、それでもここまで何もできないとは思わなかった。
抗おうにも喉の奥から絞り出すような呻き声しか出せず、背中にかかる重圧によって地面に挟まれ、体が擦り潰されてしまいそうな恐怖さえ覚えた。
そしてそれはミゼルも同じだった。
「ぐ、あぁぁぁぁっ!」
リカルドの隣では、同様に顔から雪に埋まったミゼルが、苦しそうな声を上げている。
「ぐぅぅっ!こ、これが、ヤツの、能力、かっ!?」
レイチェルとアゲハが潰されるところ見てはいた。とんでもない力だと感じてもいた。
だが実際にその身に受けて、初めて分かる事がある。
こんなものどうやって防げばいい?
歯を食いしばり、ミゼルはなんとか立ち上がろうとするが、指の一本さえ動かせない程の重圧に、なすすべが無かった。体力型のレイチェルやアゲハを完全に封じる程なのだ。
魔法使いのミゼルが、筋力でどうにかできるはずがない。
ラクエルもハビエルの空量眼を受けた事で、その身を地面に圧し潰されていた。
「ぐっ・・・こ、こんなっ!」
頭のてっぺんから爪先まで、全身に抗えない程の重さが圧し掛かってくる。
拳を握り締め、体中に力を入れて起き上がろうとするが、僅かに腕や首を動かす事が精いっぱいだった。
「ま、さか・・・こ、ここま、で・・・」
レイチェルとアゲハが仕掛けたタイミングで、ラクエル、ミゼル、リカルドの三人も、後方から一斉攻撃を仕掛ける算段だった。
だがハビエルの能力が、ここまで広域に効果を及ぼすとは思わなかった。
レイチェル達よりさらに十数メートルは後方に位置取りをしていたのだ。この距離では顔も分からないだろう。
ぼんやりした輪郭程度でも視界に入れば潰せると言うのであれば、それは万の軍勢を相手にしても、戦える力なのではないか?
「・・・ぐぅっ!くっ、くっそぉぉぉぉぉーーーーーっ!」
気持ちだけではどうしようもない現実。
力を振り絞っても体を起こす事のできない己の無力さに、ラクエルは叫んだ。
レイチェル!こいつはヤバ過ぎる!絶対にここで叩いておかないとマズい!
アタシはドジっちまったけど、あんたならできる!何が何でも勝てッ!
「なっ!?」
ハビエルは驚愕した。
魔道具空量眼で倒せなかった者は、これまで一人としていなかった。
どんなに屈強な男でも、速さが自慢の戦士でも、自分の視界に入ればその瞬間に潰して終わりだったのだ。
そしてそれは魔法でも変わらない。青魔法使いが結界を張れば、結界ごと圧し潰してきたのだ。
そうやって勝ってきた。勝ち続けてきた。それはこれからも変わらないはずだった。
「き、貴様、俺の空量眼を・・・」
目に映る赤い髪の女戦士は立っていた。
足が地面にめり込み、上半身が折れ曲がって今にも潰されそうになりながらも、レイチェル・エリオットは立っていたのだ。
「ぐっ・・・う・・・ど、どうした?それで、終わりかい?」
圧し掛かる重みを撥ね返すように、レイチェルは顔を上げた。その口元にはかすかな笑みが浮かんでおり、余裕さえ見える。
ハビエルの空量眼に耐える事ができた要因は、まさしく闘気だった。
生身では到底耐えきる事ができなかった。だがレイチェルの体から発せられる光り輝く闘気が、ハビエルの重圧に抵抗し、レイチェルの体にかかる負担を軽減させているのだ。
「・・・・・貴様」
ハビエルの黒い目が鋭さを帯び、口にする言葉にはハッキリとした怒りが滲み出ていた。
・・・レイチェルが口にしたのは安い挑発だった。
平常時であればハビエルが反応する事はない。
だが絶対の自信を持っていた空量眼で倒せなかった事は、ハビエルの精神に小さくないショックを与えていた。
この程度の挑発さえ聞き流せない程に。
再びその目に宿った強大な魔力が大気を震わせる!
「望み通り潰してやッ・・・」
ハビエルがもう少しだけ冷静であれば、結果は変わっていただろう。
空量眼で潰せなかったのだから、潰す事にこだわらずに魔法を撃っていればよかったのだ。
爆裂弾でも撃っていれば、少なくとも自分とレイチェルの間を隔てる障壁の役割にもなっていた。
だがハビエルは空量眼を使い、その結果致命的な隙を作る事になった。
レイチェルはまだ足を残していた。少なくともハビエルの懐に飛び込めるだけの一歩はあった。
「ッ!?」
己の失態に気づいた時にはもう遅い。優位に進めていた戦局で、詰めの一手を誤った。
そしてそれは取返しのきかない程の悪手である。
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レイチェルは足に集めた闘気を爆発させて地面を強く蹴った!
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