1,219 / 1,560
1218 ノエルの微笑み
しおりを挟む
自らを光の弾としてハビエルに特攻したレイチェル。
味方ながらその凄まじい力に圧倒されそうになる。頼もしさと同時に恐ろしさを持つ、それが私の持つレイチェルの印象だ。
・・・・・負けてられないな。
私もこの身に宿す風を全開にして地面を蹴った。この身を包む緑色の風は、私の体の底から力を引き出してくれるようだ。この体に流れるカエストゥスの血が、風の精霊と共鳴しているのだろう。
「ウオォォォォォォーーーーーーーーッツ!」
レイチェルが光の弾なら私は風の剣だ!ノエルの蔦もハビエルの圧も斬り裂いてやる!
自分の背丈よりも長い得物を握り締め、緑の風の剣と化したアゲハがノエルにぶつかって行った!
すごい力ね・・・アゲハさん、あなた帝国にいた頃より強くなってるんじゃない?
その風を見れば分かるわ、あなたの覚悟・・・私と刺し違える事も厭(いと)わないと、そこまで強く気持ちを固めているのね。
あなたの覚悟、私にも分かるわ。私もハビエルのためなら、あなたと同じ気持ちで戦えるから。
だからね、あなたはここで殺すわ。ハビエルに刃を向けるのなら、誰であろうと許さない。
自らを風に変えた体当たり、私にはとても躱しきれるものではないわ。
でもね、私は魔力量なら師団長にも負けないって自信があるの。
私のありったけの魔力を込めた蔦なら負けない!あなたがどれだけの力で向かって来ようと・・・
「潰してあげるわッ!」
ノエル・メレイシアの紫色の眼が鋭さを帯びると、全身から溢れ出す魔力が勢いをました。
足元から上昇気流の如く立ち昇るソレは、ノエルの長い薄紫色の髪を逆立たせる。そして轟音と共に地面が揺れたと感じた瞬間、何本もの巨大な蔦が一斉に地面を突き破って飛び出して来た!
でかいッ!
ソレが目に入った瞬間、アゲハの脳裏に浮かんだ最初の言葉だった。
アゲハの体など軽く隠れるであろう大きさのソレは、もはや蔦と呼んでいいのか分からない程だった。
先は鋭く尖り、槍をもイメージをさせる。話しに聞いたノエルの蔦は、体に巻き付いて地面に引きずり込むというものだったが、これはもう突き刺す事を目的としている。
地面を突き破って突出してきた破壊力を考えれば、生身で防御などできるはずもない。
しかし、己の胸に迫り来る巨大な蔦の槍を目にして、アゲハはニヤリと笑った。
・・・これがノエル・メレイシアの本気って事だね?確かにすごいよ、大木だって貫きそうな鋭さだ。
でもね、私の風はこの程度じゃ・・・・・
「止められないんだよォォォーーーーーーーッツ!」
横一線に振るった薙刀は、その身を覆い隠す程に巨大な蔦を一文字に斬り裂いた!
「ハァァァァァーーーーーーーーッツ!」
続く第二、第三の蔦を、返す刃で斬り飛ばす!
次々と襲い来る巨大な蔦も、アゲハの振るう薙刀の前に全てが斬り落とされる!
「そ、そんな!?」
ノエルは驚きに目を見開いた。
全魔力を込めた蔦だ。大岩を砕き、巨木をへし折る事だって造作もない。
それほどの破壊力を持った蔦が、こうもあっさりと斬って捨てられるなど想像だにしなかった。
予想外の事態を目の当たりにし、ノエルの思考が一瞬止まる。それは1秒にも満たない刹那の時を争う戦いでは、致命的な隙となった。
「私の風に斬れないものはない」
ノエルの攻撃が止まったほんの一瞬の間隙を、アゲハは見逃さなかった。
精霊の風を纏った刃で目の前の全ての蔦を斬り払い、薙刀の刃が届く距離まで一気に踏み込んだ。
我が身を護る蔦さえ斬り払われては、もはやノエルに抵抗する術など無い。
「終わりだ。ノエル・メレイシ・・・ッ!?」
アゲハはこのまま真っすぐ薙刀を突き出し、ノエルの胸を貫けばいい。
それで勝利となる・・・はずだった。
「ふふふ、本当にすごいわアゲハさん。でもね、相手の魔道具が見えない時は、もう少し警戒するべきよ。私の魔道具は蔦だけど、どこからどうやって出していたと思う?地面に魔力を流して使うのはその通りだけど、元となる蔦はどこから出ていたと思う?」
微笑みながら話しを続けるノエルの右手の平からは、先の鋭く尖った蔦が真っすぐに伸びていた。
「ぐっ・・・う、がふっ!」
吐き出した血が地面に赤い色をつける。
ノエルの蔦はアゲハの腹を突き破り、背中まで抜けていた。
「正解は御覧の通り私の体の中よ。蔦は体内に埋め込む魔道具なの。だからこうやって手の平からも出せるのよ。まぁ、これは奥の手だから普通は見せないわ。私にこれを使わせたんだから、アゲハさんは本当に優秀だわ。誉めてあげる」
「ぐっ・・・う、こ、この・・・・・ぐッツ!?」
震える両手に力を入れて、落としそうになった得物を握り直す!
そしてクスクスと笑うノエルに向かって、刃を向けようとしたその時、凄まじい重圧が全身に圧し掛かった。
ハビエルの空量眼によって地面に圧し潰されたアゲハを見下ろし、ノエルはにこやかに微笑んだ。
「アゲハさん、そうやって地面に這いつくばってるの、とってもお似合いよ」
味方ながらその凄まじい力に圧倒されそうになる。頼もしさと同時に恐ろしさを持つ、それが私の持つレイチェルの印象だ。
・・・・・負けてられないな。
私もこの身に宿す風を全開にして地面を蹴った。この身を包む緑色の風は、私の体の底から力を引き出してくれるようだ。この体に流れるカエストゥスの血が、風の精霊と共鳴しているのだろう。
「ウオォォォォォォーーーーーーーーッツ!」
レイチェルが光の弾なら私は風の剣だ!ノエルの蔦もハビエルの圧も斬り裂いてやる!
自分の背丈よりも長い得物を握り締め、緑の風の剣と化したアゲハがノエルにぶつかって行った!
すごい力ね・・・アゲハさん、あなた帝国にいた頃より強くなってるんじゃない?
その風を見れば分かるわ、あなたの覚悟・・・私と刺し違える事も厭(いと)わないと、そこまで強く気持ちを固めているのね。
あなたの覚悟、私にも分かるわ。私もハビエルのためなら、あなたと同じ気持ちで戦えるから。
だからね、あなたはここで殺すわ。ハビエルに刃を向けるのなら、誰であろうと許さない。
自らを風に変えた体当たり、私にはとても躱しきれるものではないわ。
でもね、私は魔力量なら師団長にも負けないって自信があるの。
私のありったけの魔力を込めた蔦なら負けない!あなたがどれだけの力で向かって来ようと・・・
「潰してあげるわッ!」
ノエル・メレイシアの紫色の眼が鋭さを帯びると、全身から溢れ出す魔力が勢いをました。
足元から上昇気流の如く立ち昇るソレは、ノエルの長い薄紫色の髪を逆立たせる。そして轟音と共に地面が揺れたと感じた瞬間、何本もの巨大な蔦が一斉に地面を突き破って飛び出して来た!
でかいッ!
ソレが目に入った瞬間、アゲハの脳裏に浮かんだ最初の言葉だった。
アゲハの体など軽く隠れるであろう大きさのソレは、もはや蔦と呼んでいいのか分からない程だった。
先は鋭く尖り、槍をもイメージをさせる。話しに聞いたノエルの蔦は、体に巻き付いて地面に引きずり込むというものだったが、これはもう突き刺す事を目的としている。
地面を突き破って突出してきた破壊力を考えれば、生身で防御などできるはずもない。
しかし、己の胸に迫り来る巨大な蔦の槍を目にして、アゲハはニヤリと笑った。
・・・これがノエル・メレイシアの本気って事だね?確かにすごいよ、大木だって貫きそうな鋭さだ。
でもね、私の風はこの程度じゃ・・・・・
「止められないんだよォォォーーーーーーーッツ!」
横一線に振るった薙刀は、その身を覆い隠す程に巨大な蔦を一文字に斬り裂いた!
「ハァァァァァーーーーーーーーッツ!」
続く第二、第三の蔦を、返す刃で斬り飛ばす!
次々と襲い来る巨大な蔦も、アゲハの振るう薙刀の前に全てが斬り落とされる!
「そ、そんな!?」
ノエルは驚きに目を見開いた。
全魔力を込めた蔦だ。大岩を砕き、巨木をへし折る事だって造作もない。
それほどの破壊力を持った蔦が、こうもあっさりと斬って捨てられるなど想像だにしなかった。
予想外の事態を目の当たりにし、ノエルの思考が一瞬止まる。それは1秒にも満たない刹那の時を争う戦いでは、致命的な隙となった。
「私の風に斬れないものはない」
ノエルの攻撃が止まったほんの一瞬の間隙を、アゲハは見逃さなかった。
精霊の風を纏った刃で目の前の全ての蔦を斬り払い、薙刀の刃が届く距離まで一気に踏み込んだ。
我が身を護る蔦さえ斬り払われては、もはやノエルに抵抗する術など無い。
「終わりだ。ノエル・メレイシ・・・ッ!?」
アゲハはこのまま真っすぐ薙刀を突き出し、ノエルの胸を貫けばいい。
それで勝利となる・・・はずだった。
「ふふふ、本当にすごいわアゲハさん。でもね、相手の魔道具が見えない時は、もう少し警戒するべきよ。私の魔道具は蔦だけど、どこからどうやって出していたと思う?地面に魔力を流して使うのはその通りだけど、元となる蔦はどこから出ていたと思う?」
微笑みながら話しを続けるノエルの右手の平からは、先の鋭く尖った蔦が真っすぐに伸びていた。
「ぐっ・・・う、がふっ!」
吐き出した血が地面に赤い色をつける。
ノエルの蔦はアゲハの腹を突き破り、背中まで抜けていた。
「正解は御覧の通り私の体の中よ。蔦は体内に埋め込む魔道具なの。だからこうやって手の平からも出せるのよ。まぁ、これは奥の手だから普通は見せないわ。私にこれを使わせたんだから、アゲハさんは本当に優秀だわ。誉めてあげる」
「ぐっ・・・う、こ、この・・・・・ぐッツ!?」
震える両手に力を入れて、落としそうになった得物を握り直す!
そしてクスクスと笑うノエルに向かって、刃を向けようとしたその時、凄まじい重圧が全身に圧し掛かった。
ハビエルの空量眼によって地面に圧し潰されたアゲハを見下ろし、ノエルはにこやかに微笑んだ。
「アゲハさん、そうやって地面に這いつくばってるの、とってもお似合いよ」
0
あなたにおすすめの小説
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる