異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1258 奇妙な因縁

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「ジャロン・リピネッツ・・・レイチェルじゃなくて私が当たりを引いたのは、まぁ、なるべくしてなったって感じはするよね」

目の前にズラリと立ち並び帝国兵達を越えて、アゲハの視線は自分の後釜に座ったジャロン・リピネッツを捉えていた。

ユーリからレイマートが帝国軍の後を追ったと聞いたレイチェルとアゲハは、二手に別れて捜索をしたのだが、先に見つけたのはアゲハだった。
元帝国軍で第二師団長を務めていた自分が、現第二師団長のジャロン・リピネッツと相対する。
アゲハは奇妙な因縁を感じていた。


薙刀を腰の高さで脇に構えるアゲハに、レイマートが背中から声をかけた。

「はぁ・・・はぁ・・・お前、レイジェスのアゲハだったな?どうしてここに・・・」

疲労と負傷でレイマートの息は大きく上がっていたが、その目と声にはまだ力がある。戦意はいささかも衰えていない。

「どうして?何言ってんの?あんたを助けに来たに決まってんでしょ?まぁ、それとは別に私用もできたけどね」

前を向いたまま質問に答えたアゲハは、前に立つ帝国兵ではなく、奥にいるジャロン・リピネッツだけに焦点を合わせていた。

自分が師団長だった時と、外見的には大きな変化は見られない。

180cmに満たない身長、細くはないがしっかりとした筋肉があるわけでもない。
襟足の長い金色の髪、後ろに撫でつけた前髪。
やや釣り上がった青い目は特徴的かもしれないが、目を引くところなんてせいぜいそこくらいだ。

だが自分が師団長だった時、ジャロン・リピネッツのその目が気にかかった事もまた事実だ。
そして今あらためてこの男を見て、一つだけ確信できた事がある。

ガラス玉のように空っぽだからこそ、情も温かみも感じない。むしろ空虚だからこそ、寒気すら感じさせられる。

「・・・あの目、変わらないな」

少しだけ唇を動かして呟いた。

話しをしてもこちらを全く見ていない。
意識はどこか別の場所に向いており、ただ顔を向けているだけなのだ。
一言で言って何を考えているか分からない男だ。だがこいつはそれだけではなかった。

薙刀の柄を握る腕に、意識せず力が入る。

まだ自分が師団長だった時に感じた微かな恐れ・・・

ジャロンのあの目・・・人間なら誰しもそこにあるはずのもの、そう、人への関心というモノがこの男には無いのだ。おそらくこの男にとって、他人とは道端の石ころと同じなのだ。踏もうが蹴ろうが意識にさえ止めない、声をかければとりあえずの反応はするが、それだけなのだ。そこに興味を持つ事も関心を寄せる事ない。

それが分かった時、私はジャロン・リピネッツに言い知れぬ怖さを感じたのだ。


「・・・レイマート、あんたも色々あるんだろうけど、一度現実を見なよ。あんたは体力の限界で、もうすぐ夜が来る。このまま戦い続ける事は不可能だ。分かるよね?」

「・・・ここまで来て、逃げろって言うのか?」

アゲハの言っている事は理解できる。だがレイマートの感情が、素直に受け入れ事を拒んでいた。
師であるアルベルト・ジョシュアの仇討ちに乗り込み、おめおめと退く事などできない。
そんなレイマートの心中を察し、アゲハは言葉を重ねた。

「レイマート、ゴールド騎士のお前に今更言う事ではないが、死んだら終わりだぞ?目的のために今は退け。敵は私が食い止める」

アゲハも最初はここで、ジャロン・リピネッツを仕留めようと考えた。
大将首まであと数十メートルと、敵陣奥深く入り込む事ができたのだ。アゲハはこれを好機と捉えた。
だが本来の目的は、レイマートを連れて帰る事である。
もうだいぶ陽が傾いている。夜になれば闇の主トバリによって食われる運命にあるのだ。
戦いたくとも時間が無い。

不本意ではあるが、一度退いて仕切りなおすしかないのだ。
レイマートも一度戦闘を止められた事で、頭に上っていた血が下りたのだろう。

一度目を閉じた後、分かった、とだけ短く言葉を返した。


「よし、じゃあ私が道を作る。準備はいいな?」


握りしめる長物の刃先に、緑色の風が渦巻きだした。





「ジャロン団長、懐かしい顔がありますよ?あの女、元第二師団長のアゲハです」

突如乱入した長物を持つ黒髪の女を見て、トリッシュはチラリとジャロンに目を向けた。
かつての上官の登場に、この無表情な男にも何か反応があるかと思ったのだ。だがジャロン・リピネッツの表情は変わらず、眉の一つも動く事はなかった。

「そうだな。クインズベリーにいるとはアルバレスから聞いていた。ずいぶん強い殺気を向けてくるものだ。よほど俺の首が欲しいらしいな」

淡々と、まるで他人事のように話す。ジャロン・リピネッツにとっては、かつての上官と戦う事になっても、それはただそれだけの事である。国を裏切った憎き相手という感情など一切無い。目の前に敵意を向ける者がいれば倒す。ただそれだけなのだ。

「それはそうでしょう。ジャロン団長を倒せば、パウンド・フォーでの戦いはクインズベリーの勝ちですから。彼女の相手はお願いしますね、元師団長の相手をできるのなんて、ジャロン団長だけ・・・!?」


トリッシュがそう言い終えた直後、轟音とともに大爆発が起こり、荒ぶる風が帝国軍にぶつけられた。
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