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1257 孤軍奮闘
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「オォォォォォォォーーーーーーーーッツ!」
剣を振り上げて斬りかかって来る帝国の兵士に対し、俺は右から左へと、握った剣を横一線に振り抜いた!
俺に斬りかかってきた帝国兵は、胴体が真っ二つに斬り離されるが、向かってきた勢いと剣に斬られた衝撃で、上半身は回転しながら俺の頭を超えて後方へと吹き飛び、下半身はそのまま数メートル走って崩れ落ちた。
「はぁっ!はぁっ!」
くそっ!このくらいで息が上がるなんて・・・
だがへばってなんかいられねぇ・・・こいつらは俺が全員倒す!
レイマートは剣を持ち構え、正面に並ぶ帝国兵達を鋭く見据えている。だが呼吸は大きく乱れてかなり苦しそうだ。
黄金の鎧もあちこちに亀裂が入り、疲労も、引きずっているダメージの大きさも見て取れる。
そして敵も味方も無いバージルの自爆は、クインズベリーだけでなく、帝国軍にも大きな被害を与えていた。山は崩れ樹々は倒壊し、千を超える兵士達が爆発に巻き込まれ倒れた。このまま戦闘を継続できる状態ではない。図らずしも利害関係が一致した両軍は、一時停戦の形で後退したのである。
しかしレイマートだけは違った。
アルベルトの仇を討つべく単身で帝国を追いかけ、ジャロン・リピネッツの喉元に差し迫るところまで来ていた。
「・・・ふーん、さすがゴールド騎士ってとこですね。あの体でよくここまで戦えるものです」
トリッシュ・ルパージュは、栗色の三つ編みを指先で回すようにいじりながら、数十メートル先で一人剣を振るう、青い髪のゴールド騎士、レイマート・ハイランドを興味深そうに見つめた。
「バージルの自爆は、アルベルト・ジョシュアのあのオーラで、かなり威力を削がれていたようだからな。それでも近距離でまともに受けたんだ、それなりのダメージはあっただろう。加えて治療もせずに俺達を追ってきたらしいからな、戦う前から相当消耗していたはずだ」
トリッシュの隣に立つ第二師団長ジャロン・リピネッツは、同じく視線の先で戦うレイマートをじっと見たまま言葉を返した。
副団長のバージルを失ったばかりだと言うのに、その目には部下の死に対して何も思いをはせるものもなく、ただ淡々と冷静に戦況だけを分析して見ていた。
「そうですよね。軽減してあの威力なんです。本来の爆発をまともにくらっていたら、いくらゴールド騎士でも耐えきれるはずがありません。バージル副団長と密着していたあのゴールド騎士なんて、跡形もなく消し飛んだんじゃないですか?」
トリッシュは栗色の三つ編みを指先でいじりながら、クスクスと笑った。
バージルが自爆した直後に後退を始めたため、帝国側で爆発の跡を確認した者はいない。
そのため推測が混じってしまうが、少なくとも自爆した本人であるバージルは、確認するまでもなく死んでいる。
そしてアルベルト・ジョシュアだが、彼の生死はレイマートが感情にまかせてここまで追って来ている事が答えである。
「・・・そうだな。確認したわけではないが、我が軍の被害状況から見るに、あれだけのエネルギーを密着状態で受けたのなら無事ではすむまい。いや、ゴールド騎士のレイマートが、ここまで感情的になって乗り込んで来た事を考えれば、アルベルト・ジョシュアは死んだと考えるべきだな」
おそらくレイマートはアルベルトの死体を見たのだ。
だから傷ついた体を引きずりながら、たった一人で敵陣に突撃をかけるなんて、無謀な真似をしているのだ。
「なるほど・・・さすがジャロン団長ですね。それ当たってると思いますよ。あの青髪のゴールド騎士、レイマートでしたっけ?同じゴールド騎士の仲間が死んだから、あそこまで怒ってるんでしょうね。クスクス、馬鹿な男、たった一人で本当に勝てると思ってるのかしら?まぁ、いろいろ未知の力を持ってるようだし、せっかくだから研究させてもらおうかしら」
レイマートの使う闘気は、トリッシュにとって魅力的な力だった。
己の体から発している光が、自身の力を大きく底上げしている。
帝国で幹部クラス以上の、一部の人間が使う闇の力に、性質が似ていると言えなくもない。
だがやはりこれは未知の力であり、研究者であるトリッシュにとっては無視できるものではなかった。
「さぁ、もっと見せなさい。その力の秘密を、私が全て解き明かしてみせるわ」
バージルを利用したように、トリッシュにとって目に映るものは全てが研究対象であり、そこに感情は必要ない。
レイマートの戦いを見るトリッシュの目に映るものは、敵意ではなく好奇心だった。
「はぁッ!・・・はぁッ!・・・・・ゲホッ・・・」
レイマートが斬り捨てた帝国兵の死体が、二つ目の山を築き上げた頃、孤立無援の戦いをしていたレイマートは、とうとう体力の限界を迎えようとしていた。
斬った敵の数は軽く百を超えている。もうこれ以上の戦闘は可能だった。
「へっへっへ、ゴールド騎士さんよぉ、本当にすげぇ力だったぜ。だがよ、いくら強いって言ってももう限界だろ?へっへっへ・・・もうここまでだ!観念して死ね!」
レイマートを囲む帝国軍の部隊長の一人が、下卑た笑いを浮かべながら突撃をかけた。
「チッ!できるもんならやってみ・・・っ!?」
レイマートはわずかに残った気力を総動員して、疲れ果てた体を奮い立たせた!
その時・・・・・
「・・・ッ!?」
突然宙を舞った帝国軍部隊長の首は、赤い血をまき散らしながらクルクルと周り、そして地面にたたき落された。
「ふぅー・・・間に合った」
腰まである長い黒髪が風ではためく。
自分の背丈より長い得物の刃先には、たった今切り払った敵の部隊長の血がついている。
元帝国軍第二師団長、アゲハ・シンジョウは、レイマートの前に立ち、ゆっくりと振り返った。
「ねぇあんた、あんまり一人で突っ走るものじゃないよ?ここからは私も一緒にやらせてもらうから」
剣を振り上げて斬りかかって来る帝国の兵士に対し、俺は右から左へと、握った剣を横一線に振り抜いた!
俺に斬りかかってきた帝国兵は、胴体が真っ二つに斬り離されるが、向かってきた勢いと剣に斬られた衝撃で、上半身は回転しながら俺の頭を超えて後方へと吹き飛び、下半身はそのまま数メートル走って崩れ落ちた。
「はぁっ!はぁっ!」
くそっ!このくらいで息が上がるなんて・・・
だがへばってなんかいられねぇ・・・こいつらは俺が全員倒す!
レイマートは剣を持ち構え、正面に並ぶ帝国兵達を鋭く見据えている。だが呼吸は大きく乱れてかなり苦しそうだ。
黄金の鎧もあちこちに亀裂が入り、疲労も、引きずっているダメージの大きさも見て取れる。
そして敵も味方も無いバージルの自爆は、クインズベリーだけでなく、帝国軍にも大きな被害を与えていた。山は崩れ樹々は倒壊し、千を超える兵士達が爆発に巻き込まれ倒れた。このまま戦闘を継続できる状態ではない。図らずしも利害関係が一致した両軍は、一時停戦の形で後退したのである。
しかしレイマートだけは違った。
アルベルトの仇を討つべく単身で帝国を追いかけ、ジャロン・リピネッツの喉元に差し迫るところまで来ていた。
「・・・ふーん、さすがゴールド騎士ってとこですね。あの体でよくここまで戦えるものです」
トリッシュ・ルパージュは、栗色の三つ編みを指先で回すようにいじりながら、数十メートル先で一人剣を振るう、青い髪のゴールド騎士、レイマート・ハイランドを興味深そうに見つめた。
「バージルの自爆は、アルベルト・ジョシュアのあのオーラで、かなり威力を削がれていたようだからな。それでも近距離でまともに受けたんだ、それなりのダメージはあっただろう。加えて治療もせずに俺達を追ってきたらしいからな、戦う前から相当消耗していたはずだ」
トリッシュの隣に立つ第二師団長ジャロン・リピネッツは、同じく視線の先で戦うレイマートをじっと見たまま言葉を返した。
副団長のバージルを失ったばかりだと言うのに、その目には部下の死に対して何も思いをはせるものもなく、ただ淡々と冷静に戦況だけを分析して見ていた。
「そうですよね。軽減してあの威力なんです。本来の爆発をまともにくらっていたら、いくらゴールド騎士でも耐えきれるはずがありません。バージル副団長と密着していたあのゴールド騎士なんて、跡形もなく消し飛んだんじゃないですか?」
トリッシュは栗色の三つ編みを指先でいじりながら、クスクスと笑った。
バージルが自爆した直後に後退を始めたため、帝国側で爆発の跡を確認した者はいない。
そのため推測が混じってしまうが、少なくとも自爆した本人であるバージルは、確認するまでもなく死んでいる。
そしてアルベルト・ジョシュアだが、彼の生死はレイマートが感情にまかせてここまで追って来ている事が答えである。
「・・・そうだな。確認したわけではないが、我が軍の被害状況から見るに、あれだけのエネルギーを密着状態で受けたのなら無事ではすむまい。いや、ゴールド騎士のレイマートが、ここまで感情的になって乗り込んで来た事を考えれば、アルベルト・ジョシュアは死んだと考えるべきだな」
おそらくレイマートはアルベルトの死体を見たのだ。
だから傷ついた体を引きずりながら、たった一人で敵陣に突撃をかけるなんて、無謀な真似をしているのだ。
「なるほど・・・さすがジャロン団長ですね。それ当たってると思いますよ。あの青髪のゴールド騎士、レイマートでしたっけ?同じゴールド騎士の仲間が死んだから、あそこまで怒ってるんでしょうね。クスクス、馬鹿な男、たった一人で本当に勝てると思ってるのかしら?まぁ、いろいろ未知の力を持ってるようだし、せっかくだから研究させてもらおうかしら」
レイマートの使う闘気は、トリッシュにとって魅力的な力だった。
己の体から発している光が、自身の力を大きく底上げしている。
帝国で幹部クラス以上の、一部の人間が使う闇の力に、性質が似ていると言えなくもない。
だがやはりこれは未知の力であり、研究者であるトリッシュにとっては無視できるものではなかった。
「さぁ、もっと見せなさい。その力の秘密を、私が全て解き明かしてみせるわ」
バージルを利用したように、トリッシュにとって目に映るものは全てが研究対象であり、そこに感情は必要ない。
レイマートの戦いを見るトリッシュの目に映るものは、敵意ではなく好奇心だった。
「はぁッ!・・・はぁッ!・・・・・ゲホッ・・・」
レイマートが斬り捨てた帝国兵の死体が、二つ目の山を築き上げた頃、孤立無援の戦いをしていたレイマートは、とうとう体力の限界を迎えようとしていた。
斬った敵の数は軽く百を超えている。もうこれ以上の戦闘は可能だった。
「へっへっへ、ゴールド騎士さんよぉ、本当にすげぇ力だったぜ。だがよ、いくら強いって言ってももう限界だろ?へっへっへ・・・もうここまでだ!観念して死ね!」
レイマートを囲む帝国軍の部隊長の一人が、下卑た笑いを浮かべながら突撃をかけた。
「チッ!できるもんならやってみ・・・っ!?」
レイマートはわずかに残った気力を総動員して、疲れ果てた体を奮い立たせた!
その時・・・・・
「・・・ッ!?」
突然宙を舞った帝国軍部隊長の首は、赤い血をまき散らしながらクルクルと周り、そして地面にたたき落された。
「ふぅー・・・間に合った」
腰まである長い黒髪が風ではためく。
自分の背丈より長い得物の刃先には、たった今切り払った敵の部隊長の血がついている。
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