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「カカーチェ様、フラナガンにずいぶん信頼を寄せられているように見えますが、あの男にそこまでの価値があるのですか?こう言ってはなんですが、真紅のローブを身に着けているのですから、その強さはあるのでしょう。ですがあの身なり、素行不良の話しを聞きますし、カカーチェ様が気にかけられる理由が分かりません」
ガルバンは体力型のため、黒魔法兵団に所属しているフラナガンについて直接的には知らなかった。
だが仮にも軍人でありながら、耳や唇に開けた沢山のピアス、傍若無人な態度は目に余るものがあった。
そしてよほど悪評が多いのだろう。所属が違うにも関わらず、多くの噂が勝手に耳に入ってくるのだ。
「ガルバン、お前は本当に生真面目だな?そこがお前の長所じゃが、反面ちぃと視野が狭い。まぁ、その生真面目さを買っておるからこそ、ワシが最側近として隣に置いとるんじゃがな・・・」
カカーチェは顎から伸びる白い髭を摘まみ軽く撫でると、フッと笑って言葉を続けた。
「上官の指示に従わない、軍の規律を平気で破る、仲間への暴行も多い、普通ならどれも厳罰ものじゃ。場合によっては処刑されてもおかしくないものもある。じゃがそれでもフラナガンは深紅のローブを纏っている。それがなぜか分からんか?」
「・・・なぜでしょうか?一人の規律違反を見逃していては、隊の士気に関わります。即刻深紅のローブを剥奪して、平に落とすべきだと思います」
「ふぅむ、ガルバンよ、それは正論じゃ。間違ってはおらん、言っておる事は正しい。じゃがやはりお前はちぃとばかり頭が固いのう。よいか、それが許されるくらいフラナガンは強い。ヤツは黒魔法兵団団長の座を、スカーレット・シャリフと争う程の実力者じゃった。惜しむらくは実力以前にあの性格が災いして、上には立てんかったがな。それでも深紅のローブを着るに足る力量は認められ、待遇はあの通りじゃ。帝国は力こそがものを言う、フラナガンは正にそれを体現しておるのじゃ」
「スカーレット・シャリフと争う?それではフラナガンは、ヤツは師団長クラスだと言うのですか?」
黒魔法兵団団長にして第四師団長である、スカーレット・シャリフの名が出て来るとは思わなかった。
ガルバンの声に明らかな驚きが感じ取れる。そしてカカーチェはハッキリと頷いた。
「その通りじゃ。ロバート・フラナガンの戦闘力は、スカーレット・シャリフにも引けを取らん。あやつがもう少し、せめて最低限の協調性を持っておれば、黒魔法兵団の団長の座は分からんかったじゃろう」
「・・・まさかそれほどとは・・・」
「ガルバンよ、さっきワシにフラナガンを信頼していると言うたな?確かに信頼しておる。じゃがそれは人間性ではなく、あやつの強さをじゃ。アンリエールは四勇士とやらに大層な信頼をよせておるようじゃが、ワシもフラナガンが負けるとは思うておらん。ガルバンよ、これで答えになったかな?」
「・・・はい、どうやらフラナガンを少々見くびっていたようですね。分かりました、この戦いにおいてはヤツの好きにさせましょう。ですが軍をかきまわすような事があれば、その時は黙っていません」
ガルバンが厳しい顔つきでそう告げると、カカーチュは笑いながら頷いた。
「くっくっく、真面目よのう・・・まぁいい、それでええ。ではワシらはフラナガンの戦いぶりを、見物させてもらおうではないか」
そう言ってカカーチェが視線を向けた先の空では、突如黒い雲が集まり出した。そして雲を切り裂く強烈な光が空を照らした一瞬の後、空を揺るがす程の轟音が遅れて耳に届いた。
シャクール・バルデスの雷である。
「な、に・・・?」
こいつ、今何をした?・・・私の雷を流した?受け流したのか?
バカな!天空から落ちる雷を、あの膨大なエネルギーを腕一本で受け流したと言うのか!?
ありえん!この男いったい何を・・・ッ!?
シャクール・バルデスはたった今目の前で起きた出来事に、ほんの一瞬だが動揺を見せてしまった。
雷はバルデス家が編み出し伝えられてきた黒魔法であり、シャクール自身も最も得意とする魔法だった。
だがその絶対の自信を持つ雷が、この男、ロバート・フラナガンには軽々と受け流されてしまった。
頭上で雷鳴が響いた時、フラナガンは攻撃の兆しを感じ取り右手を掲げた。そして強烈な光とともに、自分に向かって凄まじいエネルギーが降り落ちた瞬間、掲げていた右手を振り下ろした。
そしてたったそれだけの動作で、軽く右手を振り下ろしただけで、落雷はフラナガンを避けるようにして川へと落ちたのだ。
シャクール・バルデスが見せた一瞬の動揺、僅かに途切れた注意力、それらは時間にして数えるには瞬き程のものである。隙と呼ぶにはあまりにも短い空白の時。
だが相手は万の軍勢を従える、ブロートン帝国の師団長クラスの力量を持った男、ロバート・フラナガンである。
この間隙を見逃す程あまくはなかった。
「てめぇも捻じ曲げてやるよ」
「ッ!」
フラナガンは足に纏う風の操作によって、一瞬にしてシャクールの懐に入り込んだ。
そして右手をシャクールの腹部に当てると、その手を内側に回すようにして振るい払った。
次の瞬間、体の一部が強引に勢いよく捻じ曲げられ、骨の砕ける嫌な音が耳に響いた。
ガルバンは体力型のため、黒魔法兵団に所属しているフラナガンについて直接的には知らなかった。
だが仮にも軍人でありながら、耳や唇に開けた沢山のピアス、傍若無人な態度は目に余るものがあった。
そしてよほど悪評が多いのだろう。所属が違うにも関わらず、多くの噂が勝手に耳に入ってくるのだ。
「ガルバン、お前は本当に生真面目だな?そこがお前の長所じゃが、反面ちぃと視野が狭い。まぁ、その生真面目さを買っておるからこそ、ワシが最側近として隣に置いとるんじゃがな・・・」
カカーチェは顎から伸びる白い髭を摘まみ軽く撫でると、フッと笑って言葉を続けた。
「上官の指示に従わない、軍の規律を平気で破る、仲間への暴行も多い、普通ならどれも厳罰ものじゃ。場合によっては処刑されてもおかしくないものもある。じゃがそれでもフラナガンは深紅のローブを纏っている。それがなぜか分からんか?」
「・・・なぜでしょうか?一人の規律違反を見逃していては、隊の士気に関わります。即刻深紅のローブを剥奪して、平に落とすべきだと思います」
「ふぅむ、ガルバンよ、それは正論じゃ。間違ってはおらん、言っておる事は正しい。じゃがやはりお前はちぃとばかり頭が固いのう。よいか、それが許されるくらいフラナガンは強い。ヤツは黒魔法兵団団長の座を、スカーレット・シャリフと争う程の実力者じゃった。惜しむらくは実力以前にあの性格が災いして、上には立てんかったがな。それでも深紅のローブを着るに足る力量は認められ、待遇はあの通りじゃ。帝国は力こそがものを言う、フラナガンは正にそれを体現しておるのじゃ」
「スカーレット・シャリフと争う?それではフラナガンは、ヤツは師団長クラスだと言うのですか?」
黒魔法兵団団長にして第四師団長である、スカーレット・シャリフの名が出て来るとは思わなかった。
ガルバンの声に明らかな驚きが感じ取れる。そしてカカーチェはハッキリと頷いた。
「その通りじゃ。ロバート・フラナガンの戦闘力は、スカーレット・シャリフにも引けを取らん。あやつがもう少し、せめて最低限の協調性を持っておれば、黒魔法兵団の団長の座は分からんかったじゃろう」
「・・・まさかそれほどとは・・・」
「ガルバンよ、さっきワシにフラナガンを信頼していると言うたな?確かに信頼しておる。じゃがそれは人間性ではなく、あやつの強さをじゃ。アンリエールは四勇士とやらに大層な信頼をよせておるようじゃが、ワシもフラナガンが負けるとは思うておらん。ガルバンよ、これで答えになったかな?」
「・・・はい、どうやらフラナガンを少々見くびっていたようですね。分かりました、この戦いにおいてはヤツの好きにさせましょう。ですが軍をかきまわすような事があれば、その時は黙っていません」
ガルバンが厳しい顔つきでそう告げると、カカーチュは笑いながら頷いた。
「くっくっく、真面目よのう・・・まぁいい、それでええ。ではワシらはフラナガンの戦いぶりを、見物させてもらおうではないか」
そう言ってカカーチェが視線を向けた先の空では、突如黒い雲が集まり出した。そして雲を切り裂く強烈な光が空を照らした一瞬の後、空を揺るがす程の轟音が遅れて耳に届いた。
シャクール・バルデスの雷である。
「な、に・・・?」
こいつ、今何をした?・・・私の雷を流した?受け流したのか?
バカな!天空から落ちる雷を、あの膨大なエネルギーを腕一本で受け流したと言うのか!?
ありえん!この男いったい何を・・・ッ!?
シャクール・バルデスはたった今目の前で起きた出来事に、ほんの一瞬だが動揺を見せてしまった。
雷はバルデス家が編み出し伝えられてきた黒魔法であり、シャクール自身も最も得意とする魔法だった。
だがその絶対の自信を持つ雷が、この男、ロバート・フラナガンには軽々と受け流されてしまった。
頭上で雷鳴が響いた時、フラナガンは攻撃の兆しを感じ取り右手を掲げた。そして強烈な光とともに、自分に向かって凄まじいエネルギーが降り落ちた瞬間、掲げていた右手を振り下ろした。
そしてたったそれだけの動作で、軽く右手を振り下ろしただけで、落雷はフラナガンを避けるようにして川へと落ちたのだ。
シャクール・バルデスが見せた一瞬の動揺、僅かに途切れた注意力、それらは時間にして数えるには瞬き程のものである。隙と呼ぶにはあまりにも短い空白の時。
だが相手は万の軍勢を従える、ブロートン帝国の師団長クラスの力量を持った男、ロバート・フラナガンである。
この間隙を見逃す程あまくはなかった。
「てめぇも捻じ曲げてやるよ」
「ッ!」
フラナガンは足に纏う風の操作によって、一瞬にしてシャクールの懐に入り込んだ。
そして右手をシャクールの腹部に当てると、その手を内側に回すようにして振るい払った。
次の瞬間、体の一部が強引に勢いよく捻じ曲げられ、骨の砕ける嫌な音が耳に響いた。
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