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1312 買いかぶり
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ヴァンは自分達の前に立ちはだかった巨躯の男を見上げて、その戦力を冷静に分析した。
年齢は三十代半ばくらいだろう。身長二メートル、鍛え抜かれた体躯、右手に握る戦斧は優に100キロを超えているだろう。それを軽々と持ち上げ肩にかけている事から相当な腕力を持っている事が分かる。
対して自分は身長175cm、体重で75キロ程度だ。
目の前の大男より頭一つは小さく、体重差は30キロ以上あるだろう。
同じ体力型と言っても、腕力では話しにならない程の差がある事は、一目で理解できた。
そしてそれは、隣に立つフェンテスも同じだった。
身長180cm越えのフェンテスは、ヴァンより背丈はある。だがそれでもこのガルバンと名乗った大男とは比べ物にならない。体の線が細いフェンテスと対峙すると、両者の体格差は二倍にも三倍にも見える程だ。
ましてフェンテスは力より技とスピードで勝負するタイプであり、これほどの体躯の相手と打ち合いなど、考えるまでもなく不可能だった。
「巻き込まれたくなければ近づくな!」
何の前振りもなく、突然声を大にして発したのはガルバンだった。それはヴァンとフェンテスの後ろから、攻撃をしかけようとしていた帝国の兵士達に向けての言葉だったのだろう。
しかし予想していなかった言葉は、その意味を瞬時に理解できなかったヴァンとフェンテスの思考を、ほんの一瞬だが散らさせた。
二人は目の前の巨躯の男、ルーベン・ガルバンから視線を切ったわけではない。
しかし頭からぶつけられた突然の大声、そして言葉の意味を理解するのに一瞬の間が必要だった事が、二人にコンマ一秒の隙を作らせる要因になった。
そしてルーベン・ガルバンにとっては、コンマ一秒の隙があれば十分だった。
「まずは貴様だ」
肩に乗せた戦斧を降り下ろす。
単純なその一振りがニメートルの高さから繰り出された時、必殺の一撃となる。
狙われたのはヴァンだった。
フェンテスと見比べて、ガルバンは一目でヴァンが格上だと見抜いた。
先に潰すならこいつだ。
そう決めたガルバンは、迷いなく戦斧をヴァンの頭に振り下ろした!
「ぐッ!」
右足で地面を後ろに蹴る。
反応が一瞬遅れたが、それでもギリギリで回避する事はできた。
しかし額に鋭い痛みを感じ、真っ赤な血が目の前に飛び散る。戦斧の刃が僅かにかすめていたのだ。
完全に躱し切る事ができず、流れ出る血が右目に入ってきて視界の半分を赤く染めた。
血液が右目に入った事で、少なからず距離感が狂わされる。
ヴァンは後方に飛び退きながら、戦斧を地面に叩きつけたガルバンから目は離していなかった。
たった今あれだけの重量の戦斧を降り下ろしたのだ、次の動作に移るまでは相応の時間がかかる。
ヴァンはそう考えた。そしてそれはおおむね正しい。
超重量級のガルバンは、桁違いのパワーであれだけ巨大な戦斧を自在に操る事ができる。
しかし優に百キロを超える巨大な戦斧なのだ。圧倒的な破壊力を誇る反面、小回りは利かず、連続した攻撃などとても望めない。
超重量の武器とはそういうものなのだ。
しかし・・・・・
「俺が力だけのデカブツだと思ったか?」
「なにッ!?」
ガルバンは地面から戦斧を引き抜くと、たった一蹴りでヴァンとの距離を詰めた。
超重量級であるガルバンは、その体を生かした戦い方を極めていた。確かに細かい動きができるわけではない。大振りな一発で基本攻撃となる。しかしでかくてパワーがあるのならば、そのパワーを最大限に生かして欠点を埋める。
地面を抉る程の蹴り足の強さ。この爆発力があれば、逃げる敵との距離を詰める事などたやすい事だ。
「ガッ・・・あ、ぐぁッ・・・!」
丸太のような左脚、その膝がヴァンの腹部にめり込んで胃を押し潰す。
両足が地面から浮く程の衝撃。無理やり呼吸が止められ、瞬間的に意識が遮断されそうになった。
「この程度か・・・買いかぶり過ぎたようだな」
もう死ね・・・つまらなそうにそう呟くと、ガルバンは左の拳を固く握りしめて、ヴァンの頭に振り下ろした。
年齢は三十代半ばくらいだろう。身長二メートル、鍛え抜かれた体躯、右手に握る戦斧は優に100キロを超えているだろう。それを軽々と持ち上げ肩にかけている事から相当な腕力を持っている事が分かる。
対して自分は身長175cm、体重で75キロ程度だ。
目の前の大男より頭一つは小さく、体重差は30キロ以上あるだろう。
同じ体力型と言っても、腕力では話しにならない程の差がある事は、一目で理解できた。
そしてそれは、隣に立つフェンテスも同じだった。
身長180cm越えのフェンテスは、ヴァンより背丈はある。だがそれでもこのガルバンと名乗った大男とは比べ物にならない。体の線が細いフェンテスと対峙すると、両者の体格差は二倍にも三倍にも見える程だ。
ましてフェンテスは力より技とスピードで勝負するタイプであり、これほどの体躯の相手と打ち合いなど、考えるまでもなく不可能だった。
「巻き込まれたくなければ近づくな!」
何の前振りもなく、突然声を大にして発したのはガルバンだった。それはヴァンとフェンテスの後ろから、攻撃をしかけようとしていた帝国の兵士達に向けての言葉だったのだろう。
しかし予想していなかった言葉は、その意味を瞬時に理解できなかったヴァンとフェンテスの思考を、ほんの一瞬だが散らさせた。
二人は目の前の巨躯の男、ルーベン・ガルバンから視線を切ったわけではない。
しかし頭からぶつけられた突然の大声、そして言葉の意味を理解するのに一瞬の間が必要だった事が、二人にコンマ一秒の隙を作らせる要因になった。
そしてルーベン・ガルバンにとっては、コンマ一秒の隙があれば十分だった。
「まずは貴様だ」
肩に乗せた戦斧を降り下ろす。
単純なその一振りがニメートルの高さから繰り出された時、必殺の一撃となる。
狙われたのはヴァンだった。
フェンテスと見比べて、ガルバンは一目でヴァンが格上だと見抜いた。
先に潰すならこいつだ。
そう決めたガルバンは、迷いなく戦斧をヴァンの頭に振り下ろした!
「ぐッ!」
右足で地面を後ろに蹴る。
反応が一瞬遅れたが、それでもギリギリで回避する事はできた。
しかし額に鋭い痛みを感じ、真っ赤な血が目の前に飛び散る。戦斧の刃が僅かにかすめていたのだ。
完全に躱し切る事ができず、流れ出る血が右目に入ってきて視界の半分を赤く染めた。
血液が右目に入った事で、少なからず距離感が狂わされる。
ヴァンは後方に飛び退きながら、戦斧を地面に叩きつけたガルバンから目は離していなかった。
たった今あれだけの重量の戦斧を降り下ろしたのだ、次の動作に移るまでは相応の時間がかかる。
ヴァンはそう考えた。そしてそれはおおむね正しい。
超重量級のガルバンは、桁違いのパワーであれだけ巨大な戦斧を自在に操る事ができる。
しかし優に百キロを超える巨大な戦斧なのだ。圧倒的な破壊力を誇る反面、小回りは利かず、連続した攻撃などとても望めない。
超重量の武器とはそういうものなのだ。
しかし・・・・・
「俺が力だけのデカブツだと思ったか?」
「なにッ!?」
ガルバンは地面から戦斧を引き抜くと、たった一蹴りでヴァンとの距離を詰めた。
超重量級であるガルバンは、その体を生かした戦い方を極めていた。確かに細かい動きができるわけではない。大振りな一発で基本攻撃となる。しかしでかくてパワーがあるのならば、そのパワーを最大限に生かして欠点を埋める。
地面を抉る程の蹴り足の強さ。この爆発力があれば、逃げる敵との距離を詰める事などたやすい事だ。
「ガッ・・・あ、ぐぁッ・・・!」
丸太のような左脚、その膝がヴァンの腹部にめり込んで胃を押し潰す。
両足が地面から浮く程の衝撃。無理やり呼吸が止められ、瞬間的に意識が遮断されそうになった。
「この程度か・・・買いかぶり過ぎたようだな」
もう死ね・・・つまらなそうにそう呟くと、ガルバンは左の拳を固く握りしめて、ヴァンの頭に振り下ろした。
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