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理太郎

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1311 祖父と孫娘

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「アーロンお爺様、クインズベリー軍が川を渡ったのですね」

「・・・シャンテル、お前は下がっておれ。連中はワシが始末する」

後ろからかけられた控えめな声に、アーロン・カカーチェはゆっくりと振り返った。
孫娘のシャンテル・ガードナーを師団長に置き、祖父のアーロン・カカーチェは副団長に付いている。
それが白魔法兵団であり、帝国軍第六師団だった。


「・・・私がふがいないばかりに、お爺様へ負担をかけて申し訳ないと思ってます。ですが、仮にも師団長の私が後ろで隠れているのは・・・」

「つまらん事を考えるな。お前は争い事には向かん。戦闘はワシらに任せておけばいい。じゃがな、お前は白魔法使いとしては、ワシよりもはるかに優れておる。この軍でもお前に救われて慕う者が大勢いるんじゃ。お前はいるだけで兵達の士気を上げておる、じゃから引け目を感じる事はない。どんと後ろに立っておれ」

フッと小さく笑うと、カカーチェは孫娘のシャンテルの肩に軽く手を置いた。

「まったく、いつの間にかワシよりも大きくなりおって。昔はあんなに小さかったのにのう?誰に似たんじゃか」

身長170㎝程のシャンテルの肩に手を置くには、カカーチェは肩を上げる必要があった。

「お、お爺様、こんな時に・・・」

「ふははは、冗談じゃ。さぁ、もう下がっておれ。連中はたったの五人らしい。まぁまぁやるようじゃが、ガルバンとヴァネッサが出たからすぐに片が付くじゃろう」

危ないから下がっていろと告げるカカーチェに、それ以上言葉を続ける事せず、シャンテルは分かりましたと一言だけ口にして、後ろへと下がって行った。


「・・・フッ、ワシもあまいな」

小さくなっていく孫娘の背中を見送ると、カカーチェは戦いの前線へと向き直った。

シャンテルにはすぐに片付くと伝えたが、実のところそう簡単にはいかなそうだ。
竜氷縛から飛び出したクインズベリーの戦士達は、待ち構えていた帝国軍の兵達をあっさりと斬り捨て、黒魔法使い達の元へと向かっている。

たった五人とカカーチェは表現したが、そのたった五人が帝国軍をかき乱せる程の実力者だった。
並の兵士達には到底止められるはずもない。

だが・・・


「ガルバンとヴァネッサ、あの二人が出たならばヤツらも終わりじゃ」

カカーチェの最側近であるルーベン・ガルバン。
二メートルの長身、百キロを超える体躯。鍛え抜かれた体から繰り出す技の数々は、並の兵士が百人束になっても歯が立たない程である。

そしてシャンテル・ガードナーがそばに置く女戦士、ヴァネッサ・ハーマンズ。
ガルバンと同期で軍に入隊したヴァネッサは、屈強な男達でも歯が立たない程の力で、あっという間に師団長の側近にまで登りつめた実力者だ。


同期であり同じ体力型でもあったからか、二人は気が合った。
単独でも圧倒的な力を見せるが、この二人が組んだ時はその比ではない。

師団長すら上回るのではと思える程の凄まじい力を発揮するのだ。
上陸した五人がどれだけの実力者であろうと、あの二人が力を合わせれば敵う者などいない。

「ガルバン、ヴァネッサ、第六師団最強と呼ばれる貴様らの力を見せてやれ」





押し寄せて来る帝国軍の兵士達を斬り捨てながら、ヴァンとフェンテスは突き進んだ。
狙うは急所だけではない。腕を切り、足を切り、決して足は止めずに走り抜けた。
目的はあくまで黒魔法兵達の攻撃を止める事であり、必ずしも敵の数を減らす必要はない。

後続にアラタとジャレットも続いてくるが、ヴァンとフェンテスは大きく先行していた。
そして二人が黒魔法使い達を目前に捉えた時、突如二人の行く手を阻むように、巨大な戦斧が振り下ろされた!

「っ!?」

眼前の地面が粉砕され、土や石が火山噴火のごとく吹き飛んでくる!
ヴァンとフェンテスはギリギリで足を止め、両腕を盾にして体を丸めて護りの態勢をとる。

「ほう、いい反応だ。だがここまでだ」

濛々と立ち込める土煙を戦斧の一振りで吹き飛ばし、ニメートルはあるだろう大男が姿を現した。


「・・・てめぇは?」

これまでの兵士達とは明らかに違う。おそらく幹部クラス。

大男は戦斧を肩にかけると、ヴァンの問いかけに答えた。


「私は第六師団副団長アーロン・カカーチェ様の最側近、ルーベン・ガルバンだ。貴様らはここで潰させてもらう」

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