異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
1,316 / 1,560

1315 正体不明のダメージ

しおりを挟む
「・・・なにッ!?」

ガルバンは目を見張った。
倒れている二人に戦斧を降り下ろした。

その結果、戦斧の刃は二人の体を真っ二つに斬り離し、地面にめり込む・・・・・はずだった。

「ハァッ・・・ハァッ・・・両腕、持っていかれる、かと思った、けどよ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・右一本は残ったぜ」

ヴァンは意識は失っていなかった。そして驚くべき事に、ガルバンの戦斧をナイフ一本で受け止めていたのだ。
衝突の瞬間にヴァンがやってのけた事、無意味にも思えるバックステップとフェンテスを押した事、これが僅かながらでも威力を軽減させていた。

それでも振り下ろされた戦斧を、ナイフで受け止められるわけがないのだ。しかも片手である。
しかしヴァンは受け止めている。なぜか?

「バ、バカな・・・倒れたまま腕一本で、俺の戦斧を止めただと?そんな事が・・・ッ!?」

圧倒的優位に戦いを進めていたガルバンには、精神的な余裕があった。
しかし欠片程も想定していなかったこの事態に、そんなものは吹っ飛んだ。

倒れたままの態勢でなぜ受け止められる?
彼我の体重差、さらに100キロを超える戦斧を降り下ろしているのだ、どれだけの威力が圧し掛かっていると思っている?

そんな疑問がありありと顔に浮かんで見えたのだろう。
見上げるヴァンの口元には不敵な笑みが浮かび、その目がギラリと光った。


「かかったな!てめぇの攻撃で切り裂かれろォォォォォーーーーーーーーッツ!」


ヴァンが大きく口を開けて叫ぶと、耳が痛くなるような、まるで金属を打ち鳴らした音を響かせ、ガルバンが弾き飛ばされた。

「がはぁーーーーーッツ! 」


それは体力型としても恵まれた体格を持っているガルバンでさえ、初めて味わう衝撃だった。
何をされたのかは分からなかった。だが右半身に突如鋭い痛みが走り、そして身に着けていた鉄の鎧がはじけ飛んだ。

何かをされたのは間違いない。だが攻撃の種類が特定できない。
そして自分が受けたダメージが、決して軽いものでない事も理解できた。


こ、こいつ!何をした!?鋼鉄の鎧を砕き、腹から右の肩にかけてザックリと斬られている!
これほどの攻撃を受けて気づかないなんてありえない!いったい俺に何をしたというのだ!?


「ぐぬぅぅぅッツ!」

ギリッと歯を食いしばると、巨大な体を捻って片膝を着きながら地面に着地を決めた。
右手に握る戦斧は離さなかった。だが右半身の鎧は砕け、腹から右肩へかけて大きく裂かれた傷口からは、真っ赤な血が噴き出している。

「ハァッ!・・・ハァッ!・・・き、貴様、いったいなにをした・・・」

ガルバンは左手で傷口を押さえながら正面に顔を向けると、自分に深手を負わせた敵を睨みつけた。


ヴァンは自分に体を預けるようにして倒れているフェンテスを脇にどかすと、地面に手をついてゆっくりと体を起こした。
左腕は折れているのか、ダラリと垂れさがっている。立ち上がろうとして膝を立てるが、その動作一つをとってももったいぶったように遅く、隠しきれないダメージを受けている事が見て取れる。

無理もない。
左腕だけでなく、今のフェンテスとの衝突で、肋骨も数本折れているのだ。
立ち上がるだけでも驚異的な精神力が成せる技なのだ。

「はぁっ・・・はぁっ・・・へっ、俺の魔道具、反射のナイフは・・・受け止めた攻撃を、そっくりそのまま相手に返す・・・てめぇの体を傷つけたのは、てめぇ自身って事だ・・・」

ガルバンの戦斧をナイフで受け止めた時点で、その威力も何もかもをナイフは吸収しているのだ。
そのため反射のナイフに接触している限り、ガルバンの戦斧は攻撃の力がゼロになり、ヴァンのナイフ一本さえどうにもできなかったのである。
これが倒れたままナイフ一本で、ガルバンの戦斧を止められた秘密である。

不敵に笑うヴァンは、右手に握るナイフをガルバンに突き付けた。

「ゲホッ・・・はぁ、はぁ・・・それだけでけぇ傷をつけれるなんて、本当にすげぇパワーだな・・・次の一撃で、てめぇを倒せそうだ・・・」

内臓を痛めたようだ、口から血を吐き散らした。
骨を折った痛みが脳に響き眩暈まで起きる。今にも倒れそうになるが、気力で踏みとどまった。

しかしそれでもヴァンはガルバンを正面から見据えた。
けっして退くわけにはいかない。クインズベリーの勝利のためには、この男をここで倒さなければならない。

「さぁ、かかってこい!てめぇはここで俺が倒す!」

治安部隊隊長ヴァン・エストラーダ。
誇りとプライド、そして祖国への愛情を懸けてルーベン・ガルバンに挑む。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界でカイゼン

soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)  この物語は、よくある「異世界転生」ものです。  ただ ・転生時にチート能力はもらえません ・魔物退治用アイテムももらえません ・そもそも魔物退治はしません ・農業もしません ・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます  そこで主人公はなにをするのか。  改善手法を使った問題解決です。  主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。  そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。 「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」 ということになります。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

処理中です...