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1383 魔法使いならぬ動き
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帝国軍第五師団長にして、青魔法兵団団長ジェリメール・カシレロ。
年齢は30前後、身長は170cmないくらいだろう。短い金色の髪を上に立て、深紅のローブの中から見える首元には、金の太いチェーンを下げている。
「シーサケットは俺の弟でよ、これで優秀なヤツなんだ。こんなとこで殺させるわけにはいかねぇな」
まるで散歩でもするように、カシレロはゆっくりと歩き近づいて来る。
マレスは右手に握る煉極刃に力を込め、このまま押し通そうと試みた。結界さえなければ、あと数センチで倒れているシーサケットを斬る事ができる。強い魔力を持った敵は、できればここで仕留めておきたかった。だがカシレロの結界は押すくらいではビクともせず、簡単には破る事はできそうになかった。
「無駄だって、お前俺をなめてんのか?俺は何万人もいる帝国軍の青魔法使いの頂点に立ってんだぜ?そのくれぇで破壊できると思ってんのかよ?」
「・・・ふん、そのようだな」
マレスは剣を引くと後ろに跳んで、近づいて来るカシレロから数メートルの距離を取った。
魔法使いが体力型に近づいて来る時は、近距離で使う必要がある魔道具を持っている場合が多い。
特に攻撃魔法を使えない、青魔法使いと白魔法使いならば猶更である。
青魔法使いのカシレロが自分に近づいてくるのは、何かしらの攻撃系の魔道具を使用する糸がある、そういう見極めだった。
しかし剣を握りしめ、視線の先にいたカシレロに切っ先を向けたその時、マレスは己が目を疑った。
「っ!?」
いない?まさか?どこに消えた?俺がカシレロから視線を切ったのは下がる時のほんの一瞬だ。一秒にも満たないその一瞬で、魔法使いが体力型の俺から消えるなんてできるのか?魔法か?しかし姿を消す魔法何て・・・・・っ!?
かすかな風の動き、気配、さまざまな要素はあったが、ほとんど直感だった。
マレスが顔を上げるとそこには、逆手にナイフを握りしめたカシレロが、上空から降って来たのだ。
「なっ!?」
「シャァァァァァーーーーーーーッツ!」
なぜ上から!?どうやってあの高さまで!?
そんな考えが頭をよぎったが、考えこむ暇も余裕もなかった。マレスは咄嗟に身を翻したが、カシレロのナイフはわずかにマレスの右の頬を切り裂いた。
「くっ、き、貴様!」
「よっとぉ!・・・今のをよく躱したなぁ?たいていのヤツはこれで死ぬんだが、たまにお前みてぇに勘の良いヤツもいるんだよ、俺と戦うのはとりあえず合格ってとこだなぁ!」
カシレロは着地と同時に、軽やかに後ろに跳んで距離を取った。
この一連の動きに加え、あの高さから飛び降りて足にダメージさえ負わないなど、ただの魔法使いには到底不可能なものだった。
「・・・何をした?魔法使いがあそこまで高く跳べるはずがない。一瞬で俺の視界から消えるスピードに、あの跳躍力、魔道具か?」
頬から流れる血を拭うと、マレスは再び煉極刃を握り直して、カシレロを睨みつけた。
「あぁ~?手の内教える馬鹿がいるかよ?って言いたいとこだけどよ、一度見せたらこの通り能力はバレるからな、特別に教えてやるよ。てめぇの考え通りタネはこの魔道具、遊永の靴だ」
カシレロはナイフの先を自分の足元に向けた。
それを追ってマレスが視線を下げる。気にも留めていなかったが、カシレロの履いている靴は暗めの茶色のブーツで、底はやけに厚く、爪先は外側から金属で補強されていた。
見るからに重そうな靴だった。これであんな動きができるのか?
考えが顔に出たのか、カシレロは軽薄な笑みを浮かべて口を開いた。
「ふはははは、こんなゴツイ靴で跳べんのかよってか?馬鹿が、てめぇはたった今見たばっかだろ?見た目で判断すんのは三流だぜ?こいつはな、200年前のカエストゥスとの戦争でも、俺の先祖が使ってた魔道具なんだよ。カシレロ一族に伝わる魔道具だ。なめんじゃねぇぞ」
今代のカシレロは知る由もないが、当時の皇帝ローランド・ライアンに仕えていたジャリエール・カシレロは、この魔道具を使い遠く離れた場所にいたテリーの息子ケビンを、その母であるキャラから攫い、更にそのまま戦場まで戻って来た経緯がある。そこまでできる機動力のある靴なのだ。
まるで羽の生えたように高く跳び、目にも止まらぬ程の速さで動く事のできる遊永の靴。
それがどれほどのものか、マレスはこの一度の攻防だけで肌で感じ取っていた。
「なるほどな・・・確かに優れた魔道具だ。それは認めよう、だが使い手が貴様ではせっかく魔道具が泣くぞ」
マレスは両手で剣を握ると、剣の先をカシレロの目の位置に向け、中段に構えた。
「・・・あ?てめぇ、なめてんのか?」
「事実を言っただけだ。さっきからヘラヘラとみっともない、それでよく師団長が務まるな?」
淡々と話すマレスの言葉が、カシレロの勘に触った。
「・・・ほざきやがったなカスが!だったらてめぇで証明してみろよ!」
強く言葉を発すると、カシレロの姿が消えた。
年齢は30前後、身長は170cmないくらいだろう。短い金色の髪を上に立て、深紅のローブの中から見える首元には、金の太いチェーンを下げている。
「シーサケットは俺の弟でよ、これで優秀なヤツなんだ。こんなとこで殺させるわけにはいかねぇな」
まるで散歩でもするように、カシレロはゆっくりと歩き近づいて来る。
マレスは右手に握る煉極刃に力を込め、このまま押し通そうと試みた。結界さえなければ、あと数センチで倒れているシーサケットを斬る事ができる。強い魔力を持った敵は、できればここで仕留めておきたかった。だがカシレロの結界は押すくらいではビクともせず、簡単には破る事はできそうになかった。
「無駄だって、お前俺をなめてんのか?俺は何万人もいる帝国軍の青魔法使いの頂点に立ってんだぜ?そのくれぇで破壊できると思ってんのかよ?」
「・・・ふん、そのようだな」
マレスは剣を引くと後ろに跳んで、近づいて来るカシレロから数メートルの距離を取った。
魔法使いが体力型に近づいて来る時は、近距離で使う必要がある魔道具を持っている場合が多い。
特に攻撃魔法を使えない、青魔法使いと白魔法使いならば猶更である。
青魔法使いのカシレロが自分に近づいてくるのは、何かしらの攻撃系の魔道具を使用する糸がある、そういう見極めだった。
しかし剣を握りしめ、視線の先にいたカシレロに切っ先を向けたその時、マレスは己が目を疑った。
「っ!?」
いない?まさか?どこに消えた?俺がカシレロから視線を切ったのは下がる時のほんの一瞬だ。一秒にも満たないその一瞬で、魔法使いが体力型の俺から消えるなんてできるのか?魔法か?しかし姿を消す魔法何て・・・・・っ!?
かすかな風の動き、気配、さまざまな要素はあったが、ほとんど直感だった。
マレスが顔を上げるとそこには、逆手にナイフを握りしめたカシレロが、上空から降って来たのだ。
「なっ!?」
「シャァァァァァーーーーーーーッツ!」
なぜ上から!?どうやってあの高さまで!?
そんな考えが頭をよぎったが、考えこむ暇も余裕もなかった。マレスは咄嗟に身を翻したが、カシレロのナイフはわずかにマレスの右の頬を切り裂いた。
「くっ、き、貴様!」
「よっとぉ!・・・今のをよく躱したなぁ?たいていのヤツはこれで死ぬんだが、たまにお前みてぇに勘の良いヤツもいるんだよ、俺と戦うのはとりあえず合格ってとこだなぁ!」
カシレロは着地と同時に、軽やかに後ろに跳んで距離を取った。
この一連の動きに加え、あの高さから飛び降りて足にダメージさえ負わないなど、ただの魔法使いには到底不可能なものだった。
「・・・何をした?魔法使いがあそこまで高く跳べるはずがない。一瞬で俺の視界から消えるスピードに、あの跳躍力、魔道具か?」
頬から流れる血を拭うと、マレスは再び煉極刃を握り直して、カシレロを睨みつけた。
「あぁ~?手の内教える馬鹿がいるかよ?って言いたいとこだけどよ、一度見せたらこの通り能力はバレるからな、特別に教えてやるよ。てめぇの考え通りタネはこの魔道具、遊永の靴だ」
カシレロはナイフの先を自分の足元に向けた。
それを追ってマレスが視線を下げる。気にも留めていなかったが、カシレロの履いている靴は暗めの茶色のブーツで、底はやけに厚く、爪先は外側から金属で補強されていた。
見るからに重そうな靴だった。これであんな動きができるのか?
考えが顔に出たのか、カシレロは軽薄な笑みを浮かべて口を開いた。
「ふはははは、こんなゴツイ靴で跳べんのかよってか?馬鹿が、てめぇはたった今見たばっかだろ?見た目で判断すんのは三流だぜ?こいつはな、200年前のカエストゥスとの戦争でも、俺の先祖が使ってた魔道具なんだよ。カシレロ一族に伝わる魔道具だ。なめんじゃねぇぞ」
今代のカシレロは知る由もないが、当時の皇帝ローランド・ライアンに仕えていたジャリエール・カシレロは、この魔道具を使い遠く離れた場所にいたテリーの息子ケビンを、その母であるキャラから攫い、更にそのまま戦場まで戻って来た経緯がある。そこまでできる機動力のある靴なのだ。
まるで羽の生えたように高く跳び、目にも止まらぬ程の速さで動く事のできる遊永の靴。
それがどれほどのものか、マレスはこの一度の攻防だけで肌で感じ取っていた。
「なるほどな・・・確かに優れた魔道具だ。それは認めよう、だが使い手が貴様ではせっかく魔道具が泣くぞ」
マレスは両手で剣を握ると、剣の先をカシレロの目の位置に向け、中段に構えた。
「・・・あ?てめぇ、なめてんのか?」
「事実を言っただけだ。さっきからヘラヘラとみっともない、それでよく師団長が務まるな?」
淡々と話すマレスの言葉が、カシレロの勘に触った。
「・・・ほざきやがったなカスが!だったらてめぇで証明してみろよ!」
強く言葉を発すると、カシレロの姿が消えた。
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