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1460 導く風
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「・・・ふん、しぶといヤツだ」
闇の瘴気が立ち込める中、ゆっくりと起き上がる影を見て、アルバレスは面倒そうに言葉を吐き捨てた。
「ハァッ・・・ハァッ・・・」
ビンセントは膝に手を乗せながら立ち上がった。
闇の波動は凄まじい威力だった。爆風を全身にぶつけられたような大きな衝撃を受け、堪えられずに倒されてしまったのだ。
咄嗟に全ての風を防御に回した事で致命傷は避けられたが、それでも受けたダメージは大きかった。
こ、これが、闇の波動か・・・・・風の護りが無ければ、死んでいたかもしれない・・・・・
衣服はところどころが焼け焦げていた。一見すると炎で焼かれたように見えるが、焼け焦げた部分からは黒い瘴気が漂っていた。闇の波動とは、熱を帯びた瘴気なのかもしれない。
そして外傷よりも、内部に受けたダメージの方が深刻だった。
「ぐっ、これは・・・」
くそ、足が震えてうまく力がはいらない・・・頭も痛むし視界がぶれる。
確かに闇の波動の威力は凄まじいものだった、だが、これは、このダメージは・・・・・
「めんどうくせぇな、もう一発くれてやるから死んでおけよ」
アルバレスは闇で形作った右手をビンセントに向けると、瘴気の波動を撃ち放った!
「ぐっ!」
反射的に体を捻り、地面に転がって闇の波動を躱す。しかしアルバレスは間髪入れずに二発目、三発目を撃ちビンセントを追い詰める。
「オラオラ!逃げんじゃねぇよ!さっさと死ね!」
「ぐぅっ!」
だめだ、もう一発くらうのは絶対にまずい!あの波動は体の内部にもダメージを与えるんだ。
俺が感じているこの脱力感、まるで病にでもかかったような目眩や頭痛、これは闇が体内を蝕んでいるんだ。
こんなものを生身でくらうのは絶対にだめだ!
ビンセントはアルバレスの闇の波動を、泥にまみれながら躱していた。
まさか体の内部を闇に蝕まれるとは思わず、少なからず動揺して周りが見えていなかったのかもしれない。
今のアルバレスは人の皮を顔に被ってはいるが、その体は黒い瘴気で形作っている闇の化身である。
「馬鹿め!かかったな!」
瘴気とは空気も同じである。当然アルバレスは体の構造を変える事もできる。
「ッ!?」
一瞬遅れて気付いた時にはもう遅い。
ビンセントの目の前に、まるで蛇のように伸びたアルバレスの大きな手が、待ち構えていたように現れた。
そして鋭く尖らせた黒い五本の指を鉤爪(かぎつめ)のように曲げ、ビンセントの頭を覆う。
「今度こそ死ね」
闇の爪が振り下ろされ、真っ赤な血が飛び散った。
「・・・てめぇ、本当にしぶといな。苛々してくるぜ」
地面に突き刺さった闇の爪を引き抜きくと、アルバレスは真っ黒な口を動かし、忌々し気に言葉を発した。
ギリギリだったが、ビンセントは反射的に一歩後ろに身を引いた事で、致命傷は避けられたのだ。
だがアルバレスはすぐにニヤリと、黒い口で嗤った。
そして自分の前で片膝を着き、下を向きながら右手で顔を押さえている、短剣使いの男を見下ろして言葉を続けた。
「くっくっく、だがよぉ、けっこう深くいったみてぇだな?」
嘲笑うアルバレスの言葉に、ビンセントは顔を上げて右手を下ろした。
「その傷じゃもう終わりだ。見えなきゃ戦えねぇもんなぁ?」
額から頬にかけて、縦に裂けた四本の大きな傷。そのうちの一本は右目を、一本は左目を、ビンセントは両目を切られ光を失った。
流れ出る血液がビンセントの顔を真っ赤に染める。出血は多く、このままでは長くは持たないだろう
「はぁっ・・・はぁっ・・・ふぅ・・・・・」
激しい痛みに苦悶の表情を浮かべながら、ビンセントは足元を探り、落としていた右の短剣を拾い握り締めた。
「ふはははははは!なんだ!?剣を握るって事はまだあきらめてねぇのか!?いい根性だと褒めてやりたいところだが・・・いい加減にしつけぇよ・・・・・」
ビンセントの顔は、まだ戦いを諦めていなかった。
目をやられても剣を取り、アルバレスと戦う姿勢を見せる。嘲笑していたアルバレスだったが、立ち上がろうとするビンセントに、激しい苛立ちを覚えて左腕を振り上げた!
「頭から真っ二つにしてやる!」
カスが!イライラさせやがって!大人しく死ね!
振り下ろされた左手の指は、まるで刃物のように鋭い。
ビンセントの目を奪った闇の鉤爪が、今度こそ頭を切り裂く!
・・・・・と思われた。
「・・・・・な、に?」
「・・・・・アルバレス、目を奪ったくらいで勝ったと思ったか?」
アルバレスは驚きを隠せなかった。
振り下ろした瘴気の爪を、光を失った男が両手の短剣で受け止めたからだ。
まるで見えているとしか思えないくらい、確実に狙いを付けて。
「・・・チッ、まぐれだ!」
ビンセントは今、両手の短剣でアルバレスの左の爪を受け止めている。
ならばガラ空きの胴を、右の瘴気の腕で斬り飛ばす!
アルバレスは右手も刃のように鋭く尖らせると、ビンセントの左の胴に向けて一刀両断に振り抜いた!
「なッ!?バカな!?」
「・・・アルバレス、言っておこう。俺は目が見えなくとも戦える・・・」
空に跳び上がってアルバレスの右腕を躱したビンセントは、その顔をアルバレスに向けて静かに口を開いた。
目は見えない。
だがビンセントは、正確にアルバレスを捉えていた。
「カエストゥスの風が導いてくれるからな」
闇の瘴気が立ち込める中、ゆっくりと起き上がる影を見て、アルバレスは面倒そうに言葉を吐き捨てた。
「ハァッ・・・ハァッ・・・」
ビンセントは膝に手を乗せながら立ち上がった。
闇の波動は凄まじい威力だった。爆風を全身にぶつけられたような大きな衝撃を受け、堪えられずに倒されてしまったのだ。
咄嗟に全ての風を防御に回した事で致命傷は避けられたが、それでも受けたダメージは大きかった。
こ、これが、闇の波動か・・・・・風の護りが無ければ、死んでいたかもしれない・・・・・
衣服はところどころが焼け焦げていた。一見すると炎で焼かれたように見えるが、焼け焦げた部分からは黒い瘴気が漂っていた。闇の波動とは、熱を帯びた瘴気なのかもしれない。
そして外傷よりも、内部に受けたダメージの方が深刻だった。
「ぐっ、これは・・・」
くそ、足が震えてうまく力がはいらない・・・頭も痛むし視界がぶれる。
確かに闇の波動の威力は凄まじいものだった、だが、これは、このダメージは・・・・・
「めんどうくせぇな、もう一発くれてやるから死んでおけよ」
アルバレスは闇で形作った右手をビンセントに向けると、瘴気の波動を撃ち放った!
「ぐっ!」
反射的に体を捻り、地面に転がって闇の波動を躱す。しかしアルバレスは間髪入れずに二発目、三発目を撃ちビンセントを追い詰める。
「オラオラ!逃げんじゃねぇよ!さっさと死ね!」
「ぐぅっ!」
だめだ、もう一発くらうのは絶対にまずい!あの波動は体の内部にもダメージを与えるんだ。
俺が感じているこの脱力感、まるで病にでもかかったような目眩や頭痛、これは闇が体内を蝕んでいるんだ。
こんなものを生身でくらうのは絶対にだめだ!
ビンセントはアルバレスの闇の波動を、泥にまみれながら躱していた。
まさか体の内部を闇に蝕まれるとは思わず、少なからず動揺して周りが見えていなかったのかもしれない。
今のアルバレスは人の皮を顔に被ってはいるが、その体は黒い瘴気で形作っている闇の化身である。
「馬鹿め!かかったな!」
瘴気とは空気も同じである。当然アルバレスは体の構造を変える事もできる。
「ッ!?」
一瞬遅れて気付いた時にはもう遅い。
ビンセントの目の前に、まるで蛇のように伸びたアルバレスの大きな手が、待ち構えていたように現れた。
そして鋭く尖らせた黒い五本の指を鉤爪(かぎつめ)のように曲げ、ビンセントの頭を覆う。
「今度こそ死ね」
闇の爪が振り下ろされ、真っ赤な血が飛び散った。
「・・・てめぇ、本当にしぶといな。苛々してくるぜ」
地面に突き刺さった闇の爪を引き抜きくと、アルバレスは真っ黒な口を動かし、忌々し気に言葉を発した。
ギリギリだったが、ビンセントは反射的に一歩後ろに身を引いた事で、致命傷は避けられたのだ。
だがアルバレスはすぐにニヤリと、黒い口で嗤った。
そして自分の前で片膝を着き、下を向きながら右手で顔を押さえている、短剣使いの男を見下ろして言葉を続けた。
「くっくっく、だがよぉ、けっこう深くいったみてぇだな?」
嘲笑うアルバレスの言葉に、ビンセントは顔を上げて右手を下ろした。
「その傷じゃもう終わりだ。見えなきゃ戦えねぇもんなぁ?」
額から頬にかけて、縦に裂けた四本の大きな傷。そのうちの一本は右目を、一本は左目を、ビンセントは両目を切られ光を失った。
流れ出る血液がビンセントの顔を真っ赤に染める。出血は多く、このままでは長くは持たないだろう
「はぁっ・・・はぁっ・・・ふぅ・・・・・」
激しい痛みに苦悶の表情を浮かべながら、ビンセントは足元を探り、落としていた右の短剣を拾い握り締めた。
「ふはははははは!なんだ!?剣を握るって事はまだあきらめてねぇのか!?いい根性だと褒めてやりたいところだが・・・いい加減にしつけぇよ・・・・・」
ビンセントの顔は、まだ戦いを諦めていなかった。
目をやられても剣を取り、アルバレスと戦う姿勢を見せる。嘲笑していたアルバレスだったが、立ち上がろうとするビンセントに、激しい苛立ちを覚えて左腕を振り上げた!
「頭から真っ二つにしてやる!」
カスが!イライラさせやがって!大人しく死ね!
振り下ろされた左手の指は、まるで刃物のように鋭い。
ビンセントの目を奪った闇の鉤爪が、今度こそ頭を切り裂く!
・・・・・と思われた。
「・・・・・な、に?」
「・・・・・アルバレス、目を奪ったくらいで勝ったと思ったか?」
アルバレスは驚きを隠せなかった。
振り下ろした瘴気の爪を、光を失った男が両手の短剣で受け止めたからだ。
まるで見えているとしか思えないくらい、確実に狙いを付けて。
「・・・チッ、まぐれだ!」
ビンセントは今、両手の短剣でアルバレスの左の爪を受け止めている。
ならばガラ空きの胴を、右の瘴気の腕で斬り飛ばす!
アルバレスは右手も刃のように鋭く尖らせると、ビンセントの左の胴に向けて一刀両断に振り抜いた!
「なッ!?バカな!?」
「・・・アルバレス、言っておこう。俺は目が見えなくとも戦える・・・」
空に跳び上がってアルバレスの右腕を躱したビンセントは、その顔をアルバレスに向けて静かに口を開いた。
目は見えない。
だがビンセントは、正確にアルバレスを捉えていた。
「カエストゥスの風が導いてくれるからな」
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