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1484 フェリックスの本心
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バーナード・ロブギンスに完敗した事で、フェリックス・ダラキアンはいくらか落ち着きを取り戻していた。今なら会話ができると見て、ロブギンスはフェリックスに言葉をかけた。
「フェリックス、この馬鹿やろう。なんであんなマネをした?」
「・・・・・・・分かりません」
「あ?分からんだと?」
天幕の中、両手を背中に回し、ロブギンスの前に立たされながら、フェリックスは目を合わせずに小さく答えた。
しかしその答えは到底納得のできるものではない。ロブギンスは眉間にシワを寄せて、フェリックスを鋭く見据えた。
「・・・・・なんか、イラっとしたんですよね。なんでも分かった感じで言われて。そこに団長の砂でやられて、キレちゃったって言うか」
答えなければ終わらない。そう察したフェリックスは、小さく息をついて話し始めた。
ヴァンがルナについてあれこれ口にした事が決定打だったわけだが、意図的かどうかはともかく、ヴァンはフェリックスが大事にしている部分に踏み込み過ぎた。
「・・・・・」
自分の事を言われているのは分かったが、ヴァンは僅かに視線を向けただけで、フェリックスに何かを言う事はなかった。
ヴァン自身、冷静になった今、自分の言動が稚拙なものであったと恥じているからだ。
フェリックスの性格など分かり切っていた。あの場でのフェリックスの緊張感の無い軽い態度も、いつもの事だと割り切っていればよかったのだ。
しかし自分の中で消化したはずのフェリックスへの感情、あの戦いで敗北した悔しさ、くすぶっていたものが沸々と蘇ってきたのだ。
なぜ自分はこんなてきとうな男に敗れたのだ?こんないい加減な態度の男が上に立っていいのか?これで帝国と戦えるのか?ここに来てまでこの態度で許されるのか?
その苛立ちから、フェリックスへつっかかってしまった。
冷静になった今では、自分こそなぜああも感情的になってしまったのかと、大いに反省している。
だからヴァンは何も言葉を口にせずに、ロブギンスの苦言を全て受けていた。
「・・・ヴァン、お前からは言いたい事はあるか?」
「いえ、何もありません。立場を忘れて恥ずべき行いをしました。申し訳ありません」
言い訳はしない。できる立場でもない。頭を下げて謝罪するヴァンに対して、フェリックスは特段表情を変えず、ロブギンスから顔を背けていた。
ヴァンとフェリックス、対照的な二人の態度を見比べて、ロブギンスは一度大きく息をついて言葉を発した。
「ふぅ・・・分かった。まぁ俺からこれ以上グダグダ言う気はない。今から帝国との決戦なんだ、お前らの処分は国に帰ってから下す。だからこれ以上騒ぎは起こすな。自分の隊に戻って任務に集中しろ。以上だ」
フェリックスが形だけの会釈をして天幕を出ると、ヴァンは深く一礼をして天幕を出た。
二人の後ろ姿を見送ると、ロブギンスはそれまでずっと黙って隣に立っていた闇の巫女ルナに声をかけた。
「はぁ~・・・さてと、悪かったな、大事な時にこんな事になってまって」
「いえ、そんな・・・ですが、フェリックス様はどうされてしまったのでしょうか?さっきまではいつも通りでしたのに。今はなんだか・・・少し怖い感じです」
話しを向けられたルナは、困惑を隠しきれずに小さな声で答えた。
マイペースなフェリックスだったが、憎まれ口を叩きながらもいつだって優しかった。
そのフェリックスが、今はなぜかイライラしていて粗雑な感じだった。ルナはいつもと違う様子に、少しの戸惑いと怖さを感じていた。
「そうだな、あいつはああ言ってたが、多分お前の事だ」
「え!わ、私ですか?私フェリックス様に、なにかしてしまいましたか?」
思いもよらず、まさか自分が原因だと指摘され、ルナは慌てて声を大きくしてしまう。
「ああ、悪い悪い。そういう意味じゃないんだ。ヴァンだよ、ヴァンがお前の事でフェリックスにつっかかったみたいなんだ。これも悪い意味じゃねぇぞ?ヴァンはフェリックスに、ルナをちゃんと護れんのかって感じの事を言ったらしいんだ。それがフェリックスは気に入らなかったんだな」
「・・・えっと、それだけであんなに気を悪くされたのですか?私は皆さまにとてもよくしていただいてますし、フェリックス様も私を気にかけてくださってます。私は何も不満なんてありません」
「ルナ、お前がそう思ってくれてんのはいい。フェリックスの問題なんだ。微妙なとこなんだよ、多分だがフェリックスはお前との関係に、人から口出ししてほしくねぇんだ。どんな内容でもな」
だから怒ったんだよ。
そう話すロブギンスは呆れたような口調だったが、少しだけ笑っているようにも見えた。
「行ってやってくれねぇか?お前が一緒にいれば、フェリックスの機嫌も治るだろ」
ロブギンスの言葉通りならば、フェリックスは自分に好意を持っている。そう受け止めていいだろう。
まさかそんな理由でフェリックスが機嫌を損ねたとは思わなかったが、ルナは少しだけ嬉しさも感じていた。
「はい、分かりました。では行ってまいります」
努めて落ち着いて返事をしたつもりだったが、ルナの足取りは軽く、フェリックスの後を追って天幕を出て行った。
「フェリックス、この馬鹿やろう。なんであんなマネをした?」
「・・・・・・・分かりません」
「あ?分からんだと?」
天幕の中、両手を背中に回し、ロブギンスの前に立たされながら、フェリックスは目を合わせずに小さく答えた。
しかしその答えは到底納得のできるものではない。ロブギンスは眉間にシワを寄せて、フェリックスを鋭く見据えた。
「・・・・・なんか、イラっとしたんですよね。なんでも分かった感じで言われて。そこに団長の砂でやられて、キレちゃったって言うか」
答えなければ終わらない。そう察したフェリックスは、小さく息をついて話し始めた。
ヴァンがルナについてあれこれ口にした事が決定打だったわけだが、意図的かどうかはともかく、ヴァンはフェリックスが大事にしている部分に踏み込み過ぎた。
「・・・・・」
自分の事を言われているのは分かったが、ヴァンは僅かに視線を向けただけで、フェリックスに何かを言う事はなかった。
ヴァン自身、冷静になった今、自分の言動が稚拙なものであったと恥じているからだ。
フェリックスの性格など分かり切っていた。あの場でのフェリックスの緊張感の無い軽い態度も、いつもの事だと割り切っていればよかったのだ。
しかし自分の中で消化したはずのフェリックスへの感情、あの戦いで敗北した悔しさ、くすぶっていたものが沸々と蘇ってきたのだ。
なぜ自分はこんなてきとうな男に敗れたのだ?こんないい加減な態度の男が上に立っていいのか?これで帝国と戦えるのか?ここに来てまでこの態度で許されるのか?
その苛立ちから、フェリックスへつっかかってしまった。
冷静になった今では、自分こそなぜああも感情的になってしまったのかと、大いに反省している。
だからヴァンは何も言葉を口にせずに、ロブギンスの苦言を全て受けていた。
「・・・ヴァン、お前からは言いたい事はあるか?」
「いえ、何もありません。立場を忘れて恥ずべき行いをしました。申し訳ありません」
言い訳はしない。できる立場でもない。頭を下げて謝罪するヴァンに対して、フェリックスは特段表情を変えず、ロブギンスから顔を背けていた。
ヴァンとフェリックス、対照的な二人の態度を見比べて、ロブギンスは一度大きく息をついて言葉を発した。
「ふぅ・・・分かった。まぁ俺からこれ以上グダグダ言う気はない。今から帝国との決戦なんだ、お前らの処分は国に帰ってから下す。だからこれ以上騒ぎは起こすな。自分の隊に戻って任務に集中しろ。以上だ」
フェリックスが形だけの会釈をして天幕を出ると、ヴァンは深く一礼をして天幕を出た。
二人の後ろ姿を見送ると、ロブギンスはそれまでずっと黙って隣に立っていた闇の巫女ルナに声をかけた。
「はぁ~・・・さてと、悪かったな、大事な時にこんな事になってまって」
「いえ、そんな・・・ですが、フェリックス様はどうされてしまったのでしょうか?さっきまではいつも通りでしたのに。今はなんだか・・・少し怖い感じです」
話しを向けられたルナは、困惑を隠しきれずに小さな声で答えた。
マイペースなフェリックスだったが、憎まれ口を叩きながらもいつだって優しかった。
そのフェリックスが、今はなぜかイライラしていて粗雑な感じだった。ルナはいつもと違う様子に、少しの戸惑いと怖さを感じていた。
「そうだな、あいつはああ言ってたが、多分お前の事だ」
「え!わ、私ですか?私フェリックス様に、なにかしてしまいましたか?」
思いもよらず、まさか自分が原因だと指摘され、ルナは慌てて声を大きくしてしまう。
「ああ、悪い悪い。そういう意味じゃないんだ。ヴァンだよ、ヴァンがお前の事でフェリックスにつっかかったみたいなんだ。これも悪い意味じゃねぇぞ?ヴァンはフェリックスに、ルナをちゃんと護れんのかって感じの事を言ったらしいんだ。それがフェリックスは気に入らなかったんだな」
「・・・えっと、それだけであんなに気を悪くされたのですか?私は皆さまにとてもよくしていただいてますし、フェリックス様も私を気にかけてくださってます。私は何も不満なんてありません」
「ルナ、お前がそう思ってくれてんのはいい。フェリックスの問題なんだ。微妙なとこなんだよ、多分だがフェリックスはお前との関係に、人から口出ししてほしくねぇんだ。どんな内容でもな」
だから怒ったんだよ。
そう話すロブギンスは呆れたような口調だったが、少しだけ笑っているようにも見えた。
「行ってやってくれねぇか?お前が一緒にいれば、フェリックスの機嫌も治るだろ」
ロブギンスの言葉通りならば、フェリックスは自分に好意を持っている。そう受け止めていいだろう。
まさかそんな理由でフェリックスが機嫌を損ねたとは思わなかったが、ルナは少しだけ嬉しさも感じていた。
「はい、分かりました。では行ってまいります」
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