異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
1,485 / 1,560

1484 フェリックスの本心

しおりを挟む
バーナード・ロブギンスに完敗した事で、フェリックス・ダラキアンはいくらか落ち着きを取り戻していた。今なら会話ができると見て、ロブギンスはフェリックスに言葉をかけた。

「フェリックス、この馬鹿やろう。なんであんなマネをした?」

「・・・・・・・分かりません」

「あ?分からんだと?」

天幕の中、両手を背中に回し、ロブギンスの前に立たされながら、フェリックスは目を合わせずに小さく答えた。
しかしその答えは到底納得のできるものではない。ロブギンスは眉間にシワを寄せて、フェリックスを鋭く見据えた。

「・・・・・なんか、イラっとしたんですよね。なんでも分かった感じで言われて。そこに団長の砂でやられて、キレちゃったって言うか」

答えなければ終わらない。そう察したフェリックスは、小さく息をついて話し始めた。
ヴァンがルナについてあれこれ口にした事が決定打だったわけだが、意図的かどうかはともかく、ヴァンはフェリックスが大事にしている部分に踏み込み過ぎた。


「・・・・・」

自分の事を言われているのは分かったが、ヴァンは僅かに視線を向けただけで、フェリックスに何かを言う事はなかった。

ヴァン自身、冷静になった今、自分の言動が稚拙なものであったと恥じているからだ。

フェリックスの性格など分かり切っていた。あの場でのフェリックスの緊張感の無い軽い態度も、いつもの事だと割り切っていればよかったのだ。

しかし自分の中で消化したはずのフェリックスへの感情、あの戦いで敗北した悔しさ、くすぶっていたものが沸々と蘇ってきたのだ。

なぜ自分はこんなてきとうな男に敗れたのだ?こんないい加減な態度の男が上に立っていいのか?これで帝国と戦えるのか?ここに来てまでこの態度で許されるのか?

その苛立ちから、フェリックスへつっかかってしまった。
冷静になった今では、自分こそなぜああも感情的になってしまったのかと、大いに反省している。
だからヴァンは何も言葉を口にせずに、ロブギンスの苦言を全て受けていた。


「・・・ヴァン、お前からは言いたい事はあるか?」

「いえ、何もありません。立場を忘れて恥ずべき行いをしました。申し訳ありません」

言い訳はしない。できる立場でもない。頭を下げて謝罪するヴァンに対して、フェリックスは特段表情を変えず、ロブギンスから顔を背けていた。

ヴァンとフェリックス、対照的な二人の態度を見比べて、ロブギンスは一度大きく息をついて言葉を発した。

「ふぅ・・・分かった。まぁ俺からこれ以上グダグダ言う気はない。今から帝国との決戦なんだ、お前らの処分は国に帰ってから下す。だからこれ以上騒ぎは起こすな。自分の隊に戻って任務に集中しろ。以上だ」

フェリックスが形だけの会釈をして天幕を出ると、ヴァンは深く一礼をして天幕を出た。
二人の後ろ姿を見送ると、ロブギンスはそれまでずっと黙って隣に立っていた闇の巫女ルナに声をかけた。


「はぁ~・・・さてと、悪かったな、大事な時にこんな事になってまって」

「いえ、そんな・・・ですが、フェリックス様はどうされてしまったのでしょうか?さっきまではいつも通りでしたのに。今はなんだか・・・少し怖い感じです」

話しを向けられたルナは、困惑を隠しきれずに小さな声で答えた。
マイペースなフェリックスだったが、憎まれ口を叩きながらもいつだって優しかった。
そのフェリックスが、今はなぜかイライラしていて粗雑な感じだった。ルナはいつもと違う様子に、少しの戸惑いと怖さを感じていた。

「そうだな、あいつはああ言ってたが、多分お前の事だ」

「え!わ、私ですか?私フェリックス様に、なにかしてしまいましたか?」

思いもよらず、まさか自分が原因だと指摘され、ルナは慌てて声を大きくしてしまう。

「ああ、悪い悪い。そういう意味じゃないんだ。ヴァンだよ、ヴァンがお前の事でフェリックスにつっかかったみたいなんだ。これも悪い意味じゃねぇぞ?ヴァンはフェリックスに、ルナをちゃんと護れんのかって感じの事を言ったらしいんだ。それがフェリックスは気に入らなかったんだな」

「・・・えっと、それだけであんなに気を悪くされたのですか?私は皆さまにとてもよくしていただいてますし、フェリックス様も私を気にかけてくださってます。私は何も不満なんてありません」

「ルナ、お前がそう思ってくれてんのはいい。フェリックスの問題なんだ。微妙なとこなんだよ、多分だがフェリックスはお前との関係に、人から口出ししてほしくねぇんだ。どんな内容でもな」

だから怒ったんだよ。

そう話すロブギンスは呆れたような口調だったが、少しだけ笑っているようにも見えた。


「行ってやってくれねぇか?お前が一緒にいれば、フェリックスの機嫌も治るだろ」

ロブギンスの言葉通りならば、フェリックスは自分に好意を持っている。そう受け止めていいだろう。
まさかそんな理由でフェリックスが機嫌を損ねたとは思わなかったが、ルナは少しだけ嬉しさも感じていた。

「はい、分かりました。では行ってまいります」

努めて落ち着いて返事をしたつもりだったが、ルナの足取りは軽く、フェリックスの後を追って天幕を出て行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界でカイゼン

soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)  この物語は、よくある「異世界転生」ものです。  ただ ・転生時にチート能力はもらえません ・魔物退治用アイテムももらえません ・そもそも魔物退治はしません ・農業もしません ・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます  そこで主人公はなにをするのか。  改善手法を使った問題解決です。  主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。  そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。 「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」 ということになります。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

処理中です...