異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1483 勝利する条件

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「あれが噂に聞くロブギンス団長の魔道具、砂殺しか・・・すさまじいな」

ジーン・ハワードは独り言のように呟いた。

クインズベリー国軍団長バーナード・ロブギンスの魔道具は、砂を自由に操る事ができる籠手(こて)、砂殺しである。
砂を操る事ができる。能力自体は単純なものだが、それゆえに強い。
ロブギンスが齢七十を迎えても、いまだ一国の軍団長に君臨できる理由は、この砂殺しによるところが大きい。
特に今回の決戦地である帝国は、見渡す限りが砂地である。これはロブギンスにとって絶好の戦場であった。
だがしかし、魔道具とは本来、魔力と引き換えに使用する物である。
ジャレットのオーラブレードのように、体力と引き換えに使える物もあるが、なにかしらを消耗しながら使う物が多い。

ロブギンスの砂殺しは、今この場でフェリックスを相手に見せたが、これほどの力を持った魔道具が、何も無しに使えるなどあるはずがないのだ。

では魔力を持たない体力型であるロブギンスが、どうやってこれ程の魔道具を操れるのか?

その秘密はロブギンスは誰にも明かしていない。
だがロブギンスは軽々に砂殺しを使用する事はない。この場にいる数万の兵達も、噂に聞いたくらいで、実際に目にした事がある者はほとんどいない。それほど時と場所を考えて使われる魔道具なのだ。

力の代償は決して軽くはない。



「ジーン、あの砂がロブギンス軍団長の魔道具なのか?」

「アラタ、うん、そうだよ。僕も実際に見るのは初めてなんだ。砂殺しって名前だけは知ってたけど、その名の通りだよ。本当にすごいパワーだ」

「砂殺し?すげぇ名前だな。見たところ、砂を自由に操れるって感じなのかな?だとしたら帝国なんて全部砂なんだから、めちゃくちゃ有利なんじゃないか?」

アラタの言葉通り、帝国は砂漠地帯であり、目に見える限りどこまでも砂しかない。
ロブギンスが砂を自由に操れるのならば、この戦いにおいて圧倒的優位に立てるだろう。

しかし期待を込めたアラタの反応とは反対に、ジーンの表情は硬く、何かを思案するように少しの間口を閉じた。そして考えがまとまると、アラタに顔を向けてゆっくりと話し始めた。

「・・・多分、そう簡単な話しではないと思う。ロブギンス軍団長の砂殺しは、大きな代償があるはずだ。特に体力型があれほどの魔道具を使うのなら、相当なはずだよ」

ジーンの推測を聞いて、アラタもハッとしたように目を開いた。

「代償?あ、それって俺やジャレットさんみたく、体力を消耗するとか?」

「その可能性ももちろんあるけど、それ以上の何かかもしれない。いずれにしても、かなりのものだと思うよ。だから何十年という長い間、軍に身を置きながら、その魔道具は噂に聞く程度にしか知られていなかったんだ」

「そうか・・・なんだかすごいな。けど、さっき見た感じだと全然平気そうだったけど」

「使用した時間が短かったからね。負担が少なかったのかもしれない。それに軍団長という立場がある。多少キツくても、弱みは決して見せられないよ。ロブギンス軍団長はクインズベリーを背負ってここに来ているんだから」

なるほど、ジーンの説明を聞いて納得したアラタは、先ほどロブギンス達が入って行った天幕に目を目を向けた。


フェリックスとヴァンの衝突から始まり、ロブギンスが仲裁する形で入った。
砂で拘束して落ち着かせるつもりだったが、フェリックスは治まるどころか闘気を放出し、暴走とも呼べる行動に出た。
結局はロブギンスが力づくで押さえこみ、収拾を図る結果となった。

そして問題を起こした当事者であるもう一人、治安部隊隊長のヴァンは、フェリックスと共にロブギンスに連れられて、現在は天幕の中にいる。
今回の行動は、騎士団と治安部隊をまとめる者として、起こしてはならない問題行動だった。


「・・・どうなるのかな?」

「これが平常時であったら、謹慎処分にはなっていたはずだよ。でも今はもう帝国が目の前だ。ここでフェリックスとヴァンの二人に、処分なんてできないと思う。だから今は厳重注意というところじゃないかな。そう大事にはしないと思うよ」

「へぇ・・・前から思ってたけど、ジーンってすごいよな」

「え?アラタ、急にどうしたの?」

アラタが腕を組みながら、感心したようにうなずき話すと、ジーンは目をパチパチさせた。

「いやさ、いっつも冷静だし、今だってよくそこまで考えつくなって。俺はそういうの全然気が付かなくてさ」

「ははは、そうかな?僕からしたら、アラタの方がすごいけどね。キミはいつだって真っすぐで決して諦めない。それって考えてできる事じゃないよ。アラタって、リーダーシップをとる感じじゃないけど、いつの間にか中心にいるんだよね。本当にすごいよ」

「え!?あ、いや・・・おいおいジーン、そんな褒めんなよ」

サラリと笑顔で褒めてくる友人に、アラタは返す言葉が思いつかず、笑ってごまかした。
褒められ慣れていないアラタは、こういう時反応が中途半端になる。

「アラタ、前から思っていたけど、キミは自己評価がずいぶん低い。キミがニホンにいた時の話しは聞いたけど、この世界の僕が知ってるアラタは、マルゴンに勝って、偽国王に勝って、ロンズデールを救った。これだけの実績があるんだよ?アラタ、キミはもっと自分に自信を持っていい」

「・・・ジーン」

「ははは、ちょっと偉そうだったかな?でも本心だよ」

この世界に来て初めてできた同い年の友人の言葉は、アラタの心を強く打った。


「アラタ、僕はこの戦争でクインズベリーが勝利する条件は、キミにあると思っているよ。だからもっと自信を持ってほしい」


・・・俺が、勝利する条件


ジーンはアラタの目を真っすぐに見て、自分の考えを、そして友人へのメッセージをハッキリと伝えた。

丁度その時、天幕が開いて中からフェリックス、ヴァン、ロブギンス、そして闇の巫女ルナを含めた四人が出て来た。


「あ、出て来たみたいだね」


行こうか、そう言って彼らの元に足を進めるジーンを追い、アラタも砂を踏んで歩き出した。
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