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なくしたハズのハンカチ
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「いや、好きか嫌いかって言われたらそりゃ好きだけど……」
「もしかして、他にも気になる人がいるの?」
思いっきり図星をつかれて俺は言葉が出なくなってしまう。言える訳がないけど。他にどころか三人も気になってるなんて。
「そっかぁーシュン可愛いもんね。皆がほっとかないの分かるよ。僕、応援してるから彼氏が出来たときは教えてね」
なんだろう……ライには不思議と全て見透かされてる様な気がする。俺、一言も相手が男だって言ってないのに。可愛い顔してなかなか侮れないな。
「何だかシュン今日は疲れてるね。何かあったの?」
「あーちょっとな……登山中に魔獣に襲われちゃっ」
「大丈夫だったの!? 怪我してない!?」
食い気味に詰め寄ってきたライに思わず口がポカンと開きっぱなしになっていた。はっと丸い目をますます丸くしたライが慌てて離れて頭を下げる。
「ごめんね、驚かせちゃって」
「いや、俺の方こそ」
「……怪我は、してないんだよね?」
ボディチェックでもするように念入りに、小さな手が俺の身体をぺたぺた触って確認する。
「うん。一緒にいたサルファー先輩が守ってくれたんだ。ただそのせいで先輩が怪我しちゃって」
「そっか、大変だったね……ごめんねシュン」
可愛らしい顔が今にも泣きそうなくらいに歪む。優しいな……自分のことみたいに辛そうだ。でも……
「何でライが謝るんだ?」
「嫌なこと、思い出させちゃったから」
「そっか……ライはホントに優しいな。ありがとう」
小さな頭をそっと撫でると……そんなことないよ、とぽつりと呟く声が聞こえた気がした。
「……ライ?」
「うーうん、何でもないよ」
無意識に俺は手を伸ばしていた。だって今にも消えてしまいそうに思ったんだ。どこか寂しそうに笑うライがなんだかとても儚く見えて。
だけど届かなかった。まるで落とし穴に落ちる様に俺の身体は闇に呑まれ、そこで意識がブラックアウトしていった。
「……い…………ろ……」
「……き……シュン……!」
誰かが俺を呼ぶ声がする。
目を開けようとしたけれど、瞼が重くてピクリとも動かない。
「おい! シュン! しっかりしろ!!」
やっとの思いでこじ開けると赤い髪の青年が必死の形相で俺を抱き抱えていた。
「……あれ? ダン、どうして」
「良かった……目が覚めたんだな……昨日の事が気になってよ、心配で早めに迎えに来たんだ。そんで何回インターホン鳴らしても反応がねぇから管理人の人に頼んで開けてもらったんだよ」
端末にも連絡したんだぜ、と告げられて枕元を見ると、画面に十数件の不在通知を知らせるメッセージが表示されていた。随分と心配をかけてしまったみたいだ。俺が寝坊助なせいで。
「大丈夫か? 病院、行くか?」
「ううん、大丈夫。疲れて寝起きが悪かったみたい。心配かけてごめんね、ありがとう」
「そっか……シュンがそう言うならそれでいいけどよ、何かあったらすぐ俺に言えよ?」
ダンはどこか腑に落ちない顔をしていたけれど、一応納得はしてくれみたいだ。眉間の皺を緩めてわずかに口元を綻ばせる。
「服、昨日のまんまじゃねーか……ほんとしょうがねーなシュンは。朝飯の準備するから顔洗って着替えてこいよ」
「うん。ありがとう、ダン」
微笑みながら俺の頭を撫でるとダンは台所に向かっていく。
ふと軍服のポケットに違和感を感じて中身をまさぐると、何故かこの前なくしたはずのハンカチが出てきた。俺は不思議に思いながらもハンカチをベッドに置いて洗面所へと足を向けた。
「もしかして、他にも気になる人がいるの?」
思いっきり図星をつかれて俺は言葉が出なくなってしまう。言える訳がないけど。他にどころか三人も気になってるなんて。
「そっかぁーシュン可愛いもんね。皆がほっとかないの分かるよ。僕、応援してるから彼氏が出来たときは教えてね」
なんだろう……ライには不思議と全て見透かされてる様な気がする。俺、一言も相手が男だって言ってないのに。可愛い顔してなかなか侮れないな。
「何だかシュン今日は疲れてるね。何かあったの?」
「あーちょっとな……登山中に魔獣に襲われちゃっ」
「大丈夫だったの!? 怪我してない!?」
食い気味に詰め寄ってきたライに思わず口がポカンと開きっぱなしになっていた。はっと丸い目をますます丸くしたライが慌てて離れて頭を下げる。
「ごめんね、驚かせちゃって」
「いや、俺の方こそ」
「……怪我は、してないんだよね?」
ボディチェックでもするように念入りに、小さな手が俺の身体をぺたぺた触って確認する。
「うん。一緒にいたサルファー先輩が守ってくれたんだ。ただそのせいで先輩が怪我しちゃって」
「そっか、大変だったね……ごめんねシュン」
可愛らしい顔が今にも泣きそうなくらいに歪む。優しいな……自分のことみたいに辛そうだ。でも……
「何でライが謝るんだ?」
「嫌なこと、思い出させちゃったから」
「そっか……ライはホントに優しいな。ありがとう」
小さな頭をそっと撫でると……そんなことないよ、とぽつりと呟く声が聞こえた気がした。
「……ライ?」
「うーうん、何でもないよ」
無意識に俺は手を伸ばしていた。だって今にも消えてしまいそうに思ったんだ。どこか寂しそうに笑うライがなんだかとても儚く見えて。
だけど届かなかった。まるで落とし穴に落ちる様に俺の身体は闇に呑まれ、そこで意識がブラックアウトしていった。
「……い…………ろ……」
「……き……シュン……!」
誰かが俺を呼ぶ声がする。
目を開けようとしたけれど、瞼が重くてピクリとも動かない。
「おい! シュン! しっかりしろ!!」
やっとの思いでこじ開けると赤い髪の青年が必死の形相で俺を抱き抱えていた。
「……あれ? ダン、どうして」
「良かった……目が覚めたんだな……昨日の事が気になってよ、心配で早めに迎えに来たんだ。そんで何回インターホン鳴らしても反応がねぇから管理人の人に頼んで開けてもらったんだよ」
端末にも連絡したんだぜ、と告げられて枕元を見ると、画面に十数件の不在通知を知らせるメッセージが表示されていた。随分と心配をかけてしまったみたいだ。俺が寝坊助なせいで。
「大丈夫か? 病院、行くか?」
「ううん、大丈夫。疲れて寝起きが悪かったみたい。心配かけてごめんね、ありがとう」
「そっか……シュンがそう言うならそれでいいけどよ、何かあったらすぐ俺に言えよ?」
ダンはどこか腑に落ちない顔をしていたけれど、一応納得はしてくれみたいだ。眉間の皺を緩めてわずかに口元を綻ばせる。
「服、昨日のまんまじゃねーか……ほんとしょうがねーなシュンは。朝飯の準備するから顔洗って着替えてこいよ」
「うん。ありがとう、ダン」
微笑みながら俺の頭を撫でるとダンは台所に向かっていく。
ふと軍服のポケットに違和感を感じて中身をまさぐると、何故かこの前なくしたはずのハンカチが出てきた。俺は不思議に思いながらもハンカチをベッドに置いて洗面所へと足を向けた。
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