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これからも、皆と一緒に
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食事を終えて身支度を整えていると、間延びしたチャイムの音と共に快活な声が俺達を迎えに来た。
しっかり、いつもと同じ時間。扉を開けば、ニカッと白い歯を見せるダン。いつもの朝の光景に、何だかスゴくホッとした。
「おはよう! 相棒、ライ。二人ともよく休めたか?」
「おはよう、ダン。お陰さまでもうバッチリだよ」
「おはよう。ごめんねダン、シュンのこと独り占めにしちゃって」
「気にすんなよ、それより大変だったろ? 寝起きのこいつ。ちゃんと面倒みてくれてありがとな」
ライの頭にぽんっと手を乗せたかと思えば、わしゃわしゃ頭を撫で回す。いつも、俺にしてくれているみたいに。
……何だ? なんか……胸の辺りがモヤっとする……
「えへへ、僕、皆の代表だからね」
「……ずいぶん仲良くなったなお前ら」
和気あいあいとした二人の様子は微笑ましい。それに良いことだ。ライがダンと仲良くなるのは。なのに俺の口からは、ケチをつけるような言葉が漏れてしまっていた。
同時にきょとんと見つめてくる赤と茶色。少しして、夕焼けよりも眩しい真っ赤な瞳が嬉しそうに細められた。
「なんだ、嫉妬してんのか? 心配すんなよ、シュンは俺の特別だからな」
にやけながらダンが俺の肩を抱き寄せる。ごく自然に口づけられた頬が妙に熱い。
そんな俺達の様子を、ライが指の隙間から楽しそうに見ている。
「べ、別にそんなんじゃ! ……その、ほら、早く行かないと遅刻するぞ!」
……ホントに妬いてなんかいないし! なんか、モヤってしただけだし!!
二人の手を引っ張り、歩き出す。後ろからクスクスと笑う声が聞こえたけれど、全力で聞かなかったことにした。
俺達が並んで歩いていると爽やかな声が参戦してきた。
「おはようシュン、ライ、ダン。体調はどうだ?」
「おはようございます、サルファー先輩。もう大丈夫ですよ、ありがとうございます」
「おはようございます、先輩」
「……おはようございます」
「良かった、安心したよ」
ふわりと綻んだ笑顔が今日も素敵だ。カッコいい。
鍛え上げられた長身を、不意に屈めたかと思えばさり気なく頭にキスをもらってしまった。驚く間もなく筋肉質な腕がするりと俺の腰に回り、ゆったりと撫でてくる。
「このっ……やらしい手つきでシュンに触ってんじゃねーよ!」
鋭い目つきをしたダンによって先輩の手が払い落とされた。それでも再び俺の腰に手を回しながら、呆れたように尋ねる。
「ただのスキンシップだろう? そういう考えに至る君の方が、いやらしいんじゃないか?」
「はぁ? ってまた俺の相棒に勝手に触りやがって……」
「だから、シュンは君のものじゃないと言っているだろう」
「ちょっ……ダン、先輩……」
俺とライの頭上で二人が激しく睨み合う。おろおろしている俺の隣で、何故かライは微笑ましげに目を細めている。
どうしたもんか、と頭を抱えていると何かを殴る鈍い音が、二人の争いに終止符を打った。
「いっ!?」
「ぐっ……」
短く叫んだダンと呻くサルファー先輩。二人を押し退けてモデルみたいな長身がひょこっと現れた。
「はーいそこまでー、キミたちいい加減学習しなよー。シュンちゃん、ライくんおはよう」
「おはようございます、ソレイユ先輩。いつもすみません」
「おはようございます、いつもこんな感じなんですか?」
「うん、まーねー。毎回止めるオレの身にもなってほしいよね。というわけでー二人ともちょっとごめんね」
ソレイユ先輩がイタズラっぽい笑みを浮かべる。長い腕を俺達のお腹に回してから、軽々と両脇に抱き抱えた。
「うわっせんぱい!?」
「すごーいソレイユ先輩、力持ち!」
ライはきゃっきゃと子供みたいに無邪気にはしゃいでいるが……俺にそんな余裕はない。
「でしょー? このまま学園までつっぱしるよ」
「こらっソル、貴様またっ!」
「ちょっと先輩! どこに手ぇ回してんですか! 今すぐシュンを下ろしてください!」
叫ぶ二人のことはお構いなしにニヤリと口の端を持ち上げ、俺達を抱えたまま校門へと走り出す。
あっという間に辿り着いた門の前で、優しい笑顔と愉快そうな笑顔に出迎えられた。
「おはようシュン君、ライ君、ソレイユ君。いつにもまして賑やかだね」
「なに、人間元気が一番だ! 今日も一日しっかり励みたまえ! はっはっは」
グレイ先生が手を振る隣でセレストさんが高笑いを上げている。
「おはようございます、グレイ先生、セレストさん」
「おはようございます!」
「おっはよーございまーす、今日も急いでるんで!」
先生達に挨拶をしながら昇降口に駆け込んだ俺達だったが、結局また靴を履き替えてるうちに追いつかれてしまった。
了
しっかり、いつもと同じ時間。扉を開けば、ニカッと白い歯を見せるダン。いつもの朝の光景に、何だかスゴくホッとした。
「おはよう! 相棒、ライ。二人ともよく休めたか?」
「おはよう、ダン。お陰さまでもうバッチリだよ」
「おはよう。ごめんねダン、シュンのこと独り占めにしちゃって」
「気にすんなよ、それより大変だったろ? 寝起きのこいつ。ちゃんと面倒みてくれてありがとな」
ライの頭にぽんっと手を乗せたかと思えば、わしゃわしゃ頭を撫で回す。いつも、俺にしてくれているみたいに。
……何だ? なんか……胸の辺りがモヤっとする……
「えへへ、僕、皆の代表だからね」
「……ずいぶん仲良くなったなお前ら」
和気あいあいとした二人の様子は微笑ましい。それに良いことだ。ライがダンと仲良くなるのは。なのに俺の口からは、ケチをつけるような言葉が漏れてしまっていた。
同時にきょとんと見つめてくる赤と茶色。少しして、夕焼けよりも眩しい真っ赤な瞳が嬉しそうに細められた。
「なんだ、嫉妬してんのか? 心配すんなよ、シュンは俺の特別だからな」
にやけながらダンが俺の肩を抱き寄せる。ごく自然に口づけられた頬が妙に熱い。
そんな俺達の様子を、ライが指の隙間から楽しそうに見ている。
「べ、別にそんなんじゃ! ……その、ほら、早く行かないと遅刻するぞ!」
……ホントに妬いてなんかいないし! なんか、モヤってしただけだし!!
二人の手を引っ張り、歩き出す。後ろからクスクスと笑う声が聞こえたけれど、全力で聞かなかったことにした。
俺達が並んで歩いていると爽やかな声が参戦してきた。
「おはようシュン、ライ、ダン。体調はどうだ?」
「おはようございます、サルファー先輩。もう大丈夫ですよ、ありがとうございます」
「おはようございます、先輩」
「……おはようございます」
「良かった、安心したよ」
ふわりと綻んだ笑顔が今日も素敵だ。カッコいい。
鍛え上げられた長身を、不意に屈めたかと思えばさり気なく頭にキスをもらってしまった。驚く間もなく筋肉質な腕がするりと俺の腰に回り、ゆったりと撫でてくる。
「このっ……やらしい手つきでシュンに触ってんじゃねーよ!」
鋭い目つきをしたダンによって先輩の手が払い落とされた。それでも再び俺の腰に手を回しながら、呆れたように尋ねる。
「ただのスキンシップだろう? そういう考えに至る君の方が、いやらしいんじゃないか?」
「はぁ? ってまた俺の相棒に勝手に触りやがって……」
「だから、シュンは君のものじゃないと言っているだろう」
「ちょっ……ダン、先輩……」
俺とライの頭上で二人が激しく睨み合う。おろおろしている俺の隣で、何故かライは微笑ましげに目を細めている。
どうしたもんか、と頭を抱えていると何かを殴る鈍い音が、二人の争いに終止符を打った。
「いっ!?」
「ぐっ……」
短く叫んだダンと呻くサルファー先輩。二人を押し退けてモデルみたいな長身がひょこっと現れた。
「はーいそこまでー、キミたちいい加減学習しなよー。シュンちゃん、ライくんおはよう」
「おはようございます、ソレイユ先輩。いつもすみません」
「おはようございます、いつもこんな感じなんですか?」
「うん、まーねー。毎回止めるオレの身にもなってほしいよね。というわけでー二人ともちょっとごめんね」
ソレイユ先輩がイタズラっぽい笑みを浮かべる。長い腕を俺達のお腹に回してから、軽々と両脇に抱き抱えた。
「うわっせんぱい!?」
「すごーいソレイユ先輩、力持ち!」
ライはきゃっきゃと子供みたいに無邪気にはしゃいでいるが……俺にそんな余裕はない。
「でしょー? このまま学園までつっぱしるよ」
「こらっソル、貴様またっ!」
「ちょっと先輩! どこに手ぇ回してんですか! 今すぐシュンを下ろしてください!」
叫ぶ二人のことはお構いなしにニヤリと口の端を持ち上げ、俺達を抱えたまま校門へと走り出す。
あっという間に辿り着いた門の前で、優しい笑顔と愉快そうな笑顔に出迎えられた。
「おはようシュン君、ライ君、ソレイユ君。いつにもまして賑やかだね」
「なに、人間元気が一番だ! 今日も一日しっかり励みたまえ! はっはっは」
グレイ先生が手を振る隣でセレストさんが高笑いを上げている。
「おはようございます、グレイ先生、セレストさん」
「おはようございます!」
「おっはよーございまーす、今日も急いでるんで!」
先生達に挨拶をしながら昇降口に駆け込んだ俺達だったが、結局また靴を履き替えてるうちに追いつかれてしまった。
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