【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ

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戻ってこれたんだ……二人で

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 目を覚ますと見慣れた天井が広がっていた。

 ……戻って、これたのか?

 身体の節々が重く、痛い。ぼんやりと瞬きを繰り返していた視界にひょこりと水色の髪が揺れた。

「……セレストさん」

「お疲れ様、万事上手くいったようだね」

 ニコニコ笑いながら俺の胸元を指し示す。釣られて見ると、俺の胸に顔を埋めるようにしてライが抱き付いていた。

 戻ってこれたんだ……二人で……

「ライ、大丈夫か?」

 細い身体を抱きながら上体を起こす。小さな頭をそっと撫でると丸い瞳がゆっくり開いた。良かった……気がついたみたいだ。

「う……シュン、ここは?」

「ここは俺の」
「シュンちゃんお帰り! キミがライくん?」

 遮ってきた弾んだ声。ソレイユ先輩だ。駆け寄り、膝をついた長い腕がライごと俺を抱き締めてくる。

「やったな! さすが俺のシュンだ!」

「お帰り、シュン。おいダン、勝手にシュンを君のものにするな」

「お帰りなさい、二人ともよく頑張ったね」

 俺達の周りに皆が一斉に集まってくる。

 ダンとサルファー先輩が言い合いをして、ソレイユ先輩が二人を止めて、グレイ先生とセレストさんが目を細めて見守っている。

 穏やかで、温かいざわめきに包まれて俺とライは顔を見合わせ、笑った。





 甲高い電子音が俺の鼓膜を揺さぶってくる。けたたましくて煩わしい枕元のそれを、手探りで探し出し音の発信源を断つ。

 よし……これで、ゆっくり眠れる……

 ほっと一息つき、またベッドに潜ろうとすると誰かに掛け布団を剥がされた。

「シュン、起きないと遅刻しちゃうよ?」

「うー……後5分、5分だけだからぁ」

「可愛くごねても駄目だよ! ダン達に頼まれてるんだから! ほらっ」

 頬を膨らませたライに両手をぐいぐい引っ張られ、無理矢理身体をベッドから引き離される。こんなに細いのに……意外と力、有るんだな……

「朝ごはんの準備出来てるから、早く顔を洗っておいで?」

 まだぼやぼやする視界の中で、小柄な背中が台所へと向かっていくのが見えた。

 気怠い身体を渋々動かし洗面所へ、冷水で顔を洗うと徐々に思考がクリアになっていく。

「戻ってきたんだな……俺」

 あの後、俺とライは病院で検査を受けたが幸い何も異常は見られなかった。

 ただ、俺は二日間寝たきりだったこともあって……念の為にもう一日様子を見て休むことになったんだ。

 そのせいで、誰が俺の面倒を見るかでまたダンと先輩が言い争いになったんだけど。

 どういう訳か、普段は止めてくれるソレイユ先輩やグレイ先生までもが参戦してしまったんだ。

 誰も譲らず、混沌としたが……結局行くあての無かったライが泊まるということで皆納得してくれた。

 俺達が休んでいる間にグレイ先生とセレストさんが、俺の復学申請と一緒にライを転入生という形で学園に通えるよう手続きを済ませてくれたらしい。

 生活費はライが用意してたものを二人で分け、ライは寮の空き部屋の準備が済み次第、そこに住むことになっている。

 今度こそ、万事解決……だよな。

 歯を磨いてから戻ると香ばしいパンの匂いが俺の鼻を擽った。二つのグラスに牛乳を注いでくれながら、ライが微笑みかけてくる。

「目玉焼き、半熟で良かったんだよね?」

「うん、ありがとうライ。いただきます」

「どうぞ召し上がれ」

 焼いたパンの上に目玉焼きをのせて一緒に頬張る。

「ん、美味しい」

「良かった。僕も、いただきます」

 小さな口でパンをかじるライをぼんやり見つめていると、不思議そうな茶色の瞳と目が合った。

「どうしたの? まだ眠い?」

「いや、ライがいるなって」

「ふふふ、そうだね。ちゃんとここにいるよ?」

「うん、本当に良かった」

 噛み締めるように呟く俺に、ライは花が咲くような笑顔を浮かべた。
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