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優しい手のひら
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一瞬のことだったのに凄く長い時間がたったような気がする。
「もう大丈夫だ。怪我はないか?」
恐る恐る目を開けると目の前に心配そうな先輩の顔があった。
「……せっ……先輩は?」
声が震えて上手く言葉を発せない。今更になって恐怖が込みあげてきたようだ。
「俺なら大丈夫だ。さっきのならこいつで叩き斬ってやったからな」
先輩はにこっと白い歯を見せて笑うと俺の前に自分の得物を差し示した。
「おい! 大丈夫か? どこか痛い所でも有るのか?」
なんで、慌てているんだろう? 疑問の答えは先輩の太い指が俺の頬に触れることで出た。ぼろぼろもこぼれる涙を指先で、優しく拭ってもらえたことで。
……あぁ、俺は今、泣いているのか。
「だ、大丈夫……です。何か安心したら……その」
「そうか……良かった、本当に」
ほっと息を吐き、先輩が柔らかく微笑む。まだこぼれてる涙を拭ってくれながら、俺を宥めるように優しく背中を撫でてくれた。
「済まない! 二人とも怪我はないか?」
俺が少し落ち着きを取り戻した頃、魔術部の部員達が俺達の元に駆けつけてきた。
「ほらっお前達も」
集団の先頭にいた部長らしき人が、後ろでびくついている二人の部員を俺達の前に引っ張り出す。
「本当にすみませんでした!!」
二人の部員が俺達に向かって頭を下げる。地面にめり込みそうなくらいの勢いだ。
事故だったんだし……結果的に俺も先輩も無事だったのだから、俺は気にしていない。むしろ、申し訳なくなってくるな……大きな肩を震わせ、今にも泣きそうな表情の二人を見ていると。
先輩も俺と同じ気持なんだろう。気にしていないでくれ、と二人を宥めている。
思った通り、相手の魔術が暴走したらしい。驚いたもう一人が思わず弾を受け流した結果、俺達の方へと飛んで行ってしまったようだ。
「例え暴走したとしても、それをカバーするのも練習の内だったんだが……俺の監督不足だった。本当に申し訳ない」
部長が頭を下げると、二人の顔がますますくしゃりと歪んでいく。今にも泣きそうな顔で再び俺達に頭を下げた。
「失敗は誰にだってあるさ。それに俺達は無事だったんだから、もう頭を上げてくれ。なぁシュン」
「はい! 先輩のおかげで俺もなんとも無かったので。俺、全然気にしてないんでその……」
先輩の様に気の利いたことは言えないが、身振り手振りで必死にもう大丈夫だとアピールする。俺達の気持ちが伝わったのか、三人の曇っていた表情がやっと晴れた。
せめてものお詫びにと先輩に2本のスポーツドリンクを手渡して、部員達は再び練習に戻っていった。
「疲れただろう? こっちにベンチが有るから少し休もう」
先輩の大きな手が俺の手を取り、練習場の端の方へと歩き出す。ごく自然に繋がれた手。重なった手のひらからじわじわと先輩の体温が伝わってきて……何だろう凄く安心する。
ドシリと腰掛けたその隣にお邪魔させてもらう。先輩が俺にさっきのドリンクを差し出してきた。キャップを開けて口を付けると冷たいドリンクが流れ込む。
自分でも気づかないうちに酷く喉が乾いていたらしい。喉を通る清涼感に自然と息が漏れていた。
先輩も男らしい喉をごくごく鳴らしながら、あっという間にスポーツドリンクを飲み干していく。一息で空になったペットボトルが、大きな手のひらの中でぐしゃりと悲鳴を上げる。
「すまない。俺が誘ったせいで……危うく君を傷付けてしまうところだった」
「そんな! そもそも見学に来たのは俺ですし……先輩が守ってくれなかったら、俺……今頃どうなってたか…………本当に、ありがとうございました」
「そうか……シュンは優しいな」
俺を見つめていた黄色の瞳がゆるりと細められ、大きな手が俺の頭を優しく撫でてくれる。
温かい手のひらが心地いい。もっと撫でて欲しいな……なんて、欲が出たからだ。気がつけば自分から頭を擦り付けてしまっていた。
驚かせてしまったのかもしれない。息を飲むような音が聞こえたんだ。でも、先輩は優しい。そのまま、俺の頭をゆったり撫で続けてくれたんだから。
「もう大丈夫だ。怪我はないか?」
恐る恐る目を開けると目の前に心配そうな先輩の顔があった。
「……せっ……先輩は?」
声が震えて上手く言葉を発せない。今更になって恐怖が込みあげてきたようだ。
「俺なら大丈夫だ。さっきのならこいつで叩き斬ってやったからな」
先輩はにこっと白い歯を見せて笑うと俺の前に自分の得物を差し示した。
「おい! 大丈夫か? どこか痛い所でも有るのか?」
なんで、慌てているんだろう? 疑問の答えは先輩の太い指が俺の頬に触れることで出た。ぼろぼろもこぼれる涙を指先で、優しく拭ってもらえたことで。
……あぁ、俺は今、泣いているのか。
「だ、大丈夫……です。何か安心したら……その」
「そうか……良かった、本当に」
ほっと息を吐き、先輩が柔らかく微笑む。まだこぼれてる涙を拭ってくれながら、俺を宥めるように優しく背中を撫でてくれた。
「済まない! 二人とも怪我はないか?」
俺が少し落ち着きを取り戻した頃、魔術部の部員達が俺達の元に駆けつけてきた。
「ほらっお前達も」
集団の先頭にいた部長らしき人が、後ろでびくついている二人の部員を俺達の前に引っ張り出す。
「本当にすみませんでした!!」
二人の部員が俺達に向かって頭を下げる。地面にめり込みそうなくらいの勢いだ。
事故だったんだし……結果的に俺も先輩も無事だったのだから、俺は気にしていない。むしろ、申し訳なくなってくるな……大きな肩を震わせ、今にも泣きそうな表情の二人を見ていると。
先輩も俺と同じ気持なんだろう。気にしていないでくれ、と二人を宥めている。
思った通り、相手の魔術が暴走したらしい。驚いたもう一人が思わず弾を受け流した結果、俺達の方へと飛んで行ってしまったようだ。
「例え暴走したとしても、それをカバーするのも練習の内だったんだが……俺の監督不足だった。本当に申し訳ない」
部長が頭を下げると、二人の顔がますますくしゃりと歪んでいく。今にも泣きそうな顔で再び俺達に頭を下げた。
「失敗は誰にだってあるさ。それに俺達は無事だったんだから、もう頭を上げてくれ。なぁシュン」
「はい! 先輩のおかげで俺もなんとも無かったので。俺、全然気にしてないんでその……」
先輩の様に気の利いたことは言えないが、身振り手振りで必死にもう大丈夫だとアピールする。俺達の気持ちが伝わったのか、三人の曇っていた表情がやっと晴れた。
せめてものお詫びにと先輩に2本のスポーツドリンクを手渡して、部員達は再び練習に戻っていった。
「疲れただろう? こっちにベンチが有るから少し休もう」
先輩の大きな手が俺の手を取り、練習場の端の方へと歩き出す。ごく自然に繋がれた手。重なった手のひらからじわじわと先輩の体温が伝わってきて……何だろう凄く安心する。
ドシリと腰掛けたその隣にお邪魔させてもらう。先輩が俺にさっきのドリンクを差し出してきた。キャップを開けて口を付けると冷たいドリンクが流れ込む。
自分でも気づかないうちに酷く喉が乾いていたらしい。喉を通る清涼感に自然と息が漏れていた。
先輩も男らしい喉をごくごく鳴らしながら、あっという間にスポーツドリンクを飲み干していく。一息で空になったペットボトルが、大きな手のひらの中でぐしゃりと悲鳴を上げる。
「すまない。俺が誘ったせいで……危うく君を傷付けてしまうところだった」
「そんな! そもそも見学に来たのは俺ですし……先輩が守ってくれなかったら、俺……今頃どうなってたか…………本当に、ありがとうございました」
「そうか……シュンは優しいな」
俺を見つめていた黄色の瞳がゆるりと細められ、大きな手が俺の頭を優しく撫でてくれる。
温かい手のひらが心地いい。もっと撫でて欲しいな……なんて、欲が出たからだ。気がつけば自分から頭を擦り付けてしまっていた。
驚かせてしまったのかもしれない。息を飲むような音が聞こえたんだ。でも、先輩は優しい。そのまま、俺の頭をゆったり撫で続けてくれたんだから。
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