【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ

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湯上がりで艶っぽい幼なじみを見てしまったんだが?

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「そろそろ風呂入って寝ようぜ? 明日も早いからな。一緒に入るか?」

「い、いや……さすがに狭すぎて無理だろ。あ、俺、食器の片付けしとくからさ。ダン先に入ってこいよ」

「そっか……じゃあ、行ってくるわ」

 男らしい眉を下げてダンが笑う。何でだろう……その表情は何となく残念そうだ。

 大きくゴツゴツした手で俺の頭をぽんっとひと撫でしてから、ボストンバッグのジッパーを開く。手早く着替えを取り出し、風呂場へと足を向けた。

「シャンプーとか、適当に使っていいからな」

「分かった。ありがとな」

 顔だけこちらを向いたその表情には、いつもの人懐っこい笑顔が戻っていた。大きな背中が見えなくなったところで自然とほっと息が漏れる。

 全く……さらっと、とんでもないことを口にしないで欲しい。

 ダンは別に、俺のことをただの友達くらいにしか思っていないから、構わないのかも知れないが。俺は、めちゃくちゃ意識してるんだからな!

 一緒にお風呂とか、まじ無理。だって裸じゃん! 生雄っぱいだぞ! めっちゃ見たいけど!

 ぶわりと頭の中でダンが俺に向かって……ほら、来いよ……と手招きする。鍛え上げられた身体をさらけ出し、艶のある笑みを浮かべて。

 ……いかん、食器でも洗って早く気を紛らわそう。

 一気に熱くなった顔をぶんぶん振って、淫らな妄想を振り払う。ローテーブルの上に乗った二人分の食器を重ね合わせてシンクへと運んだ。

 コップは風呂上がりに何か飲むだろうから、そのままにしておこう。

 早速、スポンジに泡を纏わせて汚れを落とす。見る見るうちに白い泡が、透明な水が皿を綺麗にしていく様子は見ていて気持ちがいい。俺の雑念も洗い流されていくようだ。

 食器を水切りカゴに並べた後は、油の処理だ。牛乳パックに丸めた新聞紙を入れてから注いで、また新聞紙を詰めていく。後はビニール袋に入れればいっちょ上がりだ。

「よしっ片付いたな」

「おーい、相棒、上がったぞ」

 最後の鍋を洗い終え、片付けた時に風呂場の方からダンの声が聞こえた。

「分かった。俺も入るよ」

 タンスの引き出しから着替えを適当に引っ張り出し、風呂場へと向かう。

 つい、ノックを忘れドアを開けると、肩にタオルをかけ、まだ上半身裸のままのダンがはたと振り返った。

 普段はツンツンしてる赤い髪はしっとり濡れ、おでこや首筋に張り付いている。湯上がりなせいか肌の血色がよく、固く締まった筋肉から雫がしたたり落ちて妙に艶っぽい。

「っ失礼しました!」

 慌てて閉めたせいだ。思わず大きな音を立ててしまった。
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