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扉の先
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「付いてきて、もらったんです。私から同僚の方に、それからネモネにもお願いして」
寂しかったんだろうか。
勝手に、そう思ってしまっていた。だって、俺ならきっと寂しい。途方もなく広い宇宙の何処かの見知らぬ星で、一人っきりだなんて。
そんな時、ネモネの存在はとても心強いだろう。優しくて、無邪気な明るさを持っていて。おまけに温かくて、ふわふわだなんて安心感抜群じゃ。
「人間様は、ふわふわに触れることで安心感を得られる方が多いのだとお聞きしまして……」
まるで俺の考えていたことが伝わってしまっていたかのような。彼が教えてくれた理由に、顔が熱を持ってしまう。
「……俺の、為に?」
「はい。ネモネのお力をお借りしました……」
「みぁっ」
「そっか……」
ネモネからも、そうだよっとばかりに元気なお返事をされてしまえば、もう俺からは何も。
リアムまで何故だか黙ってしまったので余計に静かになってしまう。自分の鼓動が煩く感じてしまう。別に驚いた訳でもないのに。徐々に落ち着いていかないばかりか、ますます全身に響くように高鳴ってしまって。
何か話題を。再び膝の上で丸くなっていたネモネから視線を離せば、視界に映ったのは目を伏せているリアムと彼の後ろ。少し離れた位置にある、押しても引いても開かなかった扉だった。
「……リアム。あの扉の先って」
「通路に出ます。少し進めば、私の部屋もありますよ」
「リアムの」
私の部屋も、ってことは他にも何か部屋があるってことだよな。というか。
そもそも此処って何処なんだ?
今まで聞きたいことが多過ぎてすっかり頭から抜け落ちちゃってたけど。俺が普通に居られているんだから、地球の何処かではある、よな?
でも、地球の建物どころか山も全部、あの青い液体に沈んじゃってるんだったっけ。じゃあ、空の上、とか? リアム達の技術って地球のものに比べたら遥かに進んでいるだろうし、そもそもリアム達は不思議な力を使えていそうだし。台所とかを設置してくれた時みたいに、仮の住まいもちゃちゃっと作ってしまったんじゃ。
「宜しければ、見に来られますか?」
「良いのか?」
「貴方なら」
さらりと言ってのけられてしまうと、どうも調子が狂う。ようやく心臓が落ち着いてきていたところだったのに。
「……その扉の外に出ることになるけど?」
鍵をかけてまでしていたのに? そうまでハッキリとは言わなかったものの、彼は俺が言いたいことを理解してくれたらしい。申し訳なさそうに細められた瞳の黒に、淡い青が滲んでいく。
「ごめんなさい……あの時は説明を出来ておりませんでしたから。この部屋に留まって頂く方が、貴方にとっては一番安全だと私が判断致しました」
「ありがとう、気にしないで。俺も、その方が良かったと思う」
あの時の俺は、完全に混乱してしまっていたから。変なところへと彷徨うことになっていたかもしれない。ましてや、窓から地球の現状を見れたりしたら、ますますマズいことになっていたのかも。
容易に想像出来た己の危機を思い浮かんだままに伝えれば、リアムは瞳に滲んだ青を濃くしながら静かに頷いた。
「ご理解頂き、ありがとうございます」
少しだけ重たくなった空気。それを切り替えるようだった。リアムが勢いよく立ち上がる。
「ですが、今の貴方なら大丈夫。部屋の外を出ても落ち着いていられるでしょう……それから……私も、貴方の側におりますから」
弱くなっていく言葉と共に、穏やかな黒を取り戻した瞳が伏せられた。そっと俺へと差し出された白い手が少し震えている。
「そうだな。リアムが居てくれるもんな」
立ち上がりざまに手を取れば、彼は驚いたように目を見開いた。平然としているようで分かりやすい彼の反応に、またしても笑みがこぼれそうになる。
ふと左肩が温かくなり、頬にふわふわとしたものが擦り寄ってきた。
「みぁっ!」
少し拗ねたような鳴き声は、ぼくを忘れてない? とばかり。いつの間にやら膝の上から肩へと移っていたネモネが、前足でたしたしと俺の肩を可愛らしい強さで叩く。
「ごめんなさい、ネモネ。私から頼みましたのに……出来るだけカイト様のお側に居て欲しいと」
「みっ、みぁっ」
「はい、一緒に参りましょう……カイト様も、宜しい、ですよね?」
「あ、ああ」
ネモネ相手には自然だったのに、俺へと視線を向けた途端にぎこちない。その理由がすでに彼の口から伝えられてしまっているからだろう。俺までもが釣られてしまっていた。
何だかまた胸の辺りが擽ったくなってしまって、繋いだままの手に力を込めてしまっていた。
寂しかったんだろうか。
勝手に、そう思ってしまっていた。だって、俺ならきっと寂しい。途方もなく広い宇宙の何処かの見知らぬ星で、一人っきりだなんて。
そんな時、ネモネの存在はとても心強いだろう。優しくて、無邪気な明るさを持っていて。おまけに温かくて、ふわふわだなんて安心感抜群じゃ。
「人間様は、ふわふわに触れることで安心感を得られる方が多いのだとお聞きしまして……」
まるで俺の考えていたことが伝わってしまっていたかのような。彼が教えてくれた理由に、顔が熱を持ってしまう。
「……俺の、為に?」
「はい。ネモネのお力をお借りしました……」
「みぁっ」
「そっか……」
ネモネからも、そうだよっとばかりに元気なお返事をされてしまえば、もう俺からは何も。
リアムまで何故だか黙ってしまったので余計に静かになってしまう。自分の鼓動が煩く感じてしまう。別に驚いた訳でもないのに。徐々に落ち着いていかないばかりか、ますます全身に響くように高鳴ってしまって。
何か話題を。再び膝の上で丸くなっていたネモネから視線を離せば、視界に映ったのは目を伏せているリアムと彼の後ろ。少し離れた位置にある、押しても引いても開かなかった扉だった。
「……リアム。あの扉の先って」
「通路に出ます。少し進めば、私の部屋もありますよ」
「リアムの」
私の部屋も、ってことは他にも何か部屋があるってことだよな。というか。
そもそも此処って何処なんだ?
今まで聞きたいことが多過ぎてすっかり頭から抜け落ちちゃってたけど。俺が普通に居られているんだから、地球の何処かではある、よな?
でも、地球の建物どころか山も全部、あの青い液体に沈んじゃってるんだったっけ。じゃあ、空の上、とか? リアム達の技術って地球のものに比べたら遥かに進んでいるだろうし、そもそもリアム達は不思議な力を使えていそうだし。台所とかを設置してくれた時みたいに、仮の住まいもちゃちゃっと作ってしまったんじゃ。
「宜しければ、見に来られますか?」
「良いのか?」
「貴方なら」
さらりと言ってのけられてしまうと、どうも調子が狂う。ようやく心臓が落ち着いてきていたところだったのに。
「……その扉の外に出ることになるけど?」
鍵をかけてまでしていたのに? そうまでハッキリとは言わなかったものの、彼は俺が言いたいことを理解してくれたらしい。申し訳なさそうに細められた瞳の黒に、淡い青が滲んでいく。
「ごめんなさい……あの時は説明を出来ておりませんでしたから。この部屋に留まって頂く方が、貴方にとっては一番安全だと私が判断致しました」
「ありがとう、気にしないで。俺も、その方が良かったと思う」
あの時の俺は、完全に混乱してしまっていたから。変なところへと彷徨うことになっていたかもしれない。ましてや、窓から地球の現状を見れたりしたら、ますますマズいことになっていたのかも。
容易に想像出来た己の危機を思い浮かんだままに伝えれば、リアムは瞳に滲んだ青を濃くしながら静かに頷いた。
「ご理解頂き、ありがとうございます」
少しだけ重たくなった空気。それを切り替えるようだった。リアムが勢いよく立ち上がる。
「ですが、今の貴方なら大丈夫。部屋の外を出ても落ち着いていられるでしょう……それから……私も、貴方の側におりますから」
弱くなっていく言葉と共に、穏やかな黒を取り戻した瞳が伏せられた。そっと俺へと差し出された白い手が少し震えている。
「そうだな。リアムが居てくれるもんな」
立ち上がりざまに手を取れば、彼は驚いたように目を見開いた。平然としているようで分かりやすい彼の反応に、またしても笑みがこぼれそうになる。
ふと左肩が温かくなり、頬にふわふわとしたものが擦り寄ってきた。
「みぁっ!」
少し拗ねたような鳴き声は、ぼくを忘れてない? とばかり。いつの間にやら膝の上から肩へと移っていたネモネが、前足でたしたしと俺の肩を可愛らしい強さで叩く。
「ごめんなさい、ネモネ。私から頼みましたのに……出来るだけカイト様のお側に居て欲しいと」
「みっ、みぁっ」
「はい、一緒に参りましょう……カイト様も、宜しい、ですよね?」
「あ、ああ」
ネモネ相手には自然だったのに、俺へと視線を向けた途端にぎこちない。その理由がすでに彼の口から伝えられてしまっているからだろう。俺までもが釣られてしまっていた。
何だかまた胸の辺りが擽ったくなってしまって、繋いだままの手に力を込めてしまっていた。
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