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15 鎖
小僧の親は魔力持ちかえ?
────知らない、です。俺、爺ちゃんと婆ちゃんに・・・あ、でも血は繋がってなくて、実際は育ての親というか・・・その、俺捨て子で、
今、歳はいくつだ。
────じゅ、十八歳ですけど・・・あの、それが魔力・・・暴走?と、何か関係あるんですか・・・?
十八・・・・・・年前か。なるほどのお。
────(何が"なるほど"なんだろう・・・)
ジェイスさんをどこかに置いて戻ってきたリーディア様は、真正面から覆い被さるように俺を抱きしめる(締め上げる?)大男を見て、まず膝を折って笑い始め、さらに四つん這いになってまで笑い続けた。
俺は何だかじわじわ恥ずかしくなってきて、その大男を引き剥がしにかかったけど、どんなに必死に体を後ろに引こうとも、服をあちらに引っ張ろうとも効果がなく、諦めて放置。
そしてしばらくして満足したのか、亡霊のようにふらふらと離れていった大男。
向かった先は最終的に床に転げて笑い疲れたリーディア様のところで、上からかざすように両手を開くとそこから恐ろしい量の氷の塊を降らせていた。(しかも先端がめちゃくちゃ鋭利)
目の前で突然殺人行為が始まったもんだから思わず「ひいっ」と声が出たけど、飛び散った無数の氷の破片と土煙がおさまると、なんと形勢逆転。
石の鎖のようなものでガッチガチに縛られ床に転がされた大男の背中に足を組んで座る無傷のリーディア様。
「人間は、鍋を使って料理をするだろう?」
「な、鍋ですか?そ、そうですね・・・野菜茹でたり・・・スープ作ったりしますけど・・・」
「鍋が小僧の体、スープを魔力とする。」
「・・・?は、はい。」
「スープが鍋の底から勝手に湧き出てくるのに、無理矢理蓋をされたら、どうなるかえ?」
「そりゃ溢れて・・・勿体無い・・・・・・って、え?お、俺、本当に魔力あるんですか?!」
「あるなあ。それも人間にしては多すぎる。」
「ええ・・・・・・?」
そんなこと言われても、全く実感がない。
ここ最近の変化といえば、コルヴィに引っかかっていたあの気持ち悪い布に触ってから、体の中が妙に熱くて、風邪を引いた時みたいに体が重いってことぐらい。
俺の体は今、リーディア様の言うスープ部分が溢れそうになっていて、溢れた魔力が多すぎると体に一気に負荷がかかって最悪死ぬらしい。
一方、リーディア様の話を聞いたディランさんは「魔力を封印したってこと?!どうやってやんの?!リーディアできんの?!」と興奮気味に食いついていた。
目が完全に研究者の、それ。
そもそも人間の魔法というのは風や火や水を操ったり発生させたりするものであって、魔力を封印したり人の怪我を治したり、あと、魔族のように呪ったりすることは出来ないんだって。
魔力は種族によって性質が異なり、使える魔法もそれに然りってわけだ。
「・・・あの、聞いてもいいですか・・・?」
「何だ?」
「俺に・・・その、蓋?をしたのは、一体誰なんでしょう。」
例えばの話。
俺の魔力の多さを恐れた誰かが居たとして、それを封じても意味がない。
だって、生きてるだけで魔力は湧く。
使わなければ、溜まっていく。
手っ取り早く、俺を殺してしまえばよかったはず。
一体誰が、何の目的で────・・・
「こいつじゃ。」
「・・・え?」
「こいつの魔力を強く感じる。間違いなかろう。だから呼んだのじゃ。」
「・・・・・・は?」
こいつ、と長い指で指した先に居たのはグルルと喉を鳴らしリーディア様を威嚇する、大男こと、竜人のイル。
鎖からガリ、ゴリ、と歪な音が鳴り始めたけど、リーディア様は話し続けた。
「それになあ・・・小僧の魔力の中にほんの少し・・・もう消えかかっておるが、こいつとはまた違う匂いの魔力が混ざっておってなあ。」
「匂いの、違う・・・」
「何か心当たりは・・・・・・っと、そろそろ駄目か。」
「・・・そ、うですね、うわあ・・・」
ガリ、ゴリ、の音が激しくなって、イルの体を中心に渦を巻いた風が強さを増しながら吹き上げてきた。
近くにいたら巻き添えを食らいそう。
転ばないようにゆっくり後退していると、カルマがいつのまにか後ろに立っていて背中を支えてくれた。
「・・・クソババア・・・!さっきから余計な・・・ことを・・・っ!」
「本当にお前はいつまで経っても餓鬼だな。このまま放っておけば小僧が死ぬ。」
「・・・・・・俺の、知ったことじゃない。」
「ほお~・・・そうか。ならばこの件、私が引き受けよう。」
「・・・・・・」
「それでよいな?この者に二度と近づくことは許さぬ。レヴィ、こちらへ来い。」
「・・・っ、は、はい。」
・・・リーディア様、超ご立腹。
二人とも年齢不詳な見た目してるから、年齢的な上下関係がハッキリしなかったけど、今のやりとりからリーディア様が完全に上と見た。
そして俺はその気迫ある呼びかけに無意識に走ろうとしてしまい、力の入らない足が絡まってそのまま転けてしまうのである。
手のひらを思いっきり擦りむいて、血が滲む。
「存外、鈍臭いな。」
「返す言葉もなく・・・す、すみませ、イッ、おわっ、」
「・・・不味いのお。」
「えええっ??な、舐めっ、?!」
舐めた血をペッと吐き出すような素振りを見て、なんかショックというか、何だお前というか、何ともいえない気持ちになったけど、いちいち反応してたらこっちの身が持たない。
何故ならリーディア様も超自由人。
ガコッ
「・・・え?」
俺の前に屈んだリーディア様の背後から、どこか不穏で、恐ろしい、破壊音がした。
恐る恐るそちらを見ると、あの鎖ががらがらと地面に落ちていきそのまま塵みたいに消えていく。
俺が内心「うわ~・・・」と呟く中、リーディア様に目をやると、にやりと口角が上がっていた。
この竜人、自由人と見せかけて、実は策士かもしれない。
「・・・そいつに、近づくな・・・!」
「おや。今し方お前が言ったばかりだろう?知ったことではない、と。」
「・・・クソババア・・・っ!!」
「何だ、クソ餓鬼。来い、そちらの角は私が折ってやろう。」
「やってみろ!!!」
あー・・・やばい、面倒くさい。
これ、戦闘始まっちゃう感じだな。竜人ってこんな喧嘩っ早いの?
と言うより、このイルとか言う狂犬男がいけないんじゃん。
俺、お前のこと知らないんだけど・・・・・・クソッ、本当もう、人の体に何てことしてくれてんだ────・・・
『じゃあ僕も、消える前に怒っていいよね。』
「は・・・?」
耳のすぐそばで、あの子どもの声がした。
呼吸が急に苦しくなって、咳が止まらない。
口を押さえていた手を退けると、赤黒く濁った血がべっとりと付いていた。
血を見た瞬間、眠る直前みたいに体からふっと、力が抜ける。
目が勝手に閉じていく。
最後に見えたのはあの狂犬男が俺を目掛け、必死に走って手を伸ばす姿だった。
────知らない、です。俺、爺ちゃんと婆ちゃんに・・・あ、でも血は繋がってなくて、実際は育ての親というか・・・その、俺捨て子で、
今、歳はいくつだ。
────じゅ、十八歳ですけど・・・あの、それが魔力・・・暴走?と、何か関係あるんですか・・・?
十八・・・・・・年前か。なるほどのお。
────(何が"なるほど"なんだろう・・・)
ジェイスさんをどこかに置いて戻ってきたリーディア様は、真正面から覆い被さるように俺を抱きしめる(締め上げる?)大男を見て、まず膝を折って笑い始め、さらに四つん這いになってまで笑い続けた。
俺は何だかじわじわ恥ずかしくなってきて、その大男を引き剥がしにかかったけど、どんなに必死に体を後ろに引こうとも、服をあちらに引っ張ろうとも効果がなく、諦めて放置。
そしてしばらくして満足したのか、亡霊のようにふらふらと離れていった大男。
向かった先は最終的に床に転げて笑い疲れたリーディア様のところで、上からかざすように両手を開くとそこから恐ろしい量の氷の塊を降らせていた。(しかも先端がめちゃくちゃ鋭利)
目の前で突然殺人行為が始まったもんだから思わず「ひいっ」と声が出たけど、飛び散った無数の氷の破片と土煙がおさまると、なんと形勢逆転。
石の鎖のようなものでガッチガチに縛られ床に転がされた大男の背中に足を組んで座る無傷のリーディア様。
「人間は、鍋を使って料理をするだろう?」
「な、鍋ですか?そ、そうですね・・・野菜茹でたり・・・スープ作ったりしますけど・・・」
「鍋が小僧の体、スープを魔力とする。」
「・・・?は、はい。」
「スープが鍋の底から勝手に湧き出てくるのに、無理矢理蓋をされたら、どうなるかえ?」
「そりゃ溢れて・・・勿体無い・・・・・・って、え?お、俺、本当に魔力あるんですか?!」
「あるなあ。それも人間にしては多すぎる。」
「ええ・・・・・・?」
そんなこと言われても、全く実感がない。
ここ最近の変化といえば、コルヴィに引っかかっていたあの気持ち悪い布に触ってから、体の中が妙に熱くて、風邪を引いた時みたいに体が重いってことぐらい。
俺の体は今、リーディア様の言うスープ部分が溢れそうになっていて、溢れた魔力が多すぎると体に一気に負荷がかかって最悪死ぬらしい。
一方、リーディア様の話を聞いたディランさんは「魔力を封印したってこと?!どうやってやんの?!リーディアできんの?!」と興奮気味に食いついていた。
目が完全に研究者の、それ。
そもそも人間の魔法というのは風や火や水を操ったり発生させたりするものであって、魔力を封印したり人の怪我を治したり、あと、魔族のように呪ったりすることは出来ないんだって。
魔力は種族によって性質が異なり、使える魔法もそれに然りってわけだ。
「・・・あの、聞いてもいいですか・・・?」
「何だ?」
「俺に・・・その、蓋?をしたのは、一体誰なんでしょう。」
例えばの話。
俺の魔力の多さを恐れた誰かが居たとして、それを封じても意味がない。
だって、生きてるだけで魔力は湧く。
使わなければ、溜まっていく。
手っ取り早く、俺を殺してしまえばよかったはず。
一体誰が、何の目的で────・・・
「こいつじゃ。」
「・・・え?」
「こいつの魔力を強く感じる。間違いなかろう。だから呼んだのじゃ。」
「・・・・・・は?」
こいつ、と長い指で指した先に居たのはグルルと喉を鳴らしリーディア様を威嚇する、大男こと、竜人のイル。
鎖からガリ、ゴリ、と歪な音が鳴り始めたけど、リーディア様は話し続けた。
「それになあ・・・小僧の魔力の中にほんの少し・・・もう消えかかっておるが、こいつとはまた違う匂いの魔力が混ざっておってなあ。」
「匂いの、違う・・・」
「何か心当たりは・・・・・・っと、そろそろ駄目か。」
「・・・そ、うですね、うわあ・・・」
ガリ、ゴリ、の音が激しくなって、イルの体を中心に渦を巻いた風が強さを増しながら吹き上げてきた。
近くにいたら巻き添えを食らいそう。
転ばないようにゆっくり後退していると、カルマがいつのまにか後ろに立っていて背中を支えてくれた。
「・・・クソババア・・・!さっきから余計な・・・ことを・・・っ!」
「本当にお前はいつまで経っても餓鬼だな。このまま放っておけば小僧が死ぬ。」
「・・・・・・俺の、知ったことじゃない。」
「ほお~・・・そうか。ならばこの件、私が引き受けよう。」
「・・・・・・」
「それでよいな?この者に二度と近づくことは許さぬ。レヴィ、こちらへ来い。」
「・・・っ、は、はい。」
・・・リーディア様、超ご立腹。
二人とも年齢不詳な見た目してるから、年齢的な上下関係がハッキリしなかったけど、今のやりとりからリーディア様が完全に上と見た。
そして俺はその気迫ある呼びかけに無意識に走ろうとしてしまい、力の入らない足が絡まってそのまま転けてしまうのである。
手のひらを思いっきり擦りむいて、血が滲む。
「存外、鈍臭いな。」
「返す言葉もなく・・・す、すみませ、イッ、おわっ、」
「・・・不味いのお。」
「えええっ??な、舐めっ、?!」
舐めた血をペッと吐き出すような素振りを見て、なんかショックというか、何だお前というか、何ともいえない気持ちになったけど、いちいち反応してたらこっちの身が持たない。
何故ならリーディア様も超自由人。
ガコッ
「・・・え?」
俺の前に屈んだリーディア様の背後から、どこか不穏で、恐ろしい、破壊音がした。
恐る恐るそちらを見ると、あの鎖ががらがらと地面に落ちていきそのまま塵みたいに消えていく。
俺が内心「うわ~・・・」と呟く中、リーディア様に目をやると、にやりと口角が上がっていた。
この竜人、自由人と見せかけて、実は策士かもしれない。
「・・・そいつに、近づくな・・・!」
「おや。今し方お前が言ったばかりだろう?知ったことではない、と。」
「・・・クソババア・・・っ!!」
「何だ、クソ餓鬼。来い、そちらの角は私が折ってやろう。」
「やってみろ!!!」
あー・・・やばい、面倒くさい。
これ、戦闘始まっちゃう感じだな。竜人ってこんな喧嘩っ早いの?
と言うより、このイルとか言う狂犬男がいけないんじゃん。
俺、お前のこと知らないんだけど・・・・・・クソッ、本当もう、人の体に何てことしてくれてんだ────・・・
『じゃあ僕も、消える前に怒っていいよね。』
「は・・・?」
耳のすぐそばで、あの子どもの声がした。
呼吸が急に苦しくなって、咳が止まらない。
口を押さえていた手を退けると、赤黒く濁った血がべっとりと付いていた。
血を見た瞬間、眠る直前みたいに体からふっと、力が抜ける。
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