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34 森(挿絵あり)
「大体さ、あいつ本っ当しつこかったよね。僕たちのこと絶対好きじゃん。」
「好きとはまた違うだろ。」
「そうかなあ。好きと嫌いは紙一重って世間では言うんでしょ?」
「・・・いや、俺に聞かれても・・・」
奥深い森を拾った木の枝を振り回しながら歩く、二人。
声は聞こえるのに姿は見えない。
近づいては離れ、離れては近づいて。
奇妙な二人旅を、しばらく続けている。
「イル様、そろそろ待ち飽きてるかもね。」
「まー・・・そうだな。もうどのくらい経ったかもわからん。」
「半分死んでるようなもんだね。見えないけど、僕とこうやって話ができるし。」
「・・・勝手に殺すなよ。」
「そっちが勝手に来たんじゃん。」
あはは、と聞こえる笑い声は一層子どもっぽい。
俺は立ち止まりため息をついて、また歩き出す。
この不思議な森に、夜は来ない。
眠くなることもなければ、お腹も空かない。
ただ、あるかどうかもわからない出口を目指して歩き続けている。
「あっちに戻ってさ、イル様にコイビトができてたらどうするの?」
「・・・・・・イルに恋人・・・?できるか・・・?」
「だってあんなにかっこいいし、強いんだよ?」
「そう言うお前はイルの恋人になりたかったわけ?」
「ううん、全っ然。」
「・・・なんだ、それ。」
イルに恋人・・・想像したこともないな。
竜人だから恋人ってより生涯の伴侶ってとこか?
結婚、じゃなくて別の言い方すんだよな。
確か、えーっと・・・・・・
「イル様にとって、君と僕は違うから。」
「同じだろ。」
「体だけね。あとは全然違う。」
「それは・・・喜ぶところか?」
「勿論。僕もイル様にたくさん愛されたかった。」
「・・・はあ?」
向こうの足音が止まり、俺も進むのをやめた。
「お前めちゃくちゃ愛されてたじゃん。」
「・・・・・・そう、なのかな。」
「うわ~・・・鈍感すぎる。イルみたい。」
「君に言われたくないんだけど。」
「何でだよ。」
「だって君、もう────」
何か言いかけてやめ、鈴を転がすように笑うクロの声と共に、森の地面が眩しいくらい明るくなっていく。
「ほら、帰ってこいってさ。」
「・・・うわ、なんか緊張してきた・・・」
「ねえ、こっちにちょっと手伸ばしてみて。」
「・・・こっち?ど、どっち?」
「こっち、こっち。」
「だから、こっちって・・・・・・あ、」
冷たくて小さな手。
ぎゅっと握り返してくるその手に、俺は視界がぼやけてくる。
「長生きしてよね。」
「・・・っ、よぼよぼになるまで生きてやるよ。」
「ふふ、そうして。」
「・・・生まれ変わったらさ、」
「何、急に。」
「次は、俺と友達になろう。」
「・・・・・・いいよ。」
目の前の木々が消えていく。
辺り一面真っ白になる中で、ようやくクロの姿が見えた。
はにかんで笑うクロの顔。
長い旅もようやく終わる。
少し寂しい気がするけど、この旅の続きは次の人生で。
お互い笑って、最後に手を振った。
感想 7
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