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あんなに笑い悶えていた竜人も、別の笑い上戸が登場すればスンっと無表情になるらしい。
リーディア様の突然の登場にイルは挨拶代わりに水球を打ち、リーディア様は鎖を巻こうとしたもんだから、俺は残り僅かな今日分の体力を使い、止める羽目になった。
今日はもう、動けない。
「お前たちは本当に・・・くふっ、話題が尽きんの。ぷはっ、あはははは」
「・・・・・・で、この通り角は引っ込んだんですけど、何だったんですかアレ。リーディア様なら分かりますよね。」
「小僧が其奴の番になっただけじゃ。」
「・・・はい・・・?」
「元が人間故、完全な竜体にはなれんじゃろうが角は生えるんじゃのう・・・実に興味深いのお・・・ふふ、」
「・・・・・・イル、ちゃんと説明しろ。」
「面倒くさい。」
明日でいいだろう、と奥の部屋に引っ込むイルに頭突きさえできない俺はぎゃーぎゃー叫ぶしか手がない。
リーディア様はそれを見て転げ回って笑っていて、既視感のある光景が少し懐かしくて嬉しくもあるけど、俺は引き下がれない。いや、引き下がってはいけない。
スタスタ歩いて進むイルの背後に目をやるとリーディア様はすでに出入口へ。
「また来る」と一言、笑いながら外へ落ちるように竜化し、飛んでいった。
竜人各々の自由な様に最早俺は苦笑いするしかなかった。
奥の寝床には沢山の布が敷き詰められていた。
そこにぽいっと転がされた俺は、喉を鳴らす真似事をしてイルに威嚇を図る。
俺、説明不十分に対して怒ってますけど。
イルはそんな俺の横に寝転ぶと大きなあくびを一つ。
俺の知っているイルは寝る時間も短く眠そうな姿なんて見たことがない。
「眠い、の?」
「・・・・・・俺がこの二年、どれだけ気を揉んだと思う。」
「・・・そ、っか。」
「・・・この、まま・・・目が覚めないのでは・・・ないかと・・・何度思ったか・・・」
「・・・・・・っ!」
俺の頭を撫でながらうとうとするイルなんて今まで見たことがない。新鮮味、爆発。
おやすみ、と声をかけると俺より冷たい大きな手は動かなくなりイルの瞳も静かに閉じた。
俺の頭に乗ったままの手をそっと引き寄せて自分の頬の下へ挟み込む。
うっかり、にひひ、と気持ちの悪い笑い方をしてしまったことはイルには内緒にしておこう。
「番って・・・要はお前の伴侶ってことだろ。」
「・・・・・・」
「・・・いいよ。イルと一緒にいられるなら、なんだって。」
「・・・言ったな?」
「っ、ぎゃっ!」
挟み込んでいた手にぐんっと力が入ったかと思えば、至近距離にイルの琥珀色。
今まで見たことがないようなだらしない顔をしたイルは何とも生き生きとしていて、俺は体温が一気に上昇していく。
「あ・・・う、お、お前・・・っ、イル!ね、寝たふりか!?」
「番に手を取られて黙っておく訳にはいかんだろう。」
「~~~っ、寝てろ!!」
「嫌だ。」
「ん、わっ、」
まず、手を挟み込んでいた方とは逆の頬をかぷり。
イルのこの噛み癖何とかならんのか?!
次は指、手首、そして────
「く、く、首はくすぐったいからっ、だ、ダメ!」
「お前が寝ている間何度も噛んだ。さすがに慣れただろう。」
「!!?俺が寝てる時に、なっ、な!何してんの!?」
「番への求愛だが、何か悪いのか?」
「・・・っ、きゅ、きゅう、」
「・・・まだまだ、餓鬼だな。」
「☆$°×€*#!!」
イルの首元に頭を突っ込んでぐりぐりと頭突き擬きをかます。
真っ赤な耳の俺を前に喉を鳴らして笑うイルは俺よりずっと大人のくせしてまるで子どものようでとても腹立たしい。
だけど同じくらい・・・いや、それ以上にこの子どもみたいな竜人を愛おしいと思うようになったのは予想外の変化だった。
「~~っ、その餓鬼のことが好きで好きで仕方ないくせに!!」
「・・・その程度の言葉で済むものか。」
「んえ?!」
覆い被さるようにイルは俺を腕の中に閉じ込めた。
イルの長い髪が俺の耳や頬を掠めて少しくすぐったい。
真っ直ぐ俺を捕える琥珀色の瞳がゆっくりと弧を描いた。
「これを愛と呼ぶのだろう?なあ、レヴィ。」
「・・・っ、そ、そのニヤニヤした顔やめろ!!」
「顔が果実のように赤いぞ、餓鬼。」
「~~~、煩い!」
「っ、お、」
力を振り絞りイルの首元に腕を巻きついて、余裕たっぷりのイルの体勢を崩す。
降ってきた首元に思いっきり噛みついてから、自分の顔を見られないようぎゅっとしがみついた。
「も、もう、今日は寝ろ!」
「・・・・・・おい、」
「怒るのは反則だからな?!イ、イルが言ったんだぞ!首に噛み付くのは、きゅ、きゅ、うわああっ、」
腕を一瞬で押さえつけられればそれまでのこと。
真っ赤な顔を隠せもせず逃げられもせず、ただ合わさる視線が鋭い。突き刺さる。
「煽ったのはレヴィだ。」
「?!あ、あお、煽ってない!!イルも俺にしたんだろ?!」
「レヴィからは初めてだろう。」
「・・・そ、そ、そうですけ、んんっ!」
噛み付くようなキスが、唇に落ちてきた。
今までで一番近くで見たイルの瞳は陽光が煌くみたいに綺麗で俺は慌てて目を瞑る。
何度も何度もキスが落ちてくるもんだから俺は頭が沸騰しそうでイルの肩を叩いて「止まれ」と促す。
そんな願いは、聞いてくれないのがこの男。
俺の、愛しい竜人だ。
「・・・いつかやり返す。」
「出来るものならやってみろ、餓鬼。喜んで受けてやる。」
「?!ばっ、ばーか!!はよ寝ろ!!」
「・・・はいはい。」
腕枕の中で悶える俺の頭上から、笑い声が聞こえてくる。
逞しい二の腕を指でぎゅっと摘んで小さな悪態をついてから、イルの体に抱きついた。
それに応えるようにして、俺の背中に回った腕はやっぱり少し冷たくて。
のんびりした心音が、俺専用の子守唄みたいだった。
おしまい
----------------⭐︎
何とか、お、終わりました・・・!終わんないかと思った・・・!
ここまでイル×レヴィにお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
このお話も色々裏設定があるのですが出しきれず・・・(いつものこと)
とにかく!ファンタジーっていいよね!(大声)って話です!
えっと、挿絵と表紙絵最高なので見てください✌︎
ひとまず、完結です。
N2O 2024.10.12
リーディア様の突然の登場にイルは挨拶代わりに水球を打ち、リーディア様は鎖を巻こうとしたもんだから、俺は残り僅かな今日分の体力を使い、止める羽目になった。
今日はもう、動けない。
「お前たちは本当に・・・くふっ、話題が尽きんの。ぷはっ、あはははは」
「・・・・・・で、この通り角は引っ込んだんですけど、何だったんですかアレ。リーディア様なら分かりますよね。」
「小僧が其奴の番になっただけじゃ。」
「・・・はい・・・?」
「元が人間故、完全な竜体にはなれんじゃろうが角は生えるんじゃのう・・・実に興味深いのお・・・ふふ、」
「・・・・・・イル、ちゃんと説明しろ。」
「面倒くさい。」
明日でいいだろう、と奥の部屋に引っ込むイルに頭突きさえできない俺はぎゃーぎゃー叫ぶしか手がない。
リーディア様はそれを見て転げ回って笑っていて、既視感のある光景が少し懐かしくて嬉しくもあるけど、俺は引き下がれない。いや、引き下がってはいけない。
スタスタ歩いて進むイルの背後に目をやるとリーディア様はすでに出入口へ。
「また来る」と一言、笑いながら外へ落ちるように竜化し、飛んでいった。
竜人各々の自由な様に最早俺は苦笑いするしかなかった。
奥の寝床には沢山の布が敷き詰められていた。
そこにぽいっと転がされた俺は、喉を鳴らす真似事をしてイルに威嚇を図る。
俺、説明不十分に対して怒ってますけど。
イルはそんな俺の横に寝転ぶと大きなあくびを一つ。
俺の知っているイルは寝る時間も短く眠そうな姿なんて見たことがない。
「眠い、の?」
「・・・・・・俺がこの二年、どれだけ気を揉んだと思う。」
「・・・そ、っか。」
「・・・この、まま・・・目が覚めないのでは・・・ないかと・・・何度思ったか・・・」
「・・・・・・っ!」
俺の頭を撫でながらうとうとするイルなんて今まで見たことがない。新鮮味、爆発。
おやすみ、と声をかけると俺より冷たい大きな手は動かなくなりイルの瞳も静かに閉じた。
俺の頭に乗ったままの手をそっと引き寄せて自分の頬の下へ挟み込む。
うっかり、にひひ、と気持ちの悪い笑い方をしてしまったことはイルには内緒にしておこう。
「番って・・・要はお前の伴侶ってことだろ。」
「・・・・・・」
「・・・いいよ。イルと一緒にいられるなら、なんだって。」
「・・・言ったな?」
「っ、ぎゃっ!」
挟み込んでいた手にぐんっと力が入ったかと思えば、至近距離にイルの琥珀色。
今まで見たことがないようなだらしない顔をしたイルは何とも生き生きとしていて、俺は体温が一気に上昇していく。
「あ・・・う、お、お前・・・っ、イル!ね、寝たふりか!?」
「番に手を取られて黙っておく訳にはいかんだろう。」
「~~~っ、寝てろ!!」
「嫌だ。」
「ん、わっ、」
まず、手を挟み込んでいた方とは逆の頬をかぷり。
イルのこの噛み癖何とかならんのか?!
次は指、手首、そして────
「く、く、首はくすぐったいからっ、だ、ダメ!」
「お前が寝ている間何度も噛んだ。さすがに慣れただろう。」
「!!?俺が寝てる時に、なっ、な!何してんの!?」
「番への求愛だが、何か悪いのか?」
「・・・っ、きゅ、きゅう、」
「・・・まだまだ、餓鬼だな。」
「☆$°×€*#!!」
イルの首元に頭を突っ込んでぐりぐりと頭突き擬きをかます。
真っ赤な耳の俺を前に喉を鳴らして笑うイルは俺よりずっと大人のくせしてまるで子どものようでとても腹立たしい。
だけど同じくらい・・・いや、それ以上にこの子どもみたいな竜人を愛おしいと思うようになったのは予想外の変化だった。
「~~っ、その餓鬼のことが好きで好きで仕方ないくせに!!」
「・・・その程度の言葉で済むものか。」
「んえ?!」
覆い被さるようにイルは俺を腕の中に閉じ込めた。
イルの長い髪が俺の耳や頬を掠めて少しくすぐったい。
真っ直ぐ俺を捕える琥珀色の瞳がゆっくりと弧を描いた。
「これを愛と呼ぶのだろう?なあ、レヴィ。」
「・・・っ、そ、そのニヤニヤした顔やめろ!!」
「顔が果実のように赤いぞ、餓鬼。」
「~~~、煩い!」
「っ、お、」
力を振り絞りイルの首元に腕を巻きついて、余裕たっぷりのイルの体勢を崩す。
降ってきた首元に思いっきり噛みついてから、自分の顔を見られないようぎゅっとしがみついた。
「も、もう、今日は寝ろ!」
「・・・・・・おい、」
「怒るのは反則だからな?!イ、イルが言ったんだぞ!首に噛み付くのは、きゅ、きゅ、うわああっ、」
腕を一瞬で押さえつけられればそれまでのこと。
真っ赤な顔を隠せもせず逃げられもせず、ただ合わさる視線が鋭い。突き刺さる。
「煽ったのはレヴィだ。」
「?!あ、あお、煽ってない!!イルも俺にしたんだろ?!」
「レヴィからは初めてだろう。」
「・・・そ、そ、そうですけ、んんっ!」
噛み付くようなキスが、唇に落ちてきた。
今までで一番近くで見たイルの瞳は陽光が煌くみたいに綺麗で俺は慌てて目を瞑る。
何度も何度もキスが落ちてくるもんだから俺は頭が沸騰しそうでイルの肩を叩いて「止まれ」と促す。
そんな願いは、聞いてくれないのがこの男。
俺の、愛しい竜人だ。
「・・・いつかやり返す。」
「出来るものならやってみろ、餓鬼。喜んで受けてやる。」
「?!ばっ、ばーか!!はよ寝ろ!!」
「・・・はいはい。」
腕枕の中で悶える俺の頭上から、笑い声が聞こえてくる。
逞しい二の腕を指でぎゅっと摘んで小さな悪態をついてから、イルの体に抱きついた。
それに応えるようにして、俺の背中に回った腕はやっぱり少し冷たくて。
のんびりした心音が、俺専用の子守唄みたいだった。
おしまい
----------------⭐︎
何とか、お、終わりました・・・!終わんないかと思った・・・!
ここまでイル×レヴィにお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
このお話も色々裏設定があるのですが出しきれず・・・(いつものこと)
とにかく!ファンタジーっていいよね!(大声)って話です!
えっと、挿絵と表紙絵最高なので見てください✌︎
ひとまず、完結です。
N2O 2024.10.12
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