【完結】待って、待って!僕が好きなの貴方です!

N2O

文字の大きさ
12 / 19

12

しおりを挟む
「ラウーくん~~~!!がんばれ~~~~!!」
「魔法科の彗星~~~~!!」
「今日も世界一可愛い~~~!って、うわっ!今なんか飛んでこなかった?!」
「お前が余計なこと言うからだろ。」





ちょっと気になる内容も含まれてるけど魔法科の同級生、先輩たちの声援の熱量が凄い。
何故かイライラ感満載のユキ先輩との模擬戦闘も無事終えて、緊張はほぐれたと思ったんだけどな。
最後のトリが僕でいいのか?
そこは未だに疑問だけど、何度も来た訓練場の真ん中に一人で立って、ちょっと緊張。


でもその何倍も、わくわくしてる。





小さい頃から使っている杖を出し、空に向かって掲げた。
誕生日プレゼントで貰った時は僕の身長より大きかったこの杖も、今や逆転。(ややギリギリで)
杖先で炎の渦を巻き、火球にして空へ打ち上げると、ワァァァァ、と大きな歓声が会場を飲み込む。

同時に会場内では赤い花が舞う。
火球は怒りを表現して、赤い花は炎のように集めてから爆発するように舞わせた。


そして一気に冷気を凝縮。
水魔法と混ぜながら青色の花を出す。
これは悲しみを表現した。


息をする間もなく僕が魔法を使うたび、歓声をあげる人、楽しそうに花を目で追う人、拍手をしてくれる人。
いろんな人が目に入ってくる。



でも僕の視界のどこかに、いつも必ず貴方がいるんですよ。

・・・ま、僕、今ちょっとだけ貴方に怒ってますけどね。





----------------⭐︎





「・・・・・・これは、夢・・・?」

「・・・はい?」



ぎゅっと手は握ったまま、あの控え室で正気を取り戻したクロヴィスさんの一言目。
呆然とした顔で僕を見て、ぽつりと溢したのはまさかの夢発言だった。

僕の眉間に皺がよっていく。
だって、だって・・・だって・・・!
やっと想いが通じたと思ったのに・・・!



それに気づいたクロヴィスさんはハッとしたような顔をして目が右往左往し始めたけど、時すでに遅し。






「あっ、い、今の言葉は決して、」

「クロヴィスさん。会場で僕のこと、ずっっと見ててくださいね。」

「それは、もちろん見るが、」

「僕だけ、見・て・て、くださいね。」

「は、はい。」

「そろそろ行かないといけませんよね。でも最後に一ついいですか?」

「あ、ああ。俺にできるこ、?!!」






向かい合って床に座り込んだままのクロヴィスさんに膝立ちで近づいて、額近くにキスをする。
僕を見上げるクロヴィスさんは、ぽかんと口を開けていて、こんな顔は初めて見たな、なんて。
そんな心の余裕本当はないけど、僕はできる限り"してやったり顔"をしてもう一度、同じ場所にキスをした。





「これは無事を祈るおまじないです。」

「・・・・・・あ、え、」

「怪我しないでくださいね、約束ですよ。」

「わ、わかった。」

「じゃあ、僕たち先に向かいますから。ユキ先輩、行きましょう!」

「・・・・・・ラウー、耳真っ赤だね。」

「余計なこと言わないでくださいっ!!もうっ!!さ、クロヴィスさんも立ちましょう。」

「あ、ああ。」





クロヴィスさんの両手を持って引っ張り上げる。
僕よりも圧倒的に体がしっかりしてるからやっぱり重い。
さっき"最後に一つ"って言ったけど、僕は立ち上がったばかりのその人に、ぎゅっと抱きついて、胸の辺りに顔を押し付けた。
その瞬間、ピキッと音が鳴るんじゃないかってぐらい固まったクロヴィスさんが、何だかとてつもなく可愛くて、僕はすりすりと顔を擦り付けてから体を離す。


僕、実は今心臓が爆発しそうです。





「僕、もう勘違いしたくないし、させたくもないんです。だから、ちゃんと相手に伝えるって大事なことだなぁって。」

「・・・・・・っ」

「僕のことちゃんと見ててくださいね。」

「わ、かった。」

「ふふっ、では、行ってきます。」





クロヴィスさんから体を離すと、自分の鼓動が浮きだって聞こえてくる。
「俺は一体何を見せつけられてるんだろう」と目頭を指で押さえるユキ先輩の隣に並んで、僕は部屋を出る。

扉が閉まる直前に見たクロヴィスさんは、さっき見た棒立ちのまま相変わらず固まっていて、僕はまた一つ笑いをこぼしてから、ゆっくりと前を向いた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「嵐を呼ぶ」と一族を追放された人魚王子。でもその歌声は、他人の声が雑音に聞こえる呪いを持つ孤独な王子を癒す、世界で唯一の力だった

水凪しおん
BL
「嵐を呼ぶ」と忌み嫌われ、一族から追放された人魚の末王子シオン。 魔女の呪いにより「他人の声がすべて不快な雑音に聞こえる」大陸の王子レオニール。 光の届かない深海と、音のない静寂の世界。それぞれの孤独を抱えて生きてきた二人が、嵐の夜に出会う。 シオンの歌声だけが、レオニールの世界に色を与える唯一の美しい旋律だった。 「君の歌がなければ、私はもう生きていけない」 それは、やがて世界の運命さえも揺るがす、あまりにも切なく甘い愛の物語。 歌声がつなぐ、感動の異世界海洋ファンタジーBL、開幕。

虐げられΩは冷酷公爵に買われるが、実は最強の浄化能力者で運命の番でした

水凪しおん
BL
貧しい村で育った隠れオメガのリアム。彼の運命は、冷酷無比と噂される『銀薔薇の公爵』アシュレイと出会ったことで、激しく動き出す。 強大な魔力の呪いに苦しむ公爵にとって、リアムの持つ不思議な『浄化』の力は唯一の希望だった。道具として屋敷に囚われたリアムだったが、氷の仮面に隠された公爵の孤独と優しさに触れるうち、抗いがたい絆が芽生え始める。 「お前は、俺だけのものだ」 これは、身分も性も、運命さえも乗り越えていく、不器用で一途な二人の成り上がりロマンス。惹かれ合う魂が、やがて世界の理をも変える奇跡を紡ぎ出す――。

オメガだと隠して地味なベータとして生きてきた俺が、なぜか学園最強で傲慢な次期公爵様と『運命の番』になって、強制的にペアを組まされる羽目に

水凪しおん
BL
この世界では、性は三つに分かたれる。支配者たるアルファ、それに庇護されるオメガ、そして大多数を占めるベータ。 誇り高き魔法使いユキは、オメガという性を隠し、ベータとして魔法学園の門をくぐった。誰にも見下されず、己の力だけで認められるために。 しかし彼の平穏は、一人の男との最悪の出会いによって打ち砕かれる。 学園の頂点に君臨する、傲慢不遜なアルファ――カイ・フォン・エーレンベルク。 反発しあう二人が模擬戦で激突したその瞬間、伝説の証『運命の印』が彼らの首筋に発現する。 それは、決して抗うことのできない魂の繋がり、『運命の番』の証だった。 「お前は俺の所有物だ」 傲慢に告げるカイと、それに激しく反発するユキ。 強制的にペアを組まされた学園対抗トーナメント『双星杯』を舞台に、二人の歯車は軋みを上げながらも回り出す。 孤独を隠す最強のアルファと、運命に抗う気高きオメガ。 これは、反発しあう二つの魂がやがて唯一無二のパートナーとなり、世界の理をも変える絆を結ぶまでの、愛と戦いの物語。

役立たずと婚約破棄された僕、極寒の辺境でもふもふ聖獣に懐かれたら、なぜか氷の公爵様にも執着されて甘々に溺愛されてます

水凪しおん
BL
聖女の婚約者でありながら、強力な魔獣を従えられない「役立たず」として婚約破棄され、極寒の北の辺境へ追放された青年リアム。彼が持つスキルは、動物や植物と心を通わせる【生命との共感】。力こそ正義の世界で、その優しすぎる力は無能の証とされていた。 死を覚悟した吹雪の夜、リアムは傷ついた巨大なもふもふの聖獣「月光狼」と出会う。最後の力を振り絞って彼を癒したことから、気まぐれで甘えん坊な聖獣にべったり懐かれてしまう。 そんな一人と一匹の前に現れたのは、「氷の公爵」と恐れられる辺境の領主カイゼル。無愛想で冷徹な仮面の下に「大のもふもふ好き」を隠す彼は、聖獣と、その聖獣に懐かれるリアムに興味を持ち、二人まとめて城へ連れ帰ることに。 「今日からお前は、この聖獣の専属飼育係だ」 これは、追放された心優しい青年が、もふもふ聖獣と不器用な公爵様からの愛情に包まれ、自らの本当の価値と幸せを見つけていく、心温まる溺愛ストーリー。

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

ヒメ様が賊にさらわれました!

はやしかわともえ
BL
BLです。 11月のBL大賞用の作品です。 10/31に全話公開予定です。 宜しくお願いします。

追放された無能錬金術師ですが、感情ポーションで氷の騎士様に拾われ、執着されています

水凪しおん
BL
宮廷錬金術師のエリアスは、「無能」の烙印を押され、王都から追放される。全てを失い絶望する彼が辺境の村で偶然作り出したのは、人の"感情"に作用する奇跡のポーションだった。 その噂は、呪いで感情を失い「氷の騎士」と畏れられる美貌の騎士団長ヴィクターの耳にも届く。藁にもすがる思いでエリアスを訪れたヴィクターは、ポーションがもたらす初めての"温もり"に、その作り手であるエリアス自身へ次第に強く執着していく。 「お前は、俺だけの錬金術師になれ」 過剰な護衛、暴走する独占欲、そして隠された呪いの真相。やがて王都の卑劣な陰謀が、穏やかな二人の関係を引き裂こうとする。 これは、追放された心優しき錬金術師が、孤独な騎士の凍てついた心を溶かし、世界で一番の幸福を錬成するまでの愛の物語。

処理中です...