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第六話
え? 初デートは異世界で?・その六
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(おぉ、眩しさにクラクラするー……)
一歩足を踏み入れた途端に明るい店内、ふわふわポップでキュートな服。瞳をキラキラさせて服を見ているお客達。それらが眩《まばゆ》い光となって薔子に挑んで来た。
(駄目だ……眩し過ぎて溶けちゃいそう……)
額を右手でおさえながら、フラフラと店内に設けられているソファーに腰をおろした。
(駄目だなぁ。店内に一歩入った途端にこれじゃあ、志門先生が隣にいただけで卒倒しそう……)
両手で頭を抱えて、何とか気分を落ち着かせようと試みる。
「失礼致しますお客様、どうなさいました?」
その時、左斜め前から可愛らしい声が聞こえた。
(ゲッ、スタッフさんだ)
すぐに気付き、顔をあげる。
(あら、可愛い。細っ、スタイルいいなぁ)
ショートボブがよく似合う、小柄で華奢なスタッフが膝をついて心配そうに薔子を見つめていた。パステルイエローのカラーパンツに、ベビーピンクのSラインのニットワンピースを着ている。腰にピンクのリボンがついており、ゴールドのサンダルを履いていた。
(なるほど、これがお薦めのスタイルなのか……)
「あ、大丈夫です。すみません」
すぐに答え、外面用のスマイルを浮かべた。
「そうですか? もしご気分が優れないようでしたら、遠慮無くお声をお掛けくださいませ。私、江川と申します」
彼女はそう行って頭を下げると
「失礼致します。ごゆっくりどうぞ」
親しみ易い笑顔で声をかけ、売り場に戻っていった。
(フェー、素敵な笑顔だなぁ。対処もさり気なくて心地良いし。よし、このお店で探してみよう)
薔子は気を取り直して立ち上がった。
¥マネキンはオレンジのカラーパンツにパステルグリーンのAラインのニットワンピースというスタイルだ。
(へぇ? 首元に細い白いリボンも可愛いな。『喪女の恋』に出て来る亜由ちゃんみたい)
亜由とは、その漫画に出て来るヒロインの妹の名である。
(ふりふりふわわなパステルカラー、て感じなお店みたいね)
薔子なりに分析をしつつ、掛かっている服を見てみる。
(カラーパンツは、家に紺色のがあるし。あれなら色んな色に合わせ易いし……)
考えながら服を見ていく。
(あ、可愛い。ベビーピンクノ地にピンク色の千鳥格子か)
目に留まった服をハンガーごと取り出す。それは近くでマネキンが着ていたものと同じだった。Aラインでたっぷりフリルがついたクラシカルな形のニットワンピースだ。マネキンを見るなり、すぐに服を元に戻す。
(マネキンが着たら超可愛いが、私が来たらギャグ仮装大会だ……)
がくっと頭を垂れる。
(そういえば、志門先生は何色がお好みかしら……)
そこまで考えて、すぐに我に返る。
(いやいや、まだ明日が初デートだし。幻滅されて終わりかも知れないし。気が早い早い。あんまり夢見過ぎは後々ガックリきちゃうから、と。……あ! これ、ちょっと可愛いかも)
目に留まった服をハンガーごと手に取る。
(これなら、それほど抵抗無く着られそう。初デートと言えば暖色系。特にピンク系が推し、みたいに雑誌とかには書かれてるけど、ピンクはちと抵抗あるし、黄色は個性的過ぎるし私が着たら服だけ浮きそう。だけど、これなら……)
それは柔らかなパステルオレンジの膝丈Aラインのワンピースだった。飾りは特にない。
(顔の造作云々はこの際みないようにして、と)
等身大の鏡に向かって、服を体に当ててみる。
(うん、肌の色に合ってるし。値段も2980円と手頃だし。買っちゃおうかなぁ……)
「宜しければ、ご試着なさいますか?」
先ほどのスタッフがにこやかに声をかけてきた。
(アゥアゥ……服なんか滅多に買わないし、試着した事あんまりないや……)
「あ、はい。大丈夫です。これ、買います」
内心で焦りながら、表面上は落ち着いた様子で応じる。
(試着したら色々と自分に突っ込んで買わないで帰りそうだ。サイズは大丈夫そうだし。勢いで買ってしまおう)
「はい、有難う御座います。他に何かお買い物はなさいますか?」
「今日はもう大丈夫です」
「では、ご案内します」
かくして、デートの服を生まれて初めて購入したのである。
(む、ふふっ。買っちゃった。靴やバッグは、家にある無難なやつで合わせよう、と)
薔子は上機嫌でショップを後にした。
(さぁて、一時間かからなかったし。どこ寄ろうかなぁ)
ブックストア、ホームセンター、園芸屋、鉱物屋……頭の中に、馴染みの店の選択肢が浮かぶ。
(うん? あ……)
その時ふと、右斜め先のドラッグストアが目に入る。
(シートマスクとやらでも、買ってみようかなぁ)
にわかに美容に興味が出て来た自分に驚きつつ、吸い込まれるようにしてドラッグストアに入っていった。
一歩足を踏み入れた途端に明るい店内、ふわふわポップでキュートな服。瞳をキラキラさせて服を見ているお客達。それらが眩《まばゆ》い光となって薔子に挑んで来た。
(駄目だ……眩し過ぎて溶けちゃいそう……)
額を右手でおさえながら、フラフラと店内に設けられているソファーに腰をおろした。
(駄目だなぁ。店内に一歩入った途端にこれじゃあ、志門先生が隣にいただけで卒倒しそう……)
両手で頭を抱えて、何とか気分を落ち着かせようと試みる。
「失礼致しますお客様、どうなさいました?」
その時、左斜め前から可愛らしい声が聞こえた。
(ゲッ、スタッフさんだ)
すぐに気付き、顔をあげる。
(あら、可愛い。細っ、スタイルいいなぁ)
ショートボブがよく似合う、小柄で華奢なスタッフが膝をついて心配そうに薔子を見つめていた。パステルイエローのカラーパンツに、ベビーピンクのSラインのニットワンピースを着ている。腰にピンクのリボンがついており、ゴールドのサンダルを履いていた。
(なるほど、これがお薦めのスタイルなのか……)
「あ、大丈夫です。すみません」
すぐに答え、外面用のスマイルを浮かべた。
「そうですか? もしご気分が優れないようでしたら、遠慮無くお声をお掛けくださいませ。私、江川と申します」
彼女はそう行って頭を下げると
「失礼致します。ごゆっくりどうぞ」
親しみ易い笑顔で声をかけ、売り場に戻っていった。
(フェー、素敵な笑顔だなぁ。対処もさり気なくて心地良いし。よし、このお店で探してみよう)
薔子は気を取り直して立ち上がった。
¥マネキンはオレンジのカラーパンツにパステルグリーンのAラインのニットワンピースというスタイルだ。
(へぇ? 首元に細い白いリボンも可愛いな。『喪女の恋』に出て来る亜由ちゃんみたい)
亜由とは、その漫画に出て来るヒロインの妹の名である。
(ふりふりふわわなパステルカラー、て感じなお店みたいね)
薔子なりに分析をしつつ、掛かっている服を見てみる。
(カラーパンツは、家に紺色のがあるし。あれなら色んな色に合わせ易いし……)
考えながら服を見ていく。
(あ、可愛い。ベビーピンクノ地にピンク色の千鳥格子か)
目に留まった服をハンガーごと取り出す。それは近くでマネキンが着ていたものと同じだった。Aラインでたっぷりフリルがついたクラシカルな形のニットワンピースだ。マネキンを見るなり、すぐに服を元に戻す。
(マネキンが着たら超可愛いが、私が来たらギャグ仮装大会だ……)
がくっと頭を垂れる。
(そういえば、志門先生は何色がお好みかしら……)
そこまで考えて、すぐに我に返る。
(いやいや、まだ明日が初デートだし。幻滅されて終わりかも知れないし。気が早い早い。あんまり夢見過ぎは後々ガックリきちゃうから、と。……あ! これ、ちょっと可愛いかも)
目に留まった服をハンガーごと手に取る。
(これなら、それほど抵抗無く着られそう。初デートと言えば暖色系。特にピンク系が推し、みたいに雑誌とかには書かれてるけど、ピンクはちと抵抗あるし、黄色は個性的過ぎるし私が着たら服だけ浮きそう。だけど、これなら……)
それは柔らかなパステルオレンジの膝丈Aラインのワンピースだった。飾りは特にない。
(顔の造作云々はこの際みないようにして、と)
等身大の鏡に向かって、服を体に当ててみる。
(うん、肌の色に合ってるし。値段も2980円と手頃だし。買っちゃおうかなぁ……)
「宜しければ、ご試着なさいますか?」
先ほどのスタッフがにこやかに声をかけてきた。
(アゥアゥ……服なんか滅多に買わないし、試着した事あんまりないや……)
「あ、はい。大丈夫です。これ、買います」
内心で焦りながら、表面上は落ち着いた様子で応じる。
(試着したら色々と自分に突っ込んで買わないで帰りそうだ。サイズは大丈夫そうだし。勢いで買ってしまおう)
「はい、有難う御座います。他に何かお買い物はなさいますか?」
「今日はもう大丈夫です」
「では、ご案内します」
かくして、デートの服を生まれて初めて購入したのである。
(む、ふふっ。買っちゃった。靴やバッグは、家にある無難なやつで合わせよう、と)
薔子は上機嫌でショップを後にした。
(さぁて、一時間かからなかったし。どこ寄ろうかなぁ)
ブックストア、ホームセンター、園芸屋、鉱物屋……頭の中に、馴染みの店の選択肢が浮かぶ。
(うん? あ……)
その時ふと、右斜め先のドラッグストアが目に入る。
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