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5.初めてのデート
初めてのデート④
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初めて足を踏み入れるクラブフロアは、シックな内装で黒地にベージュの模様の入った毛足が長い絨毯や、壁際にさりげなく置いてあるクリスタル製のインテリアがシャンデリアの光を返し、キラキラと煌びやかで高級感のある雰囲気を醸し出している。
五十里が落ち着くといった意味も、十分に理解できた。
ラウンジからは高層階ならではの、輝く夜景が広がっているのが見えた。窓際の席に案内され、メニューを手渡される。
金額などは入っていないから、お客様をおもてなしする際にも招待するときに、気兼ねなくご案内できるのだろう。
白いシャツと黒のサロンエプロンを見にまとったギャルソンが、丁寧に席まで案内してくれる。
「アラカルトでもいいが、コースの方が気兼ねなく食べられるだろう。コースにしよう」
「はい」
五十里は慣れたようすでフロア係に声をかけ、注文をする。
「ワインはどうする?」
客室乗務員の中にはワインソムリエの資格を持っているものもいるが、莉緒はあいにく今勉強中というところだ。
それでも社内の研修は積極的に参加はしていた。
「そこまで詳しくはないので、お任せしたいです」
「まあ、ソムリエの選択は勉強になるからな。すまないがソムリエを呼んでもらえるか?」
五十里が言うと、フロア係は微笑みを絶やさず「承知しました」と返事をして下がっていった。
その後はテーブルに来てくれたソムリエと話しながら、ワインを決めてゆく。
ハーフボトルで前菜とメインではワインを変えることにした。
前菜の時はフレッシュな口当たりのブルゴーニュ産の白ワイン、メインの時はミディアムボディのボルドー産の赤ワインにした。
テイスティングの仕草も五十里は堂に入っていて、莉緒は見とれそうになる。
ソムリエが綺麗な仕草でワインをグラスに注いでくれた。
「乾杯ですか?」
莉緒が聞くと五十里から「Cheers?」と返ってくる。綺麗な発音だった。
莉緒も英語は普段から使っているのだから「Cheers」と返す。
グラスは重ねない。軽く持ち上げるだけだ。
繊細なガラスを傷つけないための仕草だった。
「苦手な食材やアレルギーはございませんか?」とにこやかに確認され「大丈夫です」と莉緒は答える。
「さすがはソシアルグランドのソムリエだな。すごくいいワインだ」
「選び方も教えていただいてとても勉強になりました」
「いい生徒だったからだろう」
生徒とは莉緒のことだろう。ソムリエに実地で教えを請える良い機会でもあって、ついいろいろ質問してしまったのだが、ソムリエはそれにも丁寧に答えてくれたのだ。
その丁寧な対応までとても勉強になった。
お料理は一皿目の前菜からカラフルなソースがあしらってあるカルパッチョで、旬の白身のお刺身は甘みすら感じるほどのおいしさだった。
「おいしいです!」
「それはよかった。ここはミシュランの星付きで修業したシェフが料理をつくっているんだ」
シェフが星付きの店で修業していたというのも、納得の味だ。
「ワインにも造詣が深く、自分に足りないところは積極的に勉強して、おいしい料理には素直においしいとしっかり食べる。莉緒には惚れ直すばかりだな」
ものすごくぱくついてしまったような気がしたのだが、そんなことすら五十里のお気に召したものらしい。
「気に入っていただけて何よりです……」
(おしとやかに食べよう)
心の中でつぶやく莉緒なのだった。
五十里が落ち着くといった意味も、十分に理解できた。
ラウンジからは高層階ならではの、輝く夜景が広がっているのが見えた。窓際の席に案内され、メニューを手渡される。
金額などは入っていないから、お客様をおもてなしする際にも招待するときに、気兼ねなくご案内できるのだろう。
白いシャツと黒のサロンエプロンを見にまとったギャルソンが、丁寧に席まで案内してくれる。
「アラカルトでもいいが、コースの方が気兼ねなく食べられるだろう。コースにしよう」
「はい」
五十里は慣れたようすでフロア係に声をかけ、注文をする。
「ワインはどうする?」
客室乗務員の中にはワインソムリエの資格を持っているものもいるが、莉緒はあいにく今勉強中というところだ。
それでも社内の研修は積極的に参加はしていた。
「そこまで詳しくはないので、お任せしたいです」
「まあ、ソムリエの選択は勉強になるからな。すまないがソムリエを呼んでもらえるか?」
五十里が言うと、フロア係は微笑みを絶やさず「承知しました」と返事をして下がっていった。
その後はテーブルに来てくれたソムリエと話しながら、ワインを決めてゆく。
ハーフボトルで前菜とメインではワインを変えることにした。
前菜の時はフレッシュな口当たりのブルゴーニュ産の白ワイン、メインの時はミディアムボディのボルドー産の赤ワインにした。
テイスティングの仕草も五十里は堂に入っていて、莉緒は見とれそうになる。
ソムリエが綺麗な仕草でワインをグラスに注いでくれた。
「乾杯ですか?」
莉緒が聞くと五十里から「Cheers?」と返ってくる。綺麗な発音だった。
莉緒も英語は普段から使っているのだから「Cheers」と返す。
グラスは重ねない。軽く持ち上げるだけだ。
繊細なガラスを傷つけないための仕草だった。
「苦手な食材やアレルギーはございませんか?」とにこやかに確認され「大丈夫です」と莉緒は答える。
「さすがはソシアルグランドのソムリエだな。すごくいいワインだ」
「選び方も教えていただいてとても勉強になりました」
「いい生徒だったからだろう」
生徒とは莉緒のことだろう。ソムリエに実地で教えを請える良い機会でもあって、ついいろいろ質問してしまったのだが、ソムリエはそれにも丁寧に答えてくれたのだ。
その丁寧な対応までとても勉強になった。
お料理は一皿目の前菜からカラフルなソースがあしらってあるカルパッチョで、旬の白身のお刺身は甘みすら感じるほどのおいしさだった。
「おいしいです!」
「それはよかった。ここはミシュランの星付きで修業したシェフが料理をつくっているんだ」
シェフが星付きの店で修業していたというのも、納得の味だ。
「ワインにも造詣が深く、自分に足りないところは積極的に勉強して、おいしい料理には素直においしいとしっかり食べる。莉緒には惚れ直すばかりだな」
ものすごくぱくついてしまったような気がしたのだが、そんなことすら五十里のお気に召したものらしい。
「気に入っていただけて何よりです……」
(おしとやかに食べよう)
心の中でつぶやく莉緒なのだった。
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