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6.夢の途中
夢の途中①
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「クラブフロアのラウンジなんて初めてですけれど、インテリアもサービスも素晴らしいですね」
食事をしながら、莉緒は五十里にそう話しかける。五十里も満足そうだった。
「普通のレストランは慣れていてつまらないんじゃないかと思ったんだが、ここにして正解だったな」
「慣れてつまらないってことはないですよ。どこのレストランにお邪魔してもサービスを提供する立場としてとても勉強になります」
「本当に勉強熱心だな」
莉緒の話を聞きながら五十里は感心している。
「多分、客室乗務員はみんなそうだと思います。素敵なお店があると情報を共有するんです」
「そういえば、みんな仲がいいとか一緒に行動するイメージだな」
それはそうかもしれない。同僚は一緒に飛行機を飛ばす仲間でライバルではない。
これは入社の時から徹底的に叩き込まれるものだ。
「飛行機を飛ばすことや、安全のためには協力することや共有がとても大事だからかもしれません」
「確かにそれはそうだな。一般の会社員より結束が固くなるのは職業柄かもな」
すんなりと莉緒の話を理解してくれるのは五十里がJSAのことをよく知っているのもあるかもしれない。
「五十里さんはいかがなんですか?」
「基本的には同僚はライバルだ。協力もするが足の引っ張り合いもない世界ではない。生き残りが厳しい世界だよ」
さらっと言っているが、そんな中で五十里はまさに勝ち組ともいうべき立場なのではないだろうか。
「けれど、五十里重工の御曹司と聞きました」
「それはアドバンテージではない時もあるんだ。むしろ障害になることもある。難しいよ」
莉桜の言葉に五十里は苦笑した。
いい思いをすることよりも苦労の方が多いのかもしれなかった。
「難しくても、今役員というお立場にいることは素晴らしいです。難しいからこそ、尊敬します」
「君は俺をいい気分にさせる天才だな」
ふふっと笑う五十里は本当に機嫌が良さそうだった。
「お仕事は忙しいですか?」
「うん。今はとても忙しい。けれど、五十里重工で国内製飛行機を導入することは俺の夢でもあったから、大変だけど充実しているよ。莉緒もそうだろう?」
大変だけど充実している。確かにそれは一緒だ。
夢を語る五十里は莉桜よりも年上のはずなのに少年のように瞳をキラキラとさせている。
莉桜にも夢を語る五十里はとても素敵だ。横にいて、莉桜はつい見とれそうになってしまった。
「一緒ですね」
「仕事で夢を叶えられることはそう多くはない。有難いことだと思うよ」
「そうですね。私はまだ夢の途中です」
「ふぅん? 客室乗務員になって夢を叶えたのかと思ったよ」
そう言って五十里は首を傾げて優しく莉桜を見る。
「それはありますけど、実際に客室乗務員になってみると、憧れとか目標とすることもたくさんあって……。最終的にはファーストクラスのサービスを任せていただけるほどの客室乗務員になりたいです」
「それが莉緒の夢か。ではそれが叶ったときは俺はぜひ莉緒のサービスするファーストクラスに乗せてもらおう」
「まだまだ先の話です」
「それは嬉しいな。ずっと一緒にいさせてくれるだろう?」
実際に莉緒がファーストクラスを担当できるようになるのは何年も先の話だろう。
それまで一緒にいたいという五十里の言葉はとても甘いものだった。
普通に楽しく話をしていたかと思うと急に甘い雰囲気になる。
五十里と一緒にいることは莉緒もどきどきさせられることだった。
メインの料理からデザートまでフルコースだったのでかなりゆっくりと食事したのだが、その間も五十里とは話題が絶えず、楽しい食事の時間を過ごした。
「クラブフロアにはバーもあるんだ。行ってみるか?」
「ぜひ!」
バーラウンジの方は先程のラウンジと比べるとライティングもアンダーで外の夜景を楽しみながらお酒が飲めるような雰囲気である。
食事をしながら、莉緒は五十里にそう話しかける。五十里も満足そうだった。
「普通のレストランは慣れていてつまらないんじゃないかと思ったんだが、ここにして正解だったな」
「慣れてつまらないってことはないですよ。どこのレストランにお邪魔してもサービスを提供する立場としてとても勉強になります」
「本当に勉強熱心だな」
莉緒の話を聞きながら五十里は感心している。
「多分、客室乗務員はみんなそうだと思います。素敵なお店があると情報を共有するんです」
「そういえば、みんな仲がいいとか一緒に行動するイメージだな」
それはそうかもしれない。同僚は一緒に飛行機を飛ばす仲間でライバルではない。
これは入社の時から徹底的に叩き込まれるものだ。
「飛行機を飛ばすことや、安全のためには協力することや共有がとても大事だからかもしれません」
「確かにそれはそうだな。一般の会社員より結束が固くなるのは職業柄かもな」
すんなりと莉緒の話を理解してくれるのは五十里がJSAのことをよく知っているのもあるかもしれない。
「五十里さんはいかがなんですか?」
「基本的には同僚はライバルだ。協力もするが足の引っ張り合いもない世界ではない。生き残りが厳しい世界だよ」
さらっと言っているが、そんな中で五十里はまさに勝ち組ともいうべき立場なのではないだろうか。
「けれど、五十里重工の御曹司と聞きました」
「それはアドバンテージではない時もあるんだ。むしろ障害になることもある。難しいよ」
莉桜の言葉に五十里は苦笑した。
いい思いをすることよりも苦労の方が多いのかもしれなかった。
「難しくても、今役員というお立場にいることは素晴らしいです。難しいからこそ、尊敬します」
「君は俺をいい気分にさせる天才だな」
ふふっと笑う五十里は本当に機嫌が良さそうだった。
「お仕事は忙しいですか?」
「うん。今はとても忙しい。けれど、五十里重工で国内製飛行機を導入することは俺の夢でもあったから、大変だけど充実しているよ。莉緒もそうだろう?」
大変だけど充実している。確かにそれは一緒だ。
夢を語る五十里は莉桜よりも年上のはずなのに少年のように瞳をキラキラとさせている。
莉桜にも夢を語る五十里はとても素敵だ。横にいて、莉桜はつい見とれそうになってしまった。
「一緒ですね」
「仕事で夢を叶えられることはそう多くはない。有難いことだと思うよ」
「そうですね。私はまだ夢の途中です」
「ふぅん? 客室乗務員になって夢を叶えたのかと思ったよ」
そう言って五十里は首を傾げて優しく莉桜を見る。
「それはありますけど、実際に客室乗務員になってみると、憧れとか目標とすることもたくさんあって……。最終的にはファーストクラスのサービスを任せていただけるほどの客室乗務員になりたいです」
「それが莉緒の夢か。ではそれが叶ったときは俺はぜひ莉緒のサービスするファーストクラスに乗せてもらおう」
「まだまだ先の話です」
「それは嬉しいな。ずっと一緒にいさせてくれるだろう?」
実際に莉緒がファーストクラスを担当できるようになるのは何年も先の話だろう。
それまで一緒にいたいという五十里の言葉はとても甘いものだった。
普通に楽しく話をしていたかと思うと急に甘い雰囲気になる。
五十里と一緒にいることは莉緒もどきどきさせられることだった。
メインの料理からデザートまでフルコースだったのでかなりゆっくりと食事したのだが、その間も五十里とは話題が絶えず、楽しい食事の時間を過ごした。
「クラブフロアにはバーもあるんだ。行ってみるか?」
「ぜひ!」
バーラウンジの方は先程のラウンジと比べるとライティングもアンダーで外の夜景を楽しみながらお酒が飲めるような雰囲気である。
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