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(第三部)エピローグ
巡る季節
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今日は高校の入学式。
樹は勉強はほどほどに頑張った結果、平均より少し上の偏差値の学校に入学することになった。中学まで仲良くしていた武は専門学校、朱里は私学に行ったらしい。
そんな訳で仲の良い友人が見当たらない。
式が終わって組分けに従い、樹は一人、教室に向かう。騒がしい友人がいないならのんびりできると割りきって、ゆっくり校内の廊下を歩いた。
ざあっ、と風が吹いて、校庭の桜の花びらが散る。
薄桃色の花びらが宙を舞った。くるくると、ひらひらと、空中でターンを繰り返しながら、ゆっくりと地面に落ちていく。
「……誰かと、花見の約束をしたっけ」
樹は立ち止まって窓から校庭を眺め、物思いにふけった。
昔、夢の中で花見をしようと誘われた気がする。
詳しいことは思い出せないが、桜の花びらを見ると胸が切なく傷んだ。
校庭に立ち並ぶ、桜の樹木から視線を逸らす。
樹は気付かなかった。
風に乗って金色の光の欠片が、ちかりと肩ぐちを通り過ぎたことを。
――大丈夫。きっとまた会えます。
音にならないかすかな声がそっと告げる。
今の樹には聞こえないけれど、それは確かな再会の約束。
「でさっ、エイジの奴がさー……今時、異世界でも流行らないよな!」
同級生が雑談する声が聞こえた。
ぼうっとしていた樹は我に返る。
異世界?
漫画の話でもしているのだろうか。
「ユウナ、聞いてるか? あっ」
「うわっ!」
前を見ずに歩いていた男子生徒が、樹にぶつかった。
童顔で背が低いその少年は、慌てて樹に謝る。
「わりい! 大丈夫か?」
「あ、ああ」
樹は謝罪する少年の学生服の胸元に、自分と同じく新入生であることを示すピンクのコサージュが付いていることに気付いた。
少年の方も、樹が同級生だと気付いたらしい。
「お前、何組? 俺はB組」
「僕もBだ」
「クラスメートじゃん、仲良くしようぜ! 俺は梶浦智輝。こっちは同じ中学だった北川結菜」
「各務樹」
樹はテンションの高い智輝に苦笑しながら、自分も名乗り返した。
智輝の後ろで困った顔をしているロングヘアーで優等生風の少女が、結菜らしい。どうやら元気な智輝に手を焼いているようだ。彼女の笑顔には、何とかしてほしいという思いが透けて見えた。
「各務くん、無視してくれても良いのよ。智輝、いっつもうるさいから」
「うるさいって、結菜!」
「大丈夫。適当に無視するよ」
真面目な顔をして樹が答えると、智輝は目を丸くした。嫌味ではなく冗談だと気付いたらしく、嬉しいような悲しいような複雑な表情をする。
結菜がクスクス笑った。
「行こうか。そろそろ時間みたいだ」
樹は二人と一緒に教室へと歩き始める。
彼らの背中をかすめて空中を舞った金色の光が、物語の最初と最後をつなぐメッセージを、春の空に描き出した。
樹は勉強はほどほどに頑張った結果、平均より少し上の偏差値の学校に入学することになった。中学まで仲良くしていた武は専門学校、朱里は私学に行ったらしい。
そんな訳で仲の良い友人が見当たらない。
式が終わって組分けに従い、樹は一人、教室に向かう。騒がしい友人がいないならのんびりできると割りきって、ゆっくり校内の廊下を歩いた。
ざあっ、と風が吹いて、校庭の桜の花びらが散る。
薄桃色の花びらが宙を舞った。くるくると、ひらひらと、空中でターンを繰り返しながら、ゆっくりと地面に落ちていく。
「……誰かと、花見の約束をしたっけ」
樹は立ち止まって窓から校庭を眺め、物思いにふけった。
昔、夢の中で花見をしようと誘われた気がする。
詳しいことは思い出せないが、桜の花びらを見ると胸が切なく傷んだ。
校庭に立ち並ぶ、桜の樹木から視線を逸らす。
樹は気付かなかった。
風に乗って金色の光の欠片が、ちかりと肩ぐちを通り過ぎたことを。
――大丈夫。きっとまた会えます。
音にならないかすかな声がそっと告げる。
今の樹には聞こえないけれど、それは確かな再会の約束。
「でさっ、エイジの奴がさー……今時、異世界でも流行らないよな!」
同級生が雑談する声が聞こえた。
ぼうっとしていた樹は我に返る。
異世界?
漫画の話でもしているのだろうか。
「ユウナ、聞いてるか? あっ」
「うわっ!」
前を見ずに歩いていた男子生徒が、樹にぶつかった。
童顔で背が低いその少年は、慌てて樹に謝る。
「わりい! 大丈夫か?」
「あ、ああ」
樹は謝罪する少年の学生服の胸元に、自分と同じく新入生であることを示すピンクのコサージュが付いていることに気付いた。
少年の方も、樹が同級生だと気付いたらしい。
「お前、何組? 俺はB組」
「僕もBだ」
「クラスメートじゃん、仲良くしようぜ! 俺は梶浦智輝。こっちは同じ中学だった北川結菜」
「各務樹」
樹はテンションの高い智輝に苦笑しながら、自分も名乗り返した。
智輝の後ろで困った顔をしているロングヘアーで優等生風の少女が、結菜らしい。どうやら元気な智輝に手を焼いているようだ。彼女の笑顔には、何とかしてほしいという思いが透けて見えた。
「各務くん、無視してくれても良いのよ。智輝、いっつもうるさいから」
「うるさいって、結菜!」
「大丈夫。適当に無視するよ」
真面目な顔をして樹が答えると、智輝は目を丸くした。嫌味ではなく冗談だと気付いたらしく、嬉しいような悲しいような複雑な表情をする。
結菜がクスクス笑った。
「行こうか。そろそろ時間みたいだ」
樹は二人と一緒に教室へと歩き始める。
彼らの背中をかすめて空中を舞った金色の光が、物語の最初と最後をつなぐメッセージを、春の空に描き出した。
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ラストの締めが最高!上手い!読者に感動を与えてくれるいい終わり方だと思います。
ありがとうございます。
個人的には「終わる物語こそ美しい」と考えています。
有終の美みたいな。
今、連載しているものも頑張ってラストまで持っていくぞー!
最高です。いたずら好きの精霊…最高です。
精霊の羽の枚数で位が分かるのはとても分かりやすかったです。
樹と〇〇のじゃれあいいいですね。もっと読みたいです。
感想ありがとうございます!
人外の物語が好きで、自分でも書いてみたのでした。
また機会があれば番外編など載せますね。