中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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生方蒼甫の譚

お詫び行脚

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 サトシと俺はウサカに向かった。
 俺たちが到着した時ちょうどアイがジョイスの店に納品しているところだった。

「ジョイスさん。今まで納品できずにすいません」
「ああ、サトシ。ん~。こっちも商売なんでな。その辺は信用第一だ。お前んところの野菜は品質がいいから取引を続けてるが、正直言えば、納品が不安定な業者とは取引したくない。今後こんなことがあったら取引停止にするってティックにも言ってあるんだが、大丈夫か?ちゃんと納品できそうか?」
「はい。大丈夫です。これからはしっかり入れさせてもらいますんで、どうかよろしくお願いします」
 サトシはそう言うと頭を下げる。まあ、テンスのところにあれだけ脅しをかけたんだ。おそらく商売の邪魔はしてこないだろう。

「わかった。でもな、仕入れ値は少々下げさせてもらうぜ、こっちも商売だ。わりぃな」
「わかりました。また信用していただけるように頑張ります」
「おう、頼むぜ」

 そんなやり取りをして、ジョイスの店を後にする。同じくルイスの店にも納品に行く。

「サトシ!待ってたよ。困ってたんだよ。最近商品が入ってこなくて」
「すいません。今後はこんなことの無いようにしますんで」
「たのむぜ。お前の商品、替わりがきかねぇんだよ」
「わかりました。これからもよろしくお願いします」

 まあ、ルイスのところは完全にサトシ頼みだな。

 とまあ、サトシに付き合って方々の店を回ったんだが、俺の頭の中はテンスの事で一杯だった。
「ユーザー:テンス」
 これをどう判断する?俺たちは完全に閉鎖(クローズド)状態でプレーしている。でもユーザーがいる。確かにサトシはユーザーだ。でもそれは問題ない。そう言う風に仕組んでるんだから。でも、あいつは何処から来た?問い詰めたいところだが、今の奴はそれどころではないだろうし、何よりサトシの前で問い詰めるわけにもいかない。
 
 もしかしたら、他にも「ユーザー」が居るんじゃなかろうか?

「なあ、サトシ」
「どうしました?」
 ヨウトへの帰り、馬車の中でサトシに尋ねる。
「今日のテンスだけど、ステータス見てどう思った?」
「ああ、生意気にMP持ってましたね」
「生意気にって、よっぽど腹に据えかねたんだな。他気になったところなかったか?」
「ん~。特には。なんか変わったことありました?」
「いや、まあ、なんだ。MP持ってる奴、この世界でお前たち以外に初めて見たからさ」
「え?ほんとですか?結構いますよ。MP持っている人。前も言ったじゃないですか。凄い人が居たって」
「ああ、鍛冶屋だっけ、ルーキー冒険者の」
 何を言ってるのかさっぱりわからなかったが、そんなのが居るとは言ってたな。ただ、この会話から推測するに、サトシには「ユーザー」の文字は見えていなかったようだ。
 とりあえず、話題を変えておこう。

「ところでさ、お前ストーブ一つをどのくらいで作れる?」
「どうしたんです?急に」
「いや、ウサカでも油を売りたいと思ってさ」
「確かに売らないと金が入ってこないですもんね。そうですねぇ。一回作ってるんで、結構早いと思いますよ。15分くらいですかね」
「早!?」
 なにそれ!?鍛冶屋に頼む必要ないじゃん?全部サトシが作ってもいいくらいのペースじゃない?

「お前そんなに早く作れるのかよ」
「まあ、念じるだけですからね。もう構造も材質もわかってますし。じゃあ、俺が作って売るってことですか?」
「作るのはサトシだが、販売はルイスに任そうと思うんだけど、どうだ?」
「ああ、それ良いんじゃないですかね。油も含めて売ってもらえそうですね」
「そうだな。まとめて頼もう。ああ、でもあれか。今ウサカってあんまり寒くないか」
「そっすね。まだ暑いっすね。」
「ランプ……は作れるか?構造似てるよな?」
「ああ、似てますね」
 俺は天命の書板タブレットを取り出し、サトシに見せる。暖を取るか、明かりを取るかの違いがあるが、比較的構造は似ている。
「キャンプとかでも使いますもんね。オイルランプ。作りましょうか」
「まあ、この世界でキャンプも無いだろうけどな。普段がサバイバルだし。ランプ10個くらい作って売ってもらうか」
「良いっすね。油も売れそうですしね」

 そんな話をしていると、手綱を握っていたアイが口を挟む

「ねぇ。ストーブを調理専用に改造できない?」
「……ああ、これまたキャンプ用品にあるな。コンロ」
 AIが発案するようになるとは……人類滅亡も近いか……

「何よ!」
 アイの視線が痛い。
「にやけるな!キモイ!!」
「まあまあ。アイ落ち着いて。余計ににやけるから。ね?」
 ね?じゃねぇよ。チキショウ。

 まあいい。

「じゃあ、サトシ、コンロも頼む」
 こちらも天命の書板タブレットで図面を呼び出しサトシに見せる。

 そんな会話をしながらの帰り道でサトシはランプとコンロを作り終えていた。
 
 恐ろしい子。

「良い感じじゃねぇか。ヨウトに着いたら、まとまった数作っといてくれねぇか?その間に俺はエンドゥの鍛冶屋の様子を見てくるヨ。あんまり製作に時間が掛かるようなら、別の商品頼んだ方がいいからな」
「わかりました。取り敢えず作り置きしときます」

 さて、それは良いとしてだ。正直なところ、鍛冶屋の進捗は大して興味が無い。エンドゥの街にいる者の中に、どのくらい「ユーザー」が居るのか確認したい。そのためにサトシと別行動がしたかっただけだ。早速サトシとアイをヨウトに残しエンドゥに転移する。

 エンドゥの街に到着すると、さっそく道行く者たちのステータスを確認する。

 町人、商人、出会う者たちのステータスに「ユーザー」の文字は無い。
 何だろう。テンスのはバグか何かか?やっぱりユーザーがいるわけないか……と、考えながら冒険者ギルドの前を歩いていると、ちょうどギルドマスターのゴードンが向こうからやって来る。
 ああ、あいつAランク冒険者って言ってたな。ステータス高いのかな。

 と、何気なくステータスを確認すると

「ユーザー:ゴードン 職業:ギルドマスター Aランク冒険者 LV:38 HP:2092/2145 MP:106/106 MPPS:20 STR:154 ATK:320 VIT:254 INT:220 DEF:354 RES:129 AGI:36 LUK:63 スキル:粉砕 ☆☆☆ 棍棒:Lv72 斧:Lv86』

 居た!
 なんだよ。身近にいたじゃねぇか。

「おい!ゴードンさんよ!」
「おぅ?なんだ、ルークスじゃねぇか。どうした?今日は一人か」
「ああ、子供の世話は休みだ。なあ、ちょっと飲まねぇか?」
「ん?ああ、良いぜ。どうせ暇だしな。俺の部屋でやるか?」
「職場でそんなことしていいのかよ!?」
「あ、どうせ客なんて来ねえんだ。堅てぇこと言うなよ。いつも飲みながらやってるよ」
 いい職場だなぁ。俺もそうありたいが……ちょうどいい。
「じゃ、ちょっくらお邪魔しようかな」

 積もる話もあるしな。
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