173 / 321
生方蒼甫の譚
直接交渉
しおりを挟む
「今からって、今からか?」
ラファエルが当たり前のことを聞いてくる。
そりゃそうだろう。
「そうだな。今から」
「往復で1日はかかるぞ?」
「いや、転移するから。すぐ戻って来るよ。ちょっと待ってて」
「転移って……ちょっとま……」
「あ、なんなら二人とも一緒に来る?」
ギルドマスターに対する態度として気楽すぎたかな。ま、いいか。
「いや、それはちょっと……」
マンセルが難色を示す。そりゃそうだろう。リザードマンの巣に直接出向くのは無謀だよね。冒険者でも厳しいのに、一般人じゃ命の保証が出来ないよねぇ
「だよねぇ。だから、リザードキング連れてくるよ。あ、大挙してくることは無いから安心して。リザードキングだけ連れてくるから」
二人は呆気に取られていたが、俺はそそくさと転移部屋へ移動するとリザードマンの住処の近くへ転移した。
……
流石にいきなり笹川の目の前ってわけにもいかないので、湿地帯の手前に転移する。
そこからは上空を飛んでリザードマンたちの神殿へ向かった。
「おおい。キナコいるか?」
上空から大声で呼びかける。神殿前の衛兵たちがざわつく中、一人のリザードマンが茂みから飛び出してきた。
「ルークスか。どうした!」
俺はキナコの所に降り立つと、事の経緯を説明する。
「というわけで、長を連れて行きたいんだが」
「長一人でか!?敵陣へ!?」
「いや、敵陣ってわけでもないさ。それに俺が居るからちゃんと守るよ」
「確かにお前なら可能だろうが、それとこれとは……」
「まあ、なんだ。直接聞いてみる方が早いとおもうぜ」
そんな話をしながら、笹川の元に向かう。
笹川は相変わらず暇そうに玉座に座っていた。
「ルークスか。なんだ?もう話が付いたのか?」
一応長らしい口調で語りかけてくるんだな。流石に「生方」って言われたらどうしようかと心配してたが、そのあたりはさすが元商社マン。空気を読む能力に長けてらっしゃる。
「いや、これからだ。で、ちょっと一緒に来てくれないか?直接話した方が早いと思うんだ。お前さんの身の安全は俺が保証する」
笹川はこちらをじっと見つめながら、何やらぶつぶつ呟いていた。
「どうした?」
「いや。大したことじゃない。そうだな。行ってみるか」
「長、ならば我々もお連れください!」
キナコが跪き進言する。が、笹川はにべもなくその申し出を切り捨てる。
「いや、それでは向こうも態度を硬化させるじゃろう。ここはワシが一人で行こう。なに、そこなルークスは信頼に足る。心配せんでよい」
「いや、しかし……」
「良いと言うておる」
「は!」
笹川がぴしゃりと言い放つと、キナコ達は引き下がった。流石上下関係がしっかり出来てらっしゃる。
「では、さっそく向かうとするか。ルークスよ、どのように向かうのか?」
「転移で行こうと思うんだが、この神殿内に部屋を用意してもらえるとありがたいな。今後俺がここに来るときにも使えるように」
「そうだな。そのための部屋を用意しよう」
「長そこまでこの者を信頼するので?」
「じゃから、信頼に足ると言っておろうが」
笹川はイラつきながら言い放つ。ま、家臣は心配しての進言なんだろうけどな。
「では、参ろうか」
「ああ」
俺と笹川は、前回話し合った部屋へと向かう。確かにあの部屋は十分な広さがあったので転移はしやすそうだ。
部屋に入ると早々に人払いをする。
「さすがは堂に入ったもんだな」
「別に演技でやってるわけじゃないからな。いつもの事だ。にしても奴らは理解が悪い」
「まあ、笹川さんの身を案じての事だろうから大目に見てやったら?」
「それは判ってるんだけどな……それは良いとして、どんな様子だ?人間の方は」
「どうだろうな。戦争したいわけじゃないだろうから後はどのくらい利益誘導できるかじゃないかなぁ。ほら、その辺俺苦手だからさ。元商社マンが当たった方がよかろ?」
「元っつってもなぁ。何百年前の話だよ。もう忘れたよ。まあいい。安全が保障されれば特に困ることも無いしな。気楽にいくさ。あとこの世界の人間の生活も見てみたいしな」
「じゃあ、行くか」
「頼む」
「転移」
足元に転移の魔法陣が広がり、周囲の景色がグニャりとゆがむ
ラファエルが当たり前のことを聞いてくる。
そりゃそうだろう。
「そうだな。今から」
「往復で1日はかかるぞ?」
「いや、転移するから。すぐ戻って来るよ。ちょっと待ってて」
「転移って……ちょっとま……」
「あ、なんなら二人とも一緒に来る?」
ギルドマスターに対する態度として気楽すぎたかな。ま、いいか。
「いや、それはちょっと……」
マンセルが難色を示す。そりゃそうだろう。リザードマンの巣に直接出向くのは無謀だよね。冒険者でも厳しいのに、一般人じゃ命の保証が出来ないよねぇ
「だよねぇ。だから、リザードキング連れてくるよ。あ、大挙してくることは無いから安心して。リザードキングだけ連れてくるから」
二人は呆気に取られていたが、俺はそそくさと転移部屋へ移動するとリザードマンの住処の近くへ転移した。
……
流石にいきなり笹川の目の前ってわけにもいかないので、湿地帯の手前に転移する。
そこからは上空を飛んでリザードマンたちの神殿へ向かった。
「おおい。キナコいるか?」
上空から大声で呼びかける。神殿前の衛兵たちがざわつく中、一人のリザードマンが茂みから飛び出してきた。
「ルークスか。どうした!」
俺はキナコの所に降り立つと、事の経緯を説明する。
「というわけで、長を連れて行きたいんだが」
「長一人でか!?敵陣へ!?」
「いや、敵陣ってわけでもないさ。それに俺が居るからちゃんと守るよ」
「確かにお前なら可能だろうが、それとこれとは……」
「まあ、なんだ。直接聞いてみる方が早いとおもうぜ」
そんな話をしながら、笹川の元に向かう。
笹川は相変わらず暇そうに玉座に座っていた。
「ルークスか。なんだ?もう話が付いたのか?」
一応長らしい口調で語りかけてくるんだな。流石に「生方」って言われたらどうしようかと心配してたが、そのあたりはさすが元商社マン。空気を読む能力に長けてらっしゃる。
「いや、これからだ。で、ちょっと一緒に来てくれないか?直接話した方が早いと思うんだ。お前さんの身の安全は俺が保証する」
笹川はこちらをじっと見つめながら、何やらぶつぶつ呟いていた。
「どうした?」
「いや。大したことじゃない。そうだな。行ってみるか」
「長、ならば我々もお連れください!」
キナコが跪き進言する。が、笹川はにべもなくその申し出を切り捨てる。
「いや、それでは向こうも態度を硬化させるじゃろう。ここはワシが一人で行こう。なに、そこなルークスは信頼に足る。心配せんでよい」
「いや、しかし……」
「良いと言うておる」
「は!」
笹川がぴしゃりと言い放つと、キナコ達は引き下がった。流石上下関係がしっかり出来てらっしゃる。
「では、さっそく向かうとするか。ルークスよ、どのように向かうのか?」
「転移で行こうと思うんだが、この神殿内に部屋を用意してもらえるとありがたいな。今後俺がここに来るときにも使えるように」
「そうだな。そのための部屋を用意しよう」
「長そこまでこの者を信頼するので?」
「じゃから、信頼に足ると言っておろうが」
笹川はイラつきながら言い放つ。ま、家臣は心配しての進言なんだろうけどな。
「では、参ろうか」
「ああ」
俺と笹川は、前回話し合った部屋へと向かう。確かにあの部屋は十分な広さがあったので転移はしやすそうだ。
部屋に入ると早々に人払いをする。
「さすがは堂に入ったもんだな」
「別に演技でやってるわけじゃないからな。いつもの事だ。にしても奴らは理解が悪い」
「まあ、笹川さんの身を案じての事だろうから大目に見てやったら?」
「それは判ってるんだけどな……それは良いとして、どんな様子だ?人間の方は」
「どうだろうな。戦争したいわけじゃないだろうから後はどのくらい利益誘導できるかじゃないかなぁ。ほら、その辺俺苦手だからさ。元商社マンが当たった方がよかろ?」
「元っつってもなぁ。何百年前の話だよ。もう忘れたよ。まあいい。安全が保障されれば特に困ることも無いしな。気楽にいくさ。あとこの世界の人間の生活も見てみたいしな」
「じゃあ、行くか」
「頼む」
「転移」
足元に転移の魔法陣が広がり、周囲の景色がグニャりとゆがむ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる