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入院生活の始まりと……
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母親に同行してもらい救急車で中央市民病院へ運ばれた 詩奈は、『足関節粉砕骨折』と『足関節外側靭帯損傷』と診断され、即、入院させられた。
手術が必要だったが、右足首のむくみが酷く、むくみが取れるであろう1週間後の予定だった。
救急車に搬送先の病院名を聞いていた 瑞輝と 凌空は、一度家に戻り、学校の重いリュックを置いてから、自転車で向かった。
その頃、 詩奈は既に麻酔が効き、医師により足の向きを正常な位置に直された後、福木で固定する処置を受けていた。
廊下には、母が連絡し駆け付けた 詩奈の父の姿も有った。
「あなた、この男子が、 詩奈を」
瑞輝の姿を認めるなり、父に伝えた母。
「お前か! 詩奈をこんな目に遭わせたのは!」
父が 瑞輝の制服の胸倉を掴んだ。
「すみません! こんな事になると思わずに」
瑞輝が頭を下げて謝った。
「 詩奈はまだ成長期の13歳だ! あんな大怪我をして、今後、一生まともに歩く事が出来なくなったら、どうやって、責任を取ってくれるんだ!」
瑞輝の胸倉を掴んだまま、前後に揺すった父。
すぐ隣にいた 凌空も、父の言動に 固唾を飲んでいた。
「出来る限りの責任は取ります!」
「出来る限りの責任だと、笑わせるな! 中学生のお前なんかに何が出来るんだ! とにかく、今後、この怪我のせいで、 詩奈が辛い目に遭わされでもしたら、ただでは済まさないからな! 覚えとけ!」
「あなた、こんな所で、そんな大声で……」
さすがに仲裁に入らずにいられなかった母。
「あなた達、名前は?」
「矢本です」
「 詩奈さんと同じクラスの北岡です」
凌空が名乗ると、同じクラスという事で、好感を抱いた様子の両親。
「そうか、 詩奈と同じクラスか。悪いが、退院後は学校で 詩奈の様子を見てやってくれないか」
極端に 瑞輝に対する態度とは違う父。
「はい、もちろんです」
「君のような真面目そうな生徒が一緒のクラスで安心した、頼むな」
自分への冷遇とは全く違う、 凌空への父の言動をひしひしと感じ取ったが、それも止むを得ないと堪えた 瑞輝。
「取り敢えず、もう遅いし、あなた達の両親も心配するから、家に戻って。 詩奈なら、私達が付いているから大丈夫よ」
詩奈の怪我の具合を知りたかったが、既に20時を回っている事に気付き、慌てて退散した 瑞輝と 凌空。
「あなた、あからさまに北岡君に頼るような事を言ったけど、あれじゃあ、矢本君が可哀想よ。ただでさえ、怪我をさせた事を気にしていて、すごく責任を感じているのに」
「大事な一人娘に後遺症が残るかも知れんような大怪我をさせたんだから当然だ! 自分の愚かさをもっと自覚させないとな!」
廊下での両親と彼らのやり取りなど露知らず、 詩奈は麻酔により、深い眠りに落ちていた。
詩奈が、目覚めたのは、翌朝だった。
母が椅子に座りながらベッドの横に伏して寝ていた。
「お母さん、ここは……?」
「あっ、 詩奈、気が付いたの? ここ、中央市民病院よ。」
詩奈が起き、いつも通りの口調で話す様子に安心した母。
「病院って……? 私、入院する事になったの? 中間試験が近いのに、どれくらい?」
詩奈にとって初めての入院で、自分が入院し、病院のベッドに寝ているという事実にまず驚いた。
「手術の後の経過次第だけど、1ヵ月くらいかしら? 足は大丈夫? 痛くない?」
「私の足……? うん、昨日よりは痛くない」
「良かった、鎮痛剤が効いているのね」
詩奈は、病院に着いてすぐさま麻酔を打たれ、それ以降の記憶が無い状態で、どのように処置されていたのか知らなかった。
ふと、右足首に目を向けると、包帯でグルグル巻きにされ、枕を2つ置いた高さに右足だけ乗せられていた。
包帯に巻かれ太くなっているが、包帯の巻かれた状態からでも足首が正しい向きに戻っている事だけは確認できた。
(私の足、元の向きに戻っている、あのままだったら、みんなからブキミがられるものね、良かった……)
「目が覚めたようだね、おはよう」
40代くらいの優しそうな面持ちをした男性の形成外科医が入って来た。
「おはようございます。私の足は、元通りになりますか?」
単刀直入に、一番気になっている事を尋ねた 詩奈。
「うん、そうだね、まだ腫れが酷いから、1週間くらいしたら手術するけど、手術をしたからって、すぐに歩けるわけではなく、まずはリハビリだな。時間をかければ、元の状態に少しずつ近付ける」
「そうですか! 良かった! ありがとうございます!」
瑞輝に、その事をすぐにでも報告して安心させたい 詩奈。
「昨日、簡単に添え木してあったね、あれは、自分でやったのかな?」
瑞輝が枝木を探してから処置した添え木の事だ。
「私ではなくて、部活帰りの男子が応急処置って」
「そうか。本当は、添え木の前に、足の向きを治せていたら満点だけど、あの状況だと、足が痛過ぎて無理だろうからね」
「挑戦しようとしてくれたけど、やっぱり痛くて」
「麻酔が無いと、大の大人でもキツイな、うん。取り敢えず、この状態は慣れなくて動かしたくなるかも知れないけど、今、右足はかなりバンバンに腫れているから、腫れが引くまでは、こうして足を高くして置いて」
それだけ言うと、形成外科医は病室から出て行った。
「矢本君って、そんな添え木までしてくれていたの?」
形成外科医と 詩奈との話を横で聞いていた母。
「うん……お母さん、矢本君を責めないでね! 私が、寝坊なんてしなかったら、こんな事にならなかったんだから! 私が悪いの!」
母が 瑞輝に対し、怪我をさせた張本人という悪い印象しか無いと思い、慌てて弁護した 詩奈。
「昨日の夜、8時過ぎまで、ここにいたのよ、えっと、もう1人の、詩奈のクラスメイトの北岡君と」
「えっ、そうだったの! 救急車で、私とお母さんだけ乗って行ったのに、その後、わざわざここまで来てくれていたの?」
その事だけでも嬉し過ぎて、涙が出て来る 詩奈。
「 詩奈、どうしたの? 足が急に痛くなった?」
瑞輝に対する気持ちに気付けず、急に泣き出した 詩奈に、右足首の痛みの心配をしていた母。
「ううん、足は大丈夫。昨日は、お父さんも来てくれてたの? いつまでいたの?」
「仕事が終わってそのまま来たけど、今朝は早い仕事だから、21時くらいには帰ったわよ」
父が病院にいた時間と 瑞輝達がいた時間が重なっていた事が分かり、気がかりな 詩奈。
「もしかして、お父さん、矢本君と北岡君に、キツイ事を言ってなかった?」
「矢本君に対しては、かなりキツイ事を言っていたわね。北岡君は詩奈《しいな》のクラスメイトだから、退院後はよろしくって、とても頼りにしていたようだったわ」
「ええっ! 矢本君にだけ、ヒドイ事言ったの! もうイヤだ~! 2人に合わす顔無いよ~!」
詩奈は、自分が麻酔で治療されていた間に、父から 瑞輝が邪険な扱いをされていたと知り、退院後に、彼らと気まずくなる事を恐れた。
(これじゃあ、矢本君に接近どころか、元通りよりも厳しい状況になってしまう! どうして、お父さんはそんな余計な事したの!)
「お父さんは、一人っ子の 詩奈の事が本当に大事で、傷物にされたと思って、つい怒鳴ってしまったのよ」
「矢本君に、怒鳴ったの~? どうして、そんな事したの? ああ、もう最悪! 絶対、嫌われる~!」
嬉し涙を流していたはずが、いつの間にか絶望的な涙に変わっていた 詩奈。
「 詩奈、もしかして、矢本君の事が、好きだったの?」
「うん……あっ、でも、内緒にしてね! 私の片想いだし……絶対、誰にも言わないでね! お父さんにもね!」
母にバレてしまい、焦って口止めした。
「そうだったんだ~、矢本君ね~。お父さんは、優等生君って感じの北岡君をすごく気に入ったようだったけど、私も 詩奈と同じで、矢本君の方が精悍な顔立ちしてるし、 詩奈をオンブ出来て 逞しくて、男気も責任感も強そうだし、そういうの好きだわ~! うん、いいと思うよ~」
昨日、救急車に乗る前に会っていた時には、母も 瑞輝に対し反感を抱いているような態度だったゆえに、その急変ぶりが信憑性に欠けるように思えた 詩奈。
「ホントに、そう思ってるの? だって、昨日、矢本君に会った時、お母さんは、すごく怒っている感じだったけど……」
「あの時は、驚いてたから。でも、病院にまで来てくれたし、きちんと謝って誠意を示している感じだったから、見直したのよ」
「そのやり取り気になる~! そんなにお父さんにガツンと言われたら、退院して、どこかで会っても、矢本君、私を避けてしまいそう。そんな風になってしまったら、私、お父さんをすごく恨む~!」
右足首の痛さよりも、その方がよほど心に重くのしかかる詩奈。
「大丈夫よ、昨日の様子だと、そんな事は無いと思うわ。それより、下着とか持って来なきゃならないから、私、一度家に帰るけど、何か持って来て欲しい物とか有る?」
母は、急にやる事を思い出し、慌ただしく外へ出る身支度をした。
「一応、教科書類全部お願い! 入院生活長くなるし、追い付けるように独学で頑張らないと! あと、退屈だから、タブレットも持って来て!」
「了解! 昨日、家の片付けもせずに、そのまま飛び出したから、洗濯物したり、お風呂入ったりしてから戻るから、けっこう時間かかるけど、大丈夫そう? 痛み止めの副作用とか、気持ち悪くない?」
「大丈夫よ! 具合悪くなったら、看護師さん呼ぶから」
予期せぬ休みが沢山出来て、ノンビリ出来るのは嬉しい気持ちと、こうしている間に、中学校では中間試験を受けずに済むのはともかく学業の遅れも気になった。
学習面だけでなく、長期間休むと、友達との話題に付いていけなくなる事や、何より、退院するまでの間、 瑞輝を見かける機会も無くなるのが残念過ぎた 。
手術が必要だったが、右足首のむくみが酷く、むくみが取れるであろう1週間後の予定だった。
救急車に搬送先の病院名を聞いていた 瑞輝と 凌空は、一度家に戻り、学校の重いリュックを置いてから、自転車で向かった。
その頃、 詩奈は既に麻酔が効き、医師により足の向きを正常な位置に直された後、福木で固定する処置を受けていた。
廊下には、母が連絡し駆け付けた 詩奈の父の姿も有った。
「あなた、この男子が、 詩奈を」
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「お前か! 詩奈をこんな目に遭わせたのは!」
父が 瑞輝の制服の胸倉を掴んだ。
「すみません! こんな事になると思わずに」
瑞輝が頭を下げて謝った。
「 詩奈はまだ成長期の13歳だ! あんな大怪我をして、今後、一生まともに歩く事が出来なくなったら、どうやって、責任を取ってくれるんだ!」
瑞輝の胸倉を掴んだまま、前後に揺すった父。
すぐ隣にいた 凌空も、父の言動に 固唾を飲んでいた。
「出来る限りの責任は取ります!」
「出来る限りの責任だと、笑わせるな! 中学生のお前なんかに何が出来るんだ! とにかく、今後、この怪我のせいで、 詩奈が辛い目に遭わされでもしたら、ただでは済まさないからな! 覚えとけ!」
「あなた、こんな所で、そんな大声で……」
さすがに仲裁に入らずにいられなかった母。
「あなた達、名前は?」
「矢本です」
「 詩奈さんと同じクラスの北岡です」
凌空が名乗ると、同じクラスという事で、好感を抱いた様子の両親。
「そうか、 詩奈と同じクラスか。悪いが、退院後は学校で 詩奈の様子を見てやってくれないか」
極端に 瑞輝に対する態度とは違う父。
「はい、もちろんです」
「君のような真面目そうな生徒が一緒のクラスで安心した、頼むな」
自分への冷遇とは全く違う、 凌空への父の言動をひしひしと感じ取ったが、それも止むを得ないと堪えた 瑞輝。
「取り敢えず、もう遅いし、あなた達の両親も心配するから、家に戻って。 詩奈なら、私達が付いているから大丈夫よ」
詩奈の怪我の具合を知りたかったが、既に20時を回っている事に気付き、慌てて退散した 瑞輝と 凌空。
「あなた、あからさまに北岡君に頼るような事を言ったけど、あれじゃあ、矢本君が可哀想よ。ただでさえ、怪我をさせた事を気にしていて、すごく責任を感じているのに」
「大事な一人娘に後遺症が残るかも知れんような大怪我をさせたんだから当然だ! 自分の愚かさをもっと自覚させないとな!」
廊下での両親と彼らのやり取りなど露知らず、 詩奈は麻酔により、深い眠りに落ちていた。
詩奈が、目覚めたのは、翌朝だった。
母が椅子に座りながらベッドの横に伏して寝ていた。
「お母さん、ここは……?」
「あっ、 詩奈、気が付いたの? ここ、中央市民病院よ。」
詩奈が起き、いつも通りの口調で話す様子に安心した母。
「病院って……? 私、入院する事になったの? 中間試験が近いのに、どれくらい?」
詩奈にとって初めての入院で、自分が入院し、病院のベッドに寝ているという事実にまず驚いた。
「手術の後の経過次第だけど、1ヵ月くらいかしら? 足は大丈夫? 痛くない?」
「私の足……? うん、昨日よりは痛くない」
「良かった、鎮痛剤が効いているのね」
詩奈は、病院に着いてすぐさま麻酔を打たれ、それ以降の記憶が無い状態で、どのように処置されていたのか知らなかった。
ふと、右足首に目を向けると、包帯でグルグル巻きにされ、枕を2つ置いた高さに右足だけ乗せられていた。
包帯に巻かれ太くなっているが、包帯の巻かれた状態からでも足首が正しい向きに戻っている事だけは確認できた。
(私の足、元の向きに戻っている、あのままだったら、みんなからブキミがられるものね、良かった……)
「目が覚めたようだね、おはよう」
40代くらいの優しそうな面持ちをした男性の形成外科医が入って来た。
「おはようございます。私の足は、元通りになりますか?」
単刀直入に、一番気になっている事を尋ねた 詩奈。
「うん、そうだね、まだ腫れが酷いから、1週間くらいしたら手術するけど、手術をしたからって、すぐに歩けるわけではなく、まずはリハビリだな。時間をかければ、元の状態に少しずつ近付ける」
「そうですか! 良かった! ありがとうございます!」
瑞輝に、その事をすぐにでも報告して安心させたい 詩奈。
「昨日、簡単に添え木してあったね、あれは、自分でやったのかな?」
瑞輝が枝木を探してから処置した添え木の事だ。
「私ではなくて、部活帰りの男子が応急処置って」
「そうか。本当は、添え木の前に、足の向きを治せていたら満点だけど、あの状況だと、足が痛過ぎて無理だろうからね」
「挑戦しようとしてくれたけど、やっぱり痛くて」
「麻酔が無いと、大の大人でもキツイな、うん。取り敢えず、この状態は慣れなくて動かしたくなるかも知れないけど、今、右足はかなりバンバンに腫れているから、腫れが引くまでは、こうして足を高くして置いて」
それだけ言うと、形成外科医は病室から出て行った。
「矢本君って、そんな添え木までしてくれていたの?」
形成外科医と 詩奈との話を横で聞いていた母。
「うん……お母さん、矢本君を責めないでね! 私が、寝坊なんてしなかったら、こんな事にならなかったんだから! 私が悪いの!」
母が 瑞輝に対し、怪我をさせた張本人という悪い印象しか無いと思い、慌てて弁護した 詩奈。
「昨日の夜、8時過ぎまで、ここにいたのよ、えっと、もう1人の、詩奈のクラスメイトの北岡君と」
「えっ、そうだったの! 救急車で、私とお母さんだけ乗って行ったのに、その後、わざわざここまで来てくれていたの?」
その事だけでも嬉し過ぎて、涙が出て来る 詩奈。
「 詩奈、どうしたの? 足が急に痛くなった?」
瑞輝に対する気持ちに気付けず、急に泣き出した 詩奈に、右足首の痛みの心配をしていた母。
「ううん、足は大丈夫。昨日は、お父さんも来てくれてたの? いつまでいたの?」
「仕事が終わってそのまま来たけど、今朝は早い仕事だから、21時くらいには帰ったわよ」
父が病院にいた時間と 瑞輝達がいた時間が重なっていた事が分かり、気がかりな 詩奈。
「もしかして、お父さん、矢本君と北岡君に、キツイ事を言ってなかった?」
「矢本君に対しては、かなりキツイ事を言っていたわね。北岡君は詩奈《しいな》のクラスメイトだから、退院後はよろしくって、とても頼りにしていたようだったわ」
「ええっ! 矢本君にだけ、ヒドイ事言ったの! もうイヤだ~! 2人に合わす顔無いよ~!」
詩奈は、自分が麻酔で治療されていた間に、父から 瑞輝が邪険な扱いをされていたと知り、退院後に、彼らと気まずくなる事を恐れた。
(これじゃあ、矢本君に接近どころか、元通りよりも厳しい状況になってしまう! どうして、お父さんはそんな余計な事したの!)
「お父さんは、一人っ子の 詩奈の事が本当に大事で、傷物にされたと思って、つい怒鳴ってしまったのよ」
「矢本君に、怒鳴ったの~? どうして、そんな事したの? ああ、もう最悪! 絶対、嫌われる~!」
嬉し涙を流していたはずが、いつの間にか絶望的な涙に変わっていた 詩奈。
「 詩奈、もしかして、矢本君の事が、好きだったの?」
「うん……あっ、でも、内緒にしてね! 私の片想いだし……絶対、誰にも言わないでね! お父さんにもね!」
母にバレてしまい、焦って口止めした。
「そうだったんだ~、矢本君ね~。お父さんは、優等生君って感じの北岡君をすごく気に入ったようだったけど、私も 詩奈と同じで、矢本君の方が精悍な顔立ちしてるし、 詩奈をオンブ出来て 逞しくて、男気も責任感も強そうだし、そういうの好きだわ~! うん、いいと思うよ~」
昨日、救急車に乗る前に会っていた時には、母も 瑞輝に対し反感を抱いているような態度だったゆえに、その急変ぶりが信憑性に欠けるように思えた 詩奈。
「ホントに、そう思ってるの? だって、昨日、矢本君に会った時、お母さんは、すごく怒っている感じだったけど……」
「あの時は、驚いてたから。でも、病院にまで来てくれたし、きちんと謝って誠意を示している感じだったから、見直したのよ」
「そのやり取り気になる~! そんなにお父さんにガツンと言われたら、退院して、どこかで会っても、矢本君、私を避けてしまいそう。そんな風になってしまったら、私、お父さんをすごく恨む~!」
右足首の痛さよりも、その方がよほど心に重くのしかかる詩奈。
「大丈夫よ、昨日の様子だと、そんな事は無いと思うわ。それより、下着とか持って来なきゃならないから、私、一度家に帰るけど、何か持って来て欲しい物とか有る?」
母は、急にやる事を思い出し、慌ただしく外へ出る身支度をした。
「一応、教科書類全部お願い! 入院生活長くなるし、追い付けるように独学で頑張らないと! あと、退屈だから、タブレットも持って来て!」
「了解! 昨日、家の片付けもせずに、そのまま飛び出したから、洗濯物したり、お風呂入ったりしてから戻るから、けっこう時間かかるけど、大丈夫そう? 痛み止めの副作用とか、気持ち悪くない?」
「大丈夫よ! 具合悪くなったら、看護師さん呼ぶから」
予期せぬ休みが沢山出来て、ノンビリ出来るのは嬉しい気持ちと、こうしている間に、中学校では中間試験を受けずに済むのはともかく学業の遅れも気になった。
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