子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月

文字の大きさ
59 / 80

覗き?

しおりを挟む
 地下室から地上に戻り。
 こんな家に長居は無用ということで、私とアリスはさっそく公爵家へと移動することになった。

 私はともかく、アリスは両親クズたちの了解を得なくていいのかなぁと思うけど、その辺はうまくやってくれるみたい。何をするかは知らないでござる。

「あ、そうだ。セバスさんとサラさんに挨拶しておきたいんですけど」

 伯爵家の執事長とメイド長。二人は特に私に良くしてくれたんだよね。もしこの二人までもが『敵』だったら、たぶんほとんどの使用人は私の味方をしなかったと思う。まぁフィナさんは気にしなさそうだけど。

「ふむ、世話になったのだったな。儂からも礼を言いたいから呼び寄せよう」

 呼び寄せるって。なんというナチュラル貴族しぐさ。

「いや、悪いですから私が行きますよ」

「ならん。リーナはこれから公爵令嬢になるのだし――本邸に戻ったら逆上した輩に襲われるかもしれんからな」

 仕事を失った人が逆ギレして、みたいな?

 そんなものなのかなーっと思っているうちに、公爵家の執事であるレイスさんが音もなく別邸を出て行った。素早い。

 本邸に向かったレイスさんを何となく見送っていると――

「――ん?」

 なんか、視線を感じた。じーっと、こちらを見つめられているような?
 こう、『きゅぴーん!』という感じで『そこだぁ!』とできればいいのだけど……そんなスキルは持っていないのでキョロキョロと辺りを見渡す。もしかしたらアリスのストーカーかもしれないし。姉として消し炭にしなければ。

 あ、そうか。索敵のスキルを使えばいいのか。ちょっと前までは魔力の節約のためにダンジョン以外はオフにしていたんだよね。
 でも今は邪竜を倒したおかげで魔力も激増したし、常時オンにしていても問題ないのだ。

 索敵スキル、今は鑑定眼アプレイゼルと合体進化して千里の果てを知る者よバーレイグライシスになったんだっけ? 使ったことないから試しにやってみようかな。

「リーナよ? どうしたのだ?」

 私の様子がおかしいことに気づいたのかお爺さまが声を掛けてきた。

「いえ、ちょっと視線を感じまして」

「視線?」

「はい。じーって感じで」

 答えつつスキル発動。……お? なんか脳内マップに緑の点が? 赤くないから敵じゃないのかな? ちなみにミャーやアリス、お爺さまは青丸なので『味方』という意味なのだと思う。
 ……これは本質的に味方という意味なのか、あるいは私がお爺さまを味方だと思っているという意味なのか。味方だと思っているとしたチョロすぎない私……?

 私チョロくないし~と自分で自分に言い訳しつつ緑の点がある方を向くと――フクロウ? っぽい鳥? がいた。

 真っ昼間にフクロウがいるのも珍しい……いや異世界だからそんなこともない可能性も? いやでもさすがにこっちを凝視し続けているのは怪しいなぁ。

 こういうときは鑑定してみようかな?

 というわけで、鑑定眼アプレイゼル発動。正確には進化したので千里の果てを知る者よバーレイグライシスだけど、まぁ細かいことはいいでしょう。分かり易さ重視である。

「お、お、おぉ?」

 なんか、見えた。フクロウだけじゃなくて、フクロウのその先・・・。背後にいる人物までもが。
 もちろんそれは物理的にフクロウの後ろにいるのではなくて……魔術的に、フクロウを操っている人物だ。

 視える・・・のは、前世で言えば小学校高学年とか、中学一年生くらいの男子。柔らかそうな金髪で、西洋人形のように整った顔つき。たぶん大人になったら女性が放っておかないレベルの美形になると思う。いや今でも絶世の美少年なんだけど。

 そんな少年がいるのは何とも豪勢なお部屋。伯爵家の本邸にすらないレベルのキラキラ具合なので、たぶん上位貴族のお屋敷とか、もしかしたら王宮というものなのかもしれない。一応地図も表示されているけれど、そもそも私は王都の地理が分からないし……。

 およ? そんなことを考えていたら場所の名前が表示された。

 王宮?
 王太子の私室?

 じゃあ、なにかな? この絶世の美少年君は我が国の王太子なのかな? 普通の貴族なら顔くらい知っているのかもしれないけど、私は普通じゃない軟禁系貴族令嬢だからなぁ。

 …………。

 いくら王太子でも、覗きはいけないと思う。
 まぁこんな身分制度真っ盛りな世界観で、王太子が覗きで逮捕されることなんてないだろうけど。好感度は急降下していくのだった。そりゃあもう海に落ちて海底に到達するレベルで。

「――ほう? 使い魔か? まったく、伯爵家は妨害魔術も敷けぬのか」

 お爺さまもフクロウに気づいたらしい。即座に腕に雷を纏わせる。いやいや判断早くない? 見敵必殺なんですか公爵家って?

『ホーッ!』

 命の危険を感じたのか飛び立って逃げるフクロウだった。覗き王太子がどうなろうと知ったことではないけど、フクロウが犠牲になるのは可哀想だからね。よかったよかった。

「まったく。また彼奴あやつか……」

 そしてお爺さまは正体を知っているらしい。覗き王太子、『彼奴』呼ばわりされてるし……。



しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

気弱令嬢の悪役令嬢化計画

みおな
ファンタジー
 事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?  しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?  いやいやいや。 そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!  せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。  屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...