子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月

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閑話 公爵とメイド

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※すみません、一話投稿し忘れがありました。本来は前話(地下室)の前に投稿されるはずの話です。



 リーナとレイスがトイレに向かったあと。

 応接間に残った祖父・ガーランドは背中を丸めてフィナを睨め付けた。……いや、ガーランドとしては真面目な顔をしているだけで睨んでいるつもりはないのだが、フィナからすれば眼光だけで射殺そうとしているんじゃないかとしか思えなかった。

「フィナと言ったな?」

「は、はい。フィナっす。じゃなかった。フィナと申します、旦那様」

「うむ。お前にはリーナの護衛を任せるのでな。励めよ?」

「身命に代えましても。……いえ、リーナ様であれば護衛なんていらないですけどね」

 なにせ単独でドラゴンを倒してみせたのだ。むしろフィナがうろちょろしていれば邪魔になるだけだろう。

 もちろん、「リーナ様はドラゴンを倒したんすよ! すごいっすよね!」などとは口にしない。フィナは大人なので言うべきことと言わずにおくべきことの区別ができるのだ。

 そう、フィナは。

「ふふん! そうですわ! お姉様は凄いのですわよ! なにせドラゴンを倒し――」

「――そう! ドラゴンを使い魔みたいに従えているんですものね! アレはマジでビックリしました!」

 また口を滑らせようとするアリスの発言。それに被せるように叫ぶフィナだった。

 アリスも(6歳にしては)聡明なので、フィナの態度から『言うべきではないこと』だと察する。ただ、少しばかり遅かったが。

「ふむ……?」

 フィナの態度に不自然なものを感じるガーランド。
 リーナがドラゴンの子供(ミャー)を従えていること。そして、アリスの『ドラゴンを倒し――』という発言。以上の二点から『よもや、あの子ドラゴンを倒して従えたのか?』という結論に至ったガーランド。

 もちろん真実は『巨大なる邪竜を一人で倒した』なのだが、さすがのガーランドでもそんなトンデモな結論には至ることはできない。常識人なので。

「リーナは、あの子ドラゴンを倒して従えたのか? まだ7歳の少女なのに……?」

「そ、そうみたいですね。あたしも実際に見たわけじゃないんですけど」

 よっしゃ、なんか知らないけど勘違いしてくれたと内心でガッツポーズをするフィナだった。

 だが、ガーランドが勘違いするのも無理はない。子供とはいえドラゴン。もし倒そうとするならばAランクパーティーかSランク冒険者を連れてこなければならないだろう。ドラゴンとは、子供とはいえそれほどに危険な存在なのだ。

「しかし、にわかには信じられんな……」

「いや、あたしも信じられないんですけど、実際あの『ミャー』という子ドラゴンとは仲が良さそうですし……」

「うーむ……。いくら何でもドラゴンを野放しの状態で連れ歩くわけにもいくまい。せめて従魔登録はしてもらわないとならないが……」

 もしミャーが暴れたり拒否したりしたら面倒くさいことになるなと不安になるガーランドだった。

「まぁ、ミャーの様子からすれば大丈夫じゃないっすかね」

「……お前がそう言うのなら、そうなのだろうな」

 ずいぶんと軽い口調。公爵に対するものだとは信じられない。
 だが、それでも不思議と不快感や怒りは湧いてこないガーランドだった。もちろんリーナの味方でいてくれたから甘くなってしまうという理由もあるが――それ以上に、きっとこの女性が持つ人徳のようなものが作用しているのだろう。

(ふむ。こういう人たらしは貴重だからな。リーナも良い大人を味方に付けたものだ)

 専属メイドの問題が解決しそうで一安心だが、まだまだ問題は山積みだ。

「リーナはドラゴンを倒せるほどの力をどこで手に入れたのだ?」

「……本当に分からないんですよね。本邸に軟禁されていた頃はあたしやメイド長たちで文字を教えていたのですが、魔法までは手が回ってなかったですし」

「軟禁……」

 報告書で知ってはいたが、実態を知るメイドからその言葉が出てくると怒りが再燃してくるガーランドだった。しかも家庭教師を付けず、味方のメイドが有志で文字を習わせるなど……。

 いや、怒りをぶつけるべきはこのメイドに対してではないとガーランドは首を横に振った。

「となると、別邸に監禁されてからか」

「おそらくは。あたしは見ていませんが隠された地下室に魔法の教本があったらしいですし」

「ふぅむ……」

 伯爵邸の旧本邸に隠された地下室。いかにも怪しげだ。
 もしかしたら闇魔法の教本・・・・・・も存在し、リーナが禁忌魔法だと知らずに読んでしまった可能性もある。

(その場合は隠蔽工作をしなければな)

 とりあえずこれから確認して、あとで専門家を派遣して詳しく調べるか、と思うガーランドであった。
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