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第二章『共存と滅亡の狭間で』
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「勝手に降りて来ないでよ!」
麗俐はビームソードを振り回しながら叫んだ。
だが、そう叫んでも男の意思が変わることはないだろう。今叫んだことは単なる愚痴以上のものではないということは自分が一番よく知っていた。
悔しさからか、麗俐は兜の下で歯を軋ませていた。
麗俐が歯をギリギリと鳴らし、数百匹と思われる苦虫をすり潰していた時のことだ。自身の体と男の体が勢いよく衝突していった。悔しさにかまけて空の上から降下してくる敵のことを完全に忘れてしまっていたらしい。
麗俐は悲鳴を上げて地面の上を転がっていった。男は容赦することなくビームナイフが揃えられた手で麗俐の兜をかち割って頭蓋骨を粉砕しようと目論んだ。
麗俐は間一髪のところで男の手を両手で受け止め、そのまま背後に投げ飛ばしていった。
しかし上手くいったものの、麗俐には柔道の心得というものがまるでなかった。にも関わらず、咄嗟に投げ技を披露することができたのは偶然の産物というより他になかった。もしくはパワードスーツの自動操縦によって生じた性能のどちらかであるかは間違いないだろう。
麗俐が息を切らしながら背後を眺めていると、平然とした様子で起き上がる姿が見られた。
麗俐はもう一度ビームソードを構えて突っ込んでいった。しかし両手に握られたビームソードはあっさりと交わされていってしまった。
(う、嘘!?)
麗俐が心の中で悲鳴を上げるものの、男はそんな麗俐の脇腹に向かって蹴りを喰らわせた。突き上げられたつま先の蹴りが麗俐を苦痛の顔で歪めさせた。
このままでは倒されてしまうかもしれない。いっそ目の前にいる趣味の悪いフクロウからなぶられ続けるくらいならば……と、麗俐は一か八かの手段に訴える出ることに決めた。
倒れたままビームソードを勢いよく男の左肩に向かって突き出したのだった。
その瞬間に男は悲鳴を上げながら足をよろめかせていったのが見えた。
反撃の機会は今を置いて他にあるまい。麗俐は飛び上がっていくと、両足を宙の上で揃えたかと思うと、そのまま勢いを付けて男の胸部へと蹴りを喰らわせていった、
パワードスーツ越しであっても蹴りは有用であったに違いない。これまでにどんな弱った様子も見せなかった男が立ち上がろうとする最中に足をふらつかせて起き上がることができずに、もう一度倒れる様を見せたのだ。
今しか倒す隙はあるまい。麗俐は勢いを付けて飛び上がると、そのまま起き上がろうとしていた男の胸部を目掛けてビームソードを突き刺していった。
ビームソードが胸部に突き刺さってしまったことによって男の装着していた『ロトワング』の装甲から黒い煙が上がっていくのが見えた。
どうやらこのまま粉々になって爆破する予定となっているらしい。
迂闊だった。麗俐は思わず頭を抱えそうになったが、後悔している暇はなかった。
麗俐は火花を散らしていたその男を両手を使って抱き抱えたかと思うと、勢いを付けて窓の外へと放り投げていった。
ガラスが粉微塵に砕かれていき、男の体が勢いよく跳ね、通りの上に投げ出されてあった。
窓の外。町田市の人通りの少ない道の上で小規模な爆発が生じた。
これがあのフクロウ型の『ロトワング』を装着していた男の哀れな最期となった。
だが、その姿に同情する必要など全くない。同情してはいけない存在なのだ。
麗俐は心の中でそう割り切ってきた。その後に考えたのは父の救援である。残ったスカラベの型をした『ロトワング』の装着者を倒さなくてはならないのだ。
麗俐が父親の元へと向かおうとした時だ。
両手にその父親が抱き抱えられて店の外へと出ていかされる様子が見えた。
「お父さん!」
麗俐は割れた窓ガラスからそのまま父親を捕まえた男を追っていった。
男は堂々と道路の上を飛び、その度に車の中にいる人々が車の中に設置されたモニターを確認して何が起こっているのかを調べる姿が見受けられた。
麗俐も追跡の傍で時々立ち止まり、武器を組み替えてレーザーガンの引き金を引いていった。
宙の上にレーザー光線が放出されていくものの、標的が上手に避けてくれるので光線は擦りもしなかった。
地面の上で思わず麗俐が地団駄を踏みそうになった時だ。突然男の手から父が離れていった。
しかし離れたはいいものの、上空から車が立ち並ぶ高速道路の上へと勢いよく落ちてきたのだ。このままでは父親が落下して死亡してしまう。
「誰かッ! 誰かッ! お父さんを助けてよ!! お願い!!」
麗俐は必死になって周りの人たちに助けを求めたが、この状況では何もできないだろう。
麗俐は道路の上で涙を流しながらふと立ち止まって考えていく。頭の中に思い浮かぶのはあのアンドロイドの少女に向かって投げかけて来たひどい言葉の数々だ。
その中には彼女の尊厳を傷付ける言葉や彼女の兄を侮辱する言葉もあった。
もしかすれば今父親が酷い目に遭っているのは自身が発した酷い言葉が跳ね返ってきた結果なのかもしれない。
父親である修也が地面に衝突して死んでしまうのは自身の自業自得であるかもしれないのだ。
悔やんでも悔やみきれないものがある。
それでも、もし神とやらがこの世に存在するのならば聞いてもらいたかった。
麗俐は古い宗教の言葉で神は赦す存在であるという言葉を聞いたことがあった。
ならば恥の概念なども捨て、臆面もなく神に向かって懺悔を行うしかなかった。麗俐は車道に車が走っている状況であるにも関わらず大きな声で後悔の言葉を叫んでいった。
「あたしが悪かった! アンドロイドも人間も同じなんだよ! 人にやられたら嫌なことは絶対にしちゃあいけないんだッ!けど、あたしはそれを分かってなかった! いや、分かってたけど、自分なら許されると思ってたんだッ!」
事実麗俐は得意になっていた。勉強もスポーツも万能で取り巻きも引き連れ、物語に登場する傲慢な令嬢のような心境になっていた。
だからいじめ防止用にと国から導入されたサンドバッグであったアンドロイドの少女を執拗に虐めても許されると思っていたのだ。
その後悔の念を一世一代の思いだと言わんばかりに張り裂けんばかりの声で懺悔の念を口にしていった。
その様は間違いなく聖典にも記されているような罪人が全知全能の神に赦しを乞う姿そのものだった。
麗俐の懺悔を聞いていたのが同じ人間であったのならば麗俐の懺悔になどは聞く耳も持たなかっただろう。
だが、少女に許してもらえるのならばなんでもする。そんな真摯な思いを神は受け止めてくれたらしい。
修也が落下したのは硬い地面の上ではなく、白い四角形の浮遊車の上だった。
はからずとも車がクッションの代わりとなったこともあって修也の身は無事だった。しかも運の良いことに「いたた」と呻く程度の負傷で済んだのだ。
修也はなんとか車の上から起き上がり、またしても空中から降下して再度、自身の体を持ち運ぼうとする男に対してレーザーソードを突き刺そうとしていたのだった。
男は間一髪のところで身を交わしたものの、肩に攻撃を喰らってヨロヨロと飛んでいく姿が見受けられた。
今度は修也が男を追い詰める番だった。車の上から勢いを付けて飛び上がり男を自分もろとも車道の上に引き摺り下ろしていった。
それから修也は車道の上で男の上に馬乗りになって拳を喰らわせていった。
そして最後にトドメとしてビームソードを突き刺そうとしていたが、男は修也を突き飛ばすことでその場を逃れたのだった。
男はそのまま逃げる算段だったのだろう。背中の羽根を広げていった。
「させるものかッ!」
修也はレーザーガンを構えて上昇直前の羽根に向かってレーザー光線を放っていった。
同時に火花が飛び、飛び上がろうとしていた男を空の上に飛び立たせることもなく、地面の上へと転がせていった。
レーザー光線が羽と装甲の装着部分が破壊されることになったのは大きなことであったに違いない。
麗俐はビームソードを振り回しながら叫んだ。
だが、そう叫んでも男の意思が変わることはないだろう。今叫んだことは単なる愚痴以上のものではないということは自分が一番よく知っていた。
悔しさからか、麗俐は兜の下で歯を軋ませていた。
麗俐が歯をギリギリと鳴らし、数百匹と思われる苦虫をすり潰していた時のことだ。自身の体と男の体が勢いよく衝突していった。悔しさにかまけて空の上から降下してくる敵のことを完全に忘れてしまっていたらしい。
麗俐は悲鳴を上げて地面の上を転がっていった。男は容赦することなくビームナイフが揃えられた手で麗俐の兜をかち割って頭蓋骨を粉砕しようと目論んだ。
麗俐は間一髪のところで男の手を両手で受け止め、そのまま背後に投げ飛ばしていった。
しかし上手くいったものの、麗俐には柔道の心得というものがまるでなかった。にも関わらず、咄嗟に投げ技を披露することができたのは偶然の産物というより他になかった。もしくはパワードスーツの自動操縦によって生じた性能のどちらかであるかは間違いないだろう。
麗俐が息を切らしながら背後を眺めていると、平然とした様子で起き上がる姿が見られた。
麗俐はもう一度ビームソードを構えて突っ込んでいった。しかし両手に握られたビームソードはあっさりと交わされていってしまった。
(う、嘘!?)
麗俐が心の中で悲鳴を上げるものの、男はそんな麗俐の脇腹に向かって蹴りを喰らわせた。突き上げられたつま先の蹴りが麗俐を苦痛の顔で歪めさせた。
このままでは倒されてしまうかもしれない。いっそ目の前にいる趣味の悪いフクロウからなぶられ続けるくらいならば……と、麗俐は一か八かの手段に訴える出ることに決めた。
倒れたままビームソードを勢いよく男の左肩に向かって突き出したのだった。
その瞬間に男は悲鳴を上げながら足をよろめかせていったのが見えた。
反撃の機会は今を置いて他にあるまい。麗俐は飛び上がっていくと、両足を宙の上で揃えたかと思うと、そのまま勢いを付けて男の胸部へと蹴りを喰らわせていった、
パワードスーツ越しであっても蹴りは有用であったに違いない。これまでにどんな弱った様子も見せなかった男が立ち上がろうとする最中に足をふらつかせて起き上がることができずに、もう一度倒れる様を見せたのだ。
今しか倒す隙はあるまい。麗俐は勢いを付けて飛び上がると、そのまま起き上がろうとしていた男の胸部を目掛けてビームソードを突き刺していった。
ビームソードが胸部に突き刺さってしまったことによって男の装着していた『ロトワング』の装甲から黒い煙が上がっていくのが見えた。
どうやらこのまま粉々になって爆破する予定となっているらしい。
迂闊だった。麗俐は思わず頭を抱えそうになったが、後悔している暇はなかった。
麗俐は火花を散らしていたその男を両手を使って抱き抱えたかと思うと、勢いを付けて窓の外へと放り投げていった。
ガラスが粉微塵に砕かれていき、男の体が勢いよく跳ね、通りの上に投げ出されてあった。
窓の外。町田市の人通りの少ない道の上で小規模な爆発が生じた。
これがあのフクロウ型の『ロトワング』を装着していた男の哀れな最期となった。
だが、その姿に同情する必要など全くない。同情してはいけない存在なのだ。
麗俐は心の中でそう割り切ってきた。その後に考えたのは父の救援である。残ったスカラベの型をした『ロトワング』の装着者を倒さなくてはならないのだ。
麗俐が父親の元へと向かおうとした時だ。
両手にその父親が抱き抱えられて店の外へと出ていかされる様子が見えた。
「お父さん!」
麗俐は割れた窓ガラスからそのまま父親を捕まえた男を追っていった。
男は堂々と道路の上を飛び、その度に車の中にいる人々が車の中に設置されたモニターを確認して何が起こっているのかを調べる姿が見受けられた。
麗俐も追跡の傍で時々立ち止まり、武器を組み替えてレーザーガンの引き金を引いていった。
宙の上にレーザー光線が放出されていくものの、標的が上手に避けてくれるので光線は擦りもしなかった。
地面の上で思わず麗俐が地団駄を踏みそうになった時だ。突然男の手から父が離れていった。
しかし離れたはいいものの、上空から車が立ち並ぶ高速道路の上へと勢いよく落ちてきたのだ。このままでは父親が落下して死亡してしまう。
「誰かッ! 誰かッ! お父さんを助けてよ!! お願い!!」
麗俐は必死になって周りの人たちに助けを求めたが、この状況では何もできないだろう。
麗俐は道路の上で涙を流しながらふと立ち止まって考えていく。頭の中に思い浮かぶのはあのアンドロイドの少女に向かって投げかけて来たひどい言葉の数々だ。
その中には彼女の尊厳を傷付ける言葉や彼女の兄を侮辱する言葉もあった。
もしかすれば今父親が酷い目に遭っているのは自身が発した酷い言葉が跳ね返ってきた結果なのかもしれない。
父親である修也が地面に衝突して死んでしまうのは自身の自業自得であるかもしれないのだ。
悔やんでも悔やみきれないものがある。
それでも、もし神とやらがこの世に存在するのならば聞いてもらいたかった。
麗俐は古い宗教の言葉で神は赦す存在であるという言葉を聞いたことがあった。
ならば恥の概念なども捨て、臆面もなく神に向かって懺悔を行うしかなかった。麗俐は車道に車が走っている状況であるにも関わらず大きな声で後悔の言葉を叫んでいった。
「あたしが悪かった! アンドロイドも人間も同じなんだよ! 人にやられたら嫌なことは絶対にしちゃあいけないんだッ!けど、あたしはそれを分かってなかった! いや、分かってたけど、自分なら許されると思ってたんだッ!」
事実麗俐は得意になっていた。勉強もスポーツも万能で取り巻きも引き連れ、物語に登場する傲慢な令嬢のような心境になっていた。
だからいじめ防止用にと国から導入されたサンドバッグであったアンドロイドの少女を執拗に虐めても許されると思っていたのだ。
その後悔の念を一世一代の思いだと言わんばかりに張り裂けんばかりの声で懺悔の念を口にしていった。
その様は間違いなく聖典にも記されているような罪人が全知全能の神に赦しを乞う姿そのものだった。
麗俐の懺悔を聞いていたのが同じ人間であったのならば麗俐の懺悔になどは聞く耳も持たなかっただろう。
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修也が落下したのは硬い地面の上ではなく、白い四角形の浮遊車の上だった。
はからずとも車がクッションの代わりとなったこともあって修也の身は無事だった。しかも運の良いことに「いたた」と呻く程度の負傷で済んだのだ。
修也はなんとか車の上から起き上がり、またしても空中から降下して再度、自身の体を持ち運ぼうとする男に対してレーザーソードを突き刺そうとしていたのだった。
男は間一髪のところで身を交わしたものの、肩に攻撃を喰らってヨロヨロと飛んでいく姿が見受けられた。
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そして最後にトドメとしてビームソードを突き刺そうとしていたが、男は修也を突き飛ばすことでその場を逃れたのだった。
男はそのまま逃げる算段だったのだろう。背中の羽根を広げていった。
「させるものかッ!」
修也はレーザーガンを構えて上昇直前の羽根に向かってレーザー光線を放っていった。
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