女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第二部 王国奪還

ゴッドファーザーと呼ばれた男ーその⑧

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商談の中でクリミーネは次々と注文をつけていく。ドメニコは今のうちに好きなだけ言っておけと心の中で煽っていた。
「そうだ、アメリカ式のプールの横にグアムの樹を植える事は可能か?」
「不可能ではありませんが、かなりの費用がかかりますよ」
ドメニコの言葉にクリミーネは口元を歪ませて笑う。
「はっはっはっ、お前、ワシを誰だと思っておる?ワシはドン・ディアボロ・クリミーネだぞ !金なら、他の村のマフィアのボスよりも持ってるわい」
と、クリミーネは誇らしげに財布が入っていると思われる左の胸ポケットを叩く。
(ふん、この村の住人たちの暮らしぶりを見てもそんな事を言えるのか?それにお前が古くから、他の村のドンが嫌っている麻薬や派遣ビジネスに手を出していることも知っている……クズめッ!)
無論、彼はこの言葉を口には出さない。それどころか、彼の表情は笑顔そのものだった。晴々としたものすら感じられる。
「そうだな、他にアメリカ式の建物としては何かあるかね?」
「屋敷の庭にガレージを置くのはどうですか?あなたの車をそこで完全に保管できるのです……どうです、あなたの自慢のフォード社のモデルTをいつまでも眺めていられますよ」
ドメニコは彼が車を愛しているというのは、庭先に大切に飾られるている事から、容易に考察できた。恐らくこのガレージの話にも食いつくだろう。
「うむ、ガレージとやらも気に入った……商談成立だな」
クリミーネは席を立ち上がり、ドメニコに手の甲を見せつける。忠誠と友情を誓うキスをしろと言うのだろう。無論、ドメニコはそんな事をするのだけはしたくなかったが、我慢して、彼の手の甲に口づけをした。クリミーネは満足そうに頷く。
「さてと、キミはワシに忠誠を誓ったわけだが、その前にキミの名前も聞いておこうか……」
クリミーネの問いにドメニコは小さい声で「ドメニコ……」と呟く。
「何だって、聞こえん……もう少し大きな声で言ってくれんかね?」
クリミーネは耳に手を当てている。
の名前はドメニコ・カヴァリエーレ !貴様に殺された両親の仇を討つために、この村に戻ってきたのだ !」
ドメニコは素早く懐から拳銃を取り出す。まず、彼は動きを封じるためにクリミーネの両脚に発砲した。クリミーネはバランスを崩し、その場に崩れ落ちる。
「誰かッ!誰か来てくれッ!ワシは殺される……ドメニコの小僧に殺されるゥゥゥゥゥゥゥ~!!」
クリミーネは這いつくばいながら、出口の方へと向かっていくが、その前にドメニコが立ちはだかる。
「これは、親父の分だッ!」
ピストルの音が書斎の中に響く。彼の背中を銃弾が貫く。
「これはお袋の分ッ!」
もう一発背中に銃弾が当たる。ドメニコは呻き声を上げ、その場でうごめている。
「そして、これは貴様により人生を奪われたオレの怒りだッ!」
ドメニコはクリミーネの頭を撃ち抜く。ドン・ディアボロ・クリミーネは物言わぬ死体となった。
その後に再びエマに込めてもらった火炎魔法が含まれた銃弾を懐から取り出し、死体となったクリミーネに発射した。
クリミーネはその瞬間に炎に包まれて、この世から焼失したのだった。ドメニコはその姿が、本当にクリミーネが地獄の炎に焼かれているように思われた。
「あとはフーゴの奴だが……」
すると、ドメニコが籠っている書斎の外から、銃撃戦の音が聞こえる。
クリミーネ・ファミリーいや、クリミーネ・ファミリーの残党と称するべきだろうとプニツィオーネ・ファミリーとカヴァリエーレ・ファミリーのが銃撃戦を繰り広げる音が聞こえた。
ドメニコはフーゴなら、うまくやるだろうとクリミーネの残った灰を蹴り飛ばしながら、考えた。
しばらくして、銃撃の音が止む。ドメニコは書斎から出て、部下と友人に合流した。
「どうだった??」
ドメニコはその言葉がどうも引っかかった。これは普段はナンパした女性を上手く口説いたかどうかを尋ねる時のもので、彼に似合わない言葉だった。
だが、ドメニコはそれを口には出さない。代わりに笑顔で答えてやった。
「勿論さ、
「どんな風に?」
「あいつを地獄の番人に引き渡してやった……」
ドメニコはエマの魔法の拳銃を見せて言った。
「キミの例の魔法とやらで?」
「そうさ、普通のピストルも使ったがね、それよりそっちは?」
ドメニコはクリミーネの部下との戦いについて尋ねる。
「勿論さ、奴の部下はばかりだった……だから、こちらの犠牲は負傷者4名で済んだよ」
ドメニコはドイツ製の高価なネクタイを緩める。やはり、何かを成し遂げた後というのは、熱くなるものだ。
「それは良かった……それから、おめでとう、この村はキミのものだぜ」
ドメニコの言葉にフーゴは体を躍らせた。
「やった !オレは今日のところはヴィットリア村に帰るけど、明日にはまた来なければな、何せ、クリミーネ時代の負の遺産を全部取り払わないと、住民も安心させてやらなければ」
彼は村の住民に対し、非常に優しく賢明なであった。部下に麻薬と派遣ビジネスには絶対に口を出さないように言っていたし、万一住民の仕事を奪ったり、住民を害したりすれば、その部下は厳罰に処された。
また、彼は警察の役目も果たしており、彼の構成員が木に登って降りられなくなった子猫を助ける事を警察の代わりに助けるという任務も引き受けていた。そのため、街の住民からは慕われており、彼は村での尊敬を集めていた。
「この街のは酷かったからな、キミが来れば喜んで歓迎すると思うよ」
ドメニコの言葉にフーゴは口元を一文字に歪める。
「嬉しいね !なら、これを記念して、アジアを旅行しようぜ !日本とか、中国とか……」
「日本か……一度行ってみたいと思っていたんだ……トーキョーの夜空はニューヨークと同じくらい輝いていると聞いたぜ」
「そりゃあ、楽しみだ、今度絶対に行こう !」
二人は目を輝かせて笑う。
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