女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ

ギシュタルリア帝国の宰相選挙

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場面は打って変わり、ギシュタルリア帝国の宰相選挙の日。
今回の選挙は今までの選挙戦とは打って変わった。
「皆さん、世界審判教の教祖ライター・ヘンプです。まず、今回の選挙で訴えたい事は5つです !」
ヘンプはまず、集まった街の広場を埋めつくすほどの大衆を相手に最初の案について語り出す。
「第一に教育改革。これは我々の団体が調べた結果なのですが、あなた方一般国民の皆さまは貴族の方々と比べても、やはり学問を学べる機会が少ないです。我々が勝った暁には国民の皆さまに正しい教育の普及を約束致します」
ヘンプは一旦深呼吸を行った後に次の言葉を喋る。
「第二に福祉推進。これはフランソワ王国や他の大国と比較しても、決して裕福とは言えない、福祉をこの国にも普及させたいと思っております。まず、福祉というのは皆さま方が、年老いて働けなくなっても、国が保証するというものです。これは、彼らが仰るには、我々の星では当たり前の事なのに、どうしてこの世界では福祉がないのかと、嘆いておられました」
ヘンプはそのまま、現政権批判に結びつける。
「これは現在の首相ロベス・アントネットの政策が悪いからな他ありません。確かに彼は皆さま方からの出身の方かも知れませんさま、今ではすっかり変貌しております !」
その言葉に大衆のどよめきが起こる。
「皆さま方は不安に思われるでしょう、折角自分たちが選挙で選んだ人間が、本当は無駄遣をしているのか……これは我々の党が調べた結果なので、間違いはないと思われます」
ヘンプの言葉にロベスへの罵声とヘンプを応援する言葉が飛び交う。
「皆さま、皆さま方も今の政権では、我々の生活を豊かにする事は出来ないとお察しになれましたねッ!次に第三の改革をお伝え致します」
ヘンプは次に第三の改革を喋り始める。
「第三の改革は軍事増強です。今現在我々の隣にある最大の王国フランソワ王国は近年即位したマリア・ド・フランソワは、我々の国を狙っております。我々の国を彼らの卑劣な侵略から守るために軍隊を強くする必要があります」
ヘンプの言葉に説得力はあった。大衆たちは次々とお互いの顔を眺めあったり、自分たちの意見を交換しあったりしている。
「第四に医療促進です。我々の国には病院のベッドが足りません。医者と看護師が足りません。これで良いのでしょうか?皆さま方が、緊急の時に医師にかかれないのは、ロベスののためでしかありませんッ!私としては帝国宰相に就任した暁には、皆さま方の健康を守らせていただきます。彼らも医療の促進を望んでおりました。我々は皆さま方にこの世界でも一二を争う裕福な帝国の恩恵を分けた与える事を約束致しましょう !」
ヘンプがそう言い終わると同時に大衆から、ヘンプ万歳を叫ぶ声が聞こえてくる。
「ありがとうございます。ですが、まだ第五の改革を話し終わっておりませんよ」
その言葉に全員が、再びヘンプの顔を一斉に見つめる。
「第五の改革これは、皆さま方の生活を狂わせてきた今来の宗教の撲滅です。彼らは私に仰りました。この国の大衆を騙し、今までの王朝の混乱を招いてきたのは、帝国正教会だとッ!彼らは皆さま方に布施を要求するだけど、皆さま方には何もしてきませんでした。その宗教をこの国から根絶する事は、我々の世代に課せられた義務なのではないでしょうか?」
ヘンプのこの演説には賛否両論の意見が飛んだ。
確かに帝国正教会が、自分たちの苦しみの一部になってきたもの事実であったが、逆にそれまでその宗教を信じてきたのだから、別れて当然だったのだが。
「お前たちは騙されているぞ !」
大衆の中の一人が叫んだ。
彼は世界審判教の信徒であり、ヘンプにとっては第二のビレジと言っても過言ではない存在であった。
「ゴッドーゴールに間違いはないんだッ!ヘンプゴッドーゴールこそが、我々の生活を豊かにしてくれるんだッ!」
その言葉に再び全員がヘンプの言葉に耳を傾ける。
「皆さま、分かっていただけたようで良かったです。以上が、私が帝国宰相になったのならば、やりたい政策です。皆さま票を入れる際には、どちらが皆さま方の得になるのかを思案した方がいいでしょう、最後にギシュタルリア帝国万歳 !エドワード陛下万歳 !」
その言葉に全員が賛同の意思を表示した。
拳を大きく宙に上げ、ヘンプから言われた言葉を復唱する。 
「ギシュタルリア帝国万歳 !エドワード陛下万歳 !」
かくして、ヘンプの演説は大盛況のうちに終わったのだった。
「お疲れ様です。ゴッドーゴール !」
次の選挙会場に向かう馬車の中でヘンプに応援の言葉を投げかけたのは、ヘンプの秘書であるオリヴィエ・オセットであった。
「おお、オセットか、お前も会場の設置はご苦労だったな、お陰で私が安心して演説を行えたよ」
その言葉にオリヴィエは頰を赤らめている。
「ありがとうございます。ゴッドーゴール。そう言って頂けると……」
ヘンプはそんな彼女を優しく抱き寄せる。
「次のロベスとの対抗演説にも勝ってみせるさ」
ヘンプは"熱心な信徒"に優しく微笑んでみせる。

現帝国宰相のロベス・アンリエットと現在の有力候補者であるライター・ヘンプとの間で対抗演説が行われた。
「まず、あなたの政策はおかしいと言っているんです。私が間違ったことを言っておりますか!?」
ヘンプはロベスを指差す。
「私が間違っているとでも言うのか!?私だって民のことを思って政治をやってきたのだよ、パッと出の何を信じているかも分からない宗教の教祖に私が侮辱されなければならない覚えはないッ!」
対抗してロベスはヘンプを指差すが、その瞬間に大衆から野次が飛ぶ。
「黙れッ!ゴッドーゴールに気安く指を指すんじゃあない !インチキの嘘つき政治家めッ!お前にオレらの気持ちが分かってたまるもんかよ !さっさと宰相をやめろッ!」
「そうだ。そうだ。辞めろッ!辞めろッ!ロベスは宰相をサッサと辞めろッ!」
ロベスはたじろぎ、ヘンプはそれとは対照的に笑いを浮かべている。
「これが、あなたに対する国民の真意ですよ」
ヘンプの言葉に大衆から賛同の声が沸く。
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