女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ

世界審判教の乱心ーその⑥

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ライター・ヘンプは剣の矛先から、水圧を出して警察隊を弾き返す。
「これが神の力だッ!お前らがオレを逮捕しようとも逮捕する事はできないんだッ!」
「怯むな、アイツはあの剣の中にホースか何かを仕込んでいるだけに過ぎないんだッ!怯むなかかれッ!」
警察隊の隊長が部下の警察官に指示し、飛びかからせようとするが、ヘンプはそれに怯えるどころか、黒の剣を飛びかかった警察官たちを斬りつけた。
すると、警察官は爆弾でも喰らったかのように爆発していく。
「おい、テレビを見ているアメリカ市民の諸君 !!これが神の力だッ!我々世界審判教には神のご加護が付いているのだッ!我々に続け、アメリカ合衆国政府を倒すのだッ!」
ヘンプの言葉に何人が影響を受けたのかは知らないが、直後に各地の警察署や政府の建物が襲われる事件が多発した事は後の調べで発覚した。
「なっ、なんだ……あの剣は話にならない、部下たちが警棒を持って飛びかかった瞬間に爆破させられてしまった……」
その瞬間に警察隊の隊長は自分自身に剣が突きつけられているのに気がつく。
「これが神の力だ……みんな、悪の街ニューホーランドに攻め入ろう !現代の十字軍よ、現代のピューリタンよ立ち上がれ !」
ヘンプはそう演説すると剣で隊長を斬りつけ、番組を収録していた部屋を跡にする。
「おい、今のを撮ったか?」
アナウンサーがカメラマンに問いかけると、カメラマンは首を縦に動かす。
「勿論ですよ、幸いカメラは壊されませんでしたから……」

これに最も動揺していたのはテレビを通じてこれを見ていた聴衆たちであった。
「おい、見てみろよ、あんな物が本当にあるんだぜ、もしかするといや、本当にオレらの住む世界とは別の世界があるんじゃあないのか」
「まさか、アレはトリックだろ?」
そんなやり取りがあるかと思えば。
「聞いてくれよ、ヘンプさんはやっぱり神のご加護を受けている現代のイエス・キリストなんだッ!ヘンプさんいや、ゴッドーゴールは現代の十字軍を作れと仰っているんだ !ゴッドーゴールが言うようにオレらもニューホーランドに攻め入ろうぜ !」
どこかの町のチンピラたちの一人がそう演説すると、他のチンピラたちも拳銃を宙に上げそのチンピラに同調する事を表した。

今や、ニューホーランドに集まるヘンプに影響された人間は数万を超えていた。
「ゴッドーゴール万歳 !現代のイエス・キリスト万歳 !悪の都ニューホーランドを打ち破れ !新たなる神の軍隊に祝福を !」
暴徒とかした群衆たちはニューホーランドに着くやいなや、周りの建物を壊そうとしたり、住人の物を奪おうとしていた。
「よし、この宝石はいただくぜ !」
「返してください !それは祖母の形見で……」
ヘンプの狂信者は足にすがりつく老婆を蹴り飛ばそうとしたが、その前に自分の足に小石が命中した事に気がつく。
「だっ、誰だ!?」
「オレだよ、テメェら誰の縄張りシマを荒らしてんのか、分かってんのかゴルァ!」
答えたのはカヴァリエーレ・ファミリーのメンバーであるマイケル・ヤングだった。
「おい、婆さん逃げな、後はオレたちファミリーが後を引き受ける」
マイケルはいつもの散弾銃の代わりに木の棒を持って暴徒たちを牽制する。
「怯むな、ギャングがなんだッ!我々は神の軍隊だッ!我々には神のご加護が付いているんだッ!」
ショートアイランド・ビーチでは南の方向からやってきた暴徒とカヴァリエーレ・ファミリーの構成員の二勢力が睨み合いを続けていた。
他の地域ではカヴァリエーレ・ファミリーと地元のニューホーランド警察署が協力して暴徒たちの鎮圧にあたっていた。

「キミたちは既に国家に刃向かう反社会的組織です !直ちに門を開けなさい !」
ついに強制捜査に当たる事になったFBI及び地元警察は世界審判教の総本山であるエーマ・ラクスランドのライター・ヘンプの屋敷の前で武装した長官が教団相手に投降を呼びかけていた。
「長官……反応がありません !」
「よし、ならば強制的に門を開けるぞ !」
長官の言葉にブルドーザーが固く閉ざされた門を開けようとした時だった。
「なっ、なんだァァァァ~!」
ブルドーザーの運転手にガーゴイルのような怪物が襲い掛かったのだ。
「長官……アイツらは?」
部下が上司である長官に質問を投げかけた時だった。
不意に固く閉ざされた門が開かれ、中から散弾銃やら機関銃やらを持った信徒たちが強制捜査に来たFBIに襲い掛かった。
「ゴッドーゴール万歳 !新たなる十字軍万歳 !新たなる神の軍隊に祝福あれ !」
その大号令と同時に多数の銃弾が飛び交い、包囲していた警官隊に多数の死者が出た。
「長官 !こちらも応戦しましょう !」
部下の言葉に長官は首を縦に動かし、部下たちに応戦するように告げた。

異世界オリバニアでもフランソワ王国軍とギシュタルリア帝国軍との戦端が切って落とされた。
「我々ギシュタルリア帝国はフランソワ王国に要求する !これまでのツケを清算し、我々に賠償金を支払えと !」
帝国軍の金髪のヒゲを顔全体に覆った隊長と思われる男が馬に乗りながら呼びかける。
「ツケだと !オレたちは何もやってねえぞ !お前らこそオレらの国に内政干渉するんじゃあねえ !」
男の呼びかけに答えたのは、カヴァリエーレ・ファミリーの副首領アンダーボスにしてフランソワ王国騎士団騎士団長代理を務めるトミー・ウィントだった。
「黙れ、これ以上エドワード陛下に逆らうようなら、我々は容赦しない !」
「ふん、エドワード陛下とやらに伝えな、ク・タ・バ・レ・ク・ソ・ヤ・ロ・ウとな」
その言葉に怒ったのか、全身をヒゲで覆った男は青筋を立てて全員に突撃をするように命令した。
「こちらも突撃だッ!王国騎士団の力を見せてやれッ!」
トミーの号令と共に散弾銃やトンプソン機関銃を背中に背負い、懐には小刀と一緒に拳銃を仕込んだ王国の兵士や騎士たちが剣を携えて突っ込む。
馬の上で斬り合いが始まった。勝敗はトミーにもすぐに分かる。負けた方が馬から落とされているからだ。
「ヴィトがいなくて大丈夫かしら?」
不安がるマリアにプイスは優しく言ってみせる。
「大丈夫です。陛下は強くなられました。きっとギシュタルリアとの戦いも上手く収められますよ」
マリアは持っていた杖をギュッと握りしめた。
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