政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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見えてきた“彼女”

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さすがに。

想像していなかった現実を突きつけられて、どうすれば良いのかわからない。

脳が理解する事を拒否してる。

だめだ。

何も。

考えられない。

そんな俺を知ってか知らずか瑞紀はなおも話し続ける。

「…治療も、手術も、もうしていません。そんなのをするより、精一杯今を生きたいと私が言ったんです。」

そんな言葉を。

右から左へと聞き流しながら。

…あぁ。

だから君は。

俺が君を好きだと言ったあの時。



君も、俺を好きだとは言わなかったのか。




俺が。

その言葉を言われたら。

自分がいなくなった後。

どうなるかわかっていたから。

だから。

そんな事を眉を寄せながら考えていると。

ベットの上に座っている瑞紀はそんな俺を控えめに見ながら。

「…私が、家に帰らない時があったのは…」



その言葉に瑞紀の目をじっと見る。

「検査入院があったからで…」

…は?

嘘つけ。

そんなわけないだろう。

「それだけじゃなかったでしょ。」

俺が瑞紀を睨みつけながらそう言うと。

瑞紀は申し訳なさそうに俺をちらっと見てから。

「…すみません…」



「別に。気にしてない。」

俺が瑞紀から目線を離してそう言うと。

瑞紀は、少し寂しそうな声で。

「…そうですか。」

俺が黙っていると。

瑞紀は、また話し出す。

「…広瀬先生に聞いたんでしょう?幸か不幸か私には親がいないから、私が全ての選択権を持ってるんです。」

俺がふと疑問に思った事を瑞紀に問いかける。

「…じゃ、お見合いの時の人は…」

瑞紀は、申し訳なさそうに笑いながら。

「仲の良い看護師さんです。」

何だそれは。

そう思いつつも。

「…父は。」

「…全て知っていました。」



「元々、知哉さんの事がずっと好きで、ずっと知哉さんの事を見ていたから、女の人に対してあまり愛情を向ける事が出来ない事を知っていてそれでも良いので知哉さんと結婚させて下さい、と知哉さんの女性への対応を知っていて渋るお義父さんに対して無理矢理私が頼んだんです。」

「…何で。」

俺のその問いに。

瑞紀は、泣きそうな顔で。

笑う。

「…だって、そうじゃなきゃ、私が死んだ時、泣かれてしまうでしょう?」

…やめろ。

死ぬとか言うな。

「お義父さんは、私と亡くなられたお義母さんを重ねられたんだと思います。それで。私のお願いを聞いてくれて。…知哉さんとそっくりで、とても優しいから…」




君の言葉の一つ一つが。

もう。

死を覚悟してる。
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