政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

文字の大きさ
110 / 125
見えてきた“彼女”

7

俺が眉を寄せながら、自分の膝を見下ろしていると。

瑞紀は。

綺麗な顔をゆっくりとほほえませながら。

「でも。知哉さんが、私に対して好き、愛してると言ってくれたのは誤算でした。」

“君が好きだ”

「…」

“君を、愛してる”

その言葉に。

嘘なんて無い。

「あの言葉が。私があの部屋を出る時一番…。でも。出ないと、悲しませてしまうから。」



ふざけるな。

何言ってるんだ。

俺は瑞紀の手をぎゅっと握りながら。

「何も言わずに出ていく方がよっぽどだよ。」

「…すみません。」

瑞紀は、そんな俺の手をキュっと握り返しながら。

「…皆に悲しい思いをさせたくなかった。…だから、学校だってやめて来たのに。だから。家だって出たのに。…なのに。」

瑞紀の目から。

一粒の涙が零れて。




「…知哉さんが、あんな事言うから…」






そんな瑞紀に。

少し驚きながら。

「…みず「知哉さんが来てくれるの、ずっと…バカみたい。」

君は。

「生きる事に執着なんて無かったのに。なのに、本なんか借りて。」

ずっと一人で。

「メモだって残して。」

その、小さな体で。

「あれじゃ、探して欲しいって言ってるような物ですよね…」

抱えきれないほどの不安を、

その笑顔の後ろに隠してた。

そんな瑞紀をじっと見つめながら。

「…探して、欲しかったんでしょ。」

その言葉に。

瑞紀は、涙を流しながらコクンと頷いた。

「…ねぇ。」

瑞紀は泣きながら。

俺の手を握りながら。

「…ん?」

もう片方の手で。

すっかり細くなってしまった自分の腕を。

ここにある事を確認するかのように。

握り締めて、言葉を放つ。




「知哉さん…、私、死にたくありません…」






そんなの。
 
「…っやだ、…っ知哉さ…」

何言ってるんだ。

「…」

君を、俺が。

「私…っ」

あぁ。

「死にたく…っない…」

君は。

「…っ」

本当に。

「とも、…っやさ、んと…っ」

馬鹿だ。

「生きたい…っ「当たり前だよ。」




身を乗り出して、泣き続ける瑞紀を抱きしめて。

「君は。絶対に。…死なせたりなんかしない。」

「…っ、でも、もう」

震える瑞紀の背中をさすりながら。

強い口調で。


















「君だけは、離さない。」

















感想 28

あなたにおすすめの小説

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

愚かな恋

はるきりょう
恋愛
そして、呪文のように繰り返すのだ。「里美。好きなんだ」と。 私の顔を見て、私のではない名前を呼ぶ。

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。 そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。 やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。 大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。 同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。    *ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。  もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

《完結》王太子妃、毒薬飲まされ人生変わりました。

ぜらちん黒糖
恋愛
【第一章】ヘレンはトムス王太子と結婚して王太子妃となった。だが毒入りワインを誰かに飲まされ意識不明になってしまう。  意識不明の中、幽体離脱をして幽霊となりメイドのマリーに憑依して犯人を探し始める。 【第二章】ローズの息子ゼオドアを軸に物語は進む。 【第三章】ローズの父を軸に話が進む。 【第四章】マラオとマリーの恋愛を軸に話が進んでいきます。 そして第五章よりもうひとりの主役が登場します。

【完結】恋を失くした伯爵令息に、赤い糸を結んで

白雨 音
恋愛
伯爵令嬢のシュゼットは、舞踏会で初恋の人リアムと再会する。 ずっと会いたかった人…心躍らせるも、抱える秘密により、名乗り出る事は出来無かった。 程なくして、彼に美しい婚約者がいる事を知り、諦めようとするが… 思わぬ事に、彼の婚約者の座が転がり込んで来た。 喜ぶシュゼットとは反対に、彼の心は元婚約者にあった___  ※視点:シュゼットのみ一人称(表記の無いものはシュゼット視点です)   異世界、架空の国(※魔法要素はありません)《完結しました》

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。