2 / 2
0.2
しおりを挟む
開かれた小屋の中は程よい広さの一室だった。というか、普通に部屋だ。1人用ベッドにキャビネット、小さなテーブルに椅子が2脚…いやいやいや待て、やばい予感しかない。ちょっと足元踏ん張って入るのを拒否してみたが、引きづられるように小屋に入れられバタンと扉を閉められた。ひいん(涙)何故こんな場所に私連れてこられたんですか。ハァ…と深い吐息が私の首元にかかり体がビクリとしたと同時に幼馴染に後ろから抱きすくめられた(本日2度目)。ごめんねとまた一言。もうほんとに何なのよ、スキンシップの多いやつだとは思ってたけど、年頃の男女が、ましてや恋人でも何でもない男女がしていいスキンシップじゃないのよこのバカ強い抱擁は。今回のは正面じゃなく後ろからだから窒息は免れそうだけど胸やら腹を絞められて死ぬかもしれない顔に似合わないムチムチの身体でそういうことするなマジで。苦しいと何度か訴えたのちに解放されて血の巡りを身体中で感じていたら、先ほどよりは優しめに抱き抱えられて(お姫様抱っこ)幼馴染はそのままイスに座り、私は幼馴染の膝の上に座らされた。イス二脚あるんだから1人1脚使った方がいいと思うよ。幼馴染が私の肩に顔を埋めながらポツポツと話し始めた。ここは幼馴染の小屋で3年前に自分で建てた、私が帰ってくるのをずっと待ってた、帰ってきたらここに連れてきたかったなどと供述しているがどうにも大人に隠れてこっそり作った秘密基地を紹介するピュアな感じの内容ではなく、何ならなぜかいたって普通の部屋であるにもかかわらず今の私を取り巻く全てから薄らとした貞操の危機を感じているのだが…首元にかかる息は熱く、身体に回された手はじんわりと汗ばんでおり腰や胸の脇付け根のあたりをそわそわと薄ら撫でている。くすぐったがりなので、ンフフとかふひゃとか声が出てしまって恥ずかしい。ここに連れてきた理由はわかったからとりあえずその狙った獲物は逃しませんよの狩人の目の熱視線で顔を覗き込むのやめてほしい。ついでに膝の上に座らせられるのも。ステキナオウチダネ、オジサンオバサン(幼馴染の両親)トハベツニスンデルノネ、フタリハゲンキナノ?とカタコトで聞いてみるも“君と過ごすために作った家だからね”“材料が揃ったらもっと大きくする予定だよ”“2人とも元気だけど、君が気を使わずに済むこの離れが過ごしやすいかと思って”と返って来た。ヒィン。私と過ごすための家って何。怖いよう。…もしかして、幼馴染は田舎の人間の『男女の幼馴染だしお似合いだから結婚するものだ』の偏った思想の流れを信じてしまっているのでは?ありえる、大いにありえる。そう思って、田舎の妄信と因習に縛られてるんじゃないかとそのまま思ったことを正直に伝えてみたがこれが不味かったようで…「は?」の一言で黙り込み鋭すぎる眼光で顔に穴が開くのではないかと思うほど見据えられ、田舎を飛び出て都会に出た割には何もわかってないんだねと、めちゃくちゃ棘のある感じで鼻で笑われた。はあ?クソ田舎で畑仕事ばかりやって大した収入もなく幼馴染に異常に執着してるお前に言われたくないわとキレかかるもここは都会の女の嗜み…!都会のイケてるお姉さんは感情的に怒ったりしない…!(実家から閉め出された時の事は置いといて)ぐっと我慢して睨みつけるだけに抑えた。のだが、反論しないの?図星みたいな?それとも凄まれて怖くなっちゃった?と何故かうっとりと目を細め、まくし立てるように言葉を投げつけてくるのでこちらが悪いわけではないはずなのに追い詰められるようにタジタジになり体を少し引こうとしたがガッチリとムチムチ幼馴染に捉えられており逃げること叶わず…。どんどん近づいてくる幼馴染の瞳にただならぬ熱を感じて「あ」と声を発した時には既に遅し。鼻先が触れ合い唇を味わうように食まれ、声を発した際に薄く開いていた隙間に熱い舌をねじ込まれる。呆気にとられて反応が遅くなったが抵抗をしようと体を捩り、手でムチムチを突っぱねようとするが微動だにせず、ン゛ーっ!と抗議音を出すも余計に抑え込まれ、口内を弄るかのように舐め啜られているうちに息が苦しくなってきて鼻で息をすればいいとわかっていても急なことに頭が回らず幼馴染の舌を噛んで逃げればいいものを逆に息をしようと口を開けてしまうので悪循環。あまりにも執拗で長いキスのせいで抵抗力が落ち、突っぱねる手はいつの間にか幼馴染の綿でできたシャツを掴み、体からは力が抜けてきていた。たっぷりじっくりひとの口を弄んだ後、ゆっくりと唾液の糸を引きながら幼馴染の顔が離れていく。こちらははあはあと肩で息しているのになんだその恍惚とした表情は。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
幼馴染みのアイツとようやく○○○をした、僕と私の夏の話
こうしき
恋愛
クールなツンツン女子のあかねと真面目な眼鏡男子の亮汰は幼馴染み。
両思いにも関わらず、お互い片想いだと思い込んでいた二人が初めて互いの気持ちを知った、ある夏の日。
戸惑いながらも初めてその身を重ねた二人は夢中で何度も愛し合う。何度も、何度も、何度も──
※ムーンライトにも掲載しています
鬼より強い桃太郎(性的な意味で)
久保 ちはろ
恋愛
桃太郎の幼馴染の千夏は、彼に淡い恋心を抱きつつも、普段から女癖の悪い彼に辟易している。さらに、彼が鬼退治に行かないと言い放った日には、千夏の堪忍袋の緒も切れ、彼女は一人鬼ヶ島に向かう。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日
プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。
春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。
憐れな妻は龍の夫から逃れられない
向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる