朝日に捧ぐセレナーデ 〜天使なSubの育て方〜

沈丁花

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第二部

初めてのプレイ①(静留side)

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音を立てないように静かに東弥の横を抜け出すのは、朝の静留の日課である。

自分を抱き締めるたくましい腕を持ち上げて、優しく東弥の身体を転がす。

そして腕枕から起き上がり、最後に掛け布団の中をすり抜け…

「!!」

布団を持ち上げた瞬間に緩く東弥の目が開き、静留は驚いて目を瞬かせた。

「おはよう、東弥さん。」

動揺しつつも彼と一緒に起きられたことが嬉しくて、じっと目を見て朝の挨拶をする。

しかし、彼はいつもと様子が違った。

「静留、Lick.舐めて

少し冷ややかな視線にぞくりとする。

彼はいつもとは違う低い声で色っぽく言いながら、静留の口の前にその長い指を差し出して見せた。

そして指先で静留の唇の間をつーっとなぞっていく。

__えっ…?

初めて見る視線や表情、仕草に動揺してしまい、静留は真っ赤になって固まった。

__…かっこよすぎて、へんだよ…。

「できないの?…もう一度だけ言うよ。Lick.舐めて

もう一度、今度はより圧の強い口調でじっと目を見て命令される。

静留ははっとして口を開け、反射的に彼の指の腹に舌を這わせた。

「上手。もう少し口を開けて…そう、いい子。」

__やっぱり、なにかいつもとちがう…。

すっと東弥の身体が起き上がり、彼は静留が舐めていない方の手を静留の頬に添えたかと思うと、今度は舐められている方の指で静留の口内をくちゅくちゅと擦り始める。

口の中が擦られる感覚がくすぐったくて、でも気持ち良くて、静留はなんだかぼうっとして、またもや動けなくなってしまった。





しばらくして、東弥の手の動きがピタリととまった。その瞬間彼は明らかに動揺した様子で視線を泳がせる。

「あれ、俺…

静留!俺何かした?怖いことされてない!?」

「…おくち、さわってもらった…。」

まだその気持ちよさにぼうっとして、静留はふわふわと答える。

東弥はごめん、と言いながら手で額を押さえ、ため息をついた。

「あやまるの、どうして?」

嫌ではなかったし、気持ちよかった。だからなぜ東弥がそんなに後悔の表情を浮かべているのか、静留にはわからない。

「最近してなくて、静留に怖い思いさせちゃったから。」

「…する?」

「うん。静留に会ってから、誰ともプレイしてないんだ。だから、ごめん…。」

誰とも…。

プレイ、と言う言葉は静留にはわからなかったけれど、少なくとも東弥が他の人とこういうことをしていたと知って、なんとも言えない気持ちになる。

「ごめん。もうしないから、ね?」

静留は反射的にほっぺたを膨らませていたようで、それを見た東弥は慌てた様子で言った。

でも、違う。

静留がこんなふうにもやもやしているのは、口の中を触られたからではなくて…。

「僕じゃ、だめなの…?いやじゃないしこわくもない…。東弥さんと、プレイ?僕じゃできない…?」

「えっ…?」

目を潤ませながら言うと、東弥は驚いたような声を漏らした。
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