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第二部
戦う悪役令嬢
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ジリジリと肌の焼けるような緊迫感が漂います。侵入者たち体格からして全員男でしょう。彼らが部屋の中半円になるよう広がるのに私は薄く笑いそうになってしまうのを心の中だけに留めました。他方向からの一斉攻撃。定石でしょう。故にその可能性は最初から考えていました。
ガッと四人が飛び掛かってくるのに、素早く床を二度踏みます。それぞれの方角に風の球が無数飛んでいきました。避けきれずに二人ほどの服や肌を傷付けましたが決定打には至らず、もう二人に至ってはほんの少し足止めしただけになってしまいました。確実にこの前の相手より全員が強くなっています。できれば使いたくはなかったのですが仕方ないでしょう。もう一つの魔方陣を発動させます。それにより教室中の机や椅子が一斉に浮いて彼方此方に飛び交います。大丈夫なのは私がいる僅かな空間のみ。
視界が悪くなってしまったので何が起きているかは分かりませんが何人かの悲鳴は聞こえましたわ。魔法が止むと残っているのはこの間苦戦しました男一人です。ちっと男の舌打ちが聞こえました。
「また全滅かよ情けねぇ奴等だ。こんなもん切り捨てりゃぁ良いだけだってのに」
男の足元には切り捨てられた机や椅子が転がっていました。
「で、魔法はこれで終わりか。お嬢さんよ」
「まさか。まだまだありますわよ!」
杖を男に向け、何発も風魔法を打ち付けます。男は素早く避けって私のもとに向かってこようとします。足元への注意が疎かになっているのにさらに別の魔法を発動しました。切られた机たちの破片が一斉に男に向かいます。避けようとした男も避けきれずに幾つかの切傷を追いました。此方側にきた破片を使いさらに攻撃を重ねます。打ち込まれる破片に前に進んでこれない男。ここで大きな風魔法を使いました。避けれなかった男に辺り、男は壁に叩きつけられましたわ。
範囲を広くしたため気絶させるような衝撃を与えることは出来ませんでしたが充分でしょう。
男はスピードも早いですが、何よりパワーが強いです。近接戦に持ち込まれてしまえば私の方が不利。でしたら私は近接戦にならないよう魔法で距離を取り続けるまでです。
立ち上がった男がチッと舌打ちをしました。また前進してこようとするのに同じ攻撃を繰り返します。
「こりゃあ、厄介だな。でもその魔法武器にできる破片にも条件があるみたいだな。どういう仕組みかしらねえがさっきからある程度小さくなった破片が飛んでこなくなってるじゃねえか。つまり俺は破片を切りまくればいいって訳だ。悪いが俺は体力には自信があるぜ」
何度か同じことを繰り返した後、男が言ったのに今度は私が舌打ちをしてしまいましたわ。心の中でですが。やはりリーダー格なだけはありますね。馬鹿ではないようです。位置魔法を使うのにもし使ってる最中見つかっても反撃できるよう予めこの部屋の机には私の魔力を少し流し込んでおいたのです。その魔力を使って操っているのですが、あまり小さくなりすぎると操れるほどの魔力ではなくなってしまうのですよね。
まあ、初めからこれで倒せるなんて思っていませんでしたわ。近付かせないことと体力を消耗させることがこの攻撃の目的です。焦らずにいきますわよ。
また一斉に破片を飛ばしました。男が切り刻むのに操れるぶんはすべて操り同じことを繰り返します。その間に風魔法を折り混ぜ隙を作ろうとしましたが、中々それはできませんでした。でも切り傷ならさらにいくつかつけれましたわ。
にやりと男が笑うのに警戒します。もうだいぶ破片が減ってしまいました。次の一撃で終わりでしょう。男もそれを分かり切り捨て次第こちらに向かってくる腹積もりのようです。
最後の破片を飛ばしましたわ。男は多方面から飛んできた破片を全て切り、そして一直線に向かってきます。魔法で風を叩き込みますが効果は少ないです。後少しの距離になるのに私は自分の回りにバリアを貼りました。そして服の下に隠し持っていた手榴弾っぽいものを放り投げました。丸い玉に魔法を組み込んだ手製の物なのですが、かなりの威力で一瞬白く光ったと思いましたら貼ったバリアが後少しで破れるほどの強い衝撃を感じました。光が止んで見えるようになったと思えば地面がえぐりとられたのが見えました。威力をもう少し弱めるべきだったかと思いますが反省は後です。だいぶボロボロになっていますが、直撃は避けたようで男はまだ立っています。
「ふざけんなよ。おい。なんつーあぶねえもん持ってんだよ」
「危ない相手と対峙するんですからこれぐらい当然でしょ」
「確かになぁ。だが俺達がいると知っていて何で来た。あの男に用事か。なら居場所知ってるよな」
ギラギラとした目を男が向けます。あの男と言うのは先生のことでしょう。
「教えてもらうぞ、このくそ女!」
「おあいにく様。先生の居所など私は知りませんし、知っていても教えませんわ」
魔法で風を叩きつけていきますが、少し足を緩める程度でほぼ意味をなしていません。さっきの玉はあれひとつだけしか用意していません。杖を剣に変換します。
男が斬りかかってくるのを受け止めます。重い一撃でしたが、ですがこないだよりは軽いですわ。確実に今までの攻撃が効いています。とは言えやはり接近戦になってしまうと私の方がぶが悪いのは変わりません。がんがんと打ち付けてこられのを受け止めるだけで精一杯です。前より軽いとは言え受け止める度腕にしびれも走ります。何とか合間に魔法を使い風を起こして離れさせますがすぐに詰められ攻撃を再開されてしまいますわ。
この間の屈辱を果たす為にもこの剣での勝負で仕留めたかったのですが、まだそこまではいけてないようです。残念ですが次の手を使うまでです。攻撃を交わしながら気付かれないよう視線を上に向け位置を確認します。もう後少し。
重い一撃が来るのに耐えられなかった不利をして剣を離しました。遠くに飛んでいく剣。踏み込まれる一歩。振りかぶられるのに後ろに僅かに避けます。浅くですが肩に剣が入りました。体制を崩し倒れるのに男が乗り掛かってきて剣を首筋に当ててきます。腹に乗り掛かり手も挟み込まれて動けなくなってしまいました。
にやりと男が笑いました
「さてと。これで手前もお仕舞いだな。あの男の居場所を教えてもらおうか」
ぎっとにらみあげれば余計ににやにやと嫌らしく笑う男。
「そんな目してももう無駄だぜ。ほら素直にはいちまいな。そしたら恐い思いしなくてすむからよ。後は気持ちいいことだけしてやるよ」
ほら、男が言いながら剣を動かす。首筋がちりりと痛みました。痛みで歪んだ顔を楽しそうに見てくる男。手を動かしましたが抵抗しようとしているだけと思いそちらに視線を向けません。勝ったと思いもしたが悔しそうな顔して男を見上げます。仕掛けていた爆弾もどき、今度は威力を気絶させる程度に修めたやつですが落ちてくるのが視界にはいります。あともう少し決して逃げれないと言う所でバリアを張りました。男が何かあると飛び退こうとしたところでもう遅く光が弾けました。感じる衝撃。力を込め、男のしたから抜け出して距離を取りました。
光が止んで男のいた辺りを見ると男は床に倒れていました。ほうと息を吐きそうになったのですが、男が立ち上がってくるのに凍り付きました。
まさかあれでまだ動けるだなんて。もうやれることはすべてやりました。これ以上は……。せめて
「ふざけんなよ、この糞女が」
殺意に満ちた目が見つめてくるのにせめて剣をと剣が飛ばされた方を見ました。距離的に危ういところにあります。それでも剣を取りに走りました。少しでも足止めをするため風魔法を放ちます。
後一歩で剣に手が届きます。
でも男ももう近くに来ていて。間に合わないと思いました。男の剣が向かってきます。切られるとそう感じた時、
目の前の男が凍り付きました。
ぎょっと目を見開いてから扉の方を見ました。そこには先生がいました。
「先生」
「逃げるぞ」
走りよってきた先生が私の手を掴み引っ張ります。えっと思うのに早くと駆けられる声。びきりと言う音がしたのに男の方を見ると先生が凍らせた男が氷の中から氷を割ろうとしているところでした。何でと思ったのにあの男は氷点下の温度にすら体勢が出来ている特異な男だ。あの程度じゃ足止めにもならん。と言う先生の言葉が聞こえて慌てて私も走りました。部屋を出る際先生が魔法を使い廊下を分厚い氷でふさぎました。
ガッと四人が飛び掛かってくるのに、素早く床を二度踏みます。それぞれの方角に風の球が無数飛んでいきました。避けきれずに二人ほどの服や肌を傷付けましたが決定打には至らず、もう二人に至ってはほんの少し足止めしただけになってしまいました。確実にこの前の相手より全員が強くなっています。できれば使いたくはなかったのですが仕方ないでしょう。もう一つの魔方陣を発動させます。それにより教室中の机や椅子が一斉に浮いて彼方此方に飛び交います。大丈夫なのは私がいる僅かな空間のみ。
視界が悪くなってしまったので何が起きているかは分かりませんが何人かの悲鳴は聞こえましたわ。魔法が止むと残っているのはこの間苦戦しました男一人です。ちっと男の舌打ちが聞こえました。
「また全滅かよ情けねぇ奴等だ。こんなもん切り捨てりゃぁ良いだけだってのに」
男の足元には切り捨てられた机や椅子が転がっていました。
「で、魔法はこれで終わりか。お嬢さんよ」
「まさか。まだまだありますわよ!」
杖を男に向け、何発も風魔法を打ち付けます。男は素早く避けって私のもとに向かってこようとします。足元への注意が疎かになっているのにさらに別の魔法を発動しました。切られた机たちの破片が一斉に男に向かいます。避けようとした男も避けきれずに幾つかの切傷を追いました。此方側にきた破片を使いさらに攻撃を重ねます。打ち込まれる破片に前に進んでこれない男。ここで大きな風魔法を使いました。避けれなかった男に辺り、男は壁に叩きつけられましたわ。
範囲を広くしたため気絶させるような衝撃を与えることは出来ませんでしたが充分でしょう。
男はスピードも早いですが、何よりパワーが強いです。近接戦に持ち込まれてしまえば私の方が不利。でしたら私は近接戦にならないよう魔法で距離を取り続けるまでです。
立ち上がった男がチッと舌打ちをしました。また前進してこようとするのに同じ攻撃を繰り返します。
「こりゃあ、厄介だな。でもその魔法武器にできる破片にも条件があるみたいだな。どういう仕組みかしらねえがさっきからある程度小さくなった破片が飛んでこなくなってるじゃねえか。つまり俺は破片を切りまくればいいって訳だ。悪いが俺は体力には自信があるぜ」
何度か同じことを繰り返した後、男が言ったのに今度は私が舌打ちをしてしまいましたわ。心の中でですが。やはりリーダー格なだけはありますね。馬鹿ではないようです。位置魔法を使うのにもし使ってる最中見つかっても反撃できるよう予めこの部屋の机には私の魔力を少し流し込んでおいたのです。その魔力を使って操っているのですが、あまり小さくなりすぎると操れるほどの魔力ではなくなってしまうのですよね。
まあ、初めからこれで倒せるなんて思っていませんでしたわ。近付かせないことと体力を消耗させることがこの攻撃の目的です。焦らずにいきますわよ。
また一斉に破片を飛ばしました。男が切り刻むのに操れるぶんはすべて操り同じことを繰り返します。その間に風魔法を折り混ぜ隙を作ろうとしましたが、中々それはできませんでした。でも切り傷ならさらにいくつかつけれましたわ。
にやりと男が笑うのに警戒します。もうだいぶ破片が減ってしまいました。次の一撃で終わりでしょう。男もそれを分かり切り捨て次第こちらに向かってくる腹積もりのようです。
最後の破片を飛ばしましたわ。男は多方面から飛んできた破片を全て切り、そして一直線に向かってきます。魔法で風を叩き込みますが効果は少ないです。後少しの距離になるのに私は自分の回りにバリアを貼りました。そして服の下に隠し持っていた手榴弾っぽいものを放り投げました。丸い玉に魔法を組み込んだ手製の物なのですが、かなりの威力で一瞬白く光ったと思いましたら貼ったバリアが後少しで破れるほどの強い衝撃を感じました。光が止んで見えるようになったと思えば地面がえぐりとられたのが見えました。威力をもう少し弱めるべきだったかと思いますが反省は後です。だいぶボロボロになっていますが、直撃は避けたようで男はまだ立っています。
「ふざけんなよ。おい。なんつーあぶねえもん持ってんだよ」
「危ない相手と対峙するんですからこれぐらい当然でしょ」
「確かになぁ。だが俺達がいると知っていて何で来た。あの男に用事か。なら居場所知ってるよな」
ギラギラとした目を男が向けます。あの男と言うのは先生のことでしょう。
「教えてもらうぞ、このくそ女!」
「おあいにく様。先生の居所など私は知りませんし、知っていても教えませんわ」
魔法で風を叩きつけていきますが、少し足を緩める程度でほぼ意味をなしていません。さっきの玉はあれひとつだけしか用意していません。杖を剣に変換します。
男が斬りかかってくるのを受け止めます。重い一撃でしたが、ですがこないだよりは軽いですわ。確実に今までの攻撃が効いています。とは言えやはり接近戦になってしまうと私の方がぶが悪いのは変わりません。がんがんと打ち付けてこられのを受け止めるだけで精一杯です。前より軽いとは言え受け止める度腕にしびれも走ります。何とか合間に魔法を使い風を起こして離れさせますがすぐに詰められ攻撃を再開されてしまいますわ。
この間の屈辱を果たす為にもこの剣での勝負で仕留めたかったのですが、まだそこまではいけてないようです。残念ですが次の手を使うまでです。攻撃を交わしながら気付かれないよう視線を上に向け位置を確認します。もう後少し。
重い一撃が来るのに耐えられなかった不利をして剣を離しました。遠くに飛んでいく剣。踏み込まれる一歩。振りかぶられるのに後ろに僅かに避けます。浅くですが肩に剣が入りました。体制を崩し倒れるのに男が乗り掛かってきて剣を首筋に当ててきます。腹に乗り掛かり手も挟み込まれて動けなくなってしまいました。
にやりと男が笑いました
「さてと。これで手前もお仕舞いだな。あの男の居場所を教えてもらおうか」
ぎっとにらみあげれば余計ににやにやと嫌らしく笑う男。
「そんな目してももう無駄だぜ。ほら素直にはいちまいな。そしたら恐い思いしなくてすむからよ。後は気持ちいいことだけしてやるよ」
ほら、男が言いながら剣を動かす。首筋がちりりと痛みました。痛みで歪んだ顔を楽しそうに見てくる男。手を動かしましたが抵抗しようとしているだけと思いそちらに視線を向けません。勝ったと思いもしたが悔しそうな顔して男を見上げます。仕掛けていた爆弾もどき、今度は威力を気絶させる程度に修めたやつですが落ちてくるのが視界にはいります。あともう少し決して逃げれないと言う所でバリアを張りました。男が何かあると飛び退こうとしたところでもう遅く光が弾けました。感じる衝撃。力を込め、男のしたから抜け出して距離を取りました。
光が止んで男のいた辺りを見ると男は床に倒れていました。ほうと息を吐きそうになったのですが、男が立ち上がってくるのに凍り付きました。
まさかあれでまだ動けるだなんて。もうやれることはすべてやりました。これ以上は……。せめて
「ふざけんなよ、この糞女が」
殺意に満ちた目が見つめてくるのにせめて剣をと剣が飛ばされた方を見ました。距離的に危ういところにあります。それでも剣を取りに走りました。少しでも足止めをするため風魔法を放ちます。
後一歩で剣に手が届きます。
でも男ももう近くに来ていて。間に合わないと思いました。男の剣が向かってきます。切られるとそう感じた時、
目の前の男が凍り付きました。
ぎょっと目を見開いてから扉の方を見ました。そこには先生がいました。
「先生」
「逃げるぞ」
走りよってきた先生が私の手を掴み引っ張ります。えっと思うのに早くと駆けられる声。びきりと言う音がしたのに男の方を見ると先生が凍らせた男が氷の中から氷を割ろうとしているところでした。何でと思ったのにあの男は氷点下の温度にすら体勢が出来ている特異な男だ。あの程度じゃ足止めにもならん。と言う先生の言葉が聞こえて慌てて私も走りました。部屋を出る際先生が魔法を使い廊下を分厚い氷でふさぎました。
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