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愛とオルゴール
14. 罰
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アンソニーが言ったように、ブロア公爵家は王家とフォンテーヌ伯爵家に公式な抗議を行った。もちろんロートレック侯爵家からも同時に。
既に一度内々に苦情を申し立てていたにもかかわらず、フォンテーヌ伯爵令嬢であるリリアン様と第二王子のフレデリック様がそれを無視して私に接触したことは、王家でもかなり問題視されたそうだ。
「陛下はフレデリック殿下を数年間国外に出して学ばせることにされたそうだ。
そして、フォンテーヌ家では近々当主がその座を従兄弟に譲るということになったらしい」
「当主の変更? それほどのことですか?」
驚いた私の言葉にダニエル叔父様は何とも言えない顔をして頷いた。
「何もそこまでと皆驚いたのだが、伯爵の意思が固くて覆せなかったみたいでね。
従兄弟には既に結婚している嫡男がいるそうで、令嬢は婿を取る跡取り娘のままではいられないらしい。
不憫に思った陛下が王家が後見になるといったらしいのだが、王妃様が難色を示していてどうなるかわからないみたいだ。もしかすると今後、嫁入り先を探すのには少し苦労するかもしれないな」
元王女を母に持つ有力な伯爵家の跡取り娘であったことを思えば、一般的には、リリアン様の状況は悪くなったと言える。
しかし、そもそも、リリアン様はアンソニーに嫁ぐつもりだったのだろうから、家のための結婚にはあまりこだわりがなかったのだろう。
そういう意味では特に問題はないのかもしれない。後見がなくとも王家の血筋であることに変わりはないわけだし。
だだ、王家が後見しないという話は立場を悪くする可能性はある。まだ、どうなるかはわからないけれど。
「それで、ジェシカ。実は、その、フォンテーヌ伯爵が君に謝罪をしたいと言っているんだがどうだろうか」
叔父が微妙に目線を逸らせてそう言った。近頃、叔父はどこかおかしい。
「わたくしに?」
まあ、おかしいといえばネイサンの婿入り話といい、今度の爵位の譲渡といい、フォンテーヌ伯爵という人は本当にどこかおかしいのではないだろうか?
あのリリアン様のお父上であるわけだし。
それとも、伯爵様はちょっと人とはズレた感性で一人娘を溺愛しているだけなのだろうか?
娘のために無茶な縁組を考え、娘のしでかしたこと以上の責任を取り、娘の今後を考えて少しでも心証をよくしようと次期ブロア公爵夫人となる私に頭を下げるということであるならその気持ちは、かなり調子外れだとは思うが、少しだけ私の心をうつものだった。
「わかりました。謝罪を受けますわ」
「そうか、よかった。ありがとうジェシカ」
叔父の様子はやはりおかしいが私はもう気にしないことにした。
「それにしても、伯爵様は爵位を譲られた後はどうなさるおつもりなのでしょう」
私が謝罪を受けると言ったことでほっとしたのか叔父は微笑みながら答えてくれた。
「国を出ると聞いている。彼は他国との貿易でかなりの成功を手にしたから伝手があるんだろう」
「外国に?」
なんだかまたも私の常識では図れない言葉を聞いた気がする。
最愛の娘と離れ離れになっていいの? 爵位を譲っても娘の後見人としての役目を果たす必要があるのではないのかしら?
それだと、王家からも今までに比べて距離を置かれる形になるかもしれないリリアン様の今後に少なからず影響がある思うのだけど。
本当に、リリアン様は嫁入り先に苦労するかもしれないというのもあながち間違いではないような……。
「伯爵様の噂は本当なのですわよね?」
「噂?」
察しの悪い叔父。
男の人ってなんでこうなんだろうか。
伯爵の噂といえば、悲劇の恋人達の事に決まっている。今は最愛の人の忘れ形見であるリリアン様のことを話題にしているのだからそれは当然の成り行きでしょう?
「今も亡くなられた王女殿下を一途に愛されていという噂ですわ。
それもあって忘れ形見であるご令嬢のことにこれほどお心をくだいてらっしゃるのでしょう? わたくしに謝罪までなさるというのも娘の今後を考えての事でしょうし。
それなのに一人、外国に行かれるとなると、リリアン様も心細いのではないかと思ったの」
叔父は動揺したように頷いた。
「……あ、ああ、そうだな。その噂のことか。令嬢については私達にはわからないが、何かよい手立てがあるのだろう、きっと」
こうして私はずっとどこか煮え切らない態度でいる叔父の屋敷に訪問する予定を組み、フォンテーヌ伯爵とお会いすることになったのだった。
そのことをアンソニーに話すと何かを考えるようなそぶりを見せたのが気になったが、とにかく、私はついに噂のフォンテーヌ伯爵に会うことになった。
既に一度内々に苦情を申し立てていたにもかかわらず、フォンテーヌ伯爵令嬢であるリリアン様と第二王子のフレデリック様がそれを無視して私に接触したことは、王家でもかなり問題視されたそうだ。
「陛下はフレデリック殿下を数年間国外に出して学ばせることにされたそうだ。
そして、フォンテーヌ家では近々当主がその座を従兄弟に譲るということになったらしい」
「当主の変更? それほどのことですか?」
驚いた私の言葉にダニエル叔父様は何とも言えない顔をして頷いた。
「何もそこまでと皆驚いたのだが、伯爵の意思が固くて覆せなかったみたいでね。
従兄弟には既に結婚している嫡男がいるそうで、令嬢は婿を取る跡取り娘のままではいられないらしい。
不憫に思った陛下が王家が後見になるといったらしいのだが、王妃様が難色を示していてどうなるかわからないみたいだ。もしかすると今後、嫁入り先を探すのには少し苦労するかもしれないな」
元王女を母に持つ有力な伯爵家の跡取り娘であったことを思えば、一般的には、リリアン様の状況は悪くなったと言える。
しかし、そもそも、リリアン様はアンソニーに嫁ぐつもりだったのだろうから、家のための結婚にはあまりこだわりがなかったのだろう。
そういう意味では特に問題はないのかもしれない。後見がなくとも王家の血筋であることに変わりはないわけだし。
だだ、王家が後見しないという話は立場を悪くする可能性はある。まだ、どうなるかはわからないけれど。
「それで、ジェシカ。実は、その、フォンテーヌ伯爵が君に謝罪をしたいと言っているんだがどうだろうか」
叔父が微妙に目線を逸らせてそう言った。近頃、叔父はどこかおかしい。
「わたくしに?」
まあ、おかしいといえばネイサンの婿入り話といい、今度の爵位の譲渡といい、フォンテーヌ伯爵という人は本当にどこかおかしいのではないだろうか?
あのリリアン様のお父上であるわけだし。
それとも、伯爵様はちょっと人とはズレた感性で一人娘を溺愛しているだけなのだろうか?
娘のために無茶な縁組を考え、娘のしでかしたこと以上の責任を取り、娘の今後を考えて少しでも心証をよくしようと次期ブロア公爵夫人となる私に頭を下げるということであるならその気持ちは、かなり調子外れだとは思うが、少しだけ私の心をうつものだった。
「わかりました。謝罪を受けますわ」
「そうか、よかった。ありがとうジェシカ」
叔父の様子はやはりおかしいが私はもう気にしないことにした。
「それにしても、伯爵様は爵位を譲られた後はどうなさるおつもりなのでしょう」
私が謝罪を受けると言ったことでほっとしたのか叔父は微笑みながら答えてくれた。
「国を出ると聞いている。彼は他国との貿易でかなりの成功を手にしたから伝手があるんだろう」
「外国に?」
なんだかまたも私の常識では図れない言葉を聞いた気がする。
最愛の娘と離れ離れになっていいの? 爵位を譲っても娘の後見人としての役目を果たす必要があるのではないのかしら?
それだと、王家からも今までに比べて距離を置かれる形になるかもしれないリリアン様の今後に少なからず影響がある思うのだけど。
本当に、リリアン様は嫁入り先に苦労するかもしれないというのもあながち間違いではないような……。
「伯爵様の噂は本当なのですわよね?」
「噂?」
察しの悪い叔父。
男の人ってなんでこうなんだろうか。
伯爵の噂といえば、悲劇の恋人達の事に決まっている。今は最愛の人の忘れ形見であるリリアン様のことを話題にしているのだからそれは当然の成り行きでしょう?
「今も亡くなられた王女殿下を一途に愛されていという噂ですわ。
それもあって忘れ形見であるご令嬢のことにこれほどお心をくだいてらっしゃるのでしょう? わたくしに謝罪までなさるというのも娘の今後を考えての事でしょうし。
それなのに一人、外国に行かれるとなると、リリアン様も心細いのではないかと思ったの」
叔父は動揺したように頷いた。
「……あ、ああ、そうだな。その噂のことか。令嬢については私達にはわからないが、何かよい手立てがあるのだろう、きっと」
こうして私はずっとどこか煮え切らない態度でいる叔父の屋敷に訪問する予定を組み、フォンテーヌ伯爵とお会いすることになったのだった。
そのことをアンソニーに話すと何かを考えるようなそぶりを見せたのが気になったが、とにかく、私はついに噂のフォンテーヌ伯爵に会うことになった。
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