[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)

文字の大きさ
2 / 13

離婚しました

しおりを挟む
◆◆◆◆◆

婚姻届を出した次の日に、離婚届が提出された。正樹から離婚の手続きを終えたと、スマホにメッセージが残されていた。以降は弁護士を通じての、慰謝料の取り決めに移行するみたい。

「まあ、あれだよな」
「なんだよ?」

「直人が首を噛まれる前に離婚になったのは、不幸中の幸いってやつだな」

「雄一はデリカシーに欠ける」

僕は幼馴染みの大家雄一おおやゆういちの足を蹴った。雄一は大袈裟に痛がるふりをする。居酒屋でやけ酒。ここ連日、酒を呑んでは潰れて意識を失うを繰り返している。

「あんまり飲みすぎるなよ」
「うるしぇ、呑ませろ」

流石に家族が心配して、 幼馴染みの雄一に僕の見張り役を頼んだみたい。平凡顔のオメガでもアルファに襲われる可能性は皆無ではないとの理由で。だけど、雄一もアルファなので・・彼になら喰われろとの家族の意思を若干感じる。

「まあ確かに、首を噛まれる前に離婚できて良かったかも。正樹に首を噛まれてたら、当分の間はヒートの度に正樹を思って自慰してた筈だし。裏切り者の顔を思い浮かべて、ペニスを弄るとか嫌すぎる」

「直人、下ネタ入ってきてるぞ」

「下ネタもぶっこみたくなる。雄一も下ネタ言えば?聞いてあげるよ?」

雄一はグラスのビールを飲み干すと、不意に僕の首筋にふれた。僕がびくりと震えると、雄一が首元を覆う貞操帯を指先でつついた。

「結婚式で初めて直人の貞操帯なしの首筋を見て・・ちょっと噛りたくなった」

「それが下ネタ?」

「まあな。やっぱり、未婚になると貞操帯をつけるのか。それってなんか見た目が苦しそうなんだが、大丈夫なのか?」

「伸縮性があるから苦しくはないよ。鬱陶しいけどね。でも、強姦対策で子供の頃から着けてるから、無いと不安ではあるね」

「確かに子供の頃からしてたよな」

「幼馴染みだから、長い付き合いになるよな。あれ、そういえば最近オメガの彼女はどうしたよ?結婚話は進んだのか?」

「ああ、結婚した」
「ええーーー!?」
「彼女が別のアルファとな」
「えーーーー~~」

「なんか、最後に笑いが含まれていたような?お前が傷付いてるから黙っていたが、俺は手負いの狼だから気をつけろよ」

「手負いの狼って、その表現~。しかし、仲良しだったのに別れたとは意外だな。エッチはしてたんだよな?」

「オメガ女が浮気性だったんだよ!俺が長期出張している間に、浮気して孕んでたんだよ・・別れるしかないだろ」

僕は何となく幼馴染みの手に触れた。温もりが欲しくて。互いに温もりが欲しかったのだろうか。雄一が僕の手を撫でた。

「なぁ、酔った勢いでセックスしない?」
「酔いすぎだ、直人」

「寂しくてさぁ。互いにフリーなら、セックスフレンドでいいんじゃね?」

「お前、アルファと寝たことあるのか?」
「ないけど」
「じゃあ、駄目」
「何でだよ~」
「好きな人に開通してもらえ」
「好きな人ねえ。現れるかなぁ」

僕は居酒屋の少しべたりとしたテーブルに、顔を突っ伏した。頭に皿が当たる。

「痛い」
「馬鹿だな、直人は」

雄一が頭を撫でてくれた。少し泣けてきて、僕は顔をあげられなかった。


◆◆◆◆◆
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

側近候補を外されて覚醒したら旦那ができた話をしよう。

とうや
BL
【6/10最終話です】 「お前を側近候補から外す。良くない噂がたっているし、正直鬱陶しいんだ」 王太子殿下のために10年捧げてきた生活だった。側近候補から外され、公爵家を除籍された。死のうと思った時に思い出したのは、ふわっとした前世の記憶。 あれ?俺ってあいつに尽くして尽くして、自分のための努力ってした事あったっけ?! 自分のために努力して、自分のために生きていく。そう決めたら友達がいっぱいできた。親友もできた。すぐ旦那になったけど。 ***********************   ATTENTION *********************** ※オリジンシリーズ、魔王シリーズとは世界線が違います。単発の短い話です。『新居に旦那の幼馴染〜』と多分同じ世界線です。 ※朝6時くらいに更新です。

王女が捨てた陰気で無口で野暮ったい彼は僕が貰います

卯藤ローレン
BL
「あなたとの婚約を、今日この場で破棄いたします!」――王宮の広間に突然響いた王女の決別宣言。その言葉は、舞踏会という場に全く相応しくない地味で暗い格好のセドリックへと向けられていた。それを見ていたウィリムは「じゃあ、僕が貰います!」と清々しく強奪宣言をした。誰もが一歩後ずさる陰気な雰囲気のセドリック、その婚約者になったウィリムだが徐々に誤算が生じていく。日に日に婚約者が激変していくのだ。身長は伸び、髪は整えられ、端正な顔立ちは輝き、声変わりまでしてしまった。かつての面影などなくなった婚約者に前のめりで「早く結婚したい」と迫られる日々が待っていようとは、ウィリムも誰も想像していなかった。 ◇地味→美男に変化した攻め×素直で恐いもの知らずな受け。

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

アルファの双子王子に溺愛されて、蕩けるオメガの僕

めがねあざらし
BL
王太子アルセインの婚約者であるΩ・セイルは、 その弟であるシリオンとも関係を持っている──自称“ビッチ”だ。 「どちらも選べない」そう思っている彼は、まだ知らない。 最初から、選ばされてなどいなかったことを。 αの本能で、一人のΩを愛し、支配し、共有しながら、 彼を、甘く蕩けさせる双子の王子たち。 「愛してるよ」 「君は、僕たちのもの」 ※書きたいところを書いただけの短編です(^O^)

失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた

胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。 失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……? 「俺たち付き合ってたないだろ」 「……本気で言ってるのか?」 不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け ※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします

オメガなのにムキムキに成長したんだが?

未知 道
BL
オメガという存在は、庇護欲が湧く容姿に成長する。 なのに俺は背が高くてムキムキに育ってしまい、周囲のアルファから『間違っても手を出したくない』と言われたこともある。 お見合いパーティーにも行ったが、あまりに容姿重視なアルファ達に「ざっけんじゃねー!! ヤルことばかりのくそアルファ共がぁああーーー!!」とキレて帰り、幼なじみの和紗に愚痴を聞いてもらう始末。 発情期が近いからと、帰りに寄った病院で判明した事実に、衝撃と怒りが込み上げて――。 ※攻めがけっこうなクズです。でも本人はそれに気が付いていないし、むしろ正当なことだと思っています。 同意なく薬を服用させる描写がありますので、不快になる方はブラウザバックをお願いします。

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

処理中です...